共有名義のマンション売却時に知っておくべきポイント

共有名義のマンションを売る

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コンサルタント 監修 中村昌弘

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マンションを所有している人の中には、マンションの名義を単体ではなく共有にしている人は少なくありません。

そんな方が疑問に思うのは、「マンション売却において単体の名義の場合と何か違う点はあるのか?」という点でしょう。

手続きする方法が違ったり、注意点が違ったりした場合は、マンション売却前に知っておきたいものです。

この記事では、そんな方に向けて以下を解説していきます。

この記事ではこんな悩みを解決します!

  • 共有名義において理解すべきことは?
  • 離婚と相続時の注意すべきことはある?
  • 確定申告のとき注意すべきことはある?

共有名義のマンション売却において、特に離婚や相続が絡む売却は注意が必要です。

この注意点を理解しておくかどうかで、マンション売却のスピードも売却価格も大きく違ってくるでしょう。

筆者は、元々マンションディベロッパーの営業担当者でした。実際にマンションの仲介を成約させたことは何件もありますし、共有名義のマンション売却の経験も豊富です。

その経験を活かして、具体的な注意点を解説していきます。共有名義のマンション売却を検討している方は参考にしてみてください。

共有名義とは

共有名義の不動産とは、複数の人が1つの不動産を共有している状態のことです。不動産は所有者の名義で登記されており、その登記の状況によってその不動産が誰のものであるかが分かります。

共有名義かどうかを調べるためには、法務局で登記簿謄本を取得することです。そうすれば、今現在の名義人が誰なのかが分かります。

また、名義人は基本的に出資者によって決まります。たとえば、夫が全額ローンを組めば100%夫の名義になるというわけです。

「マンションを共有する」とはどういうことか

共有名義は、土地でもマンションでも一戸建てでも、全ての不動産で起こる現象です。注意すべきなのは、所有面積を共有しているわけではないという点です。

たとえば、70㎡のマンションを所有しており、夫と妻の共有名義だったとします。この場合、夫と妻が35㎡ずつを所有しているというわけではありません。

共有の場合は所有権を持ち合います。そのため、あくまで70㎡のマンションの「所有権」を2人で持ち合っているということになります。

マンションを共有しているケース

マンションを共有しているケースとしては、以下のケースが考えられます。

  • 連帯債務者になっている
  • 頭金を出している

たとえば、夫と妻がそれぞれローンを組めば(ペアローン)、夫と妻の両方が出資者なので共有名義になります。

また、たとえば夫が2,700万円のローンを組み、妻が300万円の頭金を出していれば、これも両者が出資者なので共有名義です。

共有名義だと「持分割合」という考え方がある

共有名義の場合、持分割合があります。

一般的に、持分割合は出資比率で決まるので、たとえば前項の例にある「夫が2,700万円のローンを組み、妻が頭金300万円を出資していたケース」で考えてみましょう。

この場合は、「夫2,700万円:妻300万円」なので、持分割合は「夫9:妻1」になります。

ただ、持分割合がどれだけ小さかろうと、所有権を共有していることには変わりありません。

共有名義のマンションを売却するには「名義人全員の同意」が必要

マンション売却時は、不動産会社と媒介契約を結び売却をスタートさせます。

共有名義の場合、その媒介契約を結ぶ際に名義人全員の署名・捺印が必要です。

媒介契約だけでなく、その後の売買契約や引き渡しに関連する一切の書類も、共有名義人の署名・捺印が必要です。

たとえば、遠方にいる父と自分の共有名義であった場合、わざわざ署名・捺印を依頼しに行かなければなりません。しかし、これでは手間がかかるので、媒介契約を含んだ一切を委任している旨の委任状を共有名義者(この場合は父)からもらうことをオススメします。

委任状をもらっておけば、代表者である自分だけで媒介契約を含めた手続きを進めることが可能です。

なお、「名義人全員の署名・捺印」は、そもそも全員が売却に「同意」している必要があるということです。マンション売却の途中で揉めないためにも、売却前に名義人同士で必ず話し合っておきましょう。

名義人の所在が分からない場合の対処法(特に相続時)

