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遠方の不動産を売却するには?ポイントと注意点を徹底解説

2019.02.01投稿 遠方にある不動産の売り方
監修の中村昌弘さんの写真

コンサルタント

監修 中村昌弘

不動産売却は、自分が今住んでいる不動産を売却するとは限りません。たとえば、遠方にある親の不動産を相続して、その不動産を売却するようなケースもあります。

そのような遠方の不動産売却の場合、どのような手順で売却すべきか?何に注意して売却すべきか?と疑問に思う人も多いでしょう。

そこでこの記事では以下の点について解説していきます。

この記事ではこんな悩みを解決します!

  • 遠方の不動産を売却する手順は?
  • 遠方の不動産売却時は何に注意すべき?
  • 現地に行かなくても売却できる?

筆者は、元々マンションディベロッパーの営業マンであり、数多くの不動産売却を仲介してきました。その中には遠方の不動産売却のケースもあったので、今回の記事は実体験を元に解説しています。

遠方に不動産を所有していて売却を検討している人はもちろん、今は売却を検討していないがいずれはするかも…という方も参考にしてください。

遠方の不動産を売却する方法

結論からいうと、遠方の不動産を売却する基本的な手順は、通常の不動産売却と同じ以下の流れになります。

  1. 不動産会社に査定依頼する
  2. 不動産会社と媒介契約を結ぶ
  3. 売却活動をする
  4. 申し込みを受け売買契約を結ぶ
  5. 不動産を引渡す

まずは不動産会社に査定依頼します。その査定金額や算出した根拠、営業マンの対応などを加味して、仲介を依頼する不動産会社を決めます。

不動産会社が決まったら、正式に仲介を依頼する「媒介契約」を結び、売却活動がスタートするという流れです。

この一連の流れは、遠方の不動産売却であろうと基本的には同じである点を認識しておきましょう。

現地に行かずに売却を完了させることはできる?

前項で遠方の不動産売却も通常の不動産売却と同じ流れであることが分かったと思いますが、遠方であるということは現地に行くのが困難です。

そこで、現地に行かずに売却を完了できるか?という質問をよく受けますが、答えは「不可能ではないけれども避けた方が良い」という回答になります。

というのも、次項で詳しく解説しますが、売却準備や売買契約、引渡しのときは基本的に現地に行きます。これは、現地で行う準備があり、購入者と顔を合わせて契約するためです。

これらをしないということは、満足に売却準備ができず、購入者と一度も顔を合わせることがないため、購入者も不安になります。

また、部屋の案内を含めて不動産会社に任せきりになるので、不動産会社選びもより重要になります。

そのため、訪問査定時は現地で不動産会社の担当者と顔を合わせてコミュニケーションを取った後、不動産会社の選定をした方が良いでしょう。

現地に行くタイミングは最低3回

上述しましたが、現地に行くタイミングは売却準備・売買契約の締結・決済&引渡しの最低3回と思っておきましょう。

もちろん、物件案内の度に立ち会えれば良いですが、遠方の場合は交通費もかかるので難しいです。そのため、この3回は基本的に現地に行くと思っておき、ほかは行ける範囲で行くと認識しておけば良いです。

売却準備

売却準備とは主に以下を行います。

  • 訪問査定の立ち合い
  • 室内の掃除や整理
  • 鍵の取り扱いなどの話し合い

そもそも査定には机上査定と訪問査定の2種類があります。まずは机上で査定額を算出し、その後に不動産を実際に見学してから正式に査定額を提示する訪問査定という流れです。

その訪問査定の立ち合い時に、室内の掃除や整理などを行ってしまった方が良いでしょう。

月々1万円~2万円ほどかかりますが、定期的な掃除や換気など「空室管理」を不動産会社に依頼するという方法もあります。

空室管理を依頼しておけば、室内はきれいな状態に保てるので、検討者の印象が良くなるのです。空室管理を依頼しないにしても、せめて不動産売却前には掃除や整理くらいはやっておきましょう。

