不動産売却の仲介手数料は値引きできる?元営業マンが語る値引き方法と注意点

2019.01.21投稿 不動産売却のことなら【すまいうる】
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コンサルタント

監修 中村昌弘

不動産売却に伴う諸費用は、仲介手数料と登記関係費用があります。その中でも仲介手数料は100万円を超えるケースも多いので、「何とか下げられないかな……」と思っている人もいるでしょう。

結論からいうと、仲介手数料を値引くことはできます。ただし、仲介手数料を値引くときにはタイミングも重要ですし、値引くときのデメリットも理解しておかなければいけません。

この記事では、仲介手数料の値引きに関して以下の点について解説していきます。

  • そもそも仲介手数料率とは?
  • 仲介手数料を値引くタイミングと値引き率
  • 仲介手数料を値引いたときのデメリット

筆者は元々マンションディベロッパーに勤務しており、マンションの販売も仲介を行ってきました。実際に売主の方から仲介手数料の値下げ交渉を受けたこともあります。

今回はそんな実体験をもとに、仲介手数料の値引きについて解説していきたいと思います。

不動産の査定を依頼する

なぜ不動産会社は仲介手数料を取るのか

そもそも、なぜ不動産会社は仲介手数料を取るのか?という点から解説します。簡単にいうと、仲介手数料を取らないとビジネスとして成り立たないからです。

というのも、マンションなどの不動産売却の際には以下の費用がかかってきます。

  • 集客をする広告費用
  • 検討者への対応や交渉
  • 契約書類などの作成費用
  • 上記を一手に引き受ける営業マンの人件費
  • 会社の店舗の賃料などの諸経費

不動産の仲介を主業としている会社であれば、上記の費用は仲介手数料で賄うことになります。

そのため、言い換えると仲介手数料をもらわないと、不動産の売却活動はできないということです。

仲介手数料は法律で上限が決められている

仲介手数料は、不動産会社が売主・買主に対して請求して良い上限金額が法律で定められております。

ここでは、その仲介手数料率と、注意点について解説していきます。

この手数料率を知ることで、どの程度の値引き率が妥当なのか?という点も分かってきます。

仲介手数料率

仲介手数料率は、以下のように売却金額によって決まっています。

売買価格 仲介手数料率
200万円未満 売買金額×5%
200万円超~400万円以下 売買金額×4%+2万円
400万円超 売買金額×3%+6万円

上記で計算した金額に消費税を加算して請求されます。
仲介手数料は固定ではありません。売却金額が高くなるほど、仲介手数料は高くなります。

たとえば、マンションの売却価格が2,450万円であれば、「(2,450万円×3%+6万円)×消費税1.08=85.86万円」という金額が、不動産会社が売主・買主に請求できる上限金額になります。

一般的にマンション売却価格は400万円を超えてくるので、仲介手数料率は「売却金額×3%+6万円」と思っておいて問題ないでしょう。

このように、仲介手数料は手数料率として決まっています。そのため、厳密には、「仲介手数料の値引き」ではなく「仲介手数料率を値引く」ことになります。

仲介手数料の3つの特徴

仲介手数料の注意点として、

  • あくまで上限である
  • 売却金額で手数料額は変わる
  • 売主と買主の両方に請求して良い

の3つの特徴について解説します。

あくまで上限である

この記事の本題である「仲介手数料の値引き」にも関連してきますが、そもそもこの仲介手数料率は「上限」なので、この手数料率以下であればいくらで設定しても構いません。

だからこそ、売主側から値引き交渉が可能というわけです。

売却金額で手数料額は変わる

また、仲介手数料率は不動産会社と売主の間であらかじめ決めておきますが、実際に支払う手数料額に関しては売却金額によって変わります。

というのも、売却金額とは成約価格のことであり、売り出し価格とは異なる場合があるからです。たとえば、上述したように2,450万円でマンションを売却したら、仲介手数料の上限は85.86万円でした。

しかし、値引き交渉をされて2,300万円での成約になれば、その分仲介手数料額は下がるということです。

不動産会社は売主と買主の両方に請求して良い

この「売主と買主の両方に請求して良い」という点に関しては、賃貸の仲介手数料率を理解している人が混合しやすいです。

賃貸の仲介手数料の上限は「賃料1か月」で、これは貸主と借主からもらう手数料額の合計です。つまり、借主に賃料1か月分を請求すれば貸主に請求できませんし、逆もまた同じです。

