マンション売却時の税金とは?知っておくべき税金を一挙解説!

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マンション売却コンサルタント

中村昌弘

マンション売却は一生に一度あるかないかの出来事です。そのため、マンション売却に伴う税金についても詳しく知っている人は少ないと思います。

そのような状況なので、当然ながら「そもそも何の税金がかかるの?」と思う人は多いです。

マンションの金額が金額なだけに、もしかしたら高額な税金がかかるのでは?と思う気持ちも分かります。

この記事では、そんな人のために以下の疑問にお答えします。

この記事ではこんな悩みを解決します!

  • マンション売却って税金かかるの?
  • いくらくらいかかるの?
  • 税制の優遇などはないの?

なかなか馴染みがない税金について、順を追って丁寧に解説していきます。

ぜひチェックしてみてください。

マンション売却にかかる税金は3種類

マンション売却には以下の税金がかかってきます。

  • 譲渡所得税
  • 印紙税
  • 消費税

上記の税金は次項以降で詳しく解説しますが、この中でもっとも高額になるのは「譲渡所得税」です。

そのため、マンション売却時には譲渡所得税額に注意し、高額になる場合はきちんとその金額を加味した上で売却しなければいけません。

マンション売却時、多くの人は仲介手数料などの諸費用には注目します。しかし、その金額だけをチェックしていると、「意外と譲渡所得税がかかったな……」という事態になりかねません。

もし、そのような事態になってしまえば、手元に残るお金が減ってしまい、将来的な資金計画に狂いが生じてしまいます。

だからこそ、マンション売却にかかる上記の税金については理解しておく必要があるというわけです。

譲渡所得税の求め方

この章では、譲渡所得税の概要や計算方法などを解説していきます。譲渡所得税がかかる場合には高額になるケースもあるので、注意しましょう。

そもそも、譲渡所得税とは、譲渡(売却)によって出た所得(利益)のことです。会社員であれば給与所得、個人事業主であれば事業所得があり、それぞれ税金がかかってきます。

譲渡所得も、これらと同じ「所得」になるので、税金が課せられるというわけです。

譲渡所得の計算方法

さて、譲渡所得は以下の計算式で算出されます。

譲渡所得を求める計算式

譲渡所得=(売却価格-売却時にかかった諸費用)-(購入時のマンション価格+購入時にかかった諸費用-減価償却費用)

(購入時のマンション価格+購入時にかかった諸費用-減価償却費用)の部分は、取得費と呼ばれます。

もし、マンションの取得費用が分からないときは、概算金額として「売却金額×5%」で計算します。

たとえば、親御さんから相続したマンションで築数十年経過していれば、当時の売買契約書などは残っていなく、取得費用は分からないかもしれません。

ただ、「売却金額×5%」は本来の取得費よりかなり安い金額です。結果的に、譲渡所得額を上げてしまう原因になりかねません。

譲渡所得額が上がれば税金が上がるので、なるべく「取得額を証明できる書類」を見つけ出して「売却金額×5%」の概算金額になるのは避けましょう。

減価償却費の計算方法

前項の計算式で「減価償却費」とありますが、これは建物が経年劣化した分を加味するという費用です。

つまり、マンションは築年数を経過するごとに劣化していくので、その分を購入時の金額から差し引くというわけです。

減価償却費は、築年数、取得価格、耐用年数で機械的に算出されます。計算式は以下の通りです。

減価償却費を求める計算式

減価償却費=建物購入代金×0.9×償却率×経過年数

償却率は構造によって以下のように決まっています。厳密には、構造ごとに耐用年数が決まっており、その耐用年数ごとに償却率が定められています。

建物構造 償却率
木造 0.031
軽量鉄骨造 0.025
鉄筋コンクリート造 0.015

たとえば、建物購入価格2,500万円の築10年の鉄筋コンクリート造のマンションであれば、計算式は以下です。

減価償却費=2,500万円×0.9×0.015×10年=337.5万円

譲渡所得税率の一覧表

譲渡所得税を計算する際は、「所得税」のほかに「復興特別所得税」「住民税」も加味して計算します。

また「所得税」「復興特別所得税」「住民税」の税率は、長期保有と短期保有の場合で異なります。

長期保有とは、マンションを売却した年の1月1日時点で、マンションの保有期間が5年超の状態です。

短期保有とは、マンションを売却した年の1月1日時点で、マンションの保有期間が5年以下の状態です。

長期保有の場合 短期保有の場合
所得税 譲渡所得額×15% 譲渡所得額×30%
復興特別所得税 上記の所得税額×2.1% 上記の所得税額×2.1%
住民税 譲渡所得額×5% 譲渡所得額×9%

