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相続した不動産を売却するには?正しい手順とかかる税金について徹底解説

2020.02.21投稿 相続した不動産の売却
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編集 すまいうる編集部

家やマンション、土地といった不動産の売却は、多くの方にとってあまりなじみのない手続きです。

そのため、相続した不動産を売却したいと思っても、スムーズに行動できる人はすくないです。なにから始めていいのかわからないとお困りではありませんか?

不動産はその額が大きいことから、手続き一つでかかるお金が大きく変わることもあり、早く処分することだけを考えていると、後悔することもあります。

本記事では、相続した不動産を売却する際の流れやポイントを解説します。

この記事ではこんな悩みを解決します!

  • 相続した不動産を売却するにはどうすればいいの?
  • 相続ならではの注意点が知りたい!
  • 相続した不動産を売却したらかかる税金が知りたい!

相続にも色々なケースがあるかと思いますが、相続した不動産を売却するにはまず登記の名義を変更する「相続登記」が必要になります。

相続登記の方法や、相続登記に必要な書類、かかる税金など、この記事だけでわかるよう解説していきます。

ぜひ最後まで読んでいただき、相続した不動産をスムーズに、そしてできるだけ高く売却しましょう。

なお、「親の家の売却手続きを代わりに行いたい」など「代理人として売却する方法」や「認知症などで売却意思は取れないが、代わりに売却したい」などの方法については下記の記事を参考にしてください。

▽親の家を代わり(代理人・成年後見人として)に売却する方法

相続した不動産を売却するためには「相続登記」が必要

相続した不動産を売却するためには、相続した不動産の名義を被相続人(亡くなった人)から相続人に移す「相続登記」が必要になります。

とりあえず相続したら、相続登記をしなきゃいけないの?

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すぐに相続登記する必要はないよ。ただ、売却するには必要になるから、売却することを決めた段階で相続登記を行おう!

不動産を相続していたとしても、登記上は被相続人(亡くなった人)のままでも法的には問題はありません。

しかし、いざその不動産を売却するとなると、名義を変更していなければ売却できません。

売却前には相続登記を済ませておかなければならないのです。

売却を決めた場合は、まず相続登記を行いましょう。

相続登記の方法

相続登記は、法務局に必要書類を提出することで完了します。

建物と土地それぞれで登記が必要である点に注意しましょう。

では、相続登記の必要書類、自分で行うか専門家に依頼するかなど、具体的な進め方について確認していきます。

相続登記に必要な書類

相続登記に必要な書類をケース別にまとめました。以下の3つのケースに分けて紹介します。

  • 遺産分割協議により相続登記する場合
  • 法定相続分の割合で登記する場合
  • 遺言書により法定相続人が相続する場合

遺産分割協議により相続登記する場合

法律で定められた割合ではなく、遺産分割協議の結果にもとづいて相続登記する場合の書類は、下記になります。

遺産分割協議の結果、相続人になる人の書類が必要になります。

必要書類
亡くなった人に関する書類 死亡した被相続人の、出生から死亡までの戸籍謄本
被相続人が亡くなった旨が記載されている住民票の除票
相続人に関する書類 相続人全員の現在の戸籍謄本
遺産分割協議によって決められた相続する人の住民票

遺産分割協議書

相続人全員の印鑑証明書
その他書類 登記申請書
固定資産評価証明書

法定相続分の割合で登記する場合

法律で定められた割合(法定相続分)で登記する場合の必要書類は、下記のとおりです。

遺産分割協議をする場合よりも、書類がすくなくなります。

必要書類
亡くなった人に関する書類 死亡した被相続人の、出生から死亡までの戸籍謄本
被相続人が亡くなった旨が記載されている住民票の除票
相続人に関する書類 相続人全員の現在の戸籍謄本

相続人全員の住民票
その他書類 登記申請書
固定資産評価証明書

遺言書により法定相続人が相続する場合

遺言にもとづいて法定相続人が相続をする場合の必要書類は、下記のとおりです。

遺言で指定された相続人と亡くなった人との関係を証明できればよいため、書類が一部減っています。

必要書類
亡くなった人に関する書類 遺言書
亡くなった人の死亡時の戸籍謄本
亡くなった人の住民票の除票
相続人に関する書類 遺言書で定められた相続人の現在の住民票
その他書類 登記申請書
固定資産評価証明書

