不動産売却でよく起こるトラブル事例と回避策・解決策

2019.02.01投稿 不動産売却における頻発トラブルを知って回避する
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宅地建物取引士

監修 逆瀬川勇造

不動産の売買では大きな金額が動くこともあり、売買の前後でさまざまなトラブルが起こります。

本記事では、不動産の売却時によく起こるトラブルについて、売却前、手続き中、売却後と時系列別に分けてご紹介します。また、それを回避するために気を付けたいことなどをお伝えしていきます。

不動産売却に関するトラブルは、よく起こるものが多く、事前にトラブルの内容について把握しておけばいざという時に冷静に対処することができるでしょう。

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不動産売却における時系列別トラブル

ここでは、不動産売却におけるトラブルを以下の時系列に分けてご紹介します。

  1. 不動産売却前に起こるトラブル
  2. 不動産売却手続き中に起こるトラブル
  3. 不動産売却後に起こるトラブル

以下、詳しく解説していきます。

①不動産売却前に起こるトラブル

不動産を売却する前に起こることのあるトラブルとしては、境界確定に関するトラブルや建築法規に関するトラブルが挙げられるでしょう。

境界確定に関するトラブルとして考えられるのは、土地を売却する前に行っておくべき境界確定がなされておらず、いざしようとしたところで、隣地の所有者との間でトラブルが発生してしまうケースです。

例えば、昔は境界ブロックの真ん中に境界ブロックを持ってくるようなことをしているケースがあるのですが、それだとどちらがそのブロックを所有しているのか分かりません。

ブロック設置にあたり、その費用を負担したのがどちらか覚えていて、双方納得がいけばよいのですが、数十年も前のこととなると記憶もあやふやで書面にも残していないとなると、主張が食い違うことがあります。

ブロックの費用程度であれば負担額もそこまで大きくなりませんが、境界杭が打たれておらず、境界がブロックのどちらにあったのかといった問題となると、大きな問題に発展してしまう可能性があるでしょう。

いずれにせよ、今は土地の境界を確定してから売却するのが普通ですし、そうでなくとも隣人とのトラブルを抱えたまま売却するとなると後々問題となる可能性が高いので、一度冷静になって話をする機会を作るなど、慎重に進めることが大切です。

②不動産売却手続き中に起こるトラブル

不動産売却中に起こるトラブルとしては、仲介手数料の額についてなど、不動産会社との間での取り決めが原因となるものがあります。

例えば、仲介手数料は法律でその上限額を売買価格×3%+6万円+消費税と定められていますが、あくまでも上限額なので、それより低い額でも構いません。

売主としては、そのことについて十分な説明を受けておらず、売買が成立してから仲介手数料の交渉をするようなケースでトラブルにつながることがあります。

また、仲介手数料の支払いについて、売買契約時にするのか、決済時にするのか、またその割合はどうするのかといった内容を取り決めしていないと、売主と不動産会社とで認識の違いが生じ、最終的にトラブルとなる可能性があります。

売買契約が一度成立したものの、その後に解約となってしまった場合、売主としては仲介手数料を支払わなくてもよいと思うかもしれません。実際、そのようにしてくれる不動産会社もいるでしょう。

しかし、不動産会社が受け取る仲介手数料はあくまでも売買契約が成立したことに対する報酬なので、後に解約になろうが条件は満たしているとして仲介手数料の支払いを求められることがあります。

この辺りも通常は想定しない事項のため、媒介契約時に取り決めがなされていない場合にはその取り扱いについてトラブルになる可能性があるでしょう。

③不動産売却後に起こるトラブル

不動産売却後に起こるトラブルとしては、瑕疵担保責任の問題があります。

不動産の売却では、売主は買主に対して瑕疵担保責任があります。簡単に言うと、売却した不動産に何らかの欠陥があった時はその補修費用等を売却後も負担しないといけないというものです。

瑕疵担保責任については、民法の取り決めで「瑕疵があることを知ってから1年」責任を追及できることになっていますが、こうなると売主は売却後数十年瑕疵担保責任を追い続けなければなりません。

そこで、多くの場合、売買契約書に引き渡しから○ヶ月とする、といった特約を付けます。ただし、適用範囲となるのは売主が売却時に知らなかった欠陥のみで、売却時点で欠陥を知っていたのにそのことを伝えていなければ、責任を負わなければなりません。

後々のトラブルを避けるためにも、不利になりそうなことでもしっかり相手方にその情報を伝えておくことが大切です。

不動産売却でよく起こる2大トラブルと事例

不動産の売買では実際にどのようなトラブルが起こるのでしょうか?

