マンション売却は5年以内で高税率?税金について徹底解説

2019.07.11投稿 マンション築年数が5年以内のメリット
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監修 中村昌弘

マンション売却に伴い、税金がかかる可能性があることは意外と知らない方が多いです。

もしかしたら、「マンションの価格はどんどん落ちていくから利益なんて出ないだろう…」と思っている人もいると思います。

しかし、マンション売却時の利益を出すための計算式は、「売却金額-購入金額」という単純なものではありません。

購入金額は減価償却費用というものが差し引かれて計算されるので、購入時の価格は安く見積もられます。

そのため、マンション売却時に利益が出る可能性は少なくないです。

そして、その利益は所得に該当するので税金がかかります。場合によっては高税率になり、その税率は保有期間が「5年」を超えるかどうかで変わってくるのです。

税金のことはよく分からない!という人もいると思いますが、思いがけなく税金が高くなることもあるので、マンション売却時は以下のことを理解しておきましょう。

  • マンション売却時の税率は5年を境にどう変わる?
  • マンション売却時の税金は特例がありどのような条件か?
  • 買い替え特例やその他の税制優遇もある

筆者は、元々マンションディベロッパーの営業マンであり、今まで数多くの不動産を仲介してきました。

また、自分自身でもマンションを売却したことがあり、その際に後述する「3,000万円の特別控除」を利用した経験もあります。

今回は、そんなマンション売却の実体験をもとに執筆していくので、マンションの売却時の税金について詳しく知りたい人は参考にしてみてください。

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売却したいマンションが購入5年以内かどうかで損得はあるの?

結論からいうと、マンションを購入して5年以内か、5年超かによって税率が変わります。

税率に関しての詳細は後述しますが、税額が大きく変わるので基本的には5年超保有してから売却した方が得といえます。

注意点は、売却するときに保有年数をカウントするのではなく、売却する年の1月1日時点で、保有期間が5年超か5年以内かによって税率が変わるという点です。

税金は大きな支出となり収支バランスに大きな影響を及ぼしますので、次項以降で解説する税率の違いなどをきちんと理解していきましょう。

購入から5年以内のマンションは課せられる税率が高い

では、保有期間5年以内・5年超による税率の違いを見ていきます。

保有期間5年以内の場合の税率

保有期間5年以内の短期保有時の税率は以下の通りです。

  • 所得税:譲渡所得額×30%
  • 復興特別所得税:上記の所得税額×2.1%
  • 住民税:譲渡所得額×9%

上記の「譲渡所得額」の計算方法は後述しますが、この時点ではザックリと「マンション売却益」と認識ください。

保有期間5年超の場合の税率

次に、保有期間5年超の長期保有の場合の税率です。

  • 所得税:譲渡所得額×15%
  • 復興特別所得税:上記の所得税額×2.1%
  • 住民税:譲渡所得額×5%

このように、短期保有の場合と比べて半分程度まで税率が下がっていることが分かると思います。

だからこそ「5年」という期間はマンションを売却するときの1つの目安になるのです。

課税対象はマンション売却時の譲渡所得

ここまでで、マンション売却時の税率と、5年を境に税率が変わるという点が分かったと思います。

次に、マンション売却時にかかる譲渡所得税について、上述した税率以外に重要な以下2点について解説します。

  • 譲渡所得の計算式
  • 譲渡所得税は分離課税

譲渡所得の計算式

前項で解説した税率は、譲渡所得(≒マンション売却益)にかかる税金ですが、譲渡所得の計算式は以下になります。

譲渡所得=(売却価格-売却時にかかった諸費用)-(購入時の不動産価格+購入時にかかった諸費用-減価償却費用)

冒頭でもいったように、マンション売却時の所得計算は、単純に「売却金額-購入金額」という計算式ではありません。

上記のように、売買時の諸費用を加味し、かつ減価償却費用を加味します。減価償却費用の算出が難しい場合は、不動産会社に依頼すると計算してくれますので頼んでみましょう。