上述したように、名義人全員の承諾がないとマンション売却はできないので、名義人の所在が分からないときには困ってしまいます。

離婚時には「所在が分からない」ということは少ないと思いますが、相続時には起こりうることです。

その場合、以下2つの方法が一般的です。

  • 興信所などを利用して行方を探す
  • 不在者財産管理制度を活用する

まずは興信所などを利用して行方を探すという方法がありますが、それでも見つかる保証はありません。そのため、しばしば利用されるのが「不在者財産管理人制度」です。

この制度は、不在者の財産を管理する人を裁判所に選定してもらう制度です。

つまり、行方不明の人の代理人を立てるということになるので、不在者がいてもマンションの売却は可能なのです。

離婚時のマンション売却のポイント

前項はどちらかといえば相続時の話でしたが、ここでは離婚時の注意点を解説します。

残念ながら、離婚時はマンション売却で揉めるケースは少なくないので、以下のポイントを押さえておきましょう。

  • 売却下限金額と引き渡し時期を決めておく
  • トラブルがないような営業担当者の見極める

売却下限金額と引き渡し時期を決めておく

前提として、離婚時は夫と妻の状況は大きく違うケースが多いです。

たとえば、夫が会社員で妻が専業主婦の場合、将来的に金銭面で不安が大きいのは専業主婦の妻でしょう。

そのため、妻は売却金額を優先するかもしれませんが、一方で夫は「早く終わらせたい」と売却スピードを優先させるかもしれません。つまり、検討者から値段交渉が入ったときに揉めがちなのです。

そのため、マンション売却前に売却下限価格と引き渡し時期のリミットを決めておきましょう。

そうすれば、値交渉されても機械的に判断することができます。

トラブルがないような営業担当者の見極める

夫婦間の仲が悪化している場合、営業担当者は夫と妻、それぞれに連絡を取る必要があります。

そのため、両者と上手く話し合える営業担当者が必要であり、その見極めは必須です。

まず、訪問査定時には必ず妻・夫ともに営業担当者と顔を合わせましょう。

査定に来た営業担当者がそのまま売却担当になるケースが多いので、顔を合わせて両者ともと「相性が良いか」を確認するというわけです。

共有名義のマンションを売却した方が良い理由

次に、共有名義のマンションを売却した方が良い理由を解説します。

これは、相続と離婚時の2つの視点があります。

相続の場合

相続時は共有名義のマンションを売るというよりも、相続したマンションを共有名義で保有するのではなく、売却して現金化すべきということです。

理由は、売却・賃貸などいちいち名義人全員の署名・捺印が必要で、非常に手間がかかるという点が挙げられます。

そのため、相続後にトラブルになるリスクがあるので、現金化して平等に分けた方が良いのです。

離婚の場合

離婚時は、共有名義のマンションを売却せず、慰謝料代わりにどちらかが譲り受けるケースがあります。

しかし、その場合には以下のリスクがあります。

  • 離婚後も連絡を取り合う必要がある
  • 自由に売買や賃貸ができない
  • ローン返済が滞ればマンションから強制退去しなければならない

特に、ローン返済が滞ったときは大問題です。

仮に、夫との共有名義で夫がローンを支払い続けているマンションに慰謝料代わりに住んでいるとします。

その場合、夫がローン返済不能になれば、金融機関が強制的に処分するので退去を迫られるというわけです。

確定申告は共同ではできない

共有名義のマンションを売却して売却益がある場合、もしくは特例を利用する場合は確定申告が必要です。

しかし、共有名義だとしても確定申告を共同で行うことはできません。

確定申告書類は国税庁ホームページ(※)で作成する方法がもっとも楽です。

マンションを売却した翌年3月15日(土日祝の場合は異なる)までに確定申告する必要があるので、それぞれ書類作成が必要な点は認識しておきましょう。

※参考サイト:確定申告作成コーナー(国税庁)

