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不動産の売却では、仲介手数料や登記関係費用などの諸費用がかかります。
不動産自体が1,000万円単位の高額商品なので、諸費用額も100万円を超えるケースも多く、売主にとっては負担となりますよね?
そんな中、実は支払うお金以外に返還されるお金もあり、それが「固定資産税の精算金」なのです。
固定資産税の清算?
不動産売却の引き渡しの際、引き渡し以降分の固定資産税を計算して買主からもらうことでござるよ!
この記事では、以下の点を解説していきます。
この記事ではこんな悩みを解決します!
- 不動産を売却した年の固定資産税ってどうするの?
- 固定資産税の精算とは?
- 具体的な固定資産税の精算方法は?
不動産会社によっては固定資産税の精算をしない会社もあります。
「精算すれば●●万円返還されたのに…」という事態を防ぐためにも、固定資産税の精算金は売主の立場なら把握しておきましょう。
引き渡し後に精算金を請求するのは難しいため、この記事を確認して売買契約時にきちんと買主と取り決めておきましょう。
固定資産税の納税義務者は「1月1日時点の所有者」
固定資産税は「不動産の1月1日時点の所有者」に課税されます。
所有者とは「土地登記簿又は土地補充課税台帳に所有者として登記又は登録されている人」のことで、平たく言えばその不動産の名義人に支払い義務が生じます。
今回の固定資産税の精算は、この「1月1日時点の所有者に課せられる税金」という部分が肝となるのでよく覚えておきましょう。
固定資産税の支払い方法
固定資産税は、行政から4月~6月ころに届く「固定資産税 納税通知書」で支払います。
固定資産税は4/1~翌年3/31までの課税になるので、その計算が終わったころに届くのです。
固定資産税は一括で支払うこともできますし、6月末、9月末、12月末、翌年2月末と4回に分けて支払うことも可能です。
一括と分割の納付書が送られてくるので、都合に応じて支払う流れになります。
不動産売却した年の固定資産税の精算方法
不動産売却をした年の固定資産税は買主との間で日割り調整(固定資産税の精算)を行うことが一般的になっています。
不動産売却した年の固定資産税のポイントは以下の2つです。
- 固定資産税の負担割合は引き渡し日を基準に売主・買主で決める
- 日割り計算しても支払うのは売主
固定資産税の負担割合は引き渡し日を基準に売主・買主で決める
固定資産税の精算は、売主・買主との間で負担割合を決めます。
というのも、固定資産税は1月1日時点で不動産を所有している人へ課せられる税金なので、年の途中で不動産を売却しても、その年の固定資産税は全額所有者(売主)に課税されます。
売主が1年分支払うんだね。
そうだよ。でも、引き渡しの後はその不動産を所持しないから、引き渡し以降分の費用を買主に負担してもらうのが一般的になっているでござる。
不動産売買では引き渡し日を基準に、売主と買主で固定資産税を按分するのが一般的です。
つまり、引き渡し日によって負担割合が異なるということです。
日割り計算しても支払うのは売主
仮に、固定資産税の精算をして買主が固定資産税の一部を売主に精算(支払う)するとします。
しかし、あくまで固定資産税の納税義務者は、1月1日時点で不動産を所有していた売主です。
税金を請求する行政は、あなたが不動産を売却したことを知りません。もちろん、売主と買主との間で「固定資産税の精算」が取り交わされたことも知りません。
そのため、固定資産税の精算をしたとしても、行政からの納税通知書は売主に請求されます。
請求がぜんぶ売主にいくなら、売主は買主からいつお金をもらうの?
