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不動産の売却価格はどう決める?売却価格の決め方をゼロから解説!

2018.10.22投稿 不動産の売却価格の決め方
監修の中村裕介さんの写真

不動産ライター兼不動産経営者

監修 中村裕介

不動産の売却価格はなるべく高くしたいけれど、どのくらいの価格に決めるべきか悩みますよね。

この記事ではこんな悩みを解決します!

  • 「不動産の売却価格の決め方を知りたい」
  • 「自分がつけている売却価格が適正か知りたい」
  • 「不動産の値下げはどこまで対応すればいいのかわからない」
  • 「便利な査定方法を知りたい」

上記のようなお悩みをお持ちの人に向けて、不動産売却を決める際に大切なポイントから値下げに関する注意点価格変更のスケジュールまでをお伝えします。

また、記事後半では不動産一括査定サイトの利用法についても解説いたします。

サイト選びに迷っている人はぜひ参考にしてください。

不動産の売却価格を決める際に知っておくべき3つのこと

不動産の売却価格を決める方法について解説する前に、知っておくべき3つのポイントについてまとめました。

不動産の売却価格の決め方については、不動産業者や不動産鑑定士などからのアドバイスがあります。そして売り出したあとは、買主からの希望購入価格など、さまざまな意見が飛び交います。

しかし、最後に売却価格を決めるのは自分自身であることを胸に留めておいてください。

不動産の価格は同じものは一つもない

不動産の価格には、同じものは一つもありません。たとえ同じマンションの、同じ階の、同じ間取りの部屋であっても、売却価格は異なります。

不動産の売却価格は、最終的に売主と買主の同意によって決まります。

仮に隣のマンション物件が3,000万円で売れたとしても、自分の物件はそれより下回る可能性があります。もちろん、その逆で上回る可能性もあります。

売出価格と成約価格は異なる

「売出価格」は、売主が不動産業者と相談して「この家を●●万円で売ろう」と決めて、最初に市場に売り出す価格です。

実際に買主が現れたあと、価格交渉の末に決まるのが「成約価格」です。

ほとんどの場合、成約価格は価格交渉により、最初に決めた売出価格を下回る価格となります。

よく勘違いしやすいのですが、売出価格と査定価格は異なります。査定価格は、このくらいの金額の価値があるからその価格で売れるというものではなく、あくまで不動産業者が見積もった金額です。

売主はこの査定価格や物件があるエリアの相場価格などを参考にした上で、売出価格を決定します。

値引きがあることを前提に決める

上記の通り、最終的な販売価格(成約価格)は売出価格を下回ります。なるべく高く売りたい、値引きは絶対にしたくない、という気持ちはわかります。

しかし、買主の立場になってみれば、少しでも安く買いたいのは当たり前です。多くの場合、個人間の不動産取引では買主から値引きの要請があります。

値引きを受け付けないのではく、売出価格は値引きがあることを前提に、値引き分を盛り込んだ価格設定をおこないましょう。

次からは、不動産の売却価格の決め方について具体的にお伝えします。

不動産の売却価格の決め方の流れ

不動産の売却価格の決め方の流れを、3つのステップから解説していきます。

(1)自分の理想の価格と最低価格を決める

不動産の売却価格を決めるための最初の作業は、自分の理想の価格を決めることです。

「このくらいで売れたら良いなぁ」という感覚で良いので、理想価格を決めてみましょう。

ただし5,000万円で買った不動産が1億円で売れることはありません。不動産の状態、築年数なども考慮してあくまで常識の範囲内で設定しましょう。

次に最低価格を決めましょう。

最低価格は、住宅ローンの残債を全て返済できる金額など、その金額で売れないと資金計画が破綻して、今後の生活に響くといった最低ラインです。

最低ラインを決めておくと、どこまで値引きに応じられるのかの線引きが容易になります。

(2)不動産業者の査定を依頼する

自分で理想価格と最低価格を決めたら、不動産業者に不動産の査定を依頼します。

この際、一社だけでなく、複数の不動産会社に査定依頼しましょう。

不動産の査定には、後述するインターネットの一括査定サイトを利用するのが便利です。

売却まで持ち込みたい不動産業者は、査定価格を市場価格よりやや高めの魅力的な査定価格を出してくることがあります。査定価格を見て「こんなに高く売れるんだ」と錯覚しないようにしましょう。

補足:不動産鑑定士に有料査定を依頼したほうが良いケース

不動産の査定は、不動産業者に依頼するほか、不動産鑑定士に有料で査定を依頼する方法もあります。不動産鑑定士に依頼した場合、数十万円程度の費用がかかります。

不動産鑑定士に有料査定を依頼したほうが良いケースは以下の通りです。

  • 不動産相続で公平な財産分与のため、正確な不動産価値を出す必要がある
  • 不動産業者同士の取引である
  • 立ち退き料を算出するための借家権価格など、法的なトラブルがある

