任意売却とは?競売との違いとメリット・デメリットをご紹介

2019.08.19投稿 任意売却ガイド
監修の中村裕介さんの写真

不動産ライター兼不動産経営者

監修 中村裕介

「家のローンが払えなくて、売却したい…」と悩んではいませんか。基本的に住宅ローンが残っている不動産は売却することが出来ません。しかし、なかには特別な事情や予期せぬトラブルなどで、住宅ローンが払えなくなるケースもあるかと思います。

任意売却とは、住宅ローンが払えなくなったあなたが住宅ローンを抱えたまま不動産を売却できるひとつの方法です。

この記事では以下のような疑問や質問にお答えします。

この記事ではこんな悩みを解決します!

  • 任意売却とはどんな売却方法なの?
  • 住宅ローン滞納したら競売より任意売却にしたほうがいいの?
  • 任意売却のメリットとデメリットを知りたい

この記事では、任意売却とはどのような売却方法なのか、また住宅ローンを滞納した後の競売とはどのような違いがあるのかについてわかりやすく説明します。

その上で、任意売却のメリットとデメリット、任意売却と競売の違い、任意売却の具体的な流れと成功させるための具体的なポイントについてお伝えしていきます。

この記事を読めば、任意売却についての知識がつき、ローン滞納の際にどのように行動するべきかが明確になります。

任意売却とは

任意売却とは、どのような不動産の売却方法なのでしょうか。任意売却のポイントについて解説していきます。

任意売却は住宅ローン滞納時の売却手段

任意売却は、住宅ローンを滞納した時の売却手段です。

厳密には、住宅ローンを滞納していない状況でも債務者が任意売却を決意して債権者が同意すれば任意売却は可能ですが、通常返済できる状況であれば任意売却は行いません。

そのため任意売却は住宅ローンを滞納した後の売却手段と考えて良いでしょう。

任意売却は、住宅ローンを滞納している状況で、住宅ローンの融資元である金融機関(あるいは保証会社などの債権者)と協議の上、住宅ローンの残っている住宅を売却する方法です。

任意売却は、売主自身が金融機関に希望することもでき、また金融機関から任意売却を進められることもあります。

任意売却の特徴として、

任意売却は一般的な不動産売却と同じように売却できる

があげられます。

具体的な流れとしては、不動産会社と媒介契約を結び、売り出し価格を決定し、販売活動を行い、内覧対応して売買契約を結んだ後、引き渡しで売却は完了です。

ただし、売り出し価格や最終的な売却価格の決定などの重要な判断については、金融機関などの債権者の同意を得る必要があります。

また、売却にかかる仲介手数料や登記費用などの諸費用も住宅の売却代金から捻出可能で、さらに引越し費用も認められる可能性があります。

任意売却で売却できる期間は3〜6か月程度

ケースによりますが、任意売却で売却できる期間は決まっており、おおよそ3〜6か月程度です。

任意売却ができる期間は債権者が決定します。

滞納から時間が経てば経つほど競売されるまでの期間が迫り、任意売却できる期間は短くなります。

任意売却の注意点

任意売却の注意点は、任意売却したからといって必ず売却できるわけではないということです。

通常の売却と同様、任意売却は買主がいてはじめて売買が成立します。

上記の任意売却の期間内に購入希望者が現れなければ任意売却はできず、また現れたとしても、売却金額について債権者が同意しなければやはり売却はできません。

任意売却は、住宅ローンを滞納してしまったあなたへの万能の解決方法ではなくてあくまで売却方法の一つである点に留意しましょう。

任意売却のデメリット

任意売却のデメリットとしては、まず債権者との交渉がとても手間と時間がかかるという点です。

重要な点ですが、

任意売却においては、債権者の同意がなければ価格を決めることもできません。

また、任意売却できる期間が限られている点もデメリットです。

たとえ購入希望者が見つかって価格交渉に入っている途中でも、競売の手続きが進んで時間切れになるパターンもあり得ます。

任意売却のメリット

任意売却のメリットとしては、以下のポイントがあります。

  • 市場価格に近い価格で売却できる可能性がある
  • 購入者が住宅ローンを利用できる
  • 売却にかかる諸経費、引越し代金も売却金額から分配される可能性がある
  • 売却価格・売却時期・売却相手について自分の意見を反映できる

