マンション売却のトラブルは防げる!よくある事例と防止策

不動産売却のことなら【すまいうる】
執筆者の中村昌弘さんの写真

マンション売却コンサルタント

中村昌弘

残念ながら、マンションを売却する過程で、買主や不動産会社とトラブルになるケースはあります。

筆者は、元々マンションディベロッパーの営業担当で、マンションの仲介は何件も経験しましたが、その経験でいうと10件に1~2件ほどはトラブルになるという感覚です。

トラブルによっては、売主が金銭的な負担を被る可能性があるので、十分注意する必要があります。

そこでこの記事では、マンションの売却過程で起こるトラブルを防止したいという人に、以下の点を解説していきます。

この記事ではこんな悩みを解決します!

  • マンション売却で実際にあるトラブルは?
  • トラブル事例と防止策は?
  • トラブルの中でも注意すべき瑕疵担保責任とは?

売主の立場からもトラブル事例を知り、防止策を講じておくことで、事前にトラブルは回避できます。

トラブルが起きると精神的にも厳しいものなので、マンション売却の前には必ず知っておきましょう。

マンション売却でよくあるトラブルTOP3

まずは、マンション売却でよくあるトラブルのTOP3を、買主とのトラブル、不動産会社とのトラブルの2つに分けて紹介します。

このTOP3はわたしの経験に基づくものです。

買主とのトラブル

1位.設備機器に関すること
2位.環境の変化に関すること
3位.近隣トラブルに関すること

不動産会社とのトラブル

1位.囲い込みをされること
2位.仲介手数料に関すること
3位.不当に金額を請求されること

これらのトラブルは、ときに契約解除や金銭問題に発展するトラブルです。

そのため、以下より具体的な事例とその防止策を解説していくので、マンション売却をする際には必ずチェックしておきましょう。

買主とのトラブル事例・防止策

前項を踏まえ、まずは買主とのトラブル事例、および防止策を解説していきます。

1位.設備機器に関すること

設備機器に関することとは、たとえば以下のようなトラブルです。

  • 引渡し後に給湯器の故障が発覚した
  • 窓の開閉が極端にしにくい
  • エアコンは設置したままと約束したのに撤去されている

要は、引渡し後の設備機器の故障や、生活に支障の出る不具合、そして契約時の約束と異なる状態で引渡したことへのトラブルです。

仮に、給湯器が引渡し前に故障していたと認められれば、修理費用などを売主が負担するケースもあります。

防止策①売主・買主で現況確認

対策としては、売買契約を結ぶ前に買主・売主の立ち合いの元、現況確認を行いましょう。
実際に給湯器を作動し故障していないかを確認し、窓やドアの開閉がスムーズにできるか確認します。

防止策②設備付帯表の作成

そして、前項に異常がない旨や、エアコンや照明などを撤去するかどうかを記載した「設備付帯表」を作成することが重要です。

設備機器に異常はないか、窓やドアの開閉はできるか、設備機器(エアコンや照明)はそのまま引き渡すか撤去するかを一覧にしてチェックを入れます。

その書面に買主・売主が署名・捺印することでトラブルは防止できます。

2位.環境の変化に関すること

引渡し後に意外と多いトラブルは、以下のような環境の変化に関することです。

  • 引渡し後すぐに目の前に建物が建築された
  • 駅の開発が行われると言っていたのに行われない
  • 冬でも陽当たりが良いと言っていたが実際は良くない

いわゆる「言った・言わない」の問題です。この手のトラブルは意外と多いのですが、書類などに残っていないのでズルズルと長引くケースが多いです。

また、書類に残っていない以上、売主が金銭的な負担をするケースは少ないです。

とはいえ、トラブル処理によって手間と時間を取られてしますし、何より気持ちの良いものではないので、事前に防止策を講じておきましょう。

防止策①不確実なことを言わない

まず、買主に対して不確実なことを言わないことです。重要なのは、購入検討者と営業担当者・売主の捉え方は違うという点を肝に銘じておくことです。

購入検討者が「目の前に建物って建つリスクってありますか?」と質問したとして、営業担当が「建築看板が立っていないので、少なくともここ1~2年で建つことはないですよ。」と答えたとします。

営業担当としては「(多分)建つことはない(が分からない)。」というニュアンスですが、買主としては「ここ1~2年では(絶対に)建つことはない」というニュアンスに聞こえるかもしれません。