個人が不動産を売却する場合は、不動産業者の査定で十分といえます。

【用語解説】不動産鑑定士

不動産を鑑定評価するための国家資格。不動産の価値を鑑定するのは不動産鑑定士の独占業務であり、不動産業者が有料で不動産査定するのは法律違反です。

(3)理想価格と最低価格と査定価格から売却価格を決める

(1)と(2)で出した理想価格と最低価格と査定価格から、売却価格を決めます。

多くの場合、理想価格が一番高いです。続いて査定価格、最低価格という順に価格が下がっていきます。

万が一、査定価格が最低価格を下回る場合は、不動産売却の計画を改めて見直す必要があります。

この場合、次のような選択肢をとることになります。

  • 売却をあきらめて住み続ける
  • 最低価格で市場に出して様子を見る
  • 最低価格以下の金額で売却し、住宅ローンの不足分については自己資金で補う

もしライフスタイルの変化で土地を離れる必要があり、早急に売却する必要がある場合は、不動産業者へ買取を依頼するのも1つの解決策です。

不動産業者による買取の場合、一般的に売却価格は市場相場より20~40%ほど安くなります。しかし、買主が業者であるため仲介手数料がかからず、数日から数週間という短い期間で売却することができるのがメリットです。

値引き分の金額も想定しつつ、不動産業者と相談しながら売出価格を決めていきましょう。

売却価格はスケジュール戦略に沿って変更していく

住宅の買い替えが迫っていて早急に物件を売却したい場合や、逆に時間はかかっても良いので高値で売りたい場合など、それぞれ不動産を売却する事情は異なります。

また、長期間物件が売れない場合は、適正な売却価格でない可能性があります。

売却価格は一度決めたら終わりではなく、状況に合わせて柔軟に変更していかなければなりません。

その際、場当たり的に価格を変更していくのではなく、あらかじめスケジュール戦略に沿った価格変更を行っておくべきです。

おすすめのスケジュール戦略は以下の通りです。

筆者オススメ!価格変更のスケジュール戦略

  1. はじめに1ヶ月か2ヶ月間など一定の期間を決めて、理想価格で物件を売り出す。
  2. 理想価格で販売していた期間内で、市場の反応がない場合、査定価格まで下げて様子を見る。
  3. それでも買主が現れない場合は徐々に最低価格に近づけていく。あるいは、最低価格まで下げる。

このように、価格ごとの市場の反応を見ていく手法がおすすめです。

スケジュール戦略にもとづいて販売価格を変更していくことにより、

「もっと高く売れたのではないか」
「どのタイミングで価格変更を行うべきか」

といった後悔や悩みを回避することができます。

今回ご紹介したスケジュールはあくまで一つの方法であり、販売状況にそぐわないケースもあります。不動産会社と相談して適切な販売スケジュール戦略を立てましょう。

査定価格を決定する3つの手法

不動産業者による査定価格は、物件の販売価格を決定するための大切な参考価格です。

査定価格を決定するための代表的な3つの方法について解説していきます。

1.取引事例比較法

取引事例比較法は、売却する不動産と似た条件の不動産、具体的には同じマンションや近隣エリアで取引された事例の成約価格を参考に、売却価格を決めていく手法です。取引事例法とも呼ばれます。

取引事例比較法は、単純に取引事例を集めて平均価格を出すものではありません。また、投げ売りされた事例や、かなり過去の事例などは参考事例として利用しません。

そして、交通の利便性や騒音といった環境要因、物件面積や日当たりの良さ、間取りなどの個別要因も考慮した上で決定されます。

取引事例比較法は、査定価格の算出だけでなく実際の売出価格を決める上でも役立ちます。

ただし、当該エリアで参考にできる取引事例自体が少ない場合は、適正価格ではない価格が出る可能性があります。

2.収益還元法

収益還元法とは、主に投資物件の売却価格を決める際に用いられる手法です。
次の計算式で求められます。

不動産価格(収益価格)=1年間の純収益÷還元利回り

仮に家賃10万円の価値のある物件で、年間の経費が20万円で、年間の利回りが5%とすると、

不動産価格=(10万円×12ヶ月-20万円)÷5%=2,000万円

となります。

実際に投資用物件として売り出すわけではありませんが、収益還元法によって算出される価格は、物件の価値を表す一つの指標として利用できます。

3.原価法

原価法は、再調達原価をもとに物件価格を出す手法です。

再調達原価とは、売却する物件と全く同じ建物を今建てた場合にかかる材料費・労務費(再調達価格)を計算した上で、経年劣化による価値の低下を差し引いて算出されます。

価格査定は「机上査定」と「訪問査定」の2つの方法がある

不動産業者による査定は、「机上査定」と「訪問査定」の2つの方法があります。

机上査定は、簡易査定とも呼ばれます。
物件を訪問せずに近隣の似た条件の取引事例や路線価(国の定めた道路の価格)、公示価格(国土交通省が定めた土地の価格)などをもとに価格を算出する査定方法です。