市場価格に近い価格で売却できる可能性がある

任意売却の場合、市場価格に近い価格で売却できる可能性があります。

とはいっても、何か問題が発生した場合、任意売却物件の売主は修理費などを負担できない可能性が高く、売買契約では瑕疵担保責任は免責となるケースがほとんどです。

このため、一般物件の売買価格よりは安くなる傾向があります。

一般的には任意売却物件の売却価格は、競売よりも高く、一般物件よりは安いと考えて良いでしょう。

購入者が住宅ローンを利用できる

競売の場合、購入者(買主)は住宅ローンを利用できませんが、任意売却の物件を購入する場合は住宅ローンを利用することができます。

不動産を購入する場合、多くの人が住宅ローンを利用するため、住宅ローンが利用できる点は購入希望者を増やすことになり、大きなメリットとなります。

売却にかかる諸経費、引越し代金も売却金額から分配される可能性がある

任意売却をおこなった後の売却代金については、どのように配分するかを債権者の同意のもと、取り決めする必要があります。

その際、仲介手数料や抵当権抹消登記費用などの売却にかかった諸費用は経費として認められる可能性が高いです。

また、ケースによりますが、引越し代金などについても売却代金からの捻出が認められることがあります。

売却価格・売却時期・売却相手について自分の意見を反映できる

あくまでも債権者の同意を得ることが前提となりますが、任意売却の場合、債務者は一般の売却と同様に売却価格、売却する時期購入者を選ぶことができます。

《任意売却と競売》違いを確認

ここでは、任意売却と競売の違いについて確認していきます。

売却金額は任意売却のほうが競売より高い場合が多い

競売での販売の場合、売却金額は市場販売価格の6〜7割になってしまうケースが多いです。

一方、任意売却での売却の場合は、市場価格ほど高値ではありませんが、市場価格の8〜9割で売れるケースが多く見受けられます。

任意売却物件の価格が市場価格より安くなる原因は、競売までの期間が定められていて、時間をかけて売却することができず、自然に市場より安めの価格で取引が成立するためです。

また一般的に任意売却物件の場合、瑕疵担保責任を免責とする特約がつくのも、価格が下がる原因の一つです。

ただし、これはあくまでも平均な売却金額であり、ケースによっては競売が市場価格並みの価格で売却されることもあります。

競売の場合、債務者の意向は全く反映されない

競売の場合、入札形式での販売となるため、誰に販売するのか、いつ、いくらで販売するのかは裁判所によって決められ、債務者の意向は一切反映されません。

任意売却の場合は、債権者の同意の上で、いつ誰にいくらで販売するのか、債務者の意見を反映させることができます。

競売の概要と流れ

競売とは住宅ローン滞納後、債権回収のために債権者が裁判所に対して競売の申し立てを行い、裁判所によって住宅が入札形式で売却される一連の手続きを指します。

競売の具体的な流れは以下の通りです。

住宅ローンの滞納と督促

競売に至るまでの最初の段階は、住宅ローンの滞納です。住宅ローンを滞納すると金融機関からハガキや書面などで督促が行われ、さらに住宅ローンを滞納し続けると最終的には競売手続きに入ります。

期限の利益喪失

滞納から競売に至るまでの期間は、金融機関によって異なります。

早ければ滞納後3か月後、遅くとも滞納後6か月で「期限の利益喪失」となり、競売の手続きに入ります。

期限の利益とは、住宅ローンを毎月少しずつ返済できる利益のことです。

代位弁済

期限の利益を喪失すると、債権者から債務者に対して、住宅ローンの残債を一括で支払う請求ができますが、ローン残債は大きな金額であるため、債務者は一括では払えません。

そのため住宅ローンの保証会社が金融機関に対して、債務者の代わりに住宅ローンの残債を支払う「代位弁済」をします。

代位弁済はあくまで代わりに払っただけであり、債務は消滅しません。保証会社は債務者に対して一括返済を求めます。

差し押え・入札

債務者である保証会社は、裁判所に対して、競売申し立てを行います。

裁判所は、住宅ローンの担保である住宅を差し押さえた後、入札形式で住宅を売却します。そして売却代金を債務者に返済します。

【結論】競売より任意売却がおすすめ

住宅ローンの滞納により競売に至る前に、任意売却で物件を売却するやり方がおすすめです。

上述の通り、任意売却の場合、競売より高値で売却できる可能性が高く、売却価格や売却時期についても債務者の意向を反映する余地があります。

また、売却後の引越し費用が認められる可能性があり、売却後の返済についても現実的な分割返済の形にできる可能性が高いです。

一方、競売のメリットは、債権者からの督促を無視し続ければ自動的に競売が行われ、何も手続きをする必要がない点と、任意売却より長くマイホームに住み続けることができる点です。