このように、人によって言葉の捉え方や感じ方は違うので、不確実なことは最大限リスクヘッジして答えなければいけません。

防止策②営業担当の見極め

前項のようなQ&Aは売主と買主の間で行われることはほぼありません。大半は、営業担当と買主との間で行われます。

そのため、営業担当者を選ぶときに、不確実なことを言わない人を選ばなければいけません。そのような営業担当者を見極めるためには、査定時の対応が重要です。

大半は、査定の担当者が売却担当者になるので、そのときの受け答えや、正確さ・丁寧さは必ずジャッジしておきましょう。その対応がそのまま検討者への対応になります。

3位.近隣トラブルに関すること

次に、近所トラブルに関することです。要は、過去に近所でトラブルを起こしたことを伝えずに引き渡し、「近所の人がこういう人だとは聞いていない」というようなトラブルです。

防止策:買主に報告する

近所の人とのトラブル事例は「絶対に伝える」という義務はありません。

しかし、近所トラブルを認識していた場合は注意喚起の義務を負う可能性があります(※)。その義務があったのに注意喚起していないと、売買契約の白紙解約もあり得るのです。

※参考サイト:不動産のQ&A(一般財団法人 不動産適正取引推進機構)のQ10

売主としてできることは、過去にご近所トラブルがあり、買主が引渡し後に気になりそうなトラブルであれば、営業担当者へ伝えておくことです。

その件をどこまで買主に伝えるかに関しては、営業担当者に任せましょう。

不動産会社とのトラブル事例・防止策

次に、不動産会社とのトラブル事例、およびその防止策を解説します。

1位.囲い込みをされること

まず、不動産会社に囲い込みをされるというトラブルです。囲い込みとは、ほかの不動産会社から買主を紹介されても、それを断り、自社でマンションを囲い込む行為のことです。

なぜ囲い込みをするかというと、買主・売主のどちらからも仲介手数料をもらうためです。仮に、他社が買主を連れてきてしまうと、買主から仲介手数料をもらえません。

それを避けるために、他社の紹介を一切断るのが囲い込みをする目的です。しかし、売主にとって囲い込みをされるメリットは一切ありません。

それどころか集客が減ってしまうので、売却スピードが遅くなるというデメリットにつながります。ただ、残念ながら未だに囲い込みをしている不動産会社は少なくありません。

防止策

結論からいうと、囲い込みを完全に防止することはできませんが、以下をすることで抑止力にはなります。

  • 囲い込みを知っていることを伝える
  • 囲い込みが発覚すれば即消費者庁に連絡を入れると伝える
  • 友人が検討していると伝える

まずは、囲い込みというもの自体を知っていることを伝え、万が一発覚した場合は消費者庁に相談すると伝えましょう。

伝えるときのコツは、営業担当との関係性が悪くならないよう、やんわりと伝えることです。

また、友人が検討していると伝えれば、「他社経由で友人の人が見学希望をしてくるかも…」と思います。

そこで囲い込みをすれば、友人経由で売主に伝わる可能性があるので、友人が検討していることを伝えることも、囲い込みの抑止力になるのです。

2位.仲介手数料に関すること

仲介手数料に関するトラブルで多いのは、不動産会社の営業担当者から当たり前のように仲介手数料率を提示されることです。

仲介手数料率は、媒介契約を結ぶときに明記します。その際、特に相談がなく「規定の通りこの仲介手数料率でお願いします」と言われて契約すると、契約後に不満が爆発するケースがあるので気を付けましょう。

