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コンサルタント 監修 中村昌弘
定期借地権マンションは、通常のマンションと異なる点が多いです。
定期借地権マンションは永住することができないマンションなので、通常のマンションよりも買主が不安を覚えてしまい、売りにくくなるのは事実です。
それでも定期借地権マンションは売れないと決まったわけではありません。
そこで今回は、定期借地権マンションを売るために以下の点を詳しく解説していきます。
この記事ではこんな悩みを解決します!
- 定期借地権マンションって、一般的なマンションとどう違うの?
- 定期借地権マンションが売りにくい理由は?
- 定期借地権マンションにもメリットはあるの?
筆者は、元々マンションディベロッパーの営業マンであり、過去に何件もマンションの仲介、および新築マンションの販売をしてきました。
仲介してきた物件の中には定期借地権の物件があり、新築マンションの営業マンとして定期借地権の物件を販売したこともあります。
今回の記事はその実体験に沿って執筆しています。定期借地権のマンション売却を検討している方、もしくは、すでに売却中の方は参考にしてみてください。
この記事の目次
定期借地権マンション売却と一般的なマンション売却との違いまとめ
定期借地権マンションと一般的なマンションの違いを表にまとめました。
定期借地権マンションを売るには、まず一般的なマンションとの違いをチェックしておきましょう。
比較項目 | 定期借地権マンション | 一般的なマンション |
---|---|---|
成約価格 | 一般的なマンションの7割程度 | 定期借地権マンションより高い |
契約期間 | 期間あり(50年以上) | 期間なし |
契約期間満了時の処理 | 建物を取り壊し、更地にして返す | ― |
固定資産税 |
なし | あり |
土地代 | あり | なし |
解体準備金 | あり | なし |
住宅ローン | 付きにくい | 付きやすい |
定期借地権マンションを売却するときの注意点4つ
定期借地権付きマンションをスムーズに売却するためには、売主自身が「定期借地権」がどういうものかを知っておく必要があります。
具体的には、以下4つの注意点があります。
- 残存期間がゼロになると、理論上はマンション価値もゼロ
- 毎月の地代は買主にとってはコスト
- 解体準備金の支払いも買主にとってはコスト
- 土地の所有者(地主)から売却の承諾を得る必要アリ
現時点で定期借地権のマンションを所有しているということは、そのマンションを購入するときに定期借地権の概要について説明を受けているはずです。
しかし、細かいところまでは覚えていないことも多いため、まずは売主として概要を振り返っておきましょう。
①残存期間がゼロになるとマンション価値もゼロ
残存期間の確認がまず重要です。定期借地権マンションが通常のマンションより売りにくい最大の理由は、この「残存期間」があることです。
【用語解説】残存期間とは
マンションが建つ土地を借りて良い期間のこと。この期間が過ぎると、借主は更地にして土地の所有者に返還しなければいけない。
残存期間が過ぎると、建物を解体し、土地を所有者に返還しなければなりません。つまり、残存期間がゼロになると理論上はその土地の上に建つマンション価値もゼロになるというわけです。
この残存期間が、新築時よりも売却時の方が減っているので、購入者にとって非常に大きな問題といえます。これは、対策1内「定期借地権を売るタイミング」にも関係してきますが、残存期間の節目には要注意です。
たとえば、残存期間38年と残存期間40年では、たった2年の違いですが検討者が受ける印象は大分異なります。
そのため、残存期間を確認しつつ、節目のタイミングであれば売却した方が良いタイミングといえるでしょう。
いずれにしろ、値下げするタイミングや売り出し価格の設定などは残存期間が重要な要素になるので、売主として把握することは重要です。
②毎月の地代は買主にとってはコスト
つぎに定期借地権マンションの地代の支払いについて注意しましょう。定期借地権の地代の支払いは主に以下2パターンがあります。
- 「前払い地代」として物件価格に含まれている
- 毎月地代として支払っている ï
定期借地権マンションの土地は売主ではない第三者が所有しているので、そのマンションの(建物)所有者は第三者に土地を借りていることになります。
そのため、その土地を借りている対価として地代がかかりますが、その地代を「前払い地代」として一括で支払っているパターンと、毎月地代として支払っているパターンとあります。
いずれのパターンでも、査定時に定期借地権であることと、地代の支払いがどのくらいかは不動産会社に伝えておくと良いでしょう。
そうすれば、不動産会社が机上査定の段階から、定期借地権であることを加味した査定額を提示してくれます。
毎月地代として支払っている場合は要注意!