相続登記は専門家に依頼するのがオススメ

相続登記の手続きは、自分で行うこともできますが、専門家である司法書士に依頼するのが一般的です。

司法書士の報酬目安は、不動産1つで5万円前後になります。

5万円かぁ・・・ちょっと高いかなぁ。

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確かにお金はかかるけど、司法書士に依頼すると「登記申請書」を作成してもらえるほか、印鑑証明書以外の書類を代理で取得してもらえるのでとても楽なんだよ。

日中働いていると書類を取得するための時間がなかったり、役所の窓口の時間に間に合わないなどが考えられます。

また、「登記申請書」の作成は難しいので、自分で相続登記の手続きを行う場合は作成に時間がかかることが多いです。そのため、登記のプロである司法書士に依頼するのが一般的というわけです。

自分で作成する場合も、法務局のホームページで記載例を確認できますし、わからない箇所があれば、法務局の相談窓口で確認しながら作成も可能です。

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法務局の窓口は予約制が多いから、あらかじめ確認してから行こう!

相続の場合の登記申請書は、下記ページの(18)から(22)にあります。

▽法務局「不動産登記の申請書様式について」

相続人が複数いる場合

相続人が複数いる場合、不動産を売却して分ける方法が一般的です。

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複数の人で所有する共有名義にすると売却の手続きが難しくなるので、注意が必要だよ。

《注意》「共有名義」にはしない

相続人が複数人いる場合、とりあえずと不動産を共有名義とすることは避けましょう。

  • 共有名義の場合、売却時に名義人全員の同意と書類が必要になる
  • 今はよくても、相続人の人数が増えて意思統一ができなくなる

現在の相続人間の人間関係が良好でも、時間経過とともに子供や孫などの相続人の数が増えて、相続人全員の意思統一が難しく「負動産」になる心配もあります。

ほかにも不動産の取り扱いや処分を巡ってトラブルに発展するケースもあります。

相続人が複数いる場合は、次の項目で解説する「換価分割」による処分をおすすめします。

相続人が複数いる場合は「換価分割」が手間なし・スムーズ!

相続した不動産を売却するなら、「換価分割」を行うのがオススメで一般的です。

【用語解説】換価分割とは

代表者一名が相続登記し、不動産を売却で現金化してから、そのお金を遺産分割協議の取り決めた割合か、もしくは法定相続分に基づいて分配する方法のこと。

名義が一人になるので手続きがスムーズになります。

また、不動産を現金化してから分割するため、相続の不公平性を避けることもできます。

なお、換価分割を行う場合は、遺産分割協議書に換価分割することを明記する必要があります。

相続した不動産の売却にかかる税金と節税対策

不動産を売って利益が出ると「所得税」や「住民税」がかかります。

相続した不動産の場合は、利益が出るとかかる「所得税」「住民税」に加え、場合によっては「相続税」がかかります。

相続した不動産にかかる費用・税金

  • 利益が出た場合にかかるお金:「所得税」「住民税」
  • 場合によってかかるお金:「相続税」

「所得税」と「住民税」と「相続税」いっぱいあるんだね。

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不動産売却するためにも費用はかかるから、なるべく出費は抑えたいよね。節税できるように確認しよう!

また、利益が出た場合には売却の翌年に確定申告が必要になるため、いくらかかるのかはしっかり確認していきましょう。

1.「所得税」「住民税」

「所得税」「住民税」は不動産売却で出た利益である「譲渡所得」にかかる税金です。

税額=「譲渡所得」×税率

税率は、不動産の所有期間が5年を超える(長期譲渡所得)か超えない(短期譲渡所得)かで異なります。

所得税の税率 住民税の税率
長期譲渡所得
(所有期間が5年超)
15% 5%
短期譲渡所得
(所有期間が5年以下)
30% 9%

所有期間は、亡くなった人が不動産を取得した日から「売却した年の1月1日現在」でカウントされます。

たとえば2020年2月20日に売却しても、計算で使用するのは2020年1月1日です。

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税率にかなりの差があるから、所有期間が4年とすこしなどの場合は、売却時期をずらすことも検討しよう!