防止策

防止策は、仲介手数料率の仕組み知ることです。

仲介手数料率は、以下のように宅地建物取引業法で売買価格によって上限が決まっています。

売買金額

仲介手数料の上限

200万円未満 売買金額×5%
200万円超~400万円以下 売買金額×4%+2万円
400万円超 売買金額×3%+6万円

しかし、これはあくまで上限であり、上記の手数料率以下であればいくらでも構いません。

そのため、提示された手数料率に不満があれば、媒介契約を結ぶ前に不動産会社と手数料率に関しては交渉しましょう。

3位.不当に金額を請求されること

次に、仲介手数料以外の金銭を不動産会社から請求されることです。

結論からいうと、媒介契約に記載されている仲介手数料以外の金銭を売主が支払う必要はありません。

防止策

防止策としては、前項と同様に仕組みを知っておくことです。

仲介手数料以外の広告費用などを請求され、その金銭を売主が支払うべきときは、事前に営業担当者から相談を受けたときだけです。

たとえば、ネット広告のプレミアムプランを実施する際、「有料だけど行いますか?」と営業担当者から相談されたとします。

それを受託すれば書面でその旨を結び、有料プランを展開します。その後、請求されたお金を支払う必要がありますが、それ以外は一切支払う必要はありません。

そのほかにやっておくべき事前のトラブル対策

前項以外で、マンション売却において行っておくべきトラブル防止策は以下です。

  • パンフレットや図面を用意しておく
  • 管理規約集や修繕計画書を用意しておく

パンフレットや図面集を用意しておく

パンフレットや図面集が手元にあれば用意しておくと良いです。

パンフレットには設備機器の説明や構造などが記載してありますし、図面集があれば正しい間取りが分かります。

基本的に中古マンションは「現況有姿」といって、見たままを売却するという前提ですが、買主に与える情報は正確であるほどトラブルは少ないです。

管理規約集や修繕計画書を用意しておく

管理規約集や修繕計画書に関しては、買主からの質問が多いので用意しておきましょう。

特に、マンションのルールなどは営業担当者が「一般的には○○」と、管理規約を調べないで自分の知識で答えるケースは意外と多いです。

しかし、自分のマンションが一般的なマンションとは違うルールの可能性もあるので、営業担当がきちんとした返答ができるように、管理規約集や修繕計画書は用意しておきましょう。

買主とのトラブルを防ぎたいなら「瑕疵担保責任」を知っておこう

さて、買主とのトラブルの「設備機器」に付随する点ではありますが、瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)については必ず理解しておきましょう。

瑕疵担保責任は、場合によって引渡し後に売主が大きな負担になるケースもあります。

瑕疵担保責任とは

瑕疵とは「欠陥」という意味なので、瑕疵担保責任とは「欠陥があったときに売主が負う責任」のことになります。

上述した「給湯器の故障」以外にも、以下のようなことがあります。

  • 天井や壁から雨漏りがする
  • クローゼットに大きな陥没がある
  • 食器洗い乾燥機が故障している

このように、生活に支障のある欠陥や故障が売主の責任のよるものであれば、本来は引渡しまでに修理や補修をする必要があります。

しかし、修理や補修をしないで引渡しをした場合、買主保護のために瑕疵担保責任が発生し、引渡し後でも売主が補修などの責任を負うというわけです。

新築と中古では責任を負う期間が異なる

新築の場合は宅建免許を取得している不動産会社が売主であり、中古の場合は一般的に個人が売主になります。

新築の場合は「主要構造の瑕疵担保責任は引渡し後10年間責任を負う」など厳しい決まりがありますが、個人が10年間も責任を負うのは大きな負担です。

そのため、中古の場合には「引渡し後○○年」など、期限を決めて瑕疵担保責任を負うのが一般的です。

期間に関しては、半年から長くても2年ほどの期間で設定するケースが多いです。

瑕疵担保免責特約を活用する

このように、まずは瑕疵担保責任を負わないために、売主が知っている限りの瑕疵については営業担当者に伝えましょう。

どうしても瑕疵担保責任を負うのが嫌な場合は「瑕疵担保免責の特約」というものがあります。

瑕疵担保責任の免責特約とは、以下のような文言の特約です。

特約第●条(瑕疵担保免責)
第●条(瑕疵担保責任の条文)にかかわらず、売主は、本物件についての引渡し後の隠れたる瑕疵については、一切担保責任を負わないものとします。

要は、瑕疵担保責任を免責してもらうという内容になります。当然ながら、瑕疵担保責任を免責するのは不安なので、この特約を無条件で承諾する買主は多くないでしょう。

そのため、この免責の特約を結ぶとしたら、値引き交渉などとセットにすると良いです。たとえば、「買主の値引き額に従うので瑕疵担保免責特約を締結したい」という具合です。

