築年数が古いマンションを高く売却する4つのポイント
2019.08.29投稿\!初めてをサポート!/
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マンションの売却価格は築年数によって左右されます。
つまり、築年数が古いマンションほど売却価格が落ちやすいということです。
しかし、築年数が古いマンションでもデメリットとリスクを知り、その対処法を知ることで高く売ることも可能です。
そこで今回は、古いマンションを高く売却するためのポイントである以下を詳しく解説していきます。
この記事ではこんな悩みを解決します!
- そもそもなぜ築年数の古いマンションは安いのか?
- 築年数の古いマンション売却時の注意点
- 築年数の古いマンションを高く売るコツ
筆者は、元々マンションディベロッパーの営業マンであり、過去に何件もマンションの仲介をしてきました。
その中には築年数の古いマンションもあったので、今回の記事は実体験に沿って執筆しています。築年数の古いマンション売却を検討している人はぜひ参考にしてみてください。
この記事の目次
築年数の古いマンションが安く売却される理由
築年数の古いマンションが安く売却されるのはなぜでしょうか。
理由は、主に次の3点が挙げられます。
- 見た目が老朽化している
- 1981年以前の旧耐震基準で建てられている
- 建物の耐用年数の残存期間が短い
安く売却される理由を知ることで、その対策を講じることが可能です。
見た目が老朽化している
築年数が古いマンションが安く売却されている最も大きな理由は、マンションの見た目が劣化しているという点でしょう。
マンションをはじめとした建物部分は、築年数が経過すると段々と劣化していきます。
具体的には汚れが目立ってきたり、細かい亀裂などの損傷部分が目立ってきたりするということです。
その見た目の劣化は購入者が嫌がるポイントなので、どうしても価格は落ちます。
1981年以前に旧耐震基準で建てられている
築年数の古いマンションが安く売却されやすい2つ目の理由は、1981年以前に建てられたマンションは旧耐震マンションだからです。
もし、1981年以前のマンション売却を検討しているなら、旧耐震の概要とデメリットを理解しておきましょう。
旧耐震とは?
1981年の6月に建築基準法が大きく改正され、耐震基準の最低基準が引き上げられました。
そのため、1981年6月を境に新耐震マンションと旧耐震のマンションに分かれます。
注意点は、1981年に6月1日以降に「建築確認が申請された」かどうかを境に、旧耐震と新耐震が分かれていることです。
つまり、1981年6月に竣工されたマンションは、建築確認の申請は1981年6月以前なので旧耐震ということです。
旧耐震は「震度5強程度で建物が倒壊しない」を目標としているため、言い換えると震度7クラスの大地震は想定していません。
一方、新耐震は「震度6強~7程度の揺れでも倒壊しない」ことを目標に定めています。
つまり、築年数が古いマンションで、かつ旧耐震マンションであれば買主にとって地震に対する不安も強くなってしまうのです。
旧耐震のデメリット
前項のように、旧耐震マンションは地震に対する不安がありましたが、ほかにも以下のようなデメリットがあります。
- 住宅ローン控除が使えない
- 贈与の非課税制度が使えない
- 不動産取得税、登録免許税の優遇が使えない
このように税金の優遇などが受けられない点も、旧耐震物件のデメリットといえるでしょう。
建物の耐用年数の残存期間が短い
築年数が古いマンションが安く売却される3つ目の理由は、建物の耐用年数の残存期間が短いという点です。
耐用年数は構造によって以下のように決まっています。
- 木造:20年
- 軽量鉄骨(厚さ3mm以下):19年
- 軽量鉄骨(厚さ4mm以下):27年
- 重量鉄骨 34年
- 鉄筋コンクリート造:47年
マンションの場合は鉄筋コンクリート造が多いですが、小規模のマンションであれば重量鉄骨造もあります。
いずれにしろ、耐用年数が短いマンションは金融機関の担保評価が低くなるので、融資がつきにくいです。
つまり、仮に検討者が現れても「ローン不承認」となることがあり、結果的にマンションが売りにくく売却価格がずるずると下がってしまう場合があるというわけです。
築年数が古いマンションでも良い条件は価格に反映される
前項までで築年数が古いマンションが安く売却される理由を解説しましたが、以下のような物件であれば築年数が古くても高く売れる可能性はあります。
- 立地的な優位性がある
- しっかり修繕されている
- ヴィンテージマンションとして認知されている
立地的な優位性がある
