角部屋のマンションを高く売却する極意は「角部屋の特徴をつかむこと」
2019.10.25投稿\!初めてをサポート!/
マンション売却のすべてを公開中
マンションには「角部屋住戸」があり、一般的に角部屋は通常の部屋よりも高く売りやすいです。
しかし、必ずしも高く売れるとは限らず、角部屋といっても資産価値は部屋によって異なります。
そのため、角部屋を高く売却するためには、その角部屋の特徴をつかむことが重要です。
今回は、角部屋のマンションを高く売るために以下の点を解説していきます。
この記事ではこんな悩みを解決します!
- 角部屋は1種類だけではない
- 角部屋のメリット・デメリットは何?
- 角部屋を高く売るコツは?
筆者は、元々マンションディベロッパーの営業マンであり、今まで多くのマンションを仲介してきました。
その中には角部屋住戸を担当したこともあり、高く売れたケースもあれば、少々苦戦した住戸があったのも事実です。
今回の記事はそんな実体験を元に執筆していくので、マンションの角部屋の売却を検討している人はぜひチェックしてみてください。
この記事の目次
人気の「角部屋」はマンションの売却にどれほど影響を与えるか
角部屋は中部屋よりも資産価値は高いケースが多いですが、一概に「中部屋より〇%高い」とはいえません。
というのも、角部屋と一括りにしてもそれぞれ条件が異なるからです。
わたしの経験則からいうと、目安として「中部屋の価格の数%から最大で10%ほど価格は上がる」というイメージです。
10%価格が上がるのは角部屋の中でも特別なメリットがある部屋に限るので、大体3%前後価格がアップすると思っておきましょう。
ただ、それも後述する角部屋のメリットはどのくらいあるか?角部屋によるデメリットは大きくないか?という点によって左右されます。
角部屋は1種類だけではない
角部屋は1種類だけでなく4種類の角部屋があります。この章では、そもそも角部屋とはどのような部屋か?について掘り下げていきます。
角部屋とはどのような部屋か
角部屋とは、文字通りフロアの角にある住戸です。
「バルコニーが二面ある=角部屋」と勘違いされることがありますが、フロアの角に配置されていないと角部屋とはいいません。
一般的なマンションはフロアの両端の2住戸が角部屋になりますが、マンションの形状(L字など)によって角部屋の数は異なります。
角部屋は4種類以上
角部屋は、以下のように4種類以上あります。
- 南東角部屋
- 南西角部屋
- 北東角部屋
- 北西角部屋
たとえば3面採光の「南・東・北角部屋」もありますし、「南西・南東角部屋」もあります。
このように、色々なタイプの角部屋があるからこそ、上述したように「角部屋=○%価格アップ」と一概にいえないのです。
角部屋のメリット
次に、角部屋のメリットである以下を解説していきます。
自分が売却しようとしている角部屋には、以下のメリットがどのくらいあるかを確認しておきましょう。
それによって、中部屋との価格差が決まります。
- 室内が明るい
- 眺めが良い
- 風通りが良い
- 隣戸が少ない
- 部屋の前を通る人が少ない
室内が明るい
やはり、最も大きなメリットは角部屋によって室内が明るくなることです。
たとえば、「東向き」の中部屋は東側にバルコニーがあり、逆の西側の居室に窓があったとしても、その窓は小さく廊下に面しているケースが多いです。
一方、角部屋の場合は最低でも二面に窓があり、廊下ではなく外側への開口部なので明るいです。
また、バルコニーが二面の住戸もあるので、中部屋よりも室内が明るい点がメリットになります。
眺めが良い
2つ目のメリットは眺めが良いということです。
角部屋は二面以上に窓、もしくはバルコニーがあるので、中部屋より開口部が広く景色が良いです。
特に、湾岸エリアやタワーマンションなど、その部屋からの「景色」を売りにしているマンションは、角部屋であることのメリットは大きいといえます。
風通りが良い
開口部を二面開放した方が、風の通り道ができるので風通りが良くなります。
そのため、角部屋のように開口部が二面ある部屋は、風通りが良くなるというメリットがあります。
特に、夏の暑い時期や換気したいときに風通りが良いのはメリットです。
隣戸が少ない
一般的なマンションの中部屋は左右に部屋が隣接しています。
マンションであれば、180mm~200mmほどのコンクリートや鉄骨造の壁がありますが、それでも音が響くことはあります。
しかし、角部屋ということは隣接している住戸が1部屋のケースが多いので、中部屋よりも隣接住戸は少なく音の問題が発生しにくいというメリットがあります。
部屋の前を通る人が少ない
当たり前の話ですが、マンションはエントランスを抜けて階段やエレベーターを利用し自分の部屋のフロアに行き、そこから各自の部屋に入っていきます。
その途中で外部廊下を通るので、中住戸の部屋だと自分の部屋の前の外部廊下を人が通ることが多いです。
