投資用マンション売却の豆知識!売却方法や税金について解説

投資用マンションの売却について

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宅地建物取引士 監修 矢野翔一

投資用マンションを所有している人の中には、損失が続くときに備え、売却を検討している人もいると思います。

しかし、投資用マンションの売却となると、金額が大きいだけに「失敗しないためにはどのように売却すればいいか」「少しでも高く売却するにはどうすれば」「税金はどうなるのか」といった点が気になると思います。

居住用のマンションと違い、投資用に購入したマンションです。売却後に得られる金額で今後の資産形成も変わってくるので、投資用マンションの売却は慎重に行いたいですよね。

この記事では投資用マンション売却で悩んでいるあなたの疑問に答えます!

この記事ではこんな悩みを解決します!

  • 投資用マンションはどうやって売却を進めるの?
  • 少しでも高く売却するためのポイントを知りたい!
  • 投資用マンション売却でかかる税金について知りたい!

この記事では、上記のような悩みをお持ちの人に向けて、投資用マンションの売却のやり方から税金の抑え方まで、知っておきたいポイントについて順番に説明していきます。

不動産の専門家である宅地建物取引士の視点から、また不動産投資を行っている投資家の視点から分かりやすく解説します。

この記事を最後まで読めば、投資用マンションの売却に対して抱いていた疑問がスッキリ解決するようになるでしょう。

投資用マンションを売却する際の2つのポイント

投資用マンションを売却する際は、居住用マンションの売却と同様、どのくらいの価格で売却できそうなのか、まずは不動産会社に査定を依頼します。

その後、自身で買主を探すことは困難であるため、不動産会社に売却の仲介を依頼しますが、投資用マンションの売却を速やかに行うには以下の2つがポイントです。

  • 複数の不動産会社に査定を依頼する
  • 売却を依頼する際は専任媒介契約を選択する

それぞれのポイントについて見ていきましょう。

1.複数の不動産会社に査定を依頼する

マンションの売却価格は、所有者が自由に決めることができます。

しかし、所有者が自由に決めることができると言っても、売出価格が周辺相場からかけ離れている場合には、買主が見つかりにくくなります。

また、買主が見つからないからと途中で値下げすることになった場合は、売れ残りの印象が強くなります。

「もうちょっと待てばさらに売出価格が下がるのでは?」と買主に思われてしまい、買主が見つかるまでに時間がかかる可能性があるので注意が必要です。

そうならないようにするには、最初の売出価格に周辺相場をしっかりと反映させることが重要です。

周辺相場は、不動産会社に査定を依頼することによって知ることができますが、査定結果は不動産会社によって異なります。

より正確な周辺相場を売出価格に反映するためにも、1社ではなく複数の不動産会社に査定を依頼します。

複数の不動産会社に依頼するには、1度物件の情報をネットに入力するだけで複数の不動産会社から査定結果を得られる、不動産一括査定サービスを利用するのが便利です。

不動産会社の査定方法は2つあり、机上査定と訪問査定です。

おすすめは、まず机上査定で複数の不動産会社に査定を依頼した後、訪問査定を複数の不動産会社にお願いすることです。

机上査定 訪問査定
書類の用意 不要
査定スピード 30分~1時間程度 1週間程度
査定の精度 低い 高い

どのような違いがあるのか見ていきましょう。

机上査定とは

机上査定とは、不動産会社が物件に足を運んで確認せずに、マンションの所在地や築年数、間取りなどの基本的な情報を参考にして査定価格を算出する査定方法です。

査定を行うにあたって、特に書類などの提出は不要で、不動産会社が保有している過去の取引履歴や市場動向などに基づいて査定を行います。

そのため、机上査定は30分~1時間程度で査定結果を知ることができるというメリットがあります。

一方で、簡易な査定方法であるため、査定結果の正確性が低いことがデメリットとして挙げられるでしょう。

訪問査定とは

訪問査定とは、不動産会社が物件に足を運んで周辺環境や立地条件、接道状況、日当たり、建物の劣化状況など、細かい条件を加味しながら査定価格を算出する査定方法です。

査定を行うにあたって、売買契約書、購入時の重要事項説明書、権利証といった書類の事前準備が必要です。

訪問査定は事前の書類準備や詳細な査定を行うため、査定結果を知ることができるまでに1週間程度の時間がかかることがデメリットとして挙げられます。

一方で、実際に建物の劣化状況などをしっかりと査定価格に反映できるので、より正確な査定結果を知ることができるのがメリットです。

2.売却を依頼する際は専任媒介契約を選択する

不動産会社に売却を依頼する場合、一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3つから選ぶことになります。

