不動産は売却と賃貸のどちらがお得?メリット・デメリット徹底比較!
2018.10.22投稿編集 すまいうる編集部
マイホームの買い替えや転勤、不動産の相続などで不動産を処分する必要がある場合、売却したほうが良いのか、賃貸に出したほうが良いのか、取り扱いに迷うことがあります。
あなたも、「賃貸なら家賃収入で家計が潤うかも!」という期待と、「そんなに甘くはないかも…」という不安で揺れているかもしれませんね。
この記事では下記の疑問を解消することができます。
この記事ではこんな悩みを解決します!
- 不動産は売却と賃貸のどちらがお得?
- 売却か賃貸かを選ぶ基準はある?
- 売却と賃貸それぞれのメリット・デメリットをしりたい
- 賃貸って、実際どうなの?
この記事では、このような疑問や悩みをお持ちの方向けに、売却と賃貸のどちらが得なのかというテーマから、それぞれのメリット・デメリットの比較、売却と賃貸のどちらを選ぶかの判断基準までを分かりやすく解説します。
この記事を読むことで、売却と賃貸のどちらの方法で不動産を処分するかで悩むことはなくなるでしょう。
この記事の目次
「売却」と「賃貸」のどちらが得するのか
売却と賃貸のどちらがお得なのか、残念ながら絶対的な答えはありません。
物件によって向き不向きがありますし、物件の保有者の意識や環境によっても変わってきます。
そこでまずは「物件」と「保有者」の2軸で考えてみましょう。
判断軸1.物件の状況
前提として、保有する家が都市部にあり立地も良い場合に「賃貸」を検討する価値があります。
賃貸物件にとって、入居者の有無は大きな問題。東京や大阪など人口が多く、入居者が見込める地域であれば、賃貸物件としての需要はあるでしょう。
その逆なら、売却を考えたほうが賢明です。人口が少ない地域や立地が悪い場所だと入居者が見つからない可能性があります。そうなれば家賃収入は途絶え、管理コストだけがかかってしまいます。
また、家のタイプによって利用する世帯層が異なるので、該当の世帯層が多い地域かどうかというのも判断材料のひとつです。
- ワンルームマンション:独身世帯向け
- ファミリータイプのマンション:子育て世帯向け
- 一戸建て:子育て世帯向け
判断軸2.あなた自身の状況で判断
憧れの賃貸経営。少なくとも「家賃収入で懐が潤う」という理想的な状態はかんたんに叶うものではなく、人に貸し出すなら事業として経営するという意識が必要です。
売却と賃貸は難易度に大きな差があるのです。
賃貸を検討しても大丈夫なのは、
- 不動産を売却してまとまったお金を確保する必要がない
- 不動産運用に興味があり、そのための勉強をいとわない
という人。
この2つにあてはまらない状態で売却か賃貸かを悩んでいるなら、迷わず「売却」を選択したほうが今後の後悔を避けられるでしょう。
また、賃すのは一時的で将来的に売却しようと考えている人も、「売却」がおすすめです。基本的に不動産の資産価値は時間とともに下がっていくので、「いま売る」という選択をしたほうが高く売れて結果的に得する可能性が高いのです。
それでも賃貸という選択肢をしっかり検討したい人は、まず賃貸と売却それぞれの特徴を知ることから始めましょう。
家を賃貸に出すメリット・デメリット
売却とは違い、賃貸は事業として継続していくものです。
家賃収入という利点があるものの、空室対策や物件の維持管理などにも気を配る必要があります。
それではメリットとデメリットをみていきましょう。
賃貸にするメリット
メリットは次の3つです。
- 家賃収入(不労所得)を得られる
- 固定資産税などを経費として計上でき節税をできる
- 将来、再び住むことができる
家賃収入(不労所得)を得られる
ひとつめは、入居者がぶじ見つかれば、労働なしに収入を得ることができます。
特に、分譲マンションであれば、周辺の賃貸物件の家賃より高い相場で貸し出すことが可能でしょう。
賃貸用マンションと比べ、分譲マンションは外観や内観はもちろん、設備もハイグレードなためです。
固定資産税などを経費として計上し節税できる
不動産を貸すことによる家賃収入は不動産所得と呼ばれ、所得税がかかってきます。
しかし、賃貸経営に必要な費用は経費として計上できるため、節税することが可能です。
不動産所得(課税対象)=賃貸による収入-経費
経費として扱える費用は、主に以下のようなものがあります。
- 固定資産税・都市計画税
- 入居者が退去する時の補修費用
- 室内設備を入れ替える費用