※復興特別所得税:平成25年から平成49年までの所得税に対して課税されます。(参考サイト:個人の方に係る復興特別所得税のあらまし(国税庁)

譲渡所得税を実際に計算してみよう(例題)

譲渡所得税がいくらになるかを求めるには、

  1. 減価償却費を算出
  2. 譲渡所得額を算出
  3. 譲渡所得額に税率をかけて譲渡所得税を算出

の順番でひとつずつ計算していきます。

難しそうに感じると思いますが、電卓があればカンタンです。

今回は、下記条件のマンションを売却した場合を想定し、譲渡所得税を計算してみましょう。

  • 鉄筋コンクリート造のマンション
  • 築年数10年
  • 売却価格:2,700万円(諸費用100万円)
  • 購入価格:2,500万円(諸費用95万円)

ステップ1.減価償却費を求める

減価償却費を求める式は以下です。

減価償却費=建物購入代金×0.9×償却率×経過年数

建物購入代金は、提示のとおりそのまま2,500万円です。

償却率は、先ほども紹介した下記表で分かります。
今回の例題では、鉄筋コンクリート造のマンションを売却したので、償却率は「0.015」となります。

建物構造 償却率
木造 0.031
軽量鉄骨造 0.025
鉄筋コンクリート造 0.015

経過年数は、築年数10年という条件から「10年」と分かります。

これらの情報を計算式にあてはめると、

減価償却費=2,500万円×0.9×0.015×10年=337.5万円

と求めることができます。

ステップ2.譲渡所得額を求める

譲渡所得を求める式は以下です。

譲渡所得=(売却価格-売却時にかかった諸費用)-(購入時のマンション価格+購入時にかかった諸費用-減価償却費用)

この計算式にあてはめる情報は、下記のとおりすべて出揃っています。

  • 売却価格:2,700万円(諸費用100万円)
  • 購入価格:2,500万円(諸費用95万円)
  • 減価償却費:337.5万円

これらの情報を計算式にあてはめると、

譲渡所得=(2,700万円-100万円)-(2,500万円+95万円-337.5万円)=342.5万円

と求めることができます。

数字が苦手でない方ならお気付きかもしれませんが、減価償却費を加味する(購入金額から差し引く)ことで、課税対象である譲渡所得が大きくなります。譲渡所得の計算は、減価償却費がかなり影響を与えます。

ステップ3.譲渡所得税を求める

あとは、ステップ2で求めた譲渡所得額342.5万円に税率をかけるだけです。

今回の例題では、築年数10年のマンションを売却しています。つまり、長期保有(5年超)の税率が適用されます。

長期保有の税率
所得税 譲渡所得額×15%
復興特別所得税 上記の所得税額×2.1%
住民税 譲渡所得額×5%

これより、各種税額は

  • 所得税:342.5万円×15%=513,750円
  • 復興特別所得税 :513,750円×2.1%=10,789円
  • 住民税:342.5万円×5%=171,250円

となり、譲渡所得税額(合計)は695,789円と求めることができます。

ここまでで、譲渡所得税の概要や計算方法が分かったと思います。

印紙税と軽減措置について

この章では印紙税について解説します。印紙税とは、経済取引上で必要な書類に課せられる税金です。

マンション売却においては「売買契約書」が印紙税の対象です。売買契約書上の売買金額によって、税率は異なります。

また、不動産の売買契約書においては、下記条件に該当する場合に限り印紙税の軽減措置がされています。

印紙税の軽減税率を適用できる条件

  • 不動産の譲渡に関する契約書である
  • 契約書の記載金額が10万円を超える
  • 契約書が平成26年4月1日から平成32年3月31日までの間に作成される

この条件をすべて満たす場合は、軽減後の印紙税を参考にしてください。

売買金額

印紙税(軽減前)

印紙税(軽減後)
100万円超~500万円以下 2,000円 1,000円
500万円超~1,000万円以下 10,000円 5,000円
1,000万円超~5,000万円以下 20,000円 10,000円
5,000万円超~1億円以下 60,000円 30,000円

※参考サイト:不動産売買契約書の印紙税の軽減措置(国税庁)

