不動産売却の税金は高額!控除について確実に理解しておこう

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不動産ライター

P.D.P代表 逆瀬川 勇造

不動産の売却では大きな金額が動くため、それに課される税金も高額となることが少なくありません。

しかし、2018年現在、不動産売買に関する税金に関しては国がさまざまな優遇措置を設けており、一定の条件を満たすことで税金の控除を受けることができます。

なお、税金の控除には期間限定のものもあるため、それぞれの優遇措置がどんな内容なのか、いつまで有効なのか確認の上、期間内で利用できるよう計画立てて進めるとよいでしょう。

本記事では、不動産売却の際にはどのような税金がかかるのかをお伝えします。また、そのなかでも、特に金額の大きくなりやすい譲渡所得税についてより詳しく解説します。

不動産売却でかかる税金

不動産を売却するときは、主に以下の4つの税金が課されます。

  • 印紙税
  • 登録免許税
  • 消費税
  • 所得税と住民税

印紙税

不動産を売却するときは、買主との間で不動産売買契約書を締結しますが、その税額は不動産の売却価格によって変わります。

なお、不動産売買に関する契約書の印紙は、平成2641日から平成32331日までに作成されるものについては、軽減税率の適用を受けられます。

以下に、軽減税率の適用を受けない場合の税率(本則税率)と、軽減税率の適用を受ける場合の税率を記載します。

不動産の売買契約に関する印紙税率
契約金額 本則税率 軽減税率
10万円超50万円以下 400円 200円
50万円超100万円以下 1,000円 500円
100万円超500万円以下 2,000円 1,000円
500万円超1,000万円以下 1万円 5,000円
1,000万円超5,000万円以下 2万円 1万円
5,000万円超1億円以下 6万円 3万円
1億円超5億円以下 10万円 6万円
5億円超10億円以下 20万円 16万円
10億円超50億円以下 40万円 32万円
50億円超 60万円 48万円

参考:国税庁 不動産売買契約書の印紙税の軽減措置

例えば、売却する不動産が5,000万円だった場合には、「1,000万円超5,000万円以下」の軽減税率が適用され、10,000円の印紙を貼る必要があります。

登録免許税

不動産を売買すると、所有権が売主から買主に移転しますが、このときに所有権移転登記をする必要があり、登記するには登録免許税を支払う必要があります。

ただし、所有権移転登記に関する登録免許税は買主が負担するのが一般的です。

売主としては、売却にあたっては「売渡証書の作成」が必要で、住宅ローンの完済には「抵当権抹消登記」が必要です。

どちらも登録免許税は「登記件数×1,000円」となっています。

例えば、土地と建物が1筆ずつ、計2筆の不動産を売却する場合は2,000円の登録免許税を支払います。

また、登記を司法書士に依頼する場合には別途司法書士報酬を支払う必要があります。

消費税

不動産の売買においては、土地の売買に関する消費税は非課税なのに加え、売主も買主も不動産会社等でない個人であれば、個人間売買はそもそも消費税を納める必要がありません。

しかし、不動産の売買では不動産会社に仲介を依頼したり、司法書士に登記を依頼したり、その他測量や解体などを利用することがあるでしょう。

これらの利用には、消費税が課されます。

たとえば、5,000万円の物件であれば仲介手数料は156万円で消費税は12.48万円。司法書士報酬が10万円だった場合には消費税は0.8万円で、これを合わせると13.28万円です。なお、2019101日より消費税が増税されることが発表されているため、それまでに終わらせてしまえば2%分お得になります。

所得税と住民税

最後に、不動産を売却して得られた利益は譲渡所得として計算し、所有期間ごとに定められた税金を納める必要があります。

譲渡所得に関しては、売却する不動産を購入したときにかかった費用や、売却するときに支払った経費などを売却価格から差し引くことができます。

また、売却する不動産がマイホームであった場合には特別控除を受けられるのですが、この特別控除を利用すると大きく納税額を減らせる可能性があるため、その内容をよく理解しておくことが大切です。

所得税・住民税の計算方法については次以降詳しく解説していきますが、ここまでご紹介した税金を合計すると以下のようになります。

5,000万円(1戸建て)を売却したときの税金
売却額 印紙税 登録免許税 消費税 合計
5,000万円 1万円 0.4万円 13.28万円 14.68万円

不動産売却で理解しておくべき譲渡所得の計算方法

ここからは、不動産を売却して利益が出たときに納める必要のある所得税と住民税について、納税額を計算するための譲渡所得の計算方法をお伝えします。

譲渡所得の求め方

譲渡所得は以下の計算式で求められます。

課税譲渡所得=不動産売却価格-取得費-譲渡費用-特別控除

取得費とは、売却する不動産を取得したときに支払った費用のことで、不動産の購入価格も計上できます。つまり、7,000万円で不動産を購入して5,000万円で売却するような場合には、譲渡所得がかからない場合もあります。ただし、不動産は所有している間に経年劣化するため、その分を減価償却費として差し引く必要があります。