公益財団法人 不動産流通センターの2018年不動産統計業「主要原因別紛争相談件数」によると、平成28年度一番多かったのは「重要事項説明等(重要事項の不告知を含む)」で全体の36.2%、次に多かったのが「契約の解除(ローン不成立の解除を含む)」で11.2%となっています。

(3番目以降:瑕疵問題5.7%、預り金等の返還5.2%、報酬4.1%、契約に関する書面の交付3.1%、媒介に関する書面の交付2.4%、手付金の返還1.9%、誇大広告等の禁止1.6%、ローン手続き1.1%)

※参考:2018不動産業統計集>1不動産業の概況 23ページ目

そこで、ここではこれら2つのトラブルについて取り扱ってみたいと思います。

①重要事項説明等(重要事項の不告知を含む)

重要事項説明等のトラブルに関しては、( )書きの中にある重要事項の不告知が一番多いと思われます。

不動産売買では、契約までの間に、不動産についての重要事項を説明する重要事項説明をしなければなりません。

そして、例えば過去に事故があった物件であったり、騒音のある物件だったりすると、重要事項の告知として、売主(売主を胆道する不動産会社)から買主(買主を担当する不動産会社)にその旨を伝えないといけません。

しかし、こうしたマイナスとなる情報を買主に伝えると契約がなしになる可能性もありますし、特に騒音に関する問題などは住む人によって感じ方が変わるものなので、そのことが伝えられないこと(不告知)があります。

このことを原因として、買主が新居に住んでから初めて知り、トラブルになることがあります。

重要事項については、過去に事故があったり騒音があったりしても、事前に伝えた上で買主が契約していたのであれば問題ないのですが、伝えていなかった場合には問題となってしまいます。

②契約の解除(ローン不成立の解除を含む)

次に多いのが契約の解除の問題です。

売買契約においてみられるのが、契約を締結してから親族などの反対に遭うなどして、解約となるケースです。

売買契約時には、通常であれば買主から売主に支払われた手付金は「解約手付」として、売主が没収することになりますが、これを不服としてトラブルとなってしまうこともあります(手付金の返還に関する平成28年度のトラブルは全体の1.9%)

また、不動産の売買契約では「住宅ローンの審査が否決の場合は解約できる」旨の住宅ローン特約を盛り込むことがありますが、この特約は期限付きです。

期限を過ぎていなかったり、特約を盛り込んでいなかったりして(住宅ローン特約を盛り込むかどうかは売主の自由です)、いざ否決となった時にトラブルとなることがあります。

とはいえ、解約手付の件にせよ、住宅ローン特約の件にせよ、基本的には売買契約書に書かれている内容に沿って結論は決まります。

売買契約書は、不動産会社が作成しますが、その内容に不備がないよう売主としてもしっかり目を通しておくことが大切でしょう。

不動産の瑕疵に関する民法の改正について

2017年526日に民法の改正について成立し、202041日から改正民法が施行されることとなりました。

この改正では債権について約200項目にわたり改正がなされる大がかりなものですが、不動産売買においてトラブルに発展することの少なくない瑕疵担保責任についても改正がなされます。

以下で、202041日より施行される改正民法における瑕疵担保責任の取り扱いについてお伝えします。

民法改正で瑕疵の取り扱いが変わる?

民法改正後は、現行の民法で瑕疵担保責任として取り扱われている事項は「契約不適合責任」として取り扱われることになります。

瑕疵担保責任は、売買する対象物に対し「常識で考えて備わっているはずのものが欠けている」という考え方で、例えば契約書に「〇〇の箇所は雨漏りすることを買主は了承して購入する」などと記載がなければ、家は常識で考えて雨漏りしないので、記載がないのにも関わらず雨漏りしたのであればそれは瑕疵だと判断されます。

一方、契約不適合責任では、「契約の内容に適合しない」という考え方に変わります。

つまり、改正前は「常識で考えて備わっていないもの」に対して説明がなければ、そのことについて責任を負わなくてはならなかったのに対し、改正後は契約書の内容に適合していなければ責任を負う必要があります。

売主としては問題のある個所についてしっかり買主に伝えることは改正前と後とでそう違いはありません。

とはいえ、契約書に盛り込む内容についてはこれまで以上に慎重に記載していく必要があるでしょう。

トラブルは依然として起こりうる

「契約不適合責任」では、契約の内容に適合していない部分について「追完請求権」と「代金減額請求権」を請求される可能性があります。

追完請求権とは契約内容と適合するように補修や交換を行うもので、追完請求権がなされない場合に代金減額請求権によって代金の減額請求ができます。

これらの権利は改正民法で新たに認められた権利で、次の段階では改正までと同様「損害賠償請求」や「契約の解除」も認められています。

こうした請求権の行使にあたっては契約書の記載内容と適合しているかどうかが基準となりますが、その記載内容と現実に起こっている問題との違いやその解釈についてなど、依然としてトラブルは起こることでしょう。

不動産売却でトラブルを回避するために実行したいこと

不動産売却でトラブルを回避するためにはどのようなことに気を付けるとよいのでしょうか。ここでは、以下の4つについてお伝えします。

  1. 売買契約書で契約解除について確認しよう
  2. 瑕疵に関する法改正について理解しよう
  3. 知っていることはすべて不動産会社に伝える
  4. 不動産会社選びもトラブル回避に欠かせない要素