一方、売買の場合は両方に請求できます。たとえば、上述の2,450万円のマンション売却時には、売主・買主のそれぞれに85.86万円請求できるということです。

仲介手数料を値引きするタイミング

さて、ここまでで仲介手数料の仕組みが分かったと思いますが、次に本題である仲介手数料を値引きするタイミングを解説していきます。

「媒介契約の締結前」が絶対条件

結論からいうと、仲介手数料を値引くなら媒介契約を結ぶ前です。というのも、前項の仲介手数料率は媒介契約書に明記するので、その前に交渉しておく必要があるからです。

媒介契約は、不動産会社に対して「自分のマンションの売却をお願いします」という正式な契約書面です。

そのため、その契約書面に明記した数字を変えることは基本的にはできないので、媒介契約を締結する前に交渉が必要というわけです。

査定時に交渉しておくのが理想

具体的に交渉するタイミングとしては、査定時が理想でしょう。マンション売却をする通常の流れは、机上査定をして訪問査定をし、その後に媒介契約を結ぶという順番です。

媒介契約を結ぶにあたって、契約書を作成するのは不動産会社です。契約書には上述した仲介手数料率の「上限」が記載されているのが一般的で、そのまま媒介契約を締結するケースがほとんどです。

そのため、媒介契約書類を作成する査定時に交渉しておかないと、自動的に条件いっぱいでの契約になります。また、査定時に交渉しておけば、媒介契約書を作成する過程で、営業マンも上司と相談することが可能です。

仲介手数料の値引き率

ここでは仲介手数料の値引き率について解説します。値引き率に決まりはありませんが、私の経験上3%を2%、もしくは1.5%に値引くパターンが多いように思います。

小刻みに2.5%にしてもらうなどのケースは少なく、1%~1.5%程度をマイナスする交渉が多いです。もしあなたが仲介手数料率を値引くときには、1%~1.5%程度の交渉が多いという点を参考にしてください。

仲介手数料を値引く上での注意点

仲介手数料を値引く際の注意点は営業マンのモチベーションが下がることです。結果的にマンションの売却が苦戦する可能性があるので、無暗な交渉はおすすめしません。

ここでは、なぜ営業マンのモチベーションが下がるのか?モチベーションが下がると、どのようなデメリットがあるのか?について解説していきます。

営業マンも物件を複数抱えている

不動産会社の仲介営業マンは複数の物件を担当しています。時期によっては、5~8件ほどの物件を担当することも珍しくありません。

マンション売却のために行うことは様々です。広告作成やそれに伴う広告物のチェック、内覧のスケジュール調整から実際の案内、そして価格交渉や売買契約などがやるべきことはたくさんあります。営業マンの仕事は仲介手数料収入をあげることであり、複数の物件を抱えつつ、いかに効率よく売却活動をするかが重要なのです。

そんななか、値引き交渉されて仲介手数料率が下がっている物件は、どんどん後回しにされます。つまり、営業マンの中で優先順位が下がっていき、売却スピードが遅くなるリスクを負うことになるのです。

優先順位が落ちていく

優先順位が落ちれば、具体的に以下の状況に陥ります。

  • 同時に内覧予約が入ったときに後回しになる
  • 心情的な問題で力を入れない

同時に内覧予約が入ったときに後回しになる

たとえば、あなたが営業マンだとして物件Aと物件Bを担当しています。物件Aは上限いっぱいの仲介手数料率、物件Bは1.5%まで手数料率が下がっている物件です。

そんな状況で、金曜日に問い合わせがあり物件Aと物件Bの内覧予約が同時に入ったとします。物件Aと物件Bは距離的に離れているので、同時に案内はできません。
もちろん、物件Aの見学者と物件Bの見学者は別の人です。

そんな状況のときに、あなたならどちらの物件の案内を優先させるでしょうか?普通に考えて、上限いっぱいの仲介手数料率である物件Aを優先するでしょう。

このように、仲介手数料率を下げると、営業マンのモチベーションが下がり案内を後回しにされる可能性があるのです。

心情的な問題で力を入れない

前項を受けて、「手数料率が低くても売却価格が物件Aの2倍以上であれば物件Bを優先させるのでは?」と思う人もいると思います。要は、手数料額が物件Bの方が高くなるからです。