ただし、この間も遅延損害金は膨らむため、あまり良い方法とはいえません。

早く再スタートを切るためにも、任意売却での住宅売却をおすすめします。

ローン滞納から任意売却までの流れ

ローン滞納から任意売却までの流れは以下の通りです。

任意売却の期間は3~6か月ですが、任意売却を開始した時期や債権者の判断など、ケースによって期間は変化します。

  1. 住宅ローンの滞納・債権者からの督促
  2. 債務者が任意売却専門の不動産会社に相談・物件の査定
  3. 不動産会社の協力の上で債務者が債権者から任意売却の同意をとる
  4. 不動産の売り出し価格を決定・販売活動開始
  5. 購入希望者と売買契約を結ぶ
  6. 不動産の決済と引き渡し

各項目の詳細については下記の通りです。

①住宅ローンの滞納・債権者からの督促

住宅ローンの滞納が続くと、債権者からの督促が始まります。

この段階で金融機関に住宅ローン返済のリスケジュール(返済スケジュールの再調整)を相談しましょう。

リスケジュールしても返済が難しいという判断になった場合、任意売却を選びましょう。

②債務者が任意売却専門の不動産会社に相談・物件の査定

任意売却を不動産会社に依頼する場合、一般的な不動産会社ではなく、任意売却専門の不動産会社に任意売却の仲介を依頼する必要があります。

任意売却には、金融機関や保証会社との綿密な調整が必要であり、任意売却に関する知識と経験が求められます。

任意売却の実績が少ない会社に依頼するのではなく、任意売却専門の不動産会社に依頼しましょう。

③不動産会社の協力の上で債務者が債権者から任意売却の同意をとる

売却をしても、住宅ローンを返済できない場合の家の売却については、債権者である保証会社もしくは金融機関の了解を得る必要があります。

代位弁済が実施されて債権者が銀行から保証会社に移ると、交渉相手は銀行から保証会社、もしくは直接取り立てを担当する債権回収会社(サービサー)となります。

任意売却としての活動の第1段階としては、任意売却専門の不動産会社を通じて、債権者から任意売却の了解を得ることです。

多くの債権者は、競売より売却金額が大きくなるため、任意売却を進めることについて前向きに対応してくれます。

④不動産の売り出し価格を決定・販売活動開始

不動産の売り出し価格は、債権者の同意を得た上で決定し、不動産の販売活動を開始します。

具体的な販売活動は、物件のチラシ作成、不動産ポータルサイトへの広告掲載、物件購入希望者の内覧対応などです。

⑤購入希望者と売買契約を結ぶ

購入希望者が現れたら、売買契約を行います。基本的には通常の不動産売却と同じですが、手付金の扱いは異なります。

債務者が夜逃げを防ぐために、一般的には売主側の不動産会社が手付金を預かるケースや、手付金を受け取らないなどのやり方が採用されています。

任意売却では、債権者に売却金額の確認と、売却した後のお金をどう分配するかの交渉も必要です。

債務者への配分として、債権者が同意する可能性の高い費用として、不動産会社への仲介手数料、引越し代、抵当権抹消登記の費用、固定資産税の滞納金、マンションの管理費、修繕積立金の滞納金などの費用が挙げられます。