速やかに投資用マンションを売却するには、広く購入希望者の目に触れることが必須条件です。

そのためには、「レインズ」と呼ばれる不動産流通機構への登録義務があるかどうかがポイントです。

この点を考慮すると、おすすめは専任媒介契約です。

一般媒介 専任媒介 専属専任媒介
媒介契約できる社数 複数可 1社のみ 1社のみ
自己発見取引 不可
レインズへの登録義務 なし あり あり
販売活動状況の報告義務 なし あり(隔週) あり(毎週)

それぞれの媒介契約にどんな違いがあるのか詳しく見ていきましょう。

一般媒介契約とは

  • 複数の不動産会社と契約できる
  • 自分が見つけた売主と自由に契約できる
  • レインズへの登録義務がない
  • 販売状況の報告義務がない

などの特徴があります。

複数の不動産会社に依頼することで、不動産会社は仲介手数料を得るために必死に成約に向けて販売活動を行うことが期待できます。

一方、仲介手数料を得ることが確定していないため、後回しにされてしまう可能性もあるので注意が必要です。

専任媒介契約とは

  • 不動産会社は1社としか契約できない
  • 自分が見つけた売主と自由に契約できる
  • レインズへの登録義務がある(契約締結後7日以内)
  • 販売状況の報告義務がある(14日に1回以上)

などの特徴があります。

1社としか契約できないものの、レインズへの登録義務があります。

つまり、広く購入希望者に物件情報が知れ渡るので、速やかに買主を見つけることが期待できます。

専属専任媒介契約とは

  • 不動産会社は1社としか契約できない
  • 自分が見つけた売主と自由に契約できない
  • レインズへの登録義務がある(契約締結後5日以内)
  • 販売状況の報告義務がある(7日に1回以上)