譲渡費用とは不動産を売却するのに要した仲介手数料や印紙税、解体費用などです。

さらに、取得費や譲渡費用を差し引いた後、一定の要件を満たすことができれば特別控除を受けることができます。

特別控除に関しては、売却した不動産がマイホームの場合、でその他一定の要件を満たすことで適用を受けることができます。

詳しくは後程ご紹介していきます。

譲渡所得の税率

課税譲渡所得を求めたら、求めた課税譲渡所得に税率をかけることで納税額を求めることができます。

納税額=課税譲渡所得×税率

譲渡所得の税率は、給与所得などと異なり分離課税と呼ばれるもので、独立して計算します。

給与所得などの所得が多くなればなるほど税率も高くなる累進課税制度なのに対し、譲渡所得は売却した不動産を何年所有していたかで税率が変わります。

具体的には、売却した年の11日時点で所有期間が5年以下であれば短期譲渡所得として39.63%(所得税30.63%、住民税9%)5年超であれば長期譲渡所得として20.315%(所得税15.315%、住民税5%)です。

所得税 住民税 合計
短期譲渡所得 5年超 30.63% 9% 39.63%
長期譲渡所得 5年以下 15.315% 5% 20.315%

参考:国税庁 No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)

取得費でいくら計上できるか

5,000万円の不動産を売却したときは最大で1981.5万円、税率の低い長期譲渡所得でも1015.75万円かかることになります。

ただし、取得費や譲渡費用を計上することができればそれだけ納税額を下げることができます。

取得費としては、土地や建物の購入代金の他、購入時に支払った不動産取得税や登記費用、測量費用などを含めることができ、また譲渡費用としては売却時に支払った仲介手数料や印紙税、解体費用を計上できます。

参考:国税庁 No.3252 取得費となるもの
参考:国税庁 No.3255 譲渡費用となるもの

この中でも、大きく計上できるのが購入代金です。

購入代金は購入時の不動産売買契約書や領収書の金額から、建物に関しては年数の経過に応じた減価償却を差し引いて計上します。

なお、売買契約書や領収書がない場合など、金額が分からないときは売買代金の5%を概算費として計上できることになっています。

とはいえ、5,000万円の5%250万円だと実際のものよりかなり小さい場合が多いでしょう。

不動産の売却時には、購入時の書類一式をしっかり用意しておくことが大切です。

マイホームであれば控除を受けられる

譲渡所得税を低く抑えるためには、取得費や譲渡費用をできるだけ多く計上するとよい旨をお伝えしましたが、売却する不動産がマイホームであった場合にはそれよりも大きな特別控除を受けられる可能性があります。

マイホームを売却したときの特別控除として有名なのが、「3,000万円特別控除」で、要件を満たすことで、3,000万円の特別控除を受けられます。

なお、「3,000万円特別控除」を始め、「マイホーム」であることを要件として受けられる控除の要件は以下の通りです。

3,000万円の特別控除を受ける用件4つ

  • 現在住んでいること
  • 住んでいないときは住まなくなってから3年後の年末までに売却すること
  • 住まなくなってから解体したときは②の範囲内で解体してから1年以内に売却すること
  • 単身赴任の場合は配偶者等が住んでいること

マイホームを売却したときに受けられる特例は5つありますが、それぞれ詳しく見ていきたいと思います。

マイホームの売却で受けられる3つの特例

マイホームを売却したときに受けられる特例は5つあります。

そのうち3つは売却して利益が出たときに適用を受けられるもので、2つは売却して損失が出たときに適用を受けられるものです。

ここでは、利益を得たときに受けられる3つの特例について紹介します。

①3,000万円特別控除

3,000万円特別控除は、マイホームであること以外には所有期間などの適用要件はなく、内容も3,000万円の控除を受けられるという分かりやすいもので、利用しやすい控除となっています。

5,000万円のマイホームを売却したとき、取得費や譲渡費用を除くと5,000万円-3,000万円=2,000万円。対して、短期譲渡所得(20.315%)をかけると納税額は406.3万円と、控除を受けないときに比べると600万円近く抑えられることが分かります。

②10年超所有軽減税率の特例

10年超所有軽減税率の特例は、売却不動産がマイホームで、なおかつ所有期間が10年超だった場合に受けられる特例で、課税譲渡所得6,000万円以下の部分について、20.315%の税率を14.21%(所得税10.21%、住民税4%)に軽減できるというものです。