- 賃貸管理会社へ支払う管理委託費用
- 火災保険や地震保険の保険料
- マンション管理費・修繕積立金
- ローンの利息
- 減価償却費
- 入居者を募集するための広告費
将来、再び住むことができる
賃貸に出すということは、その不動産の所有権はあなたのままです。つまり、自分の家として再び住むことができます。
ただし、入居者との契約が終了していることが条件です。
賃貸にするデメリット
デメリットは次の8つです。
- 初期費用がかかる
- 空室リスクがあり収入が不安定
- ランニングコストがかかる
- ローンの金利が上がる
- 管理業務の手間・費用がかかる
- 入居者のトラブルが発生する可能性がある
- 賃貸に出している間に資産価値が下がる
- 将来的に売却するとき、税制優遇を受けられない
初期費用がかかる
人に貸すとなると、これまで住んでいた室内をいったんリセットする必要があります。
内装のきれいさは賃貸市場では重視されるため、ハウスクリーニングは必須です。もちろん、給湯器などの設備が壊れているなら取り替える必要があります。
また、最初の入居者を探すための広告費などもかかるため、一定のお金が必要になってきます。
空室リスクがあり収入が不安定
賃貸経営は収入を期待できる一方で、不安定さがつきものです。
毎月の家賃収入は、賃貸物件に入居者が入っていることが前提です。当然ながら空室の場合、家賃収入はゼロです。
また、空室を埋めるために、リフォームや広告などの費用がかかることもあります。
賃貸経営は空室リスクがあることを前提に活動しなければならないのです。
さらに空室状態で家賃収入がない期間も、次に紹介するランニングコストは負担しなければなりません。
ランニングコストがかかる
賃貸経営する以上、物件の維持費がかかります。家賃収入が入ってくるだけの美味しい話ではないことに注意しましょう。
維持費の例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 固定資産税・都市計画税
- マンションの管理費・修繕積立金
- 賃貸管理会社へ支払う管理委託費用
- 設備が故障したときの修理や取り替え費用
- 入居者が入れ替わるたびに発生するクリーニング・修繕費用
管理業務の手間・費用がかかる
不動産を賃貸に出した場合、入居者の募集や内覧、賃貸契約、賃料管理などさまざまな管理業務の手間がかかります。
これらの管理業務は賃貸管理会社に依頼することも可能ですが、その場合は賃料の5%程度の管理費用を支払う必要があります。
入居者のトラブルが発生する可能性がある
賃貸経営は、入居者という顧客に居住空間を提供するサービスです。
どのような入居者が入るかは賃貸契約時に確認できますが、1度や2度の面談で相手の本質を知ることはできません。
入居者によっては、賃料を滞納したり物件に損害を与えてしまったり、夜中の騒音やゴミの異臭など、近隣の住民に迷惑をかけてしまうケースもあります。
入居者との対応は、管理会社に任せることもできますが、入居者トラブルというリスクは不動産賃貸の大きなデメリットのひとつです。
ローンの金利が上がる可能性がある
住宅ローンを利用していて現在も返済中である場合、
- 自宅を賃貸として貸し出すことを金融機関に伝える
- 住宅ローンから不動産投資ローンやアパートローンへ切り替える
ということが必要になります。
なぜなら住宅ローンは、ローン契約者が居住するために融資されているものだからです。
不動産投資ローンやアパートローンは住宅ローンよりも金利が高く、返済額が大きくなることに注意が必要です。
ただし、仕事で急に転勤が決まったり、離婚したりするなど、一時的に居住できない事情がある場合は、認められるケースがあります。このような場合、賃貸に出すことが可能か金融機関に相談してみましょう。
賃貸に出している間に資産価値が下がる
賃貸期間中も、物件の老朽化は進みます。賃貸期間が長くなるほど資産価値は下がり、不動産市場における評価額も下落していきます。
将来的に日本の人口は減少していく一方で、新築の物件はどんどん建てられていきます。それに伴い、賃貸後に物件を売りに出した場合の「買主がつく確率」は下がっていきます。
賃貸に出す場合は、「現在売却した場合の利益」と「賃貸で得られる賃料の利益」と「将来的な売却価格」を考慮するなどして、将来的にどのタイミングで売却するのかの出口戦略を立てておく必要があります。
将来的に売却するとき、税制優遇を受けられない