などの特徴があります。

1社としか契約できないものの、レインズへの登録が専任媒介契約よりも早く行われるため、速やかに買主を見つけることが期待できます。

一方で、自分が買主を見つけても不動産会社に仲介手数料を支払うため、専任媒介契約の条件の方が売主に有利と言えるでしょう。

投資用マンションの価格を決める要素

投資用マンションの価値は、その投資物件の収益力にあります。

運用しても利益が出ないのであれば、投資用マンションとしての価値は低いと言えます。

そのため、投資物件の価値は、将来生まれるであろう収益を現在価値に割り戻して算出されます。

これは「収益還元法」という査定方法で、下記の式が使われます。

収益還元法における不動産価格の求め方

不動産価格=純収益÷還元利回り

純収益は(年間の想定家賃収入-年間の想定経費)を指し、純収益が高いほど不動産価格は高くなります。

なお、買主目線でいうと、「収益をどれくらい得られるか」をはかる指標として「利回り」を見ています。

利回りの情報は売却物件の広告に掲載されているので、売主はその情報を参考に購入を検討することになります。

利回りには「想定利回り」「表面利回り」「実質利回り」の3種類があり、売出し物件の広告には想定利回り・表面利回りが記載されているケースが一般的です。

それぞれの利回りにどのような違いがあるのかについて詳しく見ていきましょう。

想定利回り

想定利回りは、満室を想定した家賃収入を基準にして利回りを算出します。計算式は以下の通りです。

想定利回り=満室時の家賃収入÷物件の購入価格

売却するのが投資用マンションの場合は、想定利回り、または表面利回りのどちらかが記載されています(投資用マンションは1室なので、両者に違いがありません)。

現状が空室の場合は、通常の売却価格の近くに想定家賃収入が記載されていることもあります。

表面利回り

表面利回りは、現状の家賃収入を基準にして利回りを算出します。

計算式は以下の通りです。

表面利回り=現状の家賃収入÷物件の購入価格

売却するのが投資用アパートの場合は、満室時と現状の利回りが異なる可能性があります。

そのため、物件情報には想定利回りと表面利回りの2つ記載されているのが一般的です。

実質利回り

実質利回りは、現状の家賃収入から経営に必要な経費を差し引いて利回りを算出します。

計算式は以下の通りです。

実質利回り=(現状の家賃収入-諸経費)÷物件の購入価格

投資用マンションの場合は、マンションの管理費・修繕積立金・不動産会社の管理委託費といった経費が発生します。

また、家具付きで水道光熱費を家賃に含んでいる場合などには、さらに経費が増えるため、物件を購入する際には実質利回りを確認することが重要です。

投資用マンションを購入する際は、売却を想定して実質利回りが高い投資用マンションを運用することも重要と言えるでしょう。

投資用マンションを高く売却するためのポイント3つ

マンション投資において、最終的な利益は、

(投資用マンションの売却価格+家賃収入)-(投資用マンションの購入価格+諸経費)

になります。

そのため、最終的な利益を少しでも多くしたいのであれば、投資用マンションをいかに高く売却するかが重要です。

投資用マンションを高く売却するポイントは以下の3つです。

  • 入居者がいる状態で売却する
  • 修繕は適宜行っておく
  • 築20年までに売却する

それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。

1.入居者がいる状態で売却する

投資用マンションを購入する人は、安定した家賃収入を目的として購入するため、入居者がいない状態では買主が見つからない可能性があります。

また、入居者がいない状態では、売出価格からの値引き交渉が行われる可能性が高いです。

少しでも高く売却したいのであれば、入居者がいる状態が必須条件と言えるでしょう。

2.修繕は適宜おこなっておく

投資用マンションの価格査定は、物件の状態だけでなく利回りも加味しつつ算出しますが、物件の劣化が進行している場合は、査定価格が下がってしまいます。

また、内覧時に購入希望者から劣化状況を指摘されて、修繕に必要な費用分の値引き交渉が行われる可能性が高いです。

そのため、適宜修繕をおこなっておくことが高く売却するためのポイントと言えるでしょう。

3.築20年までに売却する

マンションは、大体12年ごとに修繕工事がおこなわれます。

12年という周期は長期修繕計画作成ガイドライン(国交省)で定められているものではありませんが、マンション業界では一般的な目安です。あなたが売却しようとしているマンションも12年周期の修繕計画かもしれません。

特に設備の耐用年数が重なる24年目は、大規模修繕工事が予定されています。

大規模修繕工事が近づくと、足場の設置などでマンションの見た目が悪くなります。

さらに、修繕積立金が不足する場合は積立金額が引き上げられることが多いため、あまり売却に適している時期とは言えません。

そのため、投資用マンションを少しでも高く売却したい場合には、大規模修繕工事が視野に入る築20年を迎えるまでに売却した方が良いと言えるでしょう。

投資用マンションの売却でかかる税金3つ

投資用マンションを売却することによって得た売却代金に、税金が課されるのかどうか気になっている人は多いのではないでしょうか?

投資用マンションの売却でかかる主な税金は以下の3つです。

  • 譲渡所得税
  • 印紙税
  • 登録免許税

それぞれの税金について詳しく見ていきましょう。

譲渡所得税とは

譲渡所得税とは、投資用マンションを売却したことで利益を得た場合に課される税金です。

譲渡所得税が課されるかどうかは以下の計算式で求めます。

譲渡所得=売却価格-(購入価格+諸経費)