印紙税は、譲渡所得税に比べると少額です。

また、売主と買主の折半なのか、どちらかの全額負担なのかは物件によって異なります。その点は、仲介を依頼している不動産会社に、事前に確認しておきましょう。

消費税がかかるもの

マンション売却時、以下の諸費用に消費税がかかります。

  • 司法書士報酬
  • 仲介手数料

司法書士報酬とは、抵当権抹消登記を司法書士に依頼した場合に支払う5万~8万程度のお金のことです。

仲介手数料とは、仲介してくれたお礼として不動産会社に支払うお金です。

こちらも譲渡所得税に比べれば微々たる金額ですが、消費税は引き渡し時のパーセンテージが適用されるので気を付けましょう。

なお、売主が個人であれば、売買代金に消費税はかかりません。

税金を支払う方法と支払いタイミング

この章では、上述した税金の「支払い方法」と「支払タイミング」を解説します。

印紙税は、基本的に仲介会社が立て替えて引き渡し時に支払うか、自ら印紙を郵便局などで購入します。

消費税がかかる司法書士報酬と仲介手数料は、引き渡し時に支払います。

一方、譲渡所得税に関しては、翌年の2月15日~3月15日に確定申告をすることで納税するという流れです。

確定申告書類は、国税庁ホームページの確定申告作成コーナーで作成できるので、該当する期限までに書類を作成して提出します。

そして、納付書や振り込み、クレジットカード払いなどの支払い方法を選択し、確定申告後に納税するという流れです。

税金が安くなる特例・ケースを紹介(売却で利益が出たとき)

この章では、譲渡所得がプラス(利益が出ている)ときに、税金で安くなる特例の概要を紹介していきます。

具体的には以下のような特例です。

売却益が出たときに適用できる特例

  • 3,000万円の特別控除
  • 10年超所有軽減税率の特例
  • 特定居住用財産の買替特例

詳細は後述しますので、ここでは概要だけ触れていきます。

3,000万円の特別控除は、譲渡所得が3,000万円控除されます。この特例を利用できれば、多くの物件で譲渡所得税はゼロになるでしょう。

10年超所有軽減税率の特例とは、保有期間が10年超の物件は、先述した譲渡所得税率が低くなる特例です。

そして、特定居住用財産の買替特例とは、税金を次の物件売却時まで繰り越しできるという特例になります。

3,000万円の特別控除の特例

この章では、3,000万円の特別控除について触れていきます。3,000万円の特別控除は、以下のような条件をクリアしたマンションに適用されます。

3,000万円の特別控除を適用するための主な条件

  • 売却する不動産が自分の家であること
  • 現在住んでいなければ、住まなくなった日から3年目の12月31日までに売ること
  • 売った年の前年、前々年にこの特例を含め他の特例を受けていないこと
  • 親子や夫婦など特別な関係がある人に対して売ったものでない

ほかにも細かい条件があるので、詳しくは国税庁ホームページ(※)で確認ください。

※参考サイト:マイホームを売ったときの特例(国税庁)

前項で説明したように、譲渡所得が3,000万円控除されるので、多く物件では譲渡所得がゼロになるでしょう。

共有者1人につき最高3,000万円の控除!

3,000万円の特別控除は、1物件ごとではなく所有者ごとに適用されます。

つまり、マンションを複数人で所有している場合、3,000万円の特別控除を適用できるかどうかは、「共有者単位」で判断することになります。

※参考サイト:共有のマイホームを売ったとき(国税庁)

仮に、夫婦で1/2ずつ保有しているマンションを売却した場合に、譲渡所得が6,000万円だったとします。

この場合、夫と妻それぞれで3,000万円の特別控除を適用できるか判定されます。2人とも適用できるとなった場合、まず譲渡所得6,000万円を夫婦で1/2ずつ(3,000万円)分けます。

その後、夫と妻それぞれが3,000万円の特別控除を利用できるので、それぞれ相殺して譲渡所得はゼロにできるのです。

注意点は、この特例を利用するときは確定申告をするということです。国税庁ホームページの確定申告作成コーナーで書類を作成できます。

10年超所有軽減税率の特例

「譲渡所得税の求め方」の章で、所有期間が5年以下と5年超で譲渡所得税率が異なることをお伝えしました。

しかし、売却するマンションの保有期間が10年を超える場合には、5年超の譲渡所得税率よりも低い税率を適用できる可能性があります。

具体的には、マンションを売却した年の1月1日時点で保有期間が10年を超えている場合に、以下のように譲渡所得税率が軽減されます。

課税対象となる譲渡所得金額 軽減税率における税額
6,000万円以下 課税対象となる譲渡所得金額×10%
6,000万円超 (課税対象となる譲渡所得金額-6,000万円)×15%+600万円

