不動産売却の相場の調べ方と査定額が相場と大きく異なる理由を解説

2018.08.24投稿 不動産売却の相場の調べ方と査定額が相場と大きく異なる理由を解説
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不動産鑑定士

竹内英二

不動産の売却を考えたとき、「いくらで売れるのか」は誰でも重視したいポイントです。
それゆえに、おおよその相場でも良いから事前に知りたい、と気になりますよね。

なかには、売るつもりはまったくないけど資産価値を知りたい、という興味で相場を知りたい人もいるかもしれません。

しかし、ネット検索しても初心者視点に立って“相場の調べ方”をやさしく教えてくれるサイトは少ないです。実際、ほかのサイトでは解決できず、この記事をご覧になっている人もいるのではないでしょうか。

この記事ではこんな悩みを解決します!

  • 不動産の相場ってどれくらいなの?
  • 不動産の相場の調べ方にはどんな方法があるの?
  • 相場と査定額はどう違うの?

この記事は、現役の不動産鑑定士が「初心者でもわかる」ということを重視して執筆しました。

上記のような悩みをお持ちの人に向けて、不動産売却の相場やその調べ方について、誰にでも分かるように順を追って説明していきます。

相場を知るだけでは売却はできませんので、査定についても解説します。

この記事を最後まで読めば、不動産の相場について理解ができ、相場の調べ方や査定を取るべきかどうかを判断できるようになります。

ぜひ最後までご覧ください。

不動産の成約価格をもとにした平均価格

この章で確認できるのは、実際に成約した価格から算出した「平均価格」です。

しかし、大きなエリア内の平均であり、便利な場所や不便な場所が混ざったような状態です。
平均価格は参考の参考程度と理解しておきましょう。

精度の高い相場を確認したい人は「かんたん!信頼できる相場の調べ方」から読んでください。
(かんたんな計算が必要です)

まず最初に、不動産の相場(平均価格)はどれくらいなのかを紹介します。

紹介するデータは、指定流通機構(※)が公開している情報です。
全国の不動産会社から実際に売買が決まった成約価格を収集し、統計データとして管理しています。
※指定流通機構とは:宅地建物取引業法に基づき、国土交通大臣が指定した不動産流通機構のこと。

SUUMOやアットホームといった不動産ポータルサイトでは、売出価格しか分かりません。

一方、指定流通機構では成約価格(実際に売れた価格)を把握しているため、実態相場を把握することができます。

中古マンションの相場(平均価格)

東日本および近畿圏不動産流通機構によると、首都圏および近畿圏の中古マンションの平均価格は以下のとおりです。(2018年2月現在)

首都圏の中古マンション平均価格
首都圏 東京 埼玉 千葉 神奈川
㎡単価(万円) 51.19 67.71 31.10 28.07 42.09
平均価格(万円) 3,353 4,154 2,138 2,124 2,848
近畿圏の中古マンション平均価格
近畿圏 大阪 兵庫 京都 奈良 滋賀 和歌山
㎡単価(万円) 32.00 35.20 28.50 34.60 21.60 26.40 11.40
平均価格(万円) 2,186 2,344 2,072 2,163 1,626 1,938 754

中古住宅の相場(平均価格)

東日本および近畿圏不動産流通機構によると、首都圏および近畿圏の中古住宅の平均価格は以下の通りです。(2018年2月現在)

首都圏の中古住宅の平均価格
首都圏 東京 埼玉 千葉 神奈川
平均価格(万円) 3,451 4,559 2,327 2,088 3,551
近畿圏の中古住宅の平均価格
近畿圏 大阪 兵庫 京都 奈良 滋賀 和歌山
平均価格(万円) 2,119 2,102 2,245 2,434 1,555 1,915 1,429

土地の相場(平均価格)

東日本および近畿圏不動産流通機構によると、首都圏および近畿圏の100~200㎡の土地の平均価格は以下の通りです。(2018年2月現在)

首都圏の土地の平均価格(100~200㎡)
首都圏 東京 埼玉 千葉 神奈川
㎡単価(万円) 20.09 33.34 14.02 10.13 18.53
平均価格(万円) 2,956 4,727 2,039 1,576 2,740
近畿圏の土地の平均価格(100~200㎡)
近畿圏 大阪 兵庫 京都 奈良 滋賀 和歌山
㎡単価(万円) 12.70 14.60 13.00 16.80 7.40 7.80 4.50
平均価格(万円) 1,854 2,001 2,003 2,460 1,191 1,203 726