諸経費には、不動産会社に支払う仲介手数料・印紙代・登録免許税・不動産取得税といった手数料を計上できます。

購入価格を売却価格が上回ることはほぼありませんが、中古マンションを購入した場合は地価の上昇などによって利益が出る可能性があるので注意が必要です。

印紙税とは

投資用マンションを売却する際は、売買契約書を交わすことになりますが、売買契約書には印紙税という税金を納める必要があります。印紙税の金額は以下の通りです。

  • 500万円超~1,000万円以下:10,000円(5,000円)
  • 1,000万円超~5,000万円以下:20,000円(10,000円)
  • 5,000万円超~1億円以下:60,000円(30,000円)
  • 1億円超~5億円以下:100,000円(60,000円)

※()内は軽減措置が適用されている場合

売買契約書に記載されている金額によって印紙税の金額が異なります。

また、現在は軽減措置が適用されているため上記のカッコ()内の金額ですが、売却する際にはその時点の金額を事前に確認しておきましょう。

登録免許税とは

投資用マンションを売却するとなると、売主から買主に所有権が移転するため、登記を行う必要があります。

所有権移転登記の際にかかるのが登録免許税です。

登録免許税の計算式は以下の通りです。

登録免許税=不動産の固定資産税評価額×登録免許税の税率

売買の録免許税の税率は2%となっています。

しかし、売買による所有権移転登記の場合には、マンションの買主が登録免許税を負担することが慣例となっています。

どちらが負担するのか事前に確認しておきましょう。

投資用マンション売却で節税するためのポイント2つ

投資用マンションを売却した際に、譲渡所得が発生すると、所有期間次第では多額の税金を納めなければなりません。

例えば、5年以下の所有期間の場合は、短期譲渡所得とみなされ、所得税30%、住民税9%の合計39%が課税されてしまいます。

そこで、少しでも譲渡所得税を節税するためのポイントとして挙げられるのが以下の2つです。

  • 長期譲渡所得が適用される期間まで所有する
  • 投資用マンションの譲渡所得税の特例を活用する

それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。

1.長期譲渡所得が適用される期間まで所有する

所有期間が5年以下の場合には短期譲渡所得とみなされますが、5年を超える場合には長期譲渡所得とみなされます。

長期譲渡所得とみなされた場合には、所得税15%、住民税5%の合計20%が課税されます。

短期譲渡所得の半分程度の課税で済むため、売却によって譲渡所得が発生しそうな場合は、長期譲渡所得とみなされるまで待った方が良いと言えるでしょう。

2.投資用マンションの譲渡所得税の特例を活用する

10年を超える期間所有していた投資用マンションを売却して、新しい投資用マンションを購入する際は、特定事業用資産の買換の特例を適用できます。

この特例を活用することで、譲渡所得のうち買換資産に対応する部分の80%の課税が繰り延べされる制度です。

手元に残る現金が多くなるため、次の投資用不動産の規模を大きくできるメリットがあります

ただし、買換取得した投資用不動産を売却する際には、繰り延べていた80%分の課税が行われるので注意しましょう。

まとめ

投資用マンションの売却を速やかに行うには、適切な売出価格を設定する必要があります。

そのためには、複数の不動産会社に査定を依頼して、周辺相場を売出価格に反映することが重要です。

また、不動産会社に依頼する際には、不動産会社にとって有利な契約内容にするのではなく、専任媒介契約にするなど、自分にとって有利であるかどうかを重点に選ぶことが大切です。

投資用マンションを少しでも高く売却したい場合には、以下の3つの点に注意しましょう。

記事のおさらい

  • 入居者がいる状態で売却する
  • 修繕は適宜行っておく
  • 築20年までに売却する

一方、高く売却できたことで譲渡所得税が課される場合には、所有期間が5年以下であると大幅に課税されます。

譲渡所得税が課される場合には、所有期間が5年を超えるようにするなど、節税対策を心掛けるようにしましょう。

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宅地建物取引士 監修 矢野翔一

関西学院大学法学部法律学科卒。 有限会社アローフィールド代表取締役として不動産投資や株式投資を行う一方で、学習塾の経営も行っています。自身の経験と保有資格を活かしながら、ライターとして活動しています。<br> 趣味は乗馬で国際大会の出場経験もあります。好きな漫画は「ONE PIECE」です。

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