ターミナル駅が最寄りだったり、駅徒歩距離が近いマンションだったりは築年数が古くても高い価格で売れることはあります。なぜなら、立地は変えることができない要素だからです。
たとえば、「室内が劣化している」はリフォームで対応できますし、「設備が古い」は設備を入れ替えることで対応可能です。
しかし、立地だけは後から変更できないので好立地物件の希少価値は高いです。
もちろん、築年数が新しい方が高く金額で売れますが、「立地が悪く築年数も古い」というマンションよりは資産価値は維持しやすいでしょう。
しっかり修繕されている
また、修繕がしっかりされているマンションも資産価値は落ちにくいです。
上述したように、築年数が古いマンションの最大のデメリットが「建物の劣化」なので、そのデメリットを軽減できているのが理由になります。
ただし、「しっかり修繕されているか」は言い換えると「外観がきれいかどうか」ということであり、この辺りは主観なので人によって感じ方は異なります。
たとえば、周辺で同じような築年数のマンションを調べ、そのマンションと比較して外観のきれいさを比較してみれば、ある程度修繕がしっかりされているかは分かるでしょう。
ヴィンテージマンションとして認知されている
築年数が古くても人気のあるマンションはヴィンテージマンションといわれ、高い金額で取引されています。
ヴィンテージマンションの多くが、好立地であり修繕がしっかりされているマンションです。
つまり、前項までの2点を兼ね備えたマンションが「ヴィンテージマンション」と呼ばれるというわけです。
ネットで「ヴィンテージマンション」と検索すると、ヴィンテージマンションをまとめたサイトなどが出てきます。そこに掲載されるマンションであれば築年数が経過しても高く売りやすいでしょう。
自分のマンションがヴィンテージマンションとして掲載されているかは、「ヴィンテージマンション マンション名」で調べてみると分かります。
築年数が古いマンションを売却するときの注意点
次に、築年数が古いマンションを売却するときの注意点は、リフォームは慎重に判断するべきということです。
築年数が古いマンションを高く売る方法として「リフォームをしてから売る」という方法があります。
確かにリフォームすることで高く売れる可能性は高まりますが、以下の点に注意です。
- リフォーム費用以上に高く売れるか分からない
- 外観は変えられない
結論からいうと、リフォームしてからの売却はリスクが大きいので避けた方が良いでしょう。
リフォーム費用以上に高く売れるか分からない
まず、リフォーム費用を売却価格に上乗せできるか分かりません。
また築年数が経過しているということは、ある程度大規模なリフォームをしないと効果がないです。
つまり、リフォーム費用が高くなりやすいので、その金額が上乗せされて売却できるかはさらに不透明になるということです。
ただ、リフォーム費用の見積もりを取得しておくのは効果的です。
というのも、室内の劣化に懸念を示す顧客に、その見積を提示することでリフォーム費用のイメージをつかんでもらうことができるからです。
また、見積もりを取っておけば「リフォーム費用の半額は値引きします」という交渉に使うことも可能です。
外観は変えられない
また、いくら室内をリフォームしたところで、マンションの外観など共用部を変えることはできません。
そのため、外観が劣化しているマンションでリフォームしても「室内はきれいなものの外観が汚い…」という状況になります。
もちろん、それでもリフォームしないより印象は良くなるでしょうが、外観部分の劣化に対するマイナスイメージが強ければ、せっかくリフォームしても費用対効果は小さいといえるでしょう。
【ケース別紹介】築年数の古いマンションを高く売るポイント
次に、新耐震マンションを売る・旧耐震マンションを売るという、ケース別に築年数の古いマンションを高く売るコツを解説していきます。
新耐震マンションを売却するポイント
新耐震マンションを売却するときは、広告に必ず「新耐震マンション」と記載しましょう。
それだけで「築年数が古い=旧耐震では?」というデメリットを払拭できます。
マンション売却の広告は不動産会社が主導しますが、売主もきちんとチェックすることが重要です。
新耐震にも関わらず、チラシやネット広告に新耐震と謳っていない場合は、不動産会社に指摘して改善してもらいましょう。
旧耐震マンションを売却するポイント
旧耐震マンションを売却するポイントは、管理や修繕に関して詳しく説明することです。
そのためには、以下の資料が重要になります。
- 分譲時のパンフレット
- 長期修繕計画
- 大規模修繕に関する書面
分譲時のパンフレット
まず、分譲時のパンフレットがあれば、長期修繕計画の考え方や素材(コンクリートのかぶり厚など)に関する詳細が記載されています。