譲渡所得の計算方法

譲渡所得は、売却金額から不動産を買ったときの金額や売却するときにかかった費用を差し引きます。

「譲渡所得」=売却金額-取得費-売却するのにかかった費用
「取得費」=購入価格※+買ったときの費用-減価償却費
※建物の購入価格からは減価償却分が差し引かれる

売却するのにかかった費用・・・ってなにが含まれるの?

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不動産会社に払う仲介手数料や、売買契約書に貼る印紙代などの諸経費だよ。立退料や、取り壊し費用も含まれるね。

不動産の購入金額が分からない場合、取得費は売却価格の5%と安くみなされます。

取得費用が安いと譲渡所得が高額になり、かかる税金も多くなります。なので、家を買ったときの売買契約書や領収書は探しておきましょう。

譲渡所得を計算するうえで取得費の計算は大切です。譲渡所得の具体的な計算に関しては下記の記事を確認しましょう。

▽譲渡所得の計算と土地や建物の取得費について

相続した家を売った場合の税金の優遇制度「3000万円特別控除」

相続した家を売った場合、3,000万円までの利益が非課税になる制度があります。

相続した家の売却で使える「3000万円特別控除」の条件

  • 昭和56年(1981年)5月31日以前に建築された家屋であること
  • 相続開始から3年以内の売却で、譲渡価格が1憶円以下
  • 相続した空き家を取り壊して売却するか、耐震リフォーム後に売却すること
  • 相続してから売却するまでの間に、空き家を賃貸住宅などに利用していないこと

以上の条件を満たした場合、令和5年12月31日までは、譲渡所得から最高3,000万円が控除されます。

つまり、「3000万円特別控除」が適用されると、売却などによる利益が3,000万円以下なら税金を払わなくて済みます。

参考:国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」

2.「相続税」

相続税は相続したからといって、すべてのケースでかかるわけではありません。

相続財産(遺産総額)から「基礎控除額」を差し引いた金額に対して、相続税がかかります。

言い換えれば、基礎控除額を超えない限り、相続税はかかりません。

なお、相続税がかかる場合は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内に、税務署に申告して納税しなければならないので気をつけましょう。

✓相続税がかかるかどうかをチェック

基礎控除額=3,000万円+法定相続人の数×600万円

(例)法定相続人が妻と子供2人の場合の基礎控除額
⇒3,000万+600万×3人=4,800万円

例の場合、遺産総額が基礎控除金額である4,800万円以下だと相続税はかかりません。

計算した基礎控除額を超えていた場合のみ、相続税を払うんだね!

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そう! 相続税は基礎控除額を超えた分に対してかかるんだ。税率は下記の表のとおり。

相続税の税率
法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10% -
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

※【2015年1月1日以後の場合】

参考:国税庁「相続税の税率」

相続財産の評価額は、不動産の場合「相続税評価額」で求めます。

土地の相続税評価額については、下記の記事から確認しましょう。

▽土地の相続税評価額の計算(路線価)

建物の相続税評価額は、毎年課税される「固定資産税評価額」で計算します。市町村から毎年送られてくる納税通知書の「価格」や「評価額」の欄を確認しましょう。

トラブル回避!相続した不動産を売却するときの注意点

相続した不動産は、自分が長年住んでいた家でないことが多く、調査が必要です。

空き家にしている期間が長いと屋根や外壁、柱が老朽化するおそれもあります。

自分が住んでいないと気づかない不具合ですが、売却した家や土地に瑕疵(かし)が見つかった場合、売主はその補償をしなくてはいけない瑕疵担保責任があります。

たとえば、撤去費用や損害賠償などに発展する可能性もあります。

瑕疵(かし)・・・?