基本的に、マイホームに関する5つの特例は他の特例と重複適用できませんが、この10年超所有軽減税率の特例に関しては「3,000万円特別控除」との重複適用が可能です。

③特定居住用財産の買換え特例

特定居住用財産の買換え特例はマイホームを売却し、新しくマイホームを買換えたときに受けられる特例で、売却するマイホームは所有期間10年超であることが要件となります。

特例の内容は、売却した不動産の価格のうち、買換えに要した費用以下の部分に関しては課税を繰り延べることができ、買換えに要した費用以上の部分に関しては譲渡所得として税金を納める必要があります。

例えば、5,000万円で売却して7,000万円で買換えた場合には全額繰り延べることができますが、5,000万円で売却して3,000万円で買換えた場合には3,000万円を繰り延べ、2000万円に関しては税金が課されます。

本特例は3,000万円特別控除など他の特例との重複適用はできません。

繰り延べた部分に関しては、売却時には納税額を0円とすることができますが、あくまでも繰り延べるだけのため、最終的にどちらがお得になるかをよく考える必要があります。

マイホーム売却で損したときに受けられる特例

マイホームを売却したときに受けられる特例のうち、残り2つは、マイホームを売却して損したときに受けられる特例です。

例えば、7,000万円で購入して、45年後に5,000万円で売却したような場合、5,000万円から取得費を差し引くと、課税譲渡所得はマイナスとなり、税金を納める必要がありません。

こうなると、確定申告する必要もありません。

不動産売却の譲渡所得は分離課税

通常、土地や建物に関する譲渡所得は分離課税のため、給与所得などとは別計上のため、マイナス分を他の所得から差し引く「損益通算」はできません。

しかし、マイホームの特例の適用を受けると、不動産売却で生じた損失をその他の所得から差し引くことが可能になります。

損益通算と繰越控除を可能にする特例

マイホームを売却した際、譲渡損失が出たときに受けられる特例は「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」2つがあります。

前者が、マイホームを売却して買換えたときに受けられるもので、後者は買換えを必要としないものの、売却時に売却不動産に関するローンの残高があることが要件とされます。

いずれの特例に関しても、受けられる効果は「損益通算」と「繰越控除」です。

つまり、不動産を売却して損失が出た場合、給与所得など他の所得から差し引くことができるとともに、損失を差し引いてもなお損失が残るときは、翌年以降3年間、損失が無くなるまで損失を繰り越すことができます。

マイホーム以外で受けられる代表的な特例

マイホームを売却したときの特例を中心にお伝えしましたが、売却した不動産がマイホーム以外のときに受けられる特例もあります。

空き家に関する特別控除

空き家に関する特別控除は、マイホームとして利用していた方が亡くなって相続し、その後空き家となっているような場合に一定の要件を満たすことで3,000万円の特別控除を受けられる制度です。

本特例は、売却する不動産が昭和56531日以前に建築されたことである必要があり、また平成2841日から平成311231日までの間に売却する必要があります。

参考:国税庁 No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例

平成21年、22年取得の土地を譲渡したときの1,000万円特別控除

本特例は、平成21年か平成22年に土地を取得した方で、平成27年以降に土地を売却すると1,000万円の特別控除を受けられるという制度です。

平成20年に起こったリーマンショックによる経済の落ち込みを緩和するために施行された制度ですが、要件を満たせる方はうまく活用するとよいでしょう。

参考:国税庁 No.3225 平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡したときの1,000万円の特別控除

まとめ

記事のおさらい

    • 不動産を売却するときに課される税金は4つある。

  • 不動産を売買すると、所有権が売主から買主に移転し、所有権移転登記をする必要があり、登記するには登録免許税を支払う必要がある。
  • マイホームであれば控除を受けられる
  • マイホームを売却したときに受けられる特例は5つある。

不動産売却の際にかかる税金についてと、その中でも税金の高くなりやすい譲渡所得についてその計算方法と、適用を受けられる控除についてお伝えしてきました。

不動産の売却はその金額が大きくなりがちですが、取得費を多く計上するための書類の準備や、マイホームの特別控除を受けるための要件を満たすことで納税額を大きく減らせる可能性があります。

売却を検討されている方は、本記事を参考に取得費や特別控除を活用していくとよいでしょう。

逆瀬川勇造さんの写真

不動産ライター

P.D.P代表 逆瀬川 勇造

保有資格:宅建士、FP2級技能士(AFP)、住宅ローンアドバイザー、相続管理士

明治学院大学卒。地方銀行勤務後、転職した住宅会社では営業部長を務め、新築住宅販売の他土地仕入れや土地造成等に7年間従事。2018年よりライターとして独立し、WEBを通して不動産に関する問題解決を目指す。最近の趣味は1歳になったばかりのわが子と遊ぶこと。

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