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不動産売却で「古家付き土地」か「更地」で悩んだときの判断基準を徹底解説!

2018.09.14投稿 不動産売却にあたって更地にすべきか悩む人へ
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編集 すまいうる編集部

2020年3月18日に発表された2020年の地価公示では、以下のように上昇になったことが報じられました。

  • 全国の住宅地の平均変動率は3年連続の上昇
  • 商業地は5年連続の上昇
  • 工業地でも4年連続の上昇

地価上昇の機運に乗って、思い切って不動産を手放したいと考える人もいるでしょう。

とはいえ、次のようなお悩みはありませんか?

この記事ではこんな悩みを解決します!

  • 更地にすべきか、そのまま売却すべきかどうかわからない
  • 更地にするメリットやデメリットが知りたい

とくに親から相続した古い家などが残っている場合は、どちらが損をしないのか、悩んでしまいますよね。

この記事では、更地にするメリット・デメリット、「更地にするべきかどうか」の判断基準についてご紹介します。

この記事を読めば、更地にすべきかどうかわかるんだね?

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そうだよ。まずは「更地」にすべきケースと「古家を残しておく」すべきケースを表にまとめたから確認しよう!

更地にすべきケース 古家を残しておくべきケース
  • 建物の築年数が古すぎる場合
  • 建物の耐震性が低い場合
  • 「古民家」として価値がある建物が残っている場合
  • 建物の再建築が法的に難しい土地や地域の場合
  • 解体費用にかかるお金が売却査定額を超えている場合

更地にしてから売却すべきケース

更地にしてから売却した方がいいケースは次の2つになります。

  • 建物の築年数が古すぎる場合
  • 建物の耐震性が低い場合

詳しく説明していきます。

ケース1.建物の築年数が古すぎる場合

建物の築年数が経ちすぎている場合は「建物の価値が低い」ため、解体して更地にすることを検討しましょう。

築年数が経つとどうして価値が低くなるの?

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建物は劣化してしまうからだよ。耐用年数が定められているから確認してみよう!

建物にはその構造や用途によって、法定耐用年数が定められています。

この法定耐用年数を「建物が古いかどうか」の判断材料にしてください。

住宅用建物の耐用年数

  • 木造・合成樹脂造…22年
  • 木骨モルタル造…20年
  • 鉄骨鉄筋コンクリート造…47年
  • 鉄筋コンクリート造…47年
  • れんが造・石造・ブロック造…38年
  • 金属造…19~34年(骨格材の肉厚により異なる)
※参考元:国税庁「耐用年数(建物/建物附属設備)」より