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不動産の欠陥のことだよ。本来備わっている給湯設備の不具合や、雨漏りなどが当てはまるね。

【用語解説】瑕疵担保責任とは

瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)とは、売主が買主に対して、売却後に物件に隠れた瑕疵(不具合)が見つかった場合に売主の負担で補償する責任のこと。

もし売却にあたり不安があれば、ホームインスペクション(住宅診断)を行って、住宅に不備がないかを確認しておくのも一つの方法です。

自分が知っている範囲でいいので、相続した不動産についての情報は正直に不動産会社に伝えましょう。

遺言書があった場合のポイント

相続において、遺言書があった場合は以下の順で確認しましょう。

  1. 有効な遺言書かどうかを確認する
  2. 有効な遺言書であれば、遺言書通りに遺産分割を行う

なお、遺言書があっても相続人全員の同意があれば、遺言書と異なる遺産分割は可能です。

1.有効な遺言書かどうかを確認する

遺言書がある場合、まずは有効な遺言書かどうかを確認します。

遺言書の形態には自筆証書遺言と公正証書遺言、秘密証書遺言の3つがあります。この内、よく使われるのは自筆証書遺言と公正証書遺言です。

自筆証書遺言の場合は、下記の3点でまず有効かどうかを確認しましょう。

  • 自分で「全文手書き」をしている
  • 「日付」「住所」が書いてある
  • 「氏名」を書いて印鑑を押すことがされているか

公正証書遺言の場合は、遺言書の形式に不備がある心配はありません。

なぜなら被相続人(亡くなった人)が生前に公証人に対し遺言の内容を伝え、公証人が遺言書を作成するからです。

なお、自筆証書遺言は遺言書がどこにあるのか分からない場合もありますが、公正証書遺言に関しては公証役場に遺言書が保管されています。

自筆証書遺言に関しては、発見後、家庭裁判所の検認を受ける必要がありますが、公正証書遺言は公証人のチェックを受けているため法的有効性が認められます。

2.有効な遺言書であれば遺言書通りに遺産分割を行う

有効な遺言書であることが分かれば、原則として故人の遺志を尊重して遺言書通りに遺産分割を行うことになります。

ただし、兄弟姉妹以外の法定相続人(配偶者、子、代襲相続人、両親など直系尊属)に関しては、仮に遺言書どおりに遺産分割を行って財産を相続できない場合でも、一定額の保障を受けられる遺留分という制度があります。

なお、法定相続分と遺留分の割合は以下の通りです。

  配偶者 配偶者以外 遺留分
子がいる場合 1/2 子1/2 法定相続分の1/2
子がおらず親がいる場合 2/3 親1/3 法定相続分の1/2
子も親もいない場合 3/4 兄弟姉妹1/4 相続財産の1/2(配偶者)
なし(兄弟姉妹)

※その他、配偶者だけの場合遺留分1/2、子だけの場合遺留分1/2、親だけの場合遺留分1/3

遺留分の権利を持つ人が、自分の権利を主張する際の手続きは「遺留分減殺請求」と呼びます。

なお、遺留分減殺請求は相続開始を知ったとき、もしくは遺留分減殺請求をする事実を知ったときから1年以内、または相続開始から10年以内が期限とされています。

まとめ

ここまで相続した不動産を売却するのに必要な相続登記の方法や、売却する際のポイント、かかる税金などについてお伝えしました。

記事のおさらい

  • 相続した不動産を売却するためには、まず「相続登記」が必要
  • 相続人が複数いる場合は、不動産の売却手続きが難しくなるので共有名義にはせず「換価分割」を行う
  • 相続した不動産の売却で「相続税」が発生するのは、売却金額が基礎控除額を超えたとき
  • 相続した家は購入価格がわからず、税金が高額になることが多い
  • 「空き家の3000万円控除」が適用できないか確認する

相続には必要な手続きが多いです。慣れないなかで、必要な書類が揃わなかったり、次にどうすればと思うこともあるかもしれません。

「不動産」が「負動産」にならないためにも、本記事で確認して、早めに売却への一歩を踏み出しましょう。

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編集 すまいうる編集部

不動産売却にまつわるお客様の悩みや疑問に寄り添い、正しい情報をわかりやすく伝えることをモットーに執筆・編集をおこなっています。 不動産は大切な資産。お客様が納得できる形で売却できるように、心を込めてサポートいたします。

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