「買取」なら売主に瑕疵担保責任がない

さて、最後に前項の「瑕疵担保免責特約」を結ばなくても、瑕疵担保を売主が負う必要のない方法である買取について解説していきます。

マンションの買取とは

マンションの買取とは、不動産会社がマンションを購入することです。つまり、不動産会社が「買主を探して仲介する」のではなく、「自ら購入する」ということです。

では、なぜ買取だと瑕疵担保責任がなくなるかというと、買主が宅建免許を取得した不動産会社(宅建業者)だからです。

宅建業者が買取する場合は、「プロなのだから瑕疵があれば自分で見つけなさい」という意味で、売主に瑕疵担保責任がなくなります。

買取のメリット

そんな買取をするメリットは、瑕疵担保責任がなくなる以外に以下があります。

  • 売却活動が楽
  • 周囲に売却が知られない
  • 決済が早い

売却活動が楽

買取は、不動産会社が訪問査定をして、その場で買取金額を提示することが多いです。その買取金額を承諾すれば次は申し込みなので、いわゆる「売却活動」がありません。

売却活動があると、休みの日にスケジュールを調整したり、掃除をしたりという出迎え準備があります。

買取だと、その面倒な作業がない点はメリットです。

周囲に売却が知られない

仮に、近所の人に売却を知られたくないときに買取は向いています。

というのも、買取は前項のように売却活動がほとんどないので、近所の人の目に触れないからです。

特に、チラシなどの広告活動を一切しないで良いので、近所の人に売却が知られることはほぼないでしょう。

決済が早い

買取の際、融資を受けて支払うか現金で支払うかは、不動産会社によって異なります。融資を受ける際は多少時間がかかりますが、それでも個人よりははるかに早く決済できます。

まず、融資の審査スピードが個人より早いですし、引っ越し準備がないという点が理由です。そのため、早急に現金化したい人も買取は向いているといえるでしょう。

買取のデメリット

一方、買取のデメリットは、相場金額の6~8割程度まで売却価格が下がるという点です。なぜ売却価格が下がるかというと、不動産会社は買い取った後に転売するからです。

つまり、相場価格で買い取ってしまうと利益が出ないので、相場価格を大きく下回る金額での買取になってしまうというわけです。

このデメリットは売主にとっては大きな損失につながります。

そのため、「瑕疵担保責任を避けたい」という理由以外に、上述したメリットに大きな魅力を感じない限りは、買取はあまりおすすめしません。

まとめ

それでは、今回解説した「マンション売却に伴うトラブル」について、覚えておくべきことをおさらいしましょう。

記事のおさらい

  • マンション売却で良くあるトラブル事例を知る
  • トラブルは事前に防止策があるのでそれを理解する
  • 瑕疵担保責任の仕組みと免責特約を知る
  • 買取で瑕疵担保責任はなくなるがデメリットは大きい

マンションの売却は営業担当者に任せることが多いですが、売主の立場としてもトラブルに巻き込まれないように防止策を講じましょう。

特に、不動産会社とのトラブルは「ルールを知っておくこと」で事前に対処できることです。

上述した点を頭に入れてマンションの売却に臨めば、トラブルを回避できる確率はグンと上がるでしょう。

執筆者の中村昌弘さんの写真

マンション売却のコンサルタント

中村昌弘

保有資格:宅地建物取引士

新卒で不動産ディベロッパーに勤務し、用地仕入れ・営業・仲介など、不動産事業全般を経験。入居用不動産にも投資用不動産にも知見は明るい。独立後は、不動産事業としては主にマンション売却のコンサルタントに従事している。趣味は読書。好きな作家は村上春樹、石原慎太郎。

関連記事

元仲介担当者が教える!マンション売却のキャンセル方法と金銭リスク

元仲介担当者が教える!マンション売却のキャンセル方法と金銭リスク

減価償却って何?マンション売却時の減価償却を簡単解説!

減価償却って何?マンション売却時の減価償却を簡単解説!

マンション売却の告知義務は知らないと危険!どこまで伝えるのがベスト?

マンション売却の告知義務は知らないと危険!どこまで伝えるのがベスト?

元営業マンが回答|マンション売却で営業マンにお礼は必要?

元営業マンが回答|マンション売却で営業マンにお礼は必要?

元営業マンが教える|マンション売却でデキる営業マンの見極め方

元営業マンが教える|マンション売却でデキる営業マンの見極め方

賃貸中のマンション売却|知っておくべきデメリットと売却のコツ

賃貸中のマンション売却|知っておくべきデメリットと売却のコツ

マンション売却のスケジュールと賢く売却するための注意点を徹底解説!

マンション売却のスケジュールと賢く売却するための注意点を徹底解説!

プロが教える!マンション売却の業者選びの6つのポイント

プロが教える!マンション売却の業者選びの6つのポイント

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

あなたの不動産いくら売れる?
提携優良不動産会社から最大6社一括査定依頼!

すまいうるは一部上場企業が運営する安心・安全な無料サービスです。