初心者でもわかる!不動産売却時の確定申告の方法と書き方を解説

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宅地建物取引士

監修 逆瀬川勇造

不動産を売却して利益が出るとその翌年の216日~315日の間に管轄の税務署に行って確定申告する必要があります。

普通のサラリーマンの方にとって、医療費控除やふるさと納税、住宅ローン控除などの申告をしていない限り、確定申告はほとんどなじみのないものではないでしょうか。

一方で、自営業者の方で、毎年自分で確定申告しているという方でも、不動産の売却とその確定申告をそう頻繁に行っている方は少ないでしょう。

本記事では、不動産を売却した時の確定申告の書き方や申告方法などについてお伝えしていきます。

不動産売却の確定申告書の書き方

不動産を売却して利益が出ると確定申告する必要があります。

もし利益がでなかったとしても、特例を受けるために確定申告をしたほうが良いケースもあります。(特例の適用で税金が戻ってくることがあります)

確定申告を自分で作成する場合には譲渡所得などの計算も必要でやや難解なところもありますが、初めての方でもやり方さえ覚えれば申請可能です。

以下に、確定申告に必要な書類と確定申告書の書き方を紹介しますのでぜひ参考にしてください。

確定申告に必要な書類

不動産を売却した時の確定申告で必要な書類には、以下のようなものがあります。

不動産売却の確定申告で必要な書類
必要書類 取得場所
確定申告書(申告書B) 税務署
譲渡所得の内訳書(土地・建物用) 税務署
購入時の売買契約書 本人
売却時の売買契約書 本人
取得費と譲渡費用に関する領収書 本人
売却不動産の謄本 法務局
源泉徴収票 本人

また、不動産売却における特例の適用を受ける場合には以下のような書類が必要です。

特例の適用を受ける際に必要な書類
特例 必要書類 取得場所
3,000万円特別控除 戸籍の附表 役所
10年超所有軽減税率の特例 戸籍の附表 役所

特定居住用財産の買換え特例

戸籍の附表 役所
買換え資産の契約書や領収書 本人
買換え資産の謄本 法務局
買換え資産の明細書 税務署
居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除 戸籍の附表 役所
買換え資産の契約書や領収書 本人
買換え資産の謄本 法務局
買換え資産ローンの残高証明書 銀行
譲渡損失の明細書 税務署
繰越控除の計算書 税務署
特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除 戸籍の附表 役所
売却資産のローン残高証明書 銀行
譲渡損失の明細書 税務署
繰越控除の計算書 税務署

以上が不動産売却の確定申告の際に必要な書類となります。

上記必要書類にせよ、後に説明する確定申告書の書き方にせよ、不動産の売却による譲渡所得の計算方法を知っている方が分かりやすいので、先にその計算方法についてお伝えしたいと思います。

譲渡所得の計算について

以下で、譲渡所得の計算についてお伝えしていきます。

総合課税と分離課税

まず、不動産を売却したことによる利益は、「土地と建物の譲渡所得」に分類されます。

給与所得や不動産所得などは「総合課税」と言って、複数の所得を足し合わせた合計額に対して、税率がかけられます。なお、総合課税に分類される所得の税率は所得が高い程税率の高くなる累進課税制度が採用されています。

一方で、土地と建物の譲渡所得は「分離課税」に分類され、給与所得や不動産所得などとは独立して計算されます。

そのため、確定申告の際に利用する申告書も総合課税のものでなく、分離課税のものを利用します。

なお、土地と建物の譲渡所得に対する税率は、所有期間が5年以下の場合を短期譲渡所得として、5年超の場合を長期譲渡所得として、短期譲渡所得の方が税率は高く(39.63%)、長期譲渡所得は税率が低く(20.315%)設定されています。

譲渡所得の求め方

譲渡所得は、以下の計算式で求めます。

課税譲渡所得=不動産売却価格-取得費-譲渡費用-特別控除
税額=課税譲渡所得×税率(39.63%or20.315%)

まず、「不動産売却価格」がいくらか分かるよう、売却した時の売買契約書や領収書が必要となります。

次に、「取得費」ですが、これは売却した不動産を購入した時に要した費用で、不動産の購入代金も含まれます。取得費がいくらか分かるよう、購入時の売買契約書や各種経費の領収書が必要です。