それらを買主に見せることで、マンションの構造面を正しく解説すること可能です。
正しく解説することで、旧耐震なものの「しっかりと造られている」と思ってもらえるかもしれません。
長期修繕計画
また、長期修繕計画書には細かく修繕項目が記載されています。その資料を見せることで、マンションの修繕計画を理解することができます。
大規模修繕に関する書面
ただ、長期修繕計画書は20年から長くても30年スパンの計画です。
そのため、築年数が古い場合には過去の計画となっている場合があり、そもそも長期修繕計画を策定していないマンションもあるでしょう。
そのため、大規模修繕をはじめ過去に行った修繕に関する書面を用意しておき、過去にどのような修繕を行ったかを説明できる状態にするのが望ましいです。
もし手元になければ管理会社に連絡すれば、書面として残っていないか確認できます。
築年数の古いマンションを早く売却する方法
築年数の古いマンションを早く売却する方法としては以下が挙げられます。
- 買取
- 安く売り出す
まずは不動産会社に買い取ってもらうことです。
ただ、不動産会社は転売目的で買い取るため、相場価格の6~7割ほどまで価格は下がります。
また、築年数の古いマンションの場合は買取不可能な場合もあるので、まずは不動産会社に買取可能が相談してみましょう。
買取以外で早く売る方法は「安く売り出す」という方法です。
というのも、築年数の古いマンションの売却が長引く大きな理由は「集客ができない」ことです。
その点を解消するには、周辺物件よりも安い金額で売り出し、とにかく検討者を集客することが重要です。
耐用年数の残存期間が短いマンションを売却するポイント
上述したように、耐用年数の残存期間が短いと住宅ローンの審査が厳しいです。
仮に、耐用年数の残存期間が短いマンションを売却するときには、多くの金融機関を斡旋できる不動産会社に仲介を依頼しなければいけません。
そのため、査定時に不動産会社に対し「斡旋できる金融機関」をヒアリングしましょう。
その不動産会社も明確には答えられないかもしれませんが、過去に同じような残存期間の物件で住宅ローンを組んだ実績があれば強いです。
いずれにしろ、残存期間が短いマンションを売却するときには、不動産会社選びの要素に「斡旋できる金融機関」を入れた方が良いでしょう。
築年数の古いマンションの売却を検討しはじめたら早めに査定をする!
築年数の古いマンションの売却を検討しているなら、以下の理由でとにかく早めに査定依頼しておきましょう。
- 理由1.マンション価格は需給バランスで決まる
- 理由2.古いマンションは競合が多くなる
理由1.マンション価格は需給バランスで決まる
マンションだけではありませんが、モノの価格は需給バランスで決まります。
需要が高く供給が少なければ価格は上がりますし、その逆なら価格が下がるということです。
築年数の古いマンションは築浅マンションによりも需要が低いことは明らかなので、高く売りたいなら供給が少ないときを狙わなくてはいけません。
そのため、まずは査定依頼をして、供給がどのくらいあるかをチェックします。
仮に、供給が少ないのであればすぐに売却活動に移るべきですし、供給が多いのであれば様子見するという判断も可能です。
理由2.古いマンションは競合が多くなる
築年数の古いマンションは競合物件が多くなります。
というのも、仮に築35年のマンションを売却するときには、「築35年以内」のマンションは競合になるからです。
たとえば、築6年のマンションであれば、検討者が「築10年以内」と希望した瞬間に築10年超のマンションは除外され競合物件は少なくなります。
前項のように、ただでさえ供給数によって価格は左右される上、築年数の古いマンションはそもそも競合する物件が多いので、査定依頼を早めにして状況把握することが重要というわけです。
まとめ
それでは、今回解説した「古いマンションの売却」について、覚えておくべきことをおさらいしましょう。
記事のおさらい
- 築年数の古いマンションが安く売られる理由を理解する
- 旧耐震か新耐震かで売却のポイントは異なる
- とにかく早めに査定依頼する
上記の中でも、特に「早めの査定」が重要です。
築年数はどんどん経過していきますし、上述したように築年数が古いマンションは売り時の見極めが特に重要だからです。
机上査定であれば1~2営業日で提示されるので、まずは気軽に査定してみることをおすすめします。
コンサルタント
宅地建物取引士
新卒で不動産ディベロッパーに勤務し、用地仕入れ・営業・仲介など、不動産事業全般を経験。入居用不動産にも投資用不動産にも知見は明るい。独立後は、不動産事業としては主にマンション売却のコンサルタントに従事している。趣味は読書。好きな作家は村上春樹、石原慎太郎。