共有名義のマンション売却における確定申告

先ほどもお伝えしましたが、マンションを売却して売却益がある場合もしくは特例を利用する場合は、確定申告が必要です。

その確定申告の際、持分が共有だと多少ルールが異なります。

売却益は持分割合で分ける

マンションを売却して利益が出た場合は、その売却益は持分割合によって分割されます。

たとえば、持分割合が5:5の夫婦が共有名義人で、売却益が500万円あったとします。

その場合、夫250万円、妻250万円の利益を得たという扱いになり、それぞれ確定申告が必要になるということです。

経費も持分割合で分ける

共有名義のマンション売却は、売却にかかった経費も持分割合に応じて分割できます。

売却益(譲渡所得)がいくらなのかを計算する際、経費を考慮します。経費を考慮することで、課税対象となる譲渡所得額が小さくなり税金が安くなります。

というのも、売却益(譲渡所得)は以下の計算式で求められるからです。

譲渡所得=(売却価格-売却時にかかった経費)-(購入時の不動産価格+購入時にかかった諸経費-減価償却費用)

売却益は「売却金額-購入金額」という単純な計算式ではなく、そこに経費を加味するということです。

減価償却費用とは機械的に算出される金額なので、ここでの説明は一旦割愛します。

経費の種類

マンション売却時に経費として計上できる費用は以下の項目です。

  • 仲介手数料
  • 契約書への印紙代
  • 登記関係費用(登録免許税・司法書士に支払った報酬)
  • 不動産取得税

例として、持分割合50:50の夫婦名義のマンションを売却したとしましょう。そのとき、600万円の利益、そして売買・購入時に280万円の経費がかかりました。

この場合、利益は300万円ずつ、経費は140万円ずつ案分するので、それぞれ160万円(300万円-140万円)の利益となります。(※)

※ここでは減価償却費用は加味せず計算しています。

なお、仲介手数料が割と高額なので、上記事例のように経費が100万円以上になることは珍しくありません。

コラム:税率を知っておこう

不動産の利益(譲渡所得)に関しては、譲渡所得税がかかります。その税率は、長期保有か短期保有かによって異なってきます。

長期保有とは、マンションを売却した年の1月1日時点で、保有期間が5年超のケースです。短期保有とは、5年以下のケースになります。

それぞれの税率は以下の通りです。

保有期間が5年超の場合
所得税 譲渡所得額×15%
復興特別所得税 上記の所得税額×2.1%
住民税 譲渡所得額×5%
保有期間が5年以下の場合
所得税 譲渡所得額×30%
復興特別所得税 上記の所得税額×2.1%
住民税 譲渡所得額×9%

節税できる3,000万円の特別控除

最後に、マンション売却で重要な3,000万円の特別控除という特例を知っておきましょう。

この特例は、譲渡所得を3,000万円控除してくれるというものです。言い換えると利益が3,000万円以下であれば税金がゼロということです。

ただし、この特例は「居住用物件の売却」「過去2年に住宅に関する特例は利用していない」などの条件があるので、国税庁ホームページ※で確認しておきましょう。

※参考サイト:マイホームを売ったときの特例(国税庁)

また、相続時も一定要件を満たせば利用できるので、こちらも国税庁ホームページ※でチェックしておきましょう。

※参考サイト:被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例(国税庁)

まとめ

それでは、今回解説した「共有名義のマンション売却」について、覚えておくべきことをおさらいしましょう。

記事のおさらい

  • 共有名義の仕組みを知る
  • 共用名義は全員の同意がないと売却や賃貸ができない
  • 離婚時は売却価格と引き渡し時期を事前に決めておく
  • 離婚や相続時は売却して現金を分けた方が良い
  • 確定申告の仕組みには注意

まずは、共有名義の仕組みを再認識し、名義人全員の同意がないと何もできないという点を理解しておきましょう。

その上で、離婚時や相続時は共有名義のまま保有せず、売却して現金を分け合った方が良いという点を理解してください。

最後に、確定申告の仕組みや3,000万円の特別控除を理解することで、共有名義のマンション売却もスムーズに進捗させることができるのです。

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コンサルタント 監修 中村昌弘 宅地建物取引士

新卒で不動産ディベロッパーに勤務し、用地仕入れ・営業・仲介など、不動産事業全般を経験。入居用不動産にも投資用不動産にも知見は明るい。独立後は、不動産事業としては主にマンション売却のコンサルタントに従事している。趣味は読書。好きな作家は村上春樹、石原慎太郎。

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