また、貴重品を回収したり、鍵を不動産会社に預けたりという作業も必要です。それらも全て訪問査定時に行うので、売却の準備で現地に行く必要があるというわけです。

売買契約の締結

売買契約の締結も、基本的には売主と買主が対面で契約書を交わします。

これはケースバイケースではありますが、売買契約書に両者の署名・捺印をしますので、対面して同じタイミングで署名・捺印するのが基本です。

売買契約の締結タイミングは買主のスケジュールに合わせることが多いので、この売買契約締結時はタイミングを合わせるのに苦労するかもしれません。

そのため、申し込みが入りそうな段階で、売買契約のスケジュールを検討者と決めておくよう営業マンに依頼しておきましょう。

そうすれば、事前にスケジュールを調整しておけるため、売買契約の日付を合わせやすくなります。

決済・引渡し

最後に、決済・引渡しです。決済引渡し当時の流れは以下になります。

  • 買主と売主が不動産会社の事務所などに集まる
  • 買主からの入金を確認する
  • 引渡し関連書類に署名&捺印
  • 鍵の引渡し

引渡しは上記のような流れになり、入金確認後に鍵を渡すことで不動産売却は完了となります。こちらも署名・捺印作業や鍵の引渡し作業もあるので、基本的には現地で買主と対面で行うのが通常です。

どうしても立ち会えないときは委任状で代理人を立てる

さて、ここまでで遠方の不動産を売却する方法を解説してきましたが、仕事などの都合でどうしても現地に行けない場合もあると思います。

特に、買主がローンを組んで不動産を購入する場合は、ローン実行が平日のため引渡し日も平日です。

そのため、仕事を休むことができない場合などは、委任状を作成して代理人に対応してもらう方法もあります。この章では、その委任状について解説していきます。

委任状とは何か

委任状とは、親族などの第三者に、所有者である自分の代わりにさまざまな手続きを行うように委任できる書面です。

委任状の内容によって、以下のことを代理人に依頼できます。

  • 不動産会社との媒介契約の締結
  • 買主からの申し込み受理および売買契約の締結
  • 引渡しに関連する全ての業務

つまり、委任状の内容によっては、不動産売却に関する全てを代理人に依頼することも可能です。このように、代理人は大きな権利を有するので、基本的には親族が代理人になります。

委任状の内容

委任状を作成するときは、不動産会社がフォーマットを持っているのでその書面の内容に従います。一般的には以下の内容が盛り込まれています。

「委任者○○○○(以下「甲」という。)は、受任者○○○○(以下「乙」という。)に対し、甲所有の下記不動産を下記条件で売却することを委任し、その代理権を付与する。」

この文章の下に、該当物件を記載し、代理権を与える範囲を記載します。

そして、委任者(不動産の所有者)は印鑑証明を添付し、署名および実印での捺印によって、委任状を自分の意志で作成したことを証明します。

そして、代理人も署名・捺印して、身分証明書によって代理人であることを証明してから、各手続きに移るという流れです。

遠方の不動産売却時の不動産会社選び

遠方の不動産を売却するときには、不動産会社に鍵を預けて案内を任せるケースが多いです。そのため、通常の不動産売却とは違い、以下の点が不動産会社選びのポイントになります。

不動産会社選びのポイント3つ

  • セキュリティのしっかりとした不動産会社
  • 空室管理も行ってくれる不動産会社
  • 複数の店舗がある業者が理想

セキュリティのしっかりとした不動産会社

まずはセキュリティがしっかりとした不動産会社です。たとえば、事務所と接客ブースが一体となっており、第三者が事務所内に簡単に入れるような不動産会社は避けた方が良いでしょう。

というのも、売却する不動産の鍵をその不動会社に預けるので、セキュリティがしっかりしていないと鍵の紛失や盗難リスクがあるからです。

空室管理も行ってくれる不動産会社

また、上述した空室管理も行ってくれる不動産会社が理想です。つまり、不動産仲介業もしつつ不動産の管理業も行っている不動産会社です。

なぜなら、不動産の空室管理は月に1~2万円程度の費用がかかるところ、仲介を依頼することで値引きできる可能性が高まるからです。

たとえば、専属専任媒介契約&専任媒介契約という、いわゆる「専任系媒介契約を結ぶ」ことで、空室管理を無料で行うような不動産会社もあります。

複数の店舗がある業者が理想

理想は、売却しようとしているエリアに複数の店舗があることです。遠方の不動産の売却は、自分が関われないことが多く、現地に行くのも一苦労なので売却が長引くほど売主は疲弊します。