以上、流通機構のデータに基づき不動産の相場について見てきました。

ここまで紹介した相場については、「参考の参考」程度にとどめてください。
エリアの平均価格は、実際の売買に当たりほとんどあてになりません。

そこで次に相場があてにならない理由について解説します。

平均価格があてにならない理由

平均価格は、さまざまなエリアや築年数の物件が混在した状況の数字です。
相場を把握するには適切ではありません。

理由は

ということが挙げられます。

これだけだとイメージが湧きにくいと思うので、具体例を見てみましょう。


土地の例:「大きなオフィスビルが建つ駅前の土地」と「山間部の土地」
建物の例:「築1年目の戸建住宅」と「築40年目の戸建住宅」


山間部より駅前、築40年より築1年のほうが、あなたも価値を感じませんか?

前章で紹介したように、神奈川県の戸建住宅の平均価格は約3,500万円です。しかし、実際には6,000万円を超える物件はたくさんありますし、1,000万円程度の物件もたくさんあります。

6,000万円の物件を持っている人が、3,500万円の相場を把握しても、あまり意味がないことになります。

よって、平均価格はあてにせず、参考の参考程度にとどめてください。

適切な相場は「エリア」と「築年数」で把握する

不動産の相場は、対象とする範囲を広げるほど、ぼやけた数字になりがちです。
適切な相場を把握するには、狭い範囲で把握する必要があります。

適切な相場を把握するには、とりあえずエリアと築年数の2つだけを意識して考えてください。

土地については、「エリア」を狭める必要があります。
狭いエリアで把握するほど、精度の高い相場を知ることができます。

建物については、「築年数」を狭める必要があります。
築5年程度の範囲で把握すると、精度の高い相場を知ることができます。

もちろん、不動産の価格は、エリアと築年数だけで決まるものではありません。ほかの要因も影響します。

同じエリアの土地でも、広い土地と狭い土地、整形な土地と不整形な土地では価格が異なります。
築15年~20年の範囲の建物でも、リフォームの有無によって価格は異なります。

しかし、「とりあえず相場」というレベルであれば、エリアと築年数の2つを狭めて把握することを意識すれば十分です。

条件が広い範囲で平均化されている相場では、実態がつかみにくいことを理解しておきましょう。

以上、ここまで相場があてにならない理由について見てきました。

では、なるべく条件を狭めて相場を把握する方法には、どのようなものがあるのでしょうか。

そこで次に自分でも簡単にできる相場の調べ方について解説します。

かんたん!信頼できる相場の調べ方

適切な相場を把握するためには、次の2つがポイントとなります。

ここでは、条件を絞って相場を把握できる調べ方をご紹介します。

先に各方法について、「データの信頼性」と「調べるときの手軽さ」を下表にまとめました。

相場の調べ方
方法 調べられる対象 データの信頼性 調べるときの手軽さ
レインズマーケットインフォメーション マンション・戸建 ★★★★★(5点) ★★★☆☆(3点)
相続税路線価 土地 ★★★☆☆(3点) ★★★☆☆(3点)
固定資産税評価額 土地 ★★☆☆☆(2点) ★★★★☆(4点)
匿名サイト マンション・戸建 ★★★☆☆(3点) ★★★★★(5点)

信頼性・正確性を求めるのであれば、

建物:レインズマーケットインフォメーション
土地:相続税路線価

で調べるのがオススメです。

多少面倒でもより正確に知りたいのか、それよりも手っ取り早く知りたいのか、ご自身に合った方法をぜひ試してください。

マンション・住宅の価格は「レインズマーケットインフォメーション」で調べる

中古マンションと中古戸建住宅については、レインズマーケットインフォメーションである程度の相場を調べることができます。

※レインズとは
 Real Estate Information Network Systemの頭文字とった略称。
 はじめの章で紹介した「平均データ」を公開している不動産指定流通機構のことで、宅地建物取引業法に基づき創設された公の組織。

レインズでは、取引で実際に決まった成約価格の情報を不動産会社から収集しています。
相場を把握する上では、もっとも信頼できるデータベースを有しています。

レインズが保有しているその成約データを、対象(成約した物件)を特定できない形にして一般に公開されているのが「レインズマーケットインフォメーション」です。

レインズマーケットインフォメーションで確認できることは以下。

  • マンションと戸建の両方の価格を「都道府県」と「地域」で調べられる
  • 絞ったエリアにおける「直近2年間の平均成約価格・平均㎡単価・平均専有面積の推移」も見ることが可能
  • 追加検索条件で「地域詳細」や「築年数」を絞り込むことができ、対象地域の事例一覧を見ることが可能