住戸によっては、深夜などは音が気になることもあります。
一方、角部屋は自分の部屋の前の外部廊下を通るのは自分だけなので、そのような音が気になりにくいのもメリットといえます。
角部屋のデメリット
一方、角部屋には以下のデメリットもあります。
- 開口部が多いことによる気温変動
- 価格が高くなる
角部屋を高く売るためにはデメリットも知っておく必要があるので、上記のデメリットについて詳しく理解しておきましょう。
開口部が多いことによる気温変動
上述したように、角部屋は開口部が多いのでそれによる陽当たりや眺望面でデメリットがあります。
一方で、開口部が多いということは室温が外気の影響を受けやすいということです。
つまり、夏には暑い陽ざしで室温は上がりやすく、冬は寒い冷気で室温は下がりやすいです。
このように、角部屋であるが故に開口部が多く、それによって室内の気温が変動しやすいのはデメリットといえます。
価格が高くなる
一般的には、中部屋よりも角部屋の方が高く売れますが、購入者によっては「角部屋でなくても良いからもっと安い住戸が良い」という人もいます。
しかし、角部屋を所有しているということは、その部屋を購入するときに中部屋よりも高く買っているはずです。
そのため、角部屋を売却するときは、購入時に高く買っているぶん高く売りたいという心理が働き、希望売却価格が高くなるのです。
そうなると、「物件は気に入っているけど金額的に予算オーバー」という層も出てくるため、物件が売りにくいという状況になり得ます。
もちろん、価格を上げるだけのメリットが角部屋にはあるのですが、それをどのくらいのメリットに感じるかは人によって異なるというわけです。
つまり、角部屋は確かに資産価値が高い住戸なものの、高く売り出すことによって売却スピードが落ちる可能性もあり、その点は角部屋のデメリットといえます。
売れやすい角部屋の特徴と効果的なアピール方法
このように、角部屋にはメリット・デメリットがあります。
この章では、そんなメリット・デメリットを加味した上で、売れやすい角部屋はどのような住戸か?および、その住戸をどのようにアピールすれば良いか?について解説します。
- 三面採光
- 南向きが絡んでくる
- 眺望が良い
- 二面バルコニー
三面採光
角部屋かつ三面採光であれば売りやすい角部屋といえます。
なぜなら、上述した「室内が明るい」「眺めが良い」というメリットを受けやすいからです。
効果的なアピール方法は、三面採光であることが分かるように、画像や文言で残すことです。
南向きが絡んでくる
角部屋でも「南東角部屋」や「南西角部屋」など、南向きが絡んでくる角部屋は強いです。
やはり、南向きは陽当たり面から人気がある住戸なので、その部分に絡む角部屋も必然的に人気があります。
そのような住戸は、「南東角部屋」など文言で分かりやすく表記してあげましょう。
眺望が良い
角部屋の中で眺望が良い物件であれば、その眺望を存分にアピールしましょう。
たとえば、昼だけでなく夜景の写真を撮影して不動産会社に送信すれば、ネット広告などにすぐ反映できます。
眺望が良いメリットはビジュアルの方が伝わりやすいので、売主の立場から色々な時間帯の写真を撮影して不動産会社に送ってあげると良いでしょう。
一般的には不動産会社が写真撮影なども行いますが、不動産会社が昼に撮影して夜に撮影して……だと時間がかかるので、売主が協力した方が早く掲載できます。
二面バルコニー
角部屋の中でも、たとえば「二面バルコニー」など、2つ以上にバルコニーがある住戸も人気があります。そのような部屋は図面でバルコニーをアピールしましょう。
具体的には図面に印を付けたり、図面を縦向き・横向きのどちらにするかも「バルコニーが広く見える向きはどっち?という基準で選ぶことをおすすめします。
売れにくい角部屋の特徴と対策
一方、以下のような物件は角部屋なものの売りにくい部屋です。
- 採光面があまり増えない
- 眺望が悪くなる
- 北向きが絡む
採光面があまり増えない
たとえば、南向きがメインでない角部屋……たとえば東向きにメインバルコニーがあり、南向きには小さな窓があるような南東角部屋の場合、過度に南東角部屋をアピールし過ぎると危険です。
というのも、そのような部屋は角部屋なものの採光面はあまり増えないからです。
「南東角部屋」に惹かれて内見する人は陽当たりや眺望面を重視する人が多いです。
そのため、角部屋なものの採光面があまり増えない場合には、内見時に検討度合いが大きく落ちる可能性があります。
「南東角部屋」と大々的にアピールして内見者に過度な期待は持たせるのは逆効果なので、その場合は「二面採光」や「冬でも明るい」などに留めておいた方が良いでしょう。
眺望が悪くなる
たとえば、南東角部屋になることでお墓や工場が見える…など眺望が悪くなる角部屋も売れにくい部屋といえます。
そのような部屋の場合には、眺望面をアピールするのは避けて陽当たりや風通りなど、別の部分を重点的にアピールしましょう。
