賃貸中のマンションを売却するための全知識!入居者への対応を徹底解説

賃貸中のマンションを売却する方法

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コンサルタント 監修 中村昌弘

マンションを所有している人の中では、そのマンションを賃貸中…もしくは今後賃貸に出す予定がある人もいるでしょう。

そんな人は、賃貸中のマンションはどのように売却すれば良いのか?賃貸中のマンションの売却の注意点が分からない……という人も多いのではないでしょうか?

そこで、この記事では以下の点を解説していきます。

この記事ではこんな悩みを解決します!

  • 賃貸中のマンションを売却する方法は?
  • 入居者には何をすればよいのか?
  • 賃貸中のマンションを売却するデメリットと対策は?

筆者は、元々マンションディベロッパーの営業マンであり、今までに数多くのマンション売却を担当してきました。そのため、今回解説することは今までの仲介経験からの実体験に基づいています。

わたし自身は賃貸中のマンション売却の経験はありませんが、勤務先ではノウハウが共有されていた上に、同僚が実際に売却する姿を見てきました。

賃貸中マンションの売却はそう多い例ではありませんが、注意点をきちんと認識することで高く、早く売れる可能性は高まるでしょう。

賃貸中のマンションを売却する方法は2つ

賃貸中のマンションを売却する方法は以下2通りです。

  • 賃貸中のまま売却する
  • 入居者に退去してもらい、空室として売却する

賃貸中のまま売却する

まずは賃貸中物件として売却することです。入居者は現在の状態で、そのまま所有者を切り替えるだけなので「オーナーチェンジ」ともいわれます。

この場合は投資用物件としてカテゴライズされるので、ネットなどの広告にも投資用物件(収益物件)として掲載され、ターゲットは投資家になるということです。

この記事で解説するのは、基本的にこのオーナーチェンジ物件です。

入居者が退去してもらい、空室として売却する

もう1つの方法は入居者に退去してもらい、空室として売却するという方法です。この場合は、通常の居住用物件として売るか、収益物件として売るかは売主が選びます。

たとえば、1Rなどコンパクトなマンションは居住用に購入する人よりも、投資用に購入する人の方がターゲットとしては多いでしょう。そのため、そのような場合は投資用マンションとして売却します。

一方、たとえば2DK以上の大きさになると、居住用に購入するターゲットも増えてきます。

このように、広さやエリアによって、居住用として売るか投資用として売るかは不動産会社と相談して決めるという流れです。

いずれにしろ入居者がいないので、マンション売却において特別なことはありません。つまり、一般的なマンション売却と同じ方法で売却します。

賃貸中のままマンションを売却する前に入居者へ確認すること

前項でいう「オーナーチェンジ物件」の場合、賃貸中のままマンションを売却することになります。

そのため、入居者に以下を確認することが重要です。

  • 入居者に購入意思がないかを確認
  • 入居者に退去の予定がないかを確認

なお、売却することについて、入居者の許可を取る必要はありません。

入居者に購入意思がないかを確認

まずは入居者に購入意思がないかを確認します。仮に購入意思があり、入居者に売却することができれば、以下のようなメリットがあるからです。

  • 仲介手数料など経費が安価になる
  • 売却活動の手間がない
  • 物件のことをよく知っているので話が早い

入居者がそのまま購入すれば、不動産会社に仲介を依頼することはありません。売買契約書の作成など、専門的なことだけ依頼する可能性ありますが、通常の仲介手数料よりは安価になります。

また、売却活動もなく、物件のことをよく知っている買主になるので、売主も余計な手間をかけずに売却することが可能です。

入居者に退去の予定がないかを確認

次に入居者に退去する予定があるかどうかを確認することです。というのも、投資用物件として売却するにしても、入居中か否かでメリット・デメリットは変わってくるので、売り方も変わってくるからです。

詳しくは後述しますが、入居中のマンション売却は内覧ができないというデメリットはありますが、投資家(買主)にとっては「取得したときからすぐに賃料収入が得られる」というメリットもあります。