売買金額に清算金を上乗せする方法が一般的でござる。
「売買代金」「固定資産税の精算分」と項目自体は分けますが、引き渡し日に売買代金と一緒に買主が売主の口座に振り込むのが一般的です。
編集部からひとこと
固定資産税の精算をする際の注意点は「契約日は関係ない」という点です。
不動産売却の際は、売買契約を結び、売買契約から1~2か月後に引き渡しをします。 固定資産税の精算は、契約日は関係なく「引き渡し日」から起算します。
売買契約を結んでも所有権は変わらず、売買契約は「〇月〇日までに引き渡します」という約束をしただけに過ぎません。
仮に、引き渡し日が当初の予定より遅れた場合、もう一度精算金を計算するかどうかはケースバイケースです。
売買契約書に盛り込んでいた場合は「変更契約」が必要になり手間がかかるので、そのままの金額で据え置くケースも多いです。
固定資産税の精算の具体例
固定資産税が年間20万円の不動産を4月15日に引き渡した場合を想定して、固定資産税の精算をしてみましょう。
起算日を4月1日にするか1月1日にするかによって精算金額は変わります。
結論からいうと、固定資産税は先述したように4/1~翌年3/31までの税金なので、起算日も4/1にするケースが多いです。
どちらを起算日にするかは仲介会社が売主・買主に提示して、両者が何も言わなければその提示日を起算日にします。
2つのケースで金額の違いを見ていきましょう。
起算日が4月1日の場合
- 売主 14日(4月1日~4月14日)⇒ 20万円✖14日÷365日=7,600円
- 買主 351日(4月15日~3月31日)⇒ 20万円✖351日÷365日=192,400円
売主は4/1~4/14まで不動産を所有しているので、14日分の固定資産税を支払います。
一方、買主は残りの351日分の支払いです。
上記が売主・買主が支払うべき固定資産税になります。
つまり起算日を4月1日とした場合、4月15日に不動産の引き渡しを行うと、引き渡し日に買主から固定資産税の精算金として192,400円をもらうことができます。
起算日が1月1日の場合
- 売主 14日(1月1日~4月14日)⇒ 20万円✖105日÷365日=57,000円
- 買主 351日(4月15日~12月31日)⇒ 20万円✖260日÷365日=143,000円
売主は1/1~4/14まで不動産を所有しているので、105日分の固定資産税を支払います。
一方、買主は残りの260日分の支払いです。
上記が、売主・買主が支払うべき固定資産税になります。
つまり起算日を1月1日とした場合、4月15日に不動産の引き渡しを行うと、引き渡し日に買主から固定資産税の精算金として143,000円をもらうことができます。
注意!固定資産税の精算は“義務”ではない
不動産売買では固定資産税の精算を行うのが一般的ですが、固定資産税の精算は義務ではありません。
法律で決められているものではないため、精算したい場合は売買契約書または重要事項説明書に明記しておく必要があります。
固定資産税は「1月1日時点の不動産所有者に課せられる税金」なので、むしろ買主が売主に払わなくても法的には何ら問題ないといえます。
不動産売買では一般的だけど、法的な義務はないんだね。
法律に定められてはいないので、売主の立場から当然のように精算金を求めるというスタンスは避けるでござる!
この点に関しては、仲介会社によっても固定資産税を精算するかどうかは変わります。
ほとんどの不動産会社では固定資産税を精算しますが、なかには精算を提案しない不動産会社社もあります。
不動産会社が売主・買主に提示する諸費用表を見れば、固定資産税の精算を加味しているかどうかは分かります。
仲介手数料や登記関係費用などが記載されている諸費用表に「固定資産税の精算分」などの記載があれば、固定資産税を精算するということです。
このような文言がない場合には、不動産会社に「固定資産税の精算はしないのか?」と聞いても問題はありません。
精算する場合は売買契約書に明記する
固定資産税を精算する場合、買主にも同じように諸費用表で明示します。
しかし、あまり良く理解していない買主がいるのも事実なので、固定資産税の精算に関しては売買契約書、もしくは重要事項説明書に明記しておきましょう。
その際、起算日をきっちり明記するのがポイントです。
起算日を明記することで金額が明確になり、買主も納得感を持って支払いに応じます。
まとめ
それでは、今回解説した「不動産売却における固定資産税の精算」について、覚えておくべきことをおさらいしましょう。
記事のおさらい
- 固定資産税はその土地の1月1日の所有者(売主)に課せられる
- 固定資産税の精算とは引き渡し日以降の固定資産税を買主が支払うこと
- 起算日の設定によって買主からもらう金額が異なるので売買契約書に明記する
- 固定資産税の精算を行わない不動産会社もいるので注意する
上記の点について、特に固定資産税の精算金が起算日によって異なるという点をよく覚えておきましょう。
起算日の取り決めなども含め不動産会社に相談しなければいけませんが、トラブルを回避するため早めに相談しておきましょう。
そうすれば、不動産会社から買主に諸費用表を提示するとき、固定資産税の精算金額を盛り込めます。
最初から盛り込んでおけば問題ないので、トラブルに発展しにくくなります。
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