また、「譲渡費用」は、不動産を売却した時に要した仲介手数料や解体費用などの経費を計上できます。譲渡費用がいくらか分かるよう、それら経費の領収書が必要となります。

マイホームの売却だと特例を受けられる

売却する不動産がマイホームである場合、一定の要件を満たすことで特例の適用を受けることができます。マイホームであることを要件とする特例には、5つあります。

3,000万円の特別控除

3,000万円特別控除」は課税譲渡所得の計算の最後にある「特別控除」です。

3,000万円差し引くことのできるもので、マイホームの要件を満たしていれば他の要件はあまり厳しくありません。売却不動産がマイホームであることが分かるよう、戸籍の附表が必要となります。

10年超所有軽減税率の特例

次に、「10年超所有軽減税率の特例」は、売却した不動産がマイホームで、かつ所有期間が10年超の場合に長期譲渡所得の税率よりも低い税率(14.21%)にできる特例です。

所有期間は謄本を見れば分かるため、新たに必要な書類は「3,000万円特別控除」と同じく戸籍の附表のみです。

特定居住用財産の買換え特例

3つ目の「特定居住用財産の買換え特例」は、マイホームを売却して、新たにマイホームを取得した時に適用を受けられるものです。

売却した不動産がマイホームであることの証明として戸籍の附表と、新たに取得したマイホームに関する契約書や領収書、謄本が必要です。

居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除

4つ目は「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」です。売却不動産がマイホームであることを証する戸籍の附表のほか、買換えが適用要件となるため、新しく取得したマイホームに関する契約書や領収書、謄本、ローン残高証明書などが必要です。

特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除

最後の「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」は、売却不動産がマイホームであることを証する戸籍の附表のほか、買換えが要件ではないものの、売却不動産にローン残高があることが要件なので、売却不動産に関するローンの残高証明書が必要となります。

確定申告書の書き方

必要書類について確認したら、確定申告書の書き方を見ていきましょう。

譲渡所得の内訳書を作成する

最初に税務署の窓口や国税庁HPで受け取れる譲渡所得の内訳書を作成しましょう。

譲渡所得の内訳書は、先ほどご紹介した譲渡所得の計算式をもとに、売却価格や取得費、譲渡費用を埋めていきます。契約書や領収書、謄本などを参考にしましょう。

なお、建物の所有期間中の経年劣化を反映するため、取得費については減価償却費を計算する必要があります。

減価償却費の計算は、以下の計算式で行います。

減価償却費=建物の取得価格×0.9×償却率×経過年数

また、償却率は建物の構造に応じて以下のように定められています。

構造 木造 軽量鉄骨造 重量鉄骨造 RC造
償却率 0.031 0.036 0.025 0.015

申告書Bを作成する

内訳書を作成したら、確定申告書を作成していきましょう。

確定申告書は、1表と2表と3(分離課税用)があります。

1表と2表については、サラリーマンの方で、給与所得がある場合は源泉徴収票を参考に内容を埋めていくだけなので簡単です。

3表は先ほど作成した譲渡所得の内訳書を参考に、収入金額と所得金額、必要経費などを記入していきます。

3表では税金の計算をする必要がありますが、先ほどお伝えした短期譲渡所得の税率(39.63%)と長期譲渡所得の税率(20.315%)は所得税と住民税の合計で、その割合は以下の通りです。

土地・建物の譲渡所得の税率
所得税 住民税 合計
短期譲渡所得 30.63% 9% 39.63%
長期譲渡所得 15.315% 5% 20.315%

ここでは、所得税分だけを計算に利用します。

以上、確定申告書の記入が済んだら必要書類と一緒に確定申告と納税を済ませて終了です。

不動産売却で確定申告する時期と場所

ここでは不動産売却で確定申告する時期と場所をお伝えします。

確定申告する時期

確定申告する時期は、不動産を売却した年の翌年2月16日~3月15日の間となっています。

なお、納税の期限も確定申告の提出期限と同じ3月15日となっています。

納付書で納付する場合は、確定申告を済ませてから税務署等で納付書を受け取り、3月15日までに金融機関の窓口などで納付する必要があります。

一方、口座振替を選んだ場合は確定申告時に口座振替の用紙を提出すると、4月20日頃に引き落としされることになります。

また、所得税の確定申告をすると、その申告書をもとに住民税の計算がなされ、5>月頃に4期に分けて納付書が送られてきます。

確定申告する場所

確定申告する場所は、納税者の住所を管轄する税務署です。

なお、税務署は平日しか空いていないため、土日休みの人にとっては時間を確保するのも一苦労です。

自治体によっては、期間中に複数回特別会場を設けて土日に確定申告できるようにしている場合もあるので確認してみるとよいでしょう。

不動産売却の確定申告は税理士に頼むこともできる?