もちろん法定耐用年数を過ぎた瞬間に、その建物に住めなくなるというわけではありません。

しかし、この期間を過ぎると法的には建物の価値は0と考えられます。

築年数が経ちすぎて価値がほぼ0に近づいた建物ほど、買い手がつきにくくなります。

耐用年数を超えている場合は、解体して更地にすることを検討しましょう。

ケース2.建物の耐震性が低い場合

結論から言うと「昭和56年6月以前に建築確認を受けた物件かどうか」が、更地にして売却するかどうかの判断基準になるでしょう。

昭和56年6月以前の耐震基準は、今の基準に比べてやさしいものになっているからです。

やさしい基準でクリアしていても、今の基準を満たしていなかったら不安になっちゃうってことかなぁ。

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ペンギン先生

昭和56年6月以前のものは、耐震性が弱いから、耐震補強のために修繕などを行う必要が出てくるんだ。

建物を建てるときは、建築基準法にもとづく「建築確認」を受けることになっています。

これは、建物の建築前に、着工計画などが建築基準法令や建築基準関係規定に適合しているかどうかの審査を受けるというものです。

適合判断の1つに耐震基準があり、これは大震災が起こるたびに改訂されています。

逆に言うと、過去に遡るほど耐震基準はやさしいのです。

昭和56年(1981年)6月より前は、旧耐震基準による建築確認が行われていました。

現行の新耐震基準に従って建築された建物に比べて、昭和56年6月以前に建築確認を受けた建物のほうが、耐震性の面では弱い場合があります。

また、その時期に建てられた物件はすでに築年数が37年以上に達しているため、老朽化も進んでいます。

このような理由より、「昭和56年6月以前に建築確認を受けた物件かどうか」が判断基準の1つとなります。

古家を残しておくほうが良いケース

建物を解体せず、残しておいたほうがいい場合は以下に2つの場合です。

  • 「古民家」として価値がある建物が残っている場合
  • 建物の再建築が法的に難しい土地や地域の場合

詳しく説明していきます。

ケース1.「古民家」として価値がある建物が残っている場合

築年数が50年を超える「古民家」の場合は建物に価値が出ることもあるため、そのまま売却することを検討しましょう。

近年、古民家の持つ雰囲気や美しさが1つの価値として認められるようになり、テレビや雑誌でも取り上げられています。

古民家として価値のある物件はむやみに取り壊すのではなく、古民家好きの人をターゲットに売却するという方法もあります。

また、古民家をリノベーションして、より暮らしやすく変えてから売却する方法や、買主にリフォームやリノベーションしてもらうことを前提として売却する方法もあります。

一度、不動産会社と相談してから決めるようにしましょう。

ケース2.建物の再建築が法的に難しい土地や地域の場合

建物の再建築が法的に難しい土地の場合、更地にせず建物を残したままの方がいいでしょう。

建築基準法の改正以前には問題なく建物を建てることができた場合でも、法の改正によって新たに建物を建てるのが難しくなってしまうケースがあるからです。

この場合、いったん建物を取り壊してしまうと、もう新たな建物を建てることはできません。

古い家を解体せずに売却するほうが、買主の選択肢も広がることになるのです。

再建築が難しい土地にある家のアピール方法

再建築が難しい土地にある家は、そのままの状態で売却するため、物件のよい特徴を見つけて、アピールすることが大切です。

たとえば、下記のような家を例に考えてみましょう。

  • 入口が狭く、1か所しかない
  • 周辺は自動車のすれ違いが難しいような細い道路が多い
  • 変形地であり、三角形に近い台形をしている
  • 最寄り駅まで徒歩25分
  • 食料品や日用品を買えるスーパーまで徒歩13分

このような条件だけを紹介すると「誰がそんな物件を買うの?」と疑問に思われるかもしれません。

しかし、次の条件ならばどうでしょうか。

  • 入口が狭く、1か所しかない
  • 平屋の4LDKで駐車場つき(自動車2台は入る)
  • 都心部で同じ間取りの住宅に住む場合に比べ、費用が格段に安い
  • リノベーションによりシステムキッチン、システムバス、太陽光発電を導入済み
  • 和室は旧家屋の雰囲気を残してもらい落ち着く雰囲気
  • ネットスーパーや宅配は問題なく利用ができる
  • 市のコミュニティバスを安価で利用して移動できる

先ほどの特徴よりも、魅力的に感じると思います。

再建築不可という条件だけで「もう買い手がつかない」と悲観することはありません。

物件のよい点を見つけると同時に、その物件に興味のある人を探しだす努力をしましょう。

ケース3.「解体費用」が多くかかる場合

「解体費用」が多くかかる場合は、建物を残したままで売却を検討してみましょう。

古い建物や耐震性などに不安がある建物を解体して、更地にしてから売却すると決めた場合でも、解体費用が売却価格を超えると損することになるからです。

「更地にしない」と判断する解体費用の目安はどれくらい?

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ペンギン先生

不動産を査定してみて、査定価格より解体費用が大きくなる場合は更地にしない方がいいよ。

解体業者に依頼すると、解体費用がどのくらいかかるのか、見積もりを算出してもらえます。

業者ごとに費用の項目や名称が異なり、以下のような費用があります。

  • 建物を取り壊す費用
  • 廃棄物処理のための費用
  • 付帯工事にかかる費用
  • その他の諸費用

複数の業者に見積もりを依頼して比較したい場合は、上記の4つのグループに費用を分類して比べてみましょう。

解体費用に影響する要素

解体費用に影響する要素としては、以下のようなものがあげられます。

影響する要素 詳細
建物の構造 木造か鉄筋コンクリートかその他
建物の位置 現場までトラックや重機類を持っていきやすいかどうか
周辺環境 ガードマンが必要になる場合は高くなる
トラックや重機の駐車スペースが確保できない場合高くなる