売買契約書で契約解除について確認しよう

不動産売買において、契約後に何らかのトラブルに発展してしまった場合には、基本的には売買契約書に沿って結論が決められます。

売主の多くが売買契約書を見る経験はそう多くなく、正確に読み取れる人は少ないでしょう。

とはいえ、トラブルの多い「契約解除」に関する内容の確認であればそう難しいことではありません。

契約解除については、まず先ほどお伝えした解約手付の問題や住宅ローン特約の問題があります。

解約手付については、契約書の約款で「売主から買主へ契約解除を申し出る時は手付金の3倍、買主から売主へ契約解除する時は手付金の放棄」といった旨が書かれているか確認しましょう。

また、住宅ローン特約については住宅ローン特約がある旨を約款で確認(住宅ローンが否決の場合は白紙解約という内容)し、「住宅ローン特約に関する期限」の記載があるかをチェックしましょう。

上記以外にも、売買する土地によっては、さまざまな解除要件を付けることがあります。

例えば、「〇月〇日までに整地に関する見積もりを取り、費用が100万円を超えたら解約」や「〇月〇日までに建築確認申請の許可が下りない時は解約」などといった内容です。

これらの内容は、買主から売主に対する要望に基づいて決められることで、売主が許可するものですが、あいまいにするのではなく、許可したことは明確にしておくことで後々のトラブルを防げるでしょう。

瑕疵に関する法改正について理解しよう

先述した通り、20204月より改正民法が施行され、これまで瑕疵担保責任とされていた責任が契約不適合責任として取り扱われることになります。

契約不適合責任では、何か問題が起こった時は法律上、契約書の内容と適合しているかどうかで判断されていきます。

「雨漏りしたことのある箇所や頻度」、「土台に腐食が見られる箇所や程度」、「水回りの不具合の有無と程度」などこれまで以上に細かく記載していくことが求められます。

過去の事例がないことで、その理解には法律的な知識も必要です。

不動産会社の担当者に相談するのはもちろん、不動産売買に詳しい行政書士や司法書士、弁護士などの専門家に相談するのもよいでしょう。

知っていることはすべて不動産会社に伝えよう

重要事項の不告知についてお伝えしましたが、売買に不利になることを知っているのにも関わらず、そのことを黙っていたのであれば、後々トラブルになりかねません。場合によっては損害賠償請求など、売買前に契約が破談になるより大変な事態になることも考えられるでしょう。

なお、こうした重要事項については、基本的に売主の不動産会社から買主に対して伝えられるものです。

中には、わざわざ買主に伝えなくてもよい情報もありますが、売主から不動産会社に気になることを伝えておけばそれを買主に伝えるかどうかは不動産会社が決めてくれるでしょう。

不動産会社選びもトラブル回避に欠かせない要素

売主と買主で何らかのトラブルが起こった時、その契約を担当している不動産会社も当事者となります。

優秀な不動産会社であれば、売主を巻き込むことなくうまくトラブルを収めてくれるはずです。

仲介を依頼する不動産会社を選ぶ時は、その担当者の人柄などを含めて慎重に選ぶようにするとよいでしょう。

不動産売却でトラブルに遭ってしまった場合の解決策・対処法

実際に不動産売却でトラブルに遭ってしまった場合にはどうすればよいのでしょうか。

突然売主や売主の不動産会社から連絡がきて、クレームを付けられたような場合にはまずは仲介を担当した不動産会社に連絡しましょう。

仲介を担当した不動産会社がしっかり動いてくれない時は、その不動産会社を管轄する宅建協会などに相談すると、宅建協会から不動産会社へ働きかけもしてくれます。

しっかり対応してくれる不動産会社であれば、不動産会社から売主や売主側の不動産会社と話をしてくれ、場合によっては弁護士や司法書士などの紹介もしてくれるでしょう。

なお、トラブルにあってしまった時には不動産会社以外に次のような機関が相談にのってくれます。

まとめ

記事のおさらい

  • 隣人とのトラブルを抱えたまま売却するとなると後々問題となる可能性が高いので、一度冷静になって話をする機会を作る
  • 後々のトラブルを避けるためにも、不利になりそうなことでもしっかり相手方にその情報を伝えておくことが大切
  • 売主として、問題のある個所についてしっかり買主に伝えること
  • 不動産売却でトラブルに遭ってしまった場合は、不動産会社やその他の機関に相談しましょ

不動産売却におけるトラブルについてお伝えしてきました。

不動産売買に関するトラブルは、重要事項説明に関するものが一番多く、その次に契約の解除に関するものが多いとお伝えしましたが、その内容や事例についてはここでご紹介していますし、インターネットで検索すれば似たような事例が見られるはずです。

不動産2つとして同じものがないものではありますが、そのトラブルに関しては同じようなものが多いものです。

本記事でご紹介したトラブル例を参考に、不動産売却時には対策していただき、それでもトラブルが起こった時は不動産会社や専門機関に相談するなど冷静に対処するようにしましょう。

監修の逆瀬川勇造さんの写真

宅地建物取引士

監修 逆瀬川勇造

明治学院大学を卒業後、地方銀行にてリテール業務に従事し顧客の住宅ローンやカードローンなど担当。その後、住宅会社の営業部長として新築住宅の販売や土地開発等の業務に7年間従事しました。 Webを通して住宅や不動産の問題を解決することを志向し2018年10月に独立。 最近の趣味は子育てです。

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