一方、入居者が退去するのであれば、内覧はできるものの投資家(買主)は物件取得後に自ら客付けする必要が出てきます。

このように、入居者の有無でメリット・デメリットが異なり売り方が変わってくるため、近い将来退去する予定があるかどうかを聞いておくというわけです。

入居者の許可は不要

また、賃貸中のマンション売却でよく聞かれることですが、「入居者に許可は必要か?」という質問には「許可は不要」と答えます。

というのも、入居者にとっては単にオーナーが変わるだけなので、大きな変化はないからです。入居者と結んでいる賃貸借契約書にも売却に関する制約はないため、基本的には自由に売買できます。

賃貸中のままマンションを売却した後に入居者へ伝えること

仮に、入居者に退去する意思も購入する意思もない場合には、賃貸中のままマンション売却を行うことになります。

その際は、マンション売却によってオーナーが変更することを伝える必要は出てきます。

オーナー変更の通知を行う

入居者にマンション売却の許可を取る必要はありませんが、売却が完了してオーナーが変更になった場合は入居者に通知します。

一般的には売却後の売主とともに連名で書面を作り、以下のような内容を盛り込みます。

  • オーナー変更の旨
  • オーナー変更した時期(=引渡し日)
  • 賃貸借契約書を承継する旨
  • 口座変更を伴う場合はその旨

上記のような点を盛り込み、「賃貸人の地位承継通知書及び同意書」という形で入居者から署名・捺印をもらうのが一般的です。

敷金は新しいオーナー(買主)に引き継がれる

また、敷金は新しいオーナーに引き継がれます。それは、前項の「賃貸人の地位承継通知書及び同意書」で以下のような条件を入れることで明確にするが一般的です。

「賃借人に返還を要する敷金については、新賃貸人に免責的に承継されますので、これらの返還義務は新賃貸人が負うことになります。」

この一文があることで、「賃貸人の地位承継通知書及び同意書」という書面できちんと敷金が引き継がれることを証明しています。

賃貸中のマンションを売却するデメリットと対策

実際に賃貸中のマンション売却をするときは、以下のデメリットがあります。

  • 購入検討者は内覧ができない
  • 不動産会社による得手不得手がある
  • 投資家が買うので母数が少ない

この章では、これらのデメリットの詳細と、デメリットを払拭する対策について解説していきます。

購入検討者は内覧ができない

まず1つ目のデメリットは、購入検討者が内覧できないという点です(入居者が退去しない場合)。内覧できないということは、購入者は室内が劣化していてもそれを把握できずに購入することになります。

そうなると、予想以上に室内が劣化しているなども状況もあり得るので、値引き交渉も激しくなりやすいです。そのため、以下の対策を理解しておきましょう。

  • リフォーム履歴などの記録を見せる
  • 責任の範囲を明確にする
  • 室内写真などイメージできる素材を用意

対策1.リフォーム履歴などの記録を見せる

仮に、過去リフォームした履歴などがあれば、その記録を購入検討者に見せましょう。

リフォーム時は、リフォーム箇所が明確に表示されており、どのようにリフォームしたかを分かりやすく記載している図面があります。

その図面があれば、購入検討者も安心する材料になり、内覧できない不安は多少和らぐでしょう。

対策2.責任の範囲を明確にする

また、購入者はエアコンや給湯器などの設備不良なども懸念するポイントです。

仮に、引渡しを受けた直後にエアコンや給湯器の故障が発生すれば、責任が売主・買主のどちらにあるのかを揉めるかもしれません。

そのため、付帯設備の故障に関する補修などは、「付帯設備表」などを作成し明確にしておきましょう。

そもそも室内には何の設備があるのか?いつまで売主は故障を保証するのか?を記載しておくことで買主も安心しますし、売主もトラブルになるリスクを下げることができます。

対策3.室内写真などイメージできる素材を用意

また、その物件を購入した当初のものでもよいですが、室内写真などがあれば準備しておきましょう。室内の様子を見ることで部屋のイメージが湧き、購入検討も進みやすくなります。

不動産会社による得手不得手がある

2つ目のデメリットは、不動産会社による得手不得手があるという点です。もちろん、投資用マンションだけでなく、通常の入居用物件も不動産会社による得手不得手はあります。

しかし、投資用物件の場合は根本的にターゲットが異なるので、居住用物件以上に不動産会社によるノウハウの蓄積に差があるのです。

また、購入者も居住用ではなく投資用として買うので、収益を上げるためには少しでも物件取得価格を安くしたいです。そのため、居住用物件の売却時よりも値引き交渉が激しくなります。