居住用として不動産を売る場合に適用される特例を受けられず、税制優遇がなくなります。
主な特例は、次の2つです。
- 3000万円の特別控除
- 住宅ローン控除
どちらも「居住用」の不動産に適用される特例であるため、賃貸物件になってしまうと適用対象外になります。
家を売却するメリット・デメリット
当然ながら、一度売ってしまえば不動産の処分は完了します。
不動産会社に仲介を依頼すれば手間がかからず、賃貸と違って不動産に関する特別な専門知識も必要ありません。
それでは具体的なメリットとデメリットをみていきましょう。
家を売却するメリット
メリットは次の4つです。
- 売れば、あとは何もすることがない
- 多額の現金が手に入る
- 将来の価格下落リスクを回避できる
- 税制優遇を受けられる
売れば、あとは何もすることがない
当然ながら、売ったあとは所有物として残らないですから、やるべきことがなくなります。
このメリットは意外と大きいでしょう。
賃貸のように空室リスク対策をしたり、固定資産税や賃貸管理会社へ支払うなどのコストや手間もありません。
シンプルに自分たちの生活だけを考えることができます。
また、貸し出す場合にかかる維持費(ランニングコスト)も不要です。
多額の現金が手に入る
家を売却することで、まとまった現金を手にすることができます。
住宅ローンの返済が終わっていないなら、売却金を返済にあてることができますし、次の新居の購入費用にあてることもできます。
将来の価格下落リスクを回避できる
時間が経つにつれて建物は劣化するため、土地の値段が上がらない限りは不動産価値は下がります。
また、日本は人口減少の傾向にあるので、必然的に住居の需要が減ることが予想されます。そうなれば、将来売却するなら売却価格を、貸すなら家賃を下げざるを得ないでしょう。
しかし、いま売るとなれば、これらのリスクを回避できます。資産価値が落ちてしまう前に売るということなので、比較的高く売れる可能性が高いです。
税制優遇を受けられる
「不動産を売却した利益が税金によって大きく差し引かれるのではないか」と心配されている人もいるかと思います。
住居用の不動産を売却して売却益が出た場合は、3,000万円の所得控除や軽減税率といった特例を利用できます。特例を利用できれば節税につながります。
売却損が出た場合も、給与所得と損益通算・繰越控除ができるなど、税制上の優遇措置を利用できます。
家を売却するデメリット
デメリットは次の3つです。
- 仲介手数料がかかる
- いつ売れるか分からない
- 内覧の対応が必要
仲介手数料がかかる
家やマンションを売ると売却金額が手に入る一方で、仲介してくれた不動産会社に仲介手数料を支払う必要があります。
仲介手数料は売却金額によって異なり、100万円以上かかるケースは珍しくありません。
仮に3,000万円で売れれば96万円の支払いが発生します。
いつ売れるか分からない
家やマンションを売りに出したところで、すぐに売れるとは限りません。
条件に合う人がタイミングよく現れれば1~2ヶ月で売れますが、買主が見つかるまで5~6ヶ月かかることもよくあります。
売却期間が長引くほど、次に紹介する「内覧」の準備が負担になってきます。
内覧の対応が必要
実際に売却をはじまると、購入検討者の内覧対応をする必要があります。
内覧者が訪れるたびに、部屋や水回りの掃除をしなければなりませんし、立ち合いが必要なときもあるでしょう。
内覧者の希望によっては平日夜や土日に内覧をすることも普通にあるため、スケジュール調整も必要になります。
賃貸が向いているケースと売却が向いているケース
ここまでに紹介したメリット・デメリットをまとめると、賃貸と売却それぞれに向いているのは次のようなケースと言えます。
賃貸にしたほうが良いケース
不動産を賃貸に出したほうが良いのは、次のようなケースです。
- 築浅・駅近など物件の条件が良い
- 不動産オーナーとしてやっていく自信がある
- 物件にローンの残債がない
賃貸経営に関する難しさについて強調してきましたが、賃貸は毎月安定して収入を得られる優れた手段ではあります。
管理は管理会社に委託できるなら、フルタイムのサラリーマンなど忙しい人の副業としても適しています。
売却したほうが良いケース
所有する不動産を売却したほうが良いのは、次のようなケースです。
- 適正価格で買ってくれる相手が見つかっている
- 賃貸不動産の管理・経営に自信がない