電話やメールで不動産業者に依頼してすぐに返ってくるのが机上査定のメリットです。おおまかな価格イメージをつかむのに適しています。

一方、訪問査定とは、実際に不動産業者が売却予定の物件を訪問して査定する方法です。物件の状態・設備や日当たり、道路の幅などについて詳細なチェックを行った上で、査定価格を出します。

訪問査定は机上査定に比べると算出に数日を要しますが、物件の価値をより正確に反映した査定価格が出ます。

訪問査定の際に、不動産の売却についてわからないことを直接質問できる点も、訪問査定のメリットです。

不動産一括査定のメリット・デメリット

先ほど述べた不動産の机上査定・訪問査定を複数の不動産業者に毎回電話やメールをするのは、とても手間と時間がかかります。

近年ではインターネットから不動産一括査定サイトを利用して、複数の不動産業者に査定を依頼することができます。

ここからは、不動産一括査定のメリットとデメリットについて解説していきます。

不動産一括査定のデメリット

不動産一括査定のデメリットですが、複数の不動産業者から数多くの営業の電話やメールが来る点です。

査定依頼した以上、仕方のないことですが、あまりに多くの業者に依頼しすぎると対応しきれなくなります。多くても5〜6社程度に依頼することをおすすめします。

また不動産業者は依頼が欲しいので、少し高めに査定価格を出してくる可能性があります。

査定価格はあくまで参考価格である点に留意しましょう。

不動産一括査定のメリット

不動産一括査定のメリットは、

  • 自分の売却する物件のおおまかな相場価格がわかる点
  • 複数の不動産業者に依頼する時間と手間がかからない点
  • 不動産売却に強い業者が選べる点

です。

査定サイトに登録している不動産業者は、不動産売却に実績がある業者が多く、競争にも慣れています。

複数の業者に売却を依頼する「一般媒介契約」を結ぶ予定の人には、特に一括査定サイトの利用をおすすめします。

不動産一括査定サイトの選び方

不動産一括査定サイトの選び方について確認しましょう。

運営歴・運営会社・プライバシーマーク認定をチェック

不動産一括査定サイトは、「運営歴」の長いサイトを選びましょう。長年運営してきたという実績と蓄積されたノウハウが期待できます。

「プライバシーマーク認定」の有無は、事業者の個人情報の取り扱いが適切であるかを判断する基準になります。

「運営会社」は一部上場企業やそのグループ会社などは信頼できるポイントです。ただし運営会社もベンチャーなど非上場企業がダメというわけではありません。

相談・メール・フリーダイヤルなど、受付機能がしっかりしたサイトを選ぶ

相談・メール・フリーダイヤルなど、受付機能がしっかりしている一括査定サイトを選びましょう。

特にフリーダイヤルは口頭で細かい点も確認できるので、フリーダイヤルがあるサイトがおすすめです。

売却するなら匿名の査定サイトは選ばない

不動産一括査定サイトには、「匿名」で査定価格を確認できるサイトもあります。

不動産の市場価値を確認するためなら匿名での査定は便利ですが、不動産売却を決めている場合、匿名で査定するメリットはありません。

まとめ

それでは、不動産の売却価格の決め方についておさらいしましょう。

記事のおさらい

  • 不動産の価格は同じものは一つもない。同じマンションでも価格は異なる
  • 査定価格が成約価格になるわけではない
  • 理想の価格と最低ラインの価格の2つは自分で決める
  • 理想価格と最低価格と査定価格から売却価格を決める
  • 不動産取引には値引きがあるので、売却価格は値引きを想定した価格にする
  • 売却価格の変更はあらかじめ作成したスケジュールに沿って行う
  • 査定価格は取引事例比較法・収益還元法・原価法で計算される
  • 一括査定サイトは運営歴・運営会社・プライバシーマーク認定をチェックする

上記の決め方の基本を押さえれば、不動産売却の経験がなくても適正な売却価格を決めることができます。

今回の記事で紹介した内容が、不動産を売却する際の参考になれば幸いです。

監修の中村裕介さんの写真

不動産ライター兼不動産経営者

監修 中村裕介

宅地建物取引士、保育士

1983年福岡生まれ。上海復旦大学卒。 商社、保育園、福祉施設での勤務を経て、現在は不動産の記事を中心に手がけるライター兼不動産経営者。実際に店舗・住宅を提供している立場から、不動産に関する記事を執筆中。 趣味はフットサル、旅行、読書。美容と健康のために毎日リンゴ人参ジュース飲んでます。

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