また、トラックや重機の駐車スペースが確保できない場合は、前面道路の使用許可申請が必要になります。

このような事情に応じて、解体費用が異なってくるため、解体費用にいくらかかるのかは調べておきましょう。

更地にせず「古家付きの土地」として売却するコツ

あえて建物を取り壊さずに売却することを決めた場合は、次のようなことを心がけるのがポイントです。

  • 古い建物をリフォームする費用を売り手側が把握しておく
  • 「中古物件」「土地」の両方で売却に出してみる

古い建物をリフォームする費用を売り手側が把握しておく

古家には、安全に暮らすための耐震補強工事や、より使い勝手をよくするためのリフォームをしなければならない場合もあります。

そのような場合、リフォーム工事にどの程度の費用がかかるのかを売主が把握しておくとよいでしょう。

情報提供することで、買主も資金計画が立てやすくなり、購入に対して前向きになる可能性があります。

「中古物件」「土地」の両方で売却に出してみる

「更地にする決心がなかなかつかない!」という場合は「中古物件」「空き家つき土地」の両方で売却に出す方法もあります。

土地として売却する場面では、建物の解体費用がかかることも考慮に入れて、売却価格を決定しましょう。

更地にしてから売却するメリット

更地にしてから売却するメリットは以下のとおりです。

お金はかかりますが、一般的に更地にすると売却しやすくなるのが一番のメリットです。

  • 買い手がつきやすくなる
  • 土地の埋設物などについて事前に確認することができる

それぞれの要素について、詳しく説明していきます。

メリット1:買い手がつきやすくなる

古い家が残ったままの「空き家つき土地」に比べて、更地は買い手がつきやすくなる可能性があります。

理由1.買主にとって便利

すでに住宅やアパート、オフィスなどが建てられている土地は、購入後の使い道が限定されます。

しかし、更地ならば買主の用途に合わせて新しい建物を建てることができます。

更地のほうが購入した土地をすぐ活用でき、買主にとって便利なのです。

理由2.古い建物による悪印象を避けられる

建物の築年数がかなり経過してしまうと、建物の見た目が悪化します。

また、古さゆえに耐震性や安全性が低いという印象を購入希望者に与える可能性もあります。

上記のような理由で、更地のほうが買い手が付きやすいと言えます。

もちろん、買主の希望、建物の外観や安全性などにもよります。

しかし、買主が自由に用途を決めることができて、建物を解体する労力や手間が必要ない更地のほうが、買い手がつきやすい場合もあるのです。

メリット2:土地の埋設物などについて事前に確認することができる

更地にすることで土地の埋設物について事前に確認することができ、後々のトラブルを防ぐことができます。

なぜ埋設物などを事前に確認するのか

なぜ調査するのか、その理由は「不動産を売却する売主は、買主に対して土地・建物の瑕疵担保責任を負う」ことにあります。

売主を信頼して土地や建物を買ったものの、地盤が軟弱であったり思わぬ埋設物などが存在したりして、地盤改良や埋設物の撤去などの費用がかかってしまう可能性があります。

そのような費用については売主が負担すべきである、という考え方が「売主は買主に対して瑕疵担保責任を負う」ということです。

費用負担は避けたいものですよね。

仮にお金に余裕がある場合でも、「売主が費用を負担すれば、すべて解決」という単純な問題ではありません。

売主が地盤の状態や埋設物について知らなかったとしても、あとから責任を追及される可能性があります。

そのようなトラブルを防ぐために、不動産売却前に地盤や埋設物について調査しておくことが重要です。

更地にしてから売却するデメリット

更地にしてから売却するデメリットは以下のとおりです。

お金はかかりますが、一般的に更地にすると売却しやすくなります。

  • 古い建物の解体費用の負担がある
  • 固定資産税が高くなる

それぞれの要素について、詳しく説明していきます。

デメリット1:古い建物の解体費用の負担がある

空き家つき土地を更地に変えるためには、建物の取り壊しを行わなければなりません。

そのためには費用や時間、労力がかかってしまいます。

築年数が浅く、まだまだきれいな建物であれば、取り壊さなくても「マイホームが欲しい」という人の興味を惹くことができます。この場合は、更地に変えるよりも「建物を売る」と考えるほうが良いかもしれません。