不動産売却の確定申告は、自分で計算しないといけないこともあり、面倒です。

場合によっては、税理士に依頼して確定申告してもらってもよいでしょう。

計算が難しいケースもある

不動産売却の計算では、場合によっては計算の難しいケースもあります。

例えば、取得費の計算では原価償却についてお伝えしましたが、減価償却は建物部分だけ適用されるものです。

昔の売買契約書などをお持ちの方は、中には土地と建物の配分が記載されていないこともあります。

配分が記載されていなくとも、消費税の記載があればその額で建物の額を導くことができるのですが(土地は非課税のため)、それすらもないケースもあります。

配分の記載も、消費税の記載もないような場合には国土交通省の提供する表に沿って計算する必要がありますが、ここまでのことを調べることが面倒だという方は税理士に依頼すれば、手間もかからず、正確に申告してくれるでしょう。

なお、確定申告の時期は、税理士が忙しくなるため、依頼するのであれば2カ月前には話をしておくようにしましょう。

不動産売却の確定申告の3つの方法

自分で確定申告する場合、申告書の作成方法には以下の3つがあります。

  1. 確定申告会場で作成する
  2. 自宅で作成して印刷する
  3. 自宅で作成してオンラインで申請する

それぞれ、メリット・デメリットを含めて解説していきます。

①確定申告会場で作成する

確定申告会場で作成する方法は、税務署の職員や、その時期だけ雇われた説明員の方の説明を聞きながら申告書を作成することができます。

一方で、デメリットとしては期間中、税務署や確定申告会場は基本的にかなり混んでおり、申告書を作成する会場に行くまでにかなりの時間がかかってしまうこともある点です。

申告期間中でも、後ろになればなるほど混んでいく傾向にあるため、できるだけ2月15日に近い早いタイミングで会場に足を運ぶとよいでしょう。

②自宅で作成して印刷する

国税庁の提供する「確定申告書等作成コーナー」にアクセスすると、インターネット上で確定申告書を作成することができます。

参考:確定申告書等作成コーナー(国税庁)

自宅で簡単に作成できるため、人の多い会場に足を運ぶ必要がありませんが、分からないことを誰かに相談できないというデメリットがあるでしょう。

③自宅で作成してオンラインで申請する

確定申告書等作成コーナーで作成した申告書は、税務署に足を運ぶことなく、オンラインで申告を済ませることができます。

昨年度までは、オンラインでの申請にはマイナンバーカードとカードリーダーが必要でしたが、今年度から税務署の発行するIDとパスワードを使って申告できるようになりました。

参考:【平成31年1月開始】e-Tax利用の簡便化に向けて準備を進めています(国税庁)

IDとパスワードは事前に税務署に行って発行してもらう必要がありますが、確定申告が始まる2月以前に税務署に行って取得しておくとよいでしょう。

まとめ

記事のおさらい

  • 不動産を売却して利益が出ると確定申告する必要がある。
  • 確定申告書に必要な書類や書き方
  • マイホームの売却は、一定の要件を満たすことで特例の適用が受けられる。
  • 確定申告する時期は、不動産を売却した年の翌年2月16日~3月15日の間
  • 自分で確定申告する場合、申告書の作成方法は3つ

確定申告の必要書類と申告書の書き方などについてお伝えしてきました。

毎年、会社が源泉徴収してくれているサラリーマンの方などは、確定申告になじみはないかと思いますが、やり方さえ覚えてしまえば比較的簡単に申告できます。

確定申告の必要書類や書き方については、本記事を参考に進めてみてください。

監修の逆瀬川勇造さんの写真

宅地建物取引士

監修 逆瀬川勇造

明治学院大学を卒業後、地方銀行にてリテール業務に従事し顧客の住宅ローンやカードローンなど担当。その後、住宅会社の営業部長として新築住宅の販売や土地開発等の業務に7年間従事しました。 Webを通して住宅や不動産の問題を解決することを志向し2018年10月に独立。 最近の趣味は子育てです。

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