ただし、決定権は債権者にあるため、これらの費用が認められない可能性もあります。

⑥不動産の決済と引き渡し

引き渡し前に、債務者は引越しを済ませておく必要があります。引越しのタイミングも債権者との協議の上で決定されます。

一般的には、売買契約の約1か月後に、売却代金の決済と家の引き渡し、抵当権抹消登記が行われます。

引き渡しは通常の不動産売却と同様に、登記のための書類一式と、売買代金の領収書を渡して引き渡しは完了です。

任意売却後はローン残債を返済していく

任意売却後、債務者はローン残債を返済していきます。

通常、住宅ローンにより抵当権の入っている住宅は、住宅ローンを完済しない限り、売却することはできません。

もし住宅の売却代金でローン残債を返済できない場合は、自己資金で足りない分を支払う必要があります。

しかしローンを滞納している場合は、住宅を売却してもローンの完済が難しいケースが多いです。

任意売却では、住宅売却後もローンの残債が残るケースでも住宅を売却することができ、ローンの残債はその後改めて返済していく形になります。

返済が厳しい場合は自己破産も検討する

任意売却後は、債務者が返済していけるように返済スケジュールが組まれます。

しかしそれでも住宅ローンの残債の返済が厳しいケースもあります。そのような場合の解決法として、自己破産も検討してみましょう。

自己破産は、生活に必要なものを除いた自動車などの一定以上の価値のある財産を失う代わりに、全ての債務がゼロになる制度です。

自己破産のやり方は、債務者が裁判所へ自己破産の申し立てをして、裁判所が返済不能であると判断したら自己破産となります。

債務者は弁護士や司法書士に相談して申し立てを行うことも可能です。

自己破産後は10年程度、ローンが組めなかったり、クレジットカードが作れなかったりするなどのペナルティはありますが、基本的には周りに知られることはありません。

自己破産というとネガティブなイメージがありますが、新しく生活を立て直しするためには有効な手段です。

本当に返済に悩んでる状況になったら自己破産も検討してみてはいかがでしょうか。

任意売却を成功させるポイント3つ

ここからは、任意売却を成功させるためのポイントについて解説していきます。

1.住宅ローンを滞納したら早い段階で動く

住宅ローンの滞納において、何よりも避けたいのが、何も行動しないということです。

住宅ローンを滞納して恥ずかしい、情けないなど現実から目を背けたくなることもありますが、まずは銀行に相談しましょう。

滞納の早い段階では、銀行も返済のリスケジュールに応じてくれる可能性もあります。

返済期間の延長、月々の返済額の見直し、ボーナス返済のとりやめなど、継続して返済していくための様々な方法があります。

リスケジュールでも返済が難しい場合、任意売却に向けて動き出しましょう。

滞納し続けたまま放置していると、競売の時期が迫って、任意売却しようにも時間がない状況に陥ります。

くれぐれも早め早めに行動することが、任意売却を成功させるためのポイントなのです。

2.実績のある不動産会社を選ぶ

任意売却は、通常の不動産取引と異なり、任意売却の可否、売り出し価格の設定、最終的な売却の判断など債務者が取引全体の決定権を持ちます。

そのため、任意売却の実績が豊富な不動産会社を選ぶことが、任意売却を成功させるコツです。

不動産会社を選ぶ際は、必ず複数の任意売却に実績のある不動産会社に相談しましょう。

会社選びの際は、弁護士や税理士など専門家と提携しているか、任意売却後に残った残債返済についてもきちんとサポートしてくれるかといった点を確認しましょう。

3.冷静に行動して詐欺など甘い話には乗らない

任意売却で気をつけるべき点は、詐欺が多いことです。

例えば、「ローン残債以上で確実に売却してみせます」、「必ず引越し代金も債権者に認めさせます」など、本来なら確約できるはずのないことを断言する会社は詐欺である可能性が高いです。

このような甘い話には耳を貸さないようにしましょう。

住宅ローンを滞納している、競売までの期間が限られているなど、任意売却という状況では、さまざまな心配事や悩みが積み重なって平常心でいるのが難しいでしょう。

しかし、任意売却は魔法の解決方法ではありません。メリット、デメリットを踏まえて冷静にやるべきことをやっていきましょう。

まとめ

それでは任意売却についてまとめていきます。

記事のおさらい

  • 任意売却は、住宅ローンを滞納した時の売却手段
  • 任意売却で売却できる期間は3〜6か月程度
  • 任意売却したからといって必ず売却できるわけではない点に注意する
  • 競売より任意売却のほうが、売却金額が高い場合が多く、自由度も高いため、おすすめは競売より任意売却
  • 任意売却を成功させるためには、早く行動を始めること、実績のある不動産会社を選ぶこと、冷静に行動して詐欺など甘い話には乗らない

住宅ローンの滞納が続いている状況では、債務を処理するために何をどうすれば良いのかわからないというのが本音ではないでしょうか。

任意売却で住宅を売却できれば、競売より高値で住宅を売却することができて、住宅ローンの残債を減らすことができ、住宅売却後の返済も楽になります。

任意売却を成功させるためには、債権者との交渉が重要です。

今回ご紹介した内容を参考に、信頼できる不動産会社と協力して交渉していけば、任意売却は決して難しい作業ではありません。

今回の内容が任意売却を理解する上で、また任意売却を実際に進める上でお役に立てば幸いです。

監修の中村裕介さんの写真

不動産ライター兼不動産経営者

監修 中村裕介

宅地建物取引士、保育士

1983年福岡生まれ。上海復旦大学卒。 商社、保育園、福祉施設での勤務を経て、現在は不動産の記事を中心に手がけるライター兼不動産経営者。実際に店舗・住宅を提供している立場から、不動産に関する記事を執筆中。 趣味はフットサル、旅行、読書。美容と健康のために毎日リンゴ人参ジュース飲んでます。

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