一方で「建物があることが、どうも買い手に敬遠されているようだ」と考えられるときは、取り壊し費用を負担してでも、更地に変えると良いでしょう。

デメリット2:固定資産税が高くなる

古家付きと比べ固定資産税が高いのもデメリットです。

古家を解体すると支払う税金は3~4倍に増えてしまうため、売れるまでに時間がかかるほど税金の負担額が増えます。

古家付きで売却するメリット

更地にせず、古家付きで売却するメリットは以下のとおりです。

お金はかかりますが、更地にすると売却しやすくなります。

  • 建物が存在すると、買い手が住宅ローンを利用できる可能性がある
  • 固定資産税の負担をおよそ1/6に抑えられる

それぞれの要素について、詳しく説明していきます。

メリット1:建物が存在すると、買い手が住宅ローンを利用できる可能性がある

古い建物を残しているとローンを利用しやすくなります。

買主は不動産購入費用をすべて現金で用意できるとは限らず、住宅ローンを利用したい場合もあります。

しかし、土地だけの状態で住宅ローンを利用すると、金融機関での手続きが煩雑になる場合もあります。

買主の事情によっては、古い建物を残しつつ、ローンを利用するのもよいでしょう。

メリット2:固定資産税の負担をおよそ1/6に抑えられる

建物があると、土地だけの場合に比べ固定資産税の負担を1/6に抑えることができます。

住宅用地は、固定資産税の計算上の特例が適用され、下記のように税金を抑えることができるのです。

  • 200㎡以下の部分は「小規模住宅用地」…課税標準が6分の1
  • 200㎡超の部分は「一般住宅用地」…課税標準が3分の1
  • アパートやマンションが建っている場合は、1戸について200㎡以下の部分が「小規模住宅用地」とされる

建物を取り壊して更地にしてしまうと特例を受けられなくなり、固定資産税額が高くなります。

更地の売却までに時間がかかった場合、固定資産税の負担額がかさんでしまうのです。

更地にする前に、空き家つき土地としての売却が本当に難しいかどうかを考えましょう。

更地にした場合にどれくらい固定資産税が増加するのかも考慮に入れて、資金計画を立ててください。

古家付きで売却するデメリット

更地にせず、建物付きで売却するデメリットは以下のとおりです。

  • 建物の瑕疵に関するトラブルが起きる可能性がある
  • 更地に比べて買い手がつきにくい場合もある

それぞれの要素について、詳しく説明していきます。

デメリット1: 建物の瑕疵に関するトラブルが起きる可能性がある

不動産売却をするとき、売主は買主に対して瑕疵担保責任を負うことになります。

更地の場合は、土地に関しての瑕疵担保責任があるだけです。

しかし、空き家つき土地として売却をすると、建物の瑕疵担保責任も負わなければなりません。

スムーズな取引をするために、

  • 建物の状態について正確に把握する
  • 専門家によるホームインスペクションを受ける

などの対策をとりましょう。

デメリット2:更地に比べて買い手がつきにくい場合もある

建物が建てられている土地は、建物の形状や種類によって、使い道が限定されてしまうことがあり、更地に比べ買い手がつきにくい傾向があります。

また建物の状態によっては、土地の購入が目的の買主も現れますが、取り壊しのための時間や費用がかかります。

買主にとっては、せっかく購入した土地を、すぐに活用できないことにもなりかねません。

まとめ

ここまで、古家を残したまま売却するか、それとも取り壊して更地で売却するか、その判断基準についてご紹介してきました。

建物を取り壊して「更地」にする判断のポイントをまとめると、以下のとおりです。

記事のおさらい

  • 築年数が経過しており、建物の価値が低くなっている
  • 昭和56年6月以前に旧耐震基準による建築確認を受けた建物である
  • 古民家としての価値も認められにくいような建物である
  • 建物を取り壊した場合でも再建築が可能である
  • 建物があることが、買い手がつかない状況に陥っている理由である

中古住宅としての売却が難しい場合には、建物の解体費用をかけて更地にすることで、買い手がつく可能性が出てきます。

いっぽうで建物がなくなり更地になることで、固定資産税がかさむといったデメリットもあります。

資金計画も立ててから解体を始めるようにしましょう。

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編集 すまいうる編集部

不動産売却にまつわるお客様の悩みや疑問に寄り添い、正しい情報をわかりやすく伝えることをモットーに執筆・編集をおこなっています。 不動産は大切な資産。お客様が納得できる形で売却できるように、心を込めてサポートいたします。

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