そのため、とにかく集客が多く「早く」売却することが肝です。その集客に関しては、同じ会社の別店舗同士で紹介し合える、複数店舗がある不動産会社が理想なのです。

売却報告は逐一受けること

不動産会社と専任系媒介契約媒介を結ぶと、営業報告が義務化されます。遠方の不動産売却時は、この営業報告は特に重視すべきです。

というのも、毎回現地に行けるわけではないので、売却報告を聞くことで価格改定すべきか?検討者の反応はどうか?という点を知る必要があるからです。

必ず専任系媒介契約にする

まず、前提として媒介契約は専任系媒介契約にしましょう。

媒介契約は大別すると「専任系媒介契約」「一般媒介契約」の2つがあります。一般媒介契約の場合は売却報告義務がないので、売却報告を受けるためにはわざわざ不動産会社に問い合わせなくてはいけません。

売却報告を受ける項目

売却報告を受ける項目は以下です。

  • 今後の広告予定
  • 問い合わせ・検討状況
  • 競合物件情報

また、ほかにも売主が気になる情報や知りたいことがあれば、担当者に依頼しても問題ありません。

今後の広告予定

不動産売却時は広告で集客します。そのため、今後どの媒体でどのような広告展開するかを聞きましょう。そうしないと、仮に集客が少ない場合の原因が、広告ボリュームなのか価格なのかの判断ができません。

問い合わせ・検討状況

問い合わせや検討状況も毎回の売却報告で聞いておきましょう。特に、内覧者がいる場合は、検討していなくてもどのような反応だったかを聞いておくことが重要です。

その反応次第で、そもそも検討する人自体いないのか?検討はするものの何かがネックになって検討取り止めになるのか?が分かります。

この部分を重点的にヒアリングすることは、毎回立ち会うことができない、遠方の不動産売却ならではのポイントといえるでしょう。

競合物件情報

最後に競合物件情報を聞くことも重要です。その物件に住んでいれば、家にチラシなどが入るので競合物件は何となく分かってきます。

しかし、遠方にいると売却報告からでしか競合物件を知れません。競合物件次第で価格改定のタイミングなども変わってくるので、必ずヒアリングしておきましょう。

売却報告はメールで受ける

売却報告は必ずメールで受けましょう。なぜなら、時系列で振り替えることもできますし、もし不動産会社を変更する場合は引き継ぎも楽だからです。

築年数の経った家を売却したい人へアドバイス

最後に、築年数が経過した家を売却したい人へアドバイスを送ります。遠方の不動産は相続絡みの物件が多いので、築古物件であることも多いです。

そんな方へ送るアドバイスは、場合によっては家を解体して更地で売るという点です。

場合によっては家を解体して更地で売る手段も検討

一般的に、不動産の建物部分の査定金額は耐用年数によって異なります。たとえば、木造建築物の耐用年数は22年なので、築22年前後で建物の査定額はゼロになります。

そのため、築古の物件であればそもそも建物価格がゼロで、購入者も不動産購入後に解体する前提のことも多いです。

であれば、最初に家を解体して更地として売却した方が、購入者も解体する手間がなく印象も良くなります。解体しないとしても、解体前提で購入する場合は解体費用を加味して検討することが多いでしょう。

仮に、解体するか迷う場合には、解体の見積もりだけは取っておきましょう。というのも、解体の見積もり分を値引きするなどの対応もできるからです。

まとめ

それでは、今回解説した「遠方の不動産売却」について、覚えておくべきことをおさらいしましょう。

記事のおさらい

  • 遠方の不動産でも基本的な売却の流れは通常と同じ
  • 売却準備と契約、そして引渡し時は現地に行くべき
  • 現地に行けない場合は委任状で対応も可能
  • 遠方の不動産売却時は売却報告をきちんと受ける

遠方の不動産売却時の流れは通常の不動産売却時と同じですが、現地に行く頻度は異なります。なるべく現地に足を運びたいところですが、どうしても難しい場合は委任状を活用しましょう。

また、内覧に付き添うことが難しいので、売却報告は通常の売却時よりもさらに重視してヒアリングすべきです。それが、遠方の不動産売却が成功する鍵となります。

監修の中村昌弘さんの写真

コンサルタント

監修 中村昌弘

宅地建物取引士

新卒で不動産ディベロッパーに勤務し、用地仕入れ・営業・仲介など、不動産事業全般を経験。入居用不動産にも投資用不動産にも知見は明るい。独立後は、不動産事業としては主にマンション売却のコンサルタントに従事している。趣味は読書。好きな作家は村上春樹、石原慎太郎。

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