そのため、投資用の賃貸中マンション売却時は、以下の点を重視して不動産会社を選びましょう。

対策1.投資用物件の売却実績が手厚い不動産会社を選ぶ

まずは、その不動産会社に投資用物件の売買実績があることを確認します。会社のホームページを見るのが一番早いですが、正確な記載がなければ営業マンにヒアリングしましょう。

具体的に、どのような種類の投資用物件が多く、最近ではどの物件を成約したかにまで深く突っ込んで聞けば、投資用物件の売却実績が本当にあるかどうかは判断できます。

対策2.投資家が納得する資料を作成できる不動産会社

前項の売却実績にも関連しますが、投資用物件の売却は投資家が納得する、以下のような資料を作成する必要があります。

  • 表面利回り(家賃相場の根拠あり)
  • 実質利回り(経費額の根拠あり)
  • 返済後利回り(ローン返済シミュレーションあり)
  • キャッシュフロー表(家賃下落、空室シミュレーションあり)

要は、その資料を見て、買い手である投資家が物件の収益性を理解しやすいことが大切です。これは、不動産会社の机上査定、もしくは訪問査定時に見極めましょう。

ポイントは、自分が投資家であればその物件に収益性を感じるか?という視点でチェックすることです。

投資家が買うので母数が少ない

買い手が投資家ということは、「居住中物件」を探している人よりは母数が少なくなります。そのため、以下の点を意識して、成約率を上げることを意識しなければいけません。

  • 分かりやすいレントロールの作成
  • 明確な売却理由

レントロールとは入居者の情報をまとめた資料です。その資料を基に、購入検討者は入居者のプロフィールを確認し、家賃滞納リスクなどを探ります。

そのため、過去の入金履歴なども含め、購入検討者が入居者像をイメージしやすいレントロールの作成が必要です。

また、賃貸中マンションであれば、売主は家賃収入を得られている状態です。その状態で売却するということは、何か問題ある物件か?と購入検討者は思います。

そのため、変に疑われないために明確な売却理由を用意しておきましょう。もちろん事実に沿った理由であり、それを分かりやすく伝えるということです。

空室状態で売却したい…入居者に退去をお願いする場合の注意点

さいごに、空室状態で売却したいと思っている人向けに注意点を解説します。結論からいうと、入居者を退去させるのは非常に困難なので避けた方がよいでしょう。

というのも、入居者と結んでいる賃貸借契約は、借地借家法という入居者が有利な法律に基づいて作られています。

そのため、売主の都合で強制的に退去させることは基本できません。家賃を滞納している入居者ですら、強制的な退去は難しいほどです。

仮にどうしても退去させたい場合は、次の家の引越し代なども含む、金銭的に多額の支払いが必要です。

しかし、そもそも退去に合意するまでには時間がかかるので、そこまでして退去を依頼するメリットはありません。

まとめ

それでは、今回解説した「賃貸中のマンション売却」について、覚えておくべきことをおさらいしましょう。

記事のおさらい

  • 賃貸中のマンション売却はオーナーチェンジか空室かで異なる
  • 入居者に許可は不要だが通知は必要
  • 賃貸中は内覧ができないなどのデメリットがある
  • そのデメリットを理解し対策することが重要

賃貸中のマンション売却は、まず入居者の購入や退去の意志のヒアリングからはじまります。

ただ、購入する可能性も退去する可能性も低いので、そのままオーナーチェンジの物件として売るパターンが多いでしょう。

その際は、上述したデメリットをしっかりと認識し、それぞれ対策を確認します。居住用マンションの売却とは根本的に異なるので、その点を意識した売却が重要です。

監修の中村昌弘さんの写真

コンサルタント 監修 中村昌弘 宅地建物取引士

新卒で不動産ディベロッパーに勤務し、用地仕入れ・営業・仲介など、不動産事業全般を経験。入居用不動産にも投資用不動産にも知見は明るい。独立後は、不動産事業としては主にマンション売却のコンサルタントに従事している。趣味は読書。好きな作家は村上春樹、石原慎太郎。

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