しかし、そもそも営業マンは担当エリアが決まっているので、物件によってそこまで価格差が出る物件は少ないですし、価格が違っても手数料額はさほど変わりません。

たとえば、手数料率上限いっぱいの物件Aが1,500万円なら、消費税込みで手数料額は55.08万円です。一方、手数料率1.5%の物件Bが3,500万円なら56.7万円になります。

このように、価格差が2,000万円あっても、手数料額に換算するとさほど変わりはないのです。そのため、心情的な面で手数料率を値引きされていない物件Aを優先させるでしょう。

もともと仲介手数料が低い不動産会社を選ぶという方法もある

さて、前項の理由から無暗に仲介手数料を値引きはおすすめできません。しかし、仲介手数料は数10万円から、100万円を超えるケースもあります。少しでも下げたいと思う人は多いでしょう。

そんなときは、元々仲介手数料が低い不動産会社を選ぶことをおすすめします。

不動産会社によっては、そもそも「仲介手数料2%!(物件価格400万円超)」など、上限以下の仲介手数料率を売りにしている不動産会社もあります。

どうしても仲介手数料率を下げたいのであれば、上限以下の仲介手数料をウリにしている会社が良いと思いますが、やはりメリットとデメリットがあります。

メリット:値引く場合と比べて優先順位が特別に落ちることはない

無暗に値引くよりは元々仲介手数料率が低い不動産会社を選んだ方が良い理由は、優先順位が特別に落ちることがないからです。

当然ながら、元々仲介手数料率が低い不動産会社なので、たとえ手数料率が2%だとしても、他の物件も同じ利率です。

そのため、上述したように内覧を後回しにされたり、心情的に売却活動に力が入らなかったりというデメリットがありません。

メリット:ノウハウを知っている

また、仲介手数料が低いが故に売却するノウハウを知っています。たとえば、「とにかく同じエリアの物件の媒介契約をたくさん取得して、まとめて広告を打つ」などです。

つまり、仲介手数料が低い中でも、なるべく経費をかけずにマンション売却をするノウハウが蓄積されているというわけです

デメリット:広告費や人件費を絞るケースが多い

ただし、仲介手数料率が低いということは、不動産会社側の仲介手数料収入も低いということです。そのため、仲介手数料率が元々低い不動産会社は、広告費や人件費を絞るケースが多くなります。

そうなると、営業マン1人が担当する物件数が非常に多くなり、その営業マンの力量次第で売却スピードは変わってきます。

仲介手数率が低い不動産会社は、この「営業マンによって売却進捗が変わりやすい」という点は注意しなければいけません。要は、通常の不動産会社よりも「営業マン」の見極めが重要になるということです。

まとめ

それでは、今回解説した「マンション売却で仲介手数料を値引きする方法と注意点」について、覚えておくべきことをおさらいしましょう。

記事のおさらい

  • 仲介手数料は売却金額によって利率が決まっている
  • 決まっている利率は上限なのでそれ以下であれば良い
  • 値引きをするなら媒介契約を締結する前に行う
  • 無暗に手数料を値引きすると結局売却スピードは遅くなる

まずは、売却金額による仲介手数料率の違いを理解しましょう。そして、手数料率を下げるのであれば、媒介契約を締結する前に行うべきであり、2%か1.5%程度の交渉が妥当です。

ただ、仲介手数料の値引きを無暗に行うと、結局売却スピードが落ちる可能性がある点は認識しておくべきです。

それなら仲介手数料率が元々低い不動産会社の方が良いですが、その場合には営業マンの見極めが非常に重要になる点を理解しておかなければいけません。

監修の中村昌弘さんの写真

コンサルタント

監修 中村昌弘

宅地建物取引士

新卒で不動産ディベロッパーに勤務し、用地仕入れ・営業・仲介など、不動産事業全般を経験。入居用不動産にも投資用不動産にも知見は明るい。独立後は、不動産事業としては主にマンション売却のコンサルタントに従事している。趣味は読書。好きな作家は村上春樹、石原慎太郎。

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