仮に、広告で「南東角部屋!眺望よし!」などとアピールしていたら、すぐに文言を変えるように不動産会社に伝えた方が良いです。
北向きが絡む
「北東角部屋」や「北西角部屋」など、北向きが絡む部屋も角部屋の中では売れにくい部屋といえます。
というのも、上述した「室温の変動が激しい」というデメリットを受けやすいからです。
ただ、北向きが絡むとはいえ「明るさ」や「風通し」などはメリットになるので、その点を重点的にアピールすると良いです。
たとえば、広告には「角部屋」という文言だけで方位は書かず、実際に内見して明るさを体感してもらうと良いでしょう。
このようなことは営業マンが主導して行いますが、売主の立場からどんどん意見することで売却スピードは早まります。
マンションの角部屋を高く売る3つのコツ
次に、角部屋を高く売るためのコツを解説していきます。
- メリットをきちんと広告に記載する
- メリットを感じられる内見時間にする
- 実際に体感してもらう
上述した「売れやすい角部屋の特徴と効果的なアピール方法」でも少し触れましたが、この章では「角部屋全般」にいえる売却のコツです。
不動産会社が主導する要素もありますが、不動産会社の営業マンはたくさんの物件を担当しています。
そのため、売主が自ら売るという意思を持つことで、より物件は売れやすくなるでしょう。
メリットをきちんと広告に記載する
角部屋でも陽当たりがメリットなのか、眺望がメリットなのか、という点は部屋によって異なります。
売主は実際に居住している立場なので、その立場で最も大きなメリットは何かを考えましょう。
それを正確に営業マンへ伝えることで、その部屋を最大限アピールした広告になります。
メリットを感じられる内見時間にする
仮に、北東角部屋であれば午前中の方が明るさは体感しやすいです。
一方、南西角部屋であれば夕方になると西日がきつくなるので、正午過ぎの時間帯が良いでしょう。
このように、その角部屋の向きやメリットによって、その部屋を最大限良い部屋に見せる内見時間は変わります。
もちろん、内見者の都合があるので調整できないこともありますが、ずっと住んでいる売主の立場からベストな内見時間を営業マンに伝え、できるだけその時間で内見を調整してもらいましょう。
実際に体感してもらう
上述したように、角部屋は文言や画像でアピールできます。しかし、最も効果的なアピール方法は、実際に内見時に体感してもらうことです。
前項の「内見時間の調整」もそうですが、以下のような工夫も効果的です。
- 窓を開けて風通りを体感してもらう
- 実際にバルコニーに出てもらい景色を見てもらう
- 最も陽当たりが良い部屋で商談する
このように、内見時に角部屋の魅力を体感したもらうことが、角部屋のメリットを最も感じてもらう方法になります。
マンション売却において角部屋以上に価値のあるアピールポイント
前項までで、角部屋のメリットやアピール方法が分かったと思います。
最後にお伝えしたいのは、マンション売却において、「角部屋」以外に以下のようなアピールポイントもあるという点です。
- 最寄り駅の交通利便性
- 周辺施設の利便性
- 駅までの距離
- 静かな住環境
- 公園などをはじめとした自然環境
要は、「角部屋」という点もマンション売却における1つのメリットに過ぎず、それだけでなく上記の点もアピールすることでマンションはより売りやすくなるということです。
「角部屋」に限った話ではありませんが、大きなアピールポイントがあるとその1つのアピールポイントに固執しがちです。
しかし、上記のような点も含めマンションを総合的にアピールすることで、検討者にそのマンションの価値は伝わります。
そのアピールポイントは、実際にその部屋に住んでいる売主が最も良く知っているので、きちんと整理し営業マンへ伝えるようにしましょう。
まとめ
それでは、今回解説した「角部屋のマンション売却」について、覚えておくべきことをおさらいしましょう。
記事のおさらい
- どのくらい価格が上昇するかは角部屋による
- 売却する角部屋のメリット・デメリットをしっかりと考える
- 角部屋のメリットを売主目線で考え営業マンに伝える
基本的にマンション売却は営業マンが主導します。
そのため、売主は内見前の清掃やスケジュール調整をしていれば、いつかマンションは売れるでしょう。
しかし、上述したように売主目線でメリットを考えたり、広告をチェックしたりすることで、その部屋を最大限アピールする方法を営業マンは理解することができます。
特に、「角部屋」は住んでみないと分からないことも多いので、売主目線で最大限売却活動に協力することをおすすめします。
コンサルタント
宅地建物取引士
新卒で不動産ディベロッパーに勤務し、用地仕入れ・営業・仲介など、不動産事業全般を経験。入居用不動産にも投資用不動産にも知見は明るい。独立後は、不動産事業としては主にマンション売却のコンサルタントに従事している。趣味は読書。好きな作家は村上春樹、石原慎太郎。