ただし、注意点が1つあります。

地方は都市部よりも取引情報が少なく、追加検索条件で絞り込むと該当するデータが出てこないことがあります。

データとしては信用性が高いのですが、知りたい場所にデータがないと全く表示されないため、若干使い勝手が悪いです。

土地価格は「相続税路線価」で調べる

次に、土地価格の調べ方についてご紹介します。

土地価格を把握するには、相続税路線価を調べる方法がオススメです。

相続税路線価とは、土地の相続税評価額を計算するために、国税庁が開示している土地価格のことです。1月1日時点の価格を表し、毎年、更新されています。

相続税路線価は、時価の80%相当額であるという点がポイントです。つまり、時価(土地価格)は相続税路線価から逆算することになります。

(例)相続税路線価で調べた土地価格が800万円の場合
   土地価格の相場は… 800万円 ÷ 0.8 = 1,000万円

相続税路線価は、国税庁が運営している「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」というホームページで見ることが可能です。

最新年分の路線価図の中から、対象となる土地の所在を辿っていくと、対象地を含む路線価図を見つけることができます。

路線価の読み方・計算方法

路線価図には、その名の通り、路線(道路)に価格が記載されています。
この価格は、1,000円/㎡を表したものになります。

例えば、対象地の前面道路に150と記載されていたら、その土地の路線価は150,000円/㎡ということを意味します。

路線価 = 150 × 1,000円/㎡
    = 150,000円/㎡

路線価を見ると、150Dとか150Eのように、AからGまでの記号が振られています。
先に言うと、これらの記号は無視して大丈夫です。

この記号は、更地価格に対する借地権価格の割合を表す「借地権割合」と呼ばれるものを示しています。土地の相場を把握するにあたっては、借地権割合は関係ありません。

とりあえずAからGの記号は無視してください。
150Dや150Eと記載されていても、路線価は150,000円/㎡です。

では、ここで200㎡の土地で路線価が150の場合の土地の相場を計算してみましょう。

土地の相場 = 路線価 × 面積 ÷ 0.8
      = 150,000円/㎡ × 200㎡ ÷ 0.8
      = 37,500,000円

「÷0.8」としているのは、相続税路線価が時価の80%相当額であるためです。
0.8で割り戻すことで、時価相当額、つまり相場を把握することができます。

なお、地方では相続税路線価がないエリアがあります。
このエリアにおける相場の確認方法を次で紹介します。

相続税路線がない場合は「固定資産税評価額」で相場を調べる

相続税路線が存在しないエリアのことを「倍率地域」と呼びます。

倍率地域では、固定資産税評価額を用いて相場を把握する方法がオススメです。
固定資産税評価額は、時価の70%相当額を表しています。

固定資産税評価額は、固定資産税納税通知書に記載されています。

固定資産税納税通知書は、毎年納税者に送られていますので手元を確認してみてください。

もし納税通知書を紛失してしまった場合は、市区町村町役場で「固定資産評価証明書」という書類をもらいましょう。
この書類で固定資産税評価額を確認することができます。※固定資産評価証明書はだいたい300~400円ほどで発行できます(自治体によって金額が変わります)

計算方法

固定資産税評価額は、時価の70%相当額です。
つまり、固定資産税評価額を0.7で割ることで、時価を把握することが可能です。

例えば、固定資産税評価額が700万円の場合、時価は以下のように把握されます。

土地の相場 = 固定資産税評価額 ÷ 0.7
      = 700万円 ÷ 0.7
      = 1,000万円

このように、固定資産税評価額を使うことで、とても簡単に相場を把握することができます。

ただし、注意点が1つあります。

前節で紹介した「相続税路線価」は毎年価格が更新されるため、タイムリーな相場を把握することができます。これに対し、「固定資産税評価額」は、3年に1度しか価格が更新(“評価替え”と言います)されません。

そのため、土地の相場を調べたいときは、基本的には「相続税路線価」を用いましょう。
路線価のない「倍率地域」の土地の場合だけ、「固定資産税評価額」を用いるのが良いでしょう。