とにかく、「売却金額-購入金額」という単純な計算でない点を認識しておかないと、譲渡所得が想定以上に高くなることもあり得るので要注意です。

譲渡所得税は分離課税

また、譲渡所得税は分離課税に該当します。分離課税とは、ほかの所得とは合算せずに、単体で発生する税金です。

不動産投資をするときに発生する不動産所得(家賃収入)は、ほかの所得と合算する「総合課税」になるので、ゴチャゴチャになりやすいのが注意点です。

仮に、不動産投資をしていて給与所得600万円、不動産所得(家賃収入)100万円であれば、2つの所得を合算して700万円の所得として税率がかかってきます。

日本の所得税率は累進課税といい、所得額が多くなるほど税率も高くなっていく仕組みです。

しかし、分離課税の場合は合算がないので、税率は一定であり計算しやすい点はメリットといえるでしょう。

マンション保有期間の違いで譲渡所得税はどれほど変わるか比較検証

次に、マンションの保有期間の違いで、譲渡所得税がどれほど変わるかを検証していきましょう。

今回想定するのは、譲渡所得が1,000万円発生したマンション売却事例です。長期保有時と短期保有時の税額を比べてみましょう。

まず、長期保有時の場合は、以下のように203.15万円が譲渡所得税額です。

  • 所得税:1,000万円×15%=150万円
  • 復興特別所得税:所得税額150万円×2.1%=3.15万円
  • 住民税:1,000万円×5%=50万円

一方、短期保有時の場合は、以下のように396.3万円が譲渡所得税額です。

  • 所得税:1,000万円×30%=300万円
  • 復興特別所得税:所得税額300万円×2.1%=6.3万円
  • 住民税:1,000万円×9%=90万円

このように、5年を境にした短期保有か長期保有かで、約193万円もの税額の違いが発生します。

保有5年以下のマンション売却でも特例で節税可能

前項までで、マンションの保有期間が5年以下の場合は、マンション売却時の税額が上がることが分かったと思います。

しかし、実は「マイホームを売ったときの特例(3,000万円の特別控除)」を利用することができれば、譲渡所得税は非課税になることがあります。


参考元:マイホームを売ったときの特例(国税庁)

3,000万円の特別控除とは?

3,000万円の特別控除とは、簡単にいうと譲渡所得を3,000万円控除してくれる税制優遇です。

言い換えると、譲渡所得が3,000万円以下であれば譲渡所得がゼロになるので、譲渡所得税もかからないということになります。

一般的なマンション売却で、譲渡所得が3,000万円以上発生するケースは極めて稀です。そのため、大半のマンション売却では、この特例を利用できれば譲渡所得税はかかりません。

3,000万円の特別控除を受ける条件

そんな3,000万円の特別控除を受けるための条件は以下の通りです。

  • 自分の家を売るか、借地権を売る。住まなくなった日から3年目の12月31日までに売る。
  • 上記で家を取り壊していた場合は、「取り壊した日から1年以内に売る」、「売るまでに貸駐車場など、その他の用途で利用していない」という2つの条件がさらに付け加えられる
  • 売った年の前年、前々年にこの特例を含め他の特例を受けていない
  • 親子や夫婦など特別な関係がある人に対して売ったものでない。

要は、自己居住用の不動産売却に限って適用でき、親族などへの売却には適用することができないということです。

親族に売却できない理由は、相続税を逃れるための売却に利用されないようにするためです。

ただ、一般的な自宅マンションの売却であれば、多くのマンションは上記に該当するので、3,000万円の特別控除は利用することが可能です。

3,000万円の特別控除が利用できて譲渡所得がゼロになりそうであれば、保有期間は関係なくマンション売却しても良いでしょう。

特別控除を受ける際の注意点

この3,000万円の特別控除を受ける際には、以下の点に気を付けましょう。

  • 確定申告が必要
  • 投資用や居住中でない物件は適用不可
  • 空き家も適用できるが条件がある

確定申告が必要

まずは、3,000万円の特別控除ためには確定申告をする必要があります。書類作成などは国税庁ホームページを利用すると分かりやすいです。

このサイトを利用すれば、上述した減価償却費用なども自動計算されるので、譲渡所得も自分で計算することが可能です。

確定申告は、マンションを売却した翌年の2/15~3/15(休日によって変動)が〆切なので、期限は意識しておきましょう。

投資用や居住中でない物件は適用不可

また、前項のように3,000万円の特別控除は自宅を売却したときに利用できる特例なので、投資用不動産などには適用できません。

そこに住んでいるかどうかは基本的には住民票で判断されるので、昔住んでいたものの引っ越してしまって住民票を移しているときは、税務署や税理士に相談しましょう。

空き家も適用できるが条件がある

仮に、売却する不動産が相続などで取得した空き家だったとします。空き家の場合も3,000万円の特別控除は利用できますが、以下のように条件に当てはまる物件でないと適用できません。