- 物件に住宅ローンが残っている
- 駅から遠く入居者がつきにくい物件
売却は賃貸に比べて手間もかからず経営の難しさもないので、大半の人には売却が合っているでしょう。
本格的に賃貸を検討するなら相場を確認しよう
賃貸の各リスクを抱える覚悟や不動産経営を勉強する意思を持てたら、売却と賃貸それぞれの相場を確認しましょう。
自分の所有する不動産が、市場でどのくらいの価値があるのかという軸で最終的な判断をするためです。
具体的には、
- 【売却】いま売却することによって得られる売却額
- 【賃貸】将来売却するまでに得られる家賃収入
- 【賃貸】将来的な予想売却価格
を比較することで、どちらが得になるかを判断できます。
相場を知る手段として、自分で調べる方法と不動産業者に頼む方法の2つがありますが、両方おこないましょう。
まずは自分で調べた上で、不動産業者に相談することをおすすめします。
なぜなら自分で不動産について調べると予備知識ができて、不動産業者とのやりとりにも理解が深まりますし、疑問があれば聞くことができます。
賃貸経営をする可能性があるなら、相場を含めた不動産の知識や感覚は必要です。
自分で相場を調べる方法
売却価格や賃料相場を調べるときは、不動産一括査定サイトを利用しまょう。
物件のエリアと築年数面積などから簡易的な査定価格(机上価格)を知ることができます。
「価格査定」と「賃料査定」は、基本的にそれぞれ異なるサイトを利用します。ただ、中には価格査定の参考として賃料相場も表示されるサイトがあります。
そのほかにも相場を見極める方法があります。
家探し・賃貸探しのサイトで検索条件に自分の物件の情報を入力して検索することで、利用者目線での相場イメージをつかむことができます。
不動産業者に相談して相場を知る方法
自分で相場を調べたら、次に専門家である不動産業者に相談しましょう。
不動産業者と一口に言っても、不動産の売買を専門に取り扱っている会社と、賃貸や管理を専門におこなっている会社があります。
それぞれのタイプの業者と相談して、相場観をつかみましょう。
不動産業者とコンタクトを取る方法は、
- 近くの実店舗を訪問する方法(自分が不動産会社に行く)
- 不動産一括査定サイトで見つけた不動産業者に、訪問査定を依頼する方法(不動産業者に来てもらう)
の2つがあります。
後者の場合は、すまいうるの不動産一括査定サービスで訪問査定を依頼することが可能です。
さいごに
不動産のオーナーは、言い換えれば大家さんです。
大家さんなら、どんな人でもできそうなイメージがあったかもしれまあせん。
実際、昔であれば不動産会社に任せておけば入居者が集まり、不動産の知識や経営的な判断をしなくても不動産を運用していくことが可能でした。
しかし、現在ではインターネットの普及により、消費者は同じエリアにどんなアパートやマンションがあり、家賃や間取り、駅からの距離、設備などをかんたんに比較できるようになりました。
その結果、消費者の目線で不動産の広告を出したり、設備を充実させていたりする不動産オーナーの保有するマンションやアパートは満室となる一方で、何の対策も問わない物件ではなかなか入居者が見つからないという現象が起こっています。
もし入居者がつかない場合、固定資産税やマンション管理費などの固定費を支払い続けることになり、金銭的にも精神的にも落ち込んでしまいかねません。
さらに賃貸経営で収入がある場合は、確定申告をおこなう必要もあります。
このため確定申告についての知識を学ぶ必要があり、さらには実際に確定申告を行う手間と時間もかかります。確定申告自体は税理士に任せることも可能ですが、その場合は税理士への報酬の支払いが必要です。
以上のことから、ひとつの事業として始めるという覚悟もなく、軽い気持ちで賃貸経営することはおすすめできません。
賃貸は売却のような不動産処分の一手段ではなく、所有する不動産物件を利用して賃借人に居住空間を提供するサービス事業だということを忘れないでください。
事業である以上、家賃はどうするか、リフォームが必要かといった経営者としての視点や判断が求められます。
賃貸を選ぶ場合は、なんとなく始めるのではなく、計画性を持ってスタートしましょう。
編集 すまいうる編集部
不動産売却にまつわるお客様の悩みや疑問に寄り添い、正しい情報をわかりやすく伝えることをモットーに執筆・編集をおこなっています。 不動産は大切な資産。お客様が納得できる形で売却できるように、心を込めてサポートいたします。