匿名サイトによる調べ方

相場の把握では、匿名サイトの利用もオススメです。

匿名サイトとは、物件の基本的な情報だけを入力し、その場でポンッと価格を示してくれるサイトです。

主な匿名サイトには、以下のようなものがあります。

サイト名 特徴
HowMA(ハウマ) 全国のマンションと戸建に対応
HOME’Sプライスマップ 全国のマンションに対応
IESHIL(イエシル) 首都圏のマンションのみ
SUUMOマンション売却シミュレーター 東京23区のマンションのみ

一般に査定とは、不動産会社が実際に家を見て査定する「訪問査定」を指します。

しかし、匿名サイトは訪問を受ける必要がありません。
インターネット上で物件の基本的な情報を入力することで、過去の膨大なデータベースをもとに査定してくれるシステムになっています。

前の章で、不動産の相場を適切に把握するには「エリア」や「築年数」を絞る必要がある、と解説しました。

匿名サイトでの査定は、物件の情報を入力することで自然とこれらの条件を絞ることができます。

おすすめの匿名サイト

おすすめの匿名サイトは、HowMAです。
理由は、全国対応していることと、戸建にも対応していることが挙げられます。

HowMAは家の査定ができるほか、不動産相場マップというものがあり、まさしく相場を簡単に知ることができます。

なお、HOME’Sプライスマップは、操作を間違えると訪問査定に誘導されてしまいます。
訪問査定を受けたくない人は、慎重に操作するようにして下さい。

以上、ここまで簡単にできる相場の調べ方について見てきました。

相場はある程度自分で把握することも可能です。
しかし、本当に売却をするのであれば相場では不十分です。

そこで最後に、不動産査定について紹介します。

しっかり価格を知りたいなら不動産査定

匿名サイトの登場により、相場の把握はかなり簡単にできるようになりました。

しかしながら、不動産は実際に物件を見ない限り、最終的な価格を判断することができません。

土地価格の変動要因
変動要因 土地価格への影響
土地が非常に広い。 戸建開発用地ならマイナスとなり、マンション開発用地ならプラスとなる。
角地である。 プラスとなる。
土地の形が旗竿状になっている。 マイナスとなる。
土地が道路よりも低い。 マイナスとなる。
前面道路が狭い。 マイナスとなる。
周辺に嫌悪施設(墓地、高圧線、汚水処理場)がある。 マイナスとなる。
建物価格の変動要因
変動要因 建物価格への影響
リフォームしている。 プラスとなる。
高級な仕上げ材(大理石、チーク材等)を使っている。 プラスとなる。
耐震改修を行っている。 プラスとなる。
破損している。 マイナスとなる。
傾いている。 マイナスとなる。
過去に忌まわしい事件(自殺や殺人事件)が発生している。 マイナスとなる。

ここで紹介した要因は一部にしかすぎません。価格に影響を与える要因は、多岐にわたります。

実際に物件を見て所有者からヒアリングを行わないと、実態を把握することができないのです。

また、価格に影響を与える要因は、影響を与える度合いに強弱がありますので、不動産会社の経験や勘に基づく部分も必要です。

実際に査定をおこなうと、相場よりも高い場合や低い場合も十分にあり得ます。

適切な売出価格を決定するためには、訪問査定は必要です。
本格的に売却する段階になったら、訪問査定を実施するようにして下さい。

不動産会社に査定を依頼する

まとめ

不動産売却における相場は、初心者でも自分で調べることができます。

本記事で紹介した相場を調べるコツ・方法を整理しましょう。

記事のおさらい

  • 平均価格で相場を判断することは避ける。(実際の価格とかなり異なる可能性があるため)
  • 自分で調べる場合は、「エリア」と「築年数」の2つの条件を絞ることで精度が上がる。
  • 信頼性を求めるなら、建物はレインズマーケットインフォメーション、土地は相続税路線価を利用する。

ただ、不動産の価格に影響を与える要因は多岐にわたります。
紹介した方法では、あなたの不動産の特徴を加味した価格は分かりません。

売却を本格的に決意したら、適切な売出価格を設定するためにも訪問査定を受けるようにしましょう。

執筆者の竹内英二さんの写真

不動産鑑定士

竹内英二

保有資格:不動産鑑定士、中小企業診断士、宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター、賃貸不動産経営管理士、相続対策専門士、不動産キャリアパーソン

大阪大学大学院卒。不動産鑑定士合格後は、日本土地建物株式会社にて、不動産鑑定やオフィスビル・賃貸マンション等の開発業務に11年間従事。2015年に株式会社グロープロフィット(不動産鑑定業・宅地建物取引業)を設立し代表取締役を務める。趣味は水泳。好きな漫画は「進撃の巨人」。