  • 昭和56年5月31日以前に建築された物件の売却
  • 相続の開始の直前において被相続人(亡くなった人)以外に居住をしていた人がいない
  • 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る
  • 売却代金が1億円以下である
  • 住宅に関するその他の税制優遇を受けていないこと

上記以外にも条件があるので、相続時の空き家となっている物件を売却するときに3,000万円の特別控除が適用できるかは、国税庁ホームページや税理士に確認しましょう。

買い替えなら納税を先延ばし(繰り延べ)できる特例がある

マンション売却時の特例として、居住用マンションを買い替えたときには、発生した譲渡所得税額を将来にわたって繰り延べることが可能です。

たとえば、以下のような買い替えを行ったとします。

  1. 2,000万円でマンションを購入
  2. 3,000万円でマンションを売却
  3. 減価償却費用などは加味せずに仮に1,000万円が譲渡所得だとする
  4. 4,000万円で新たなマンションを購入する

この場合は、1,000万円が譲渡所得となり課税対象になりますが、特例を受けることできれば新たなマンションを売却するときまで税額は繰り延べられます。

つまり、4,000万円のマンションを売却したときに1,000万円の譲渡損失が出れば、今回発生した1,000万円の譲渡所得と相殺して所得ゼロにできるというわけです。

適用要件は3,000万円の特別控除と似ていますが、異なる点もあるので詳しくは国税庁ホームページで確認しましょう。

コラム:保有期間が10年を超えると税率を軽減できる特例がある

最後に、補足的な意味合いで保有期間が10年を超えるマンション売却時の特例を解説します。

上述したように、5年を境に譲渡所得税率は変わりますが、実は10年を超えるとさらに以下のように税率が変わります。

  • 課税譲渡所得6,000万円以下の部分:14.21%(所得税10.21%・住民税4%)
  • 課税譲渡所得6,000万円超の部分:20.315%(所得税15.315%・住民税5%)

さきほど解説したように、1,000万円の譲渡所得があったときの税額は、5年超の長期保有で203.15万円、5年以下の短期保有で396.3万円でした。

一方、保有期間10年超の場合は上記の計算式に当てはめると、「1,000万円×14.21%=142.1万円」まで下がります。

さらに、この特例は「3,000万円特別控除の特例」と併用も可能なので、該当する人は諸条件を国税庁ホームページで確認しましょう。

適用条件は3,000万円の特別控除とほぼ同じです。

まとめ

それでは、今回解説した「マンションの売却のタイミングによる税金の違い」について、覚えておくべきことをおさらいしましょう。

記事のおさらい

  • 保有期間が5年超か5年か以下かで税率は異なる
  • 5年超の方が税率は低い
  • 3,000万円の特別控除が利用できれば大半の物件は非課税
  • 特例の適用条件は要確認

まずは、マンションを売却する年の1月1日時点の保有期間を確認しましょう

保有期間が5年以下であれば税率は上がりますし、逆に5年超、もしくは、10年超であればさらに税率は優遇されます。

ただ、3,000万円の特別控除を利用できれば非課税になる物件は多いので、その適用条件に合っているかもしっかりと確認しましょう。

いずれにケースでも、マンション売却時の税金も加味して売却金額を設定しなければいけません。

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コンサルタント

監修 中村昌弘

宅地建物取引士

新卒で不動産ディベロッパーに勤務し、用地仕入れ・営業・仲介など、不動産事業全般を経験。入居用不動産にも投資用不動産にも知見は明るい。独立後は、不動産事業としては主にマンション売却のコンサルタントに従事している。趣味は読書。好きな作家は村上春樹、石原慎太郎。

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