5年超(長期所有)の譲渡所得税率は20%以上だったことを考えると、この特例を適用できれば税率はかなり下がります。

また、この特例は前項の「3,000万円の特別控除」と併用して受けることが可能です。つまり、4,000万円譲渡所得があっても、3,000万円を控除した金額が上記の「課税対象となる譲渡所得金額」に該当します。

適用条件も3,000万円の特別控除とほぼ同じですが、細かい点は「マイホームを売ったときの軽減税率の特例(国税庁)」で確認してください。

特定居住用財産の買替特例

特定居住用財産の買替特例とは、マイホームの買い替え時に利用できる特例です。

たとえば、マンションAを売って譲渡所得が4,000万円発生すれば、その4,000万円に税金がかかります。

しかし、AからBへの買い替え時にこの特例を利用することで、Bを売却するときまで課税分を繰り延べできます。

つまり、Bの物件を売却したときに譲渡損失が出れば、その損失と相殺できる可能性があるのです。

注意点は、上述した2つの特例「3,000万円の特別控除」「10年超所有軽減税率」と併用ができない点です。特に、3,000万円の特別控除は大きな控除なので、どちらがお得かはきちんと見極めましょう。

こちらも適用条件は3,000万円の特別控除と大枠は似ていますが、細かい点は「特定のマイホームを買い替えたときの特例(国税庁)」で確認してください。

税金が安くなる特例・ケースを紹介(売却で損失が出たとき)

一方、税金が安くなる特例・ケースは以下です。

売却損が出たときに適用できる特例

  • (A)特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除
  • (B)居住用財産の買い替え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除

上記の特例は、本質的にはどちらも同じ内容です。譲渡損失が出たときに、その損失分をほかの所得から差し引くことができ、引ききれなかった分は最大3年間繰り越せるという仕組みになります。

最も大きな違いは、(A)は住宅ローンに関する制約がありませんが、(B)は償還期間10年以上の住宅ローンの残債がある前提です。

たとえば、給与所得が700万円である会社員の方が、マンション売却により譲渡損失が1,000万円あったとします。

特例を適用できると、譲渡損失の1,000万円と同額までは給与所得から控除できます。給与所得は700万円なので700万円分控除され、支払い済みの税金は年末調整で還ってきます。

また、引ききれなかった300万円は、次年度の給与所得から差し引くことが可能です。今回の例だと、給与所得700万円から300万円を差し引くことになり、次年度の課税対象は400万円となります。

注意点は、利用するには確定申告が必要という点と、この2つの特例は基本的にどの特例とも併用ができないという点です。

また、この2つ特例の適用条件も「3,000万円の特別控除」と似ていますが、それぞれ諸条件が異なるのでホームページ※で確認ください。

※参考サイト:住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき(国税庁)
※参考サイト:マイホームを買い替えた場合に譲渡損失が生じたとき(国税庁)

まとめ

それでは、マンション売却に伴い、覚えておくべきことをおさらいしましょう。

記事のおさらい

  • マンション売却時は譲渡所得税、印紙税、消費税がかかる
  • この中で譲渡所得税がダントツで高額
  • 譲渡所得の計算式は少々複雑
  • 譲渡所得に関してはさまざま特例がある

特に、3,000万円の特別控除は非常に大きな特例なので、自分のマンション売却時に適用できるかは必ず確認しておきましょう。

また、譲渡損失がある場合も、その損失をほかの所得と損益通算できる点も覚えておきましょう。

これも、大きな節税対策になるので、仮に譲渡損失があった場合は確定申告することを忘れてはいけません。

執筆者の中村昌弘さんの写真

マンション売却のコンサルタント

中村昌弘

保有資格:宅地建物取引士

新卒で不動産ディベロッパーに勤務し、用地仕入れ・営業・仲介など、不動産事業全般を経験。入居用不動産にも投資用不動産にも知見は明るい。独立後は、不動産事業としては主にマンション売却のコンサルタントに従事している。趣味は読書。好きな作家は村上春樹、石原慎太郎。

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