「前払い地代」では、すでに物件価格に地代が含まれているため、別途地代が発生することはありません。
一方、毎月地代として支払っている場合には、管理費や修繕積立金と一緒に管理会社に徴収されているケースが多いです。これは買主にとってコストと感じられる部分です。
毎月地代として支払っている場合には、以下の点を確認しておく必要があります。
- 地代の支払い金額
- 滞納時の対応
- 将来的に上昇するリスク
これらはマンションの重要事項説明書に記載しているので、査定時に確認しておくと良いです。そうすれば、机上査定後の訪問査定もスムーズになります。
③解体準備金の支払いも買主にとってはコスト
大半の定期借地権マンションでは、借地期間を50年~70年程度に設定しておき、期間満了後は建物を解体して土地の所有者に返還するというケースが多いです。
そのために「解体」について以下の点を確認しておきましょう。
- 解体準備金について
- 解体準備金の経過について
解体準備金とは
解体準備金とは、期間満了で建物を解体するときの解体費用を月々徴収しておくことお金のことです。
仮に、解体準備金も地代も月々支払いが発生すれば、発生するランニングコストは、管理費・修繕積立金・解体準備金・地代です。この場合は、これらのランニングコストを加味した上での価格設定にする必要があります。
一方、解体準備金も上述した地代と同じように、物件価格に含まれているケースもあります。
解体準備金の運用経過も要確認!
解体準備金は数十年先に発生する費用なので、徴収した解体準備金は管理組合主導で運用されるケースがほとんどです。
あまり知られていませんが、実は修繕積立金も運用されているケースが多いです。ただ、修繕積立金に関しては、最悪の場合「修繕しない」という選択もできますが、期間満了維持の解体は必須です。
そのため、解体準備金がどのように運用されているかという経過について必ず確認しておきましょう。
管理組合の総会で経過を示した資料が配布されており、それは入居者しか知ることができない情報になるので、手元にあれば営業マンに渡しておきます。もしなければ、管理会社に問い合わせてみましょう。
④土地の所有者(地主)から売却の承諾を得る必要アリ
定期借地権の契約内容によりますが、売却時は地主の承諾を得なければいけないマンションもあります。
その場合、管理規約集に付いている「譲渡承諾書」のような書面を地主に送付するという流れがあります。
承諾までに時間がかかるケースもあるので、売却意思が固まった時点で譲渡承諾書は準備しておきましょう。
承諾してくれない場合の対応
仮に、地主が承諾に応じない場合は、借地非訟裁判により譲渡承諾の代わりとなる許可を得る必要があります。
裁判になるので個人で行うことが難しく、弁護士などの専門家への依頼が必要になります。裁判が長期間に及ぶ可能性がある点は覚悟しておきましょう。
売却の承諾を得るための「譲渡承諾料」は売主負担が一般的
こちらも定期借地権の契約内容によりますが、承諾を得るための承諾料がかかることもあります。
たとえば、「マンションを売却するときに土地所有者へ譲渡承諾料として30万円支払う」というような内容です。
承諾料の有無も金額もマンションによって異なるので、まずは売却前に確認するのが大切です。地主に譲渡承諾料を支払う場合は、売却時の諸費用に加算されるので必ず確認しておきましょう。
その金額を加味して売却価格を決めないと、承諾料によって赤字になってしまうこともありえます。
ただ、譲渡承諾料は昔の借地権(旧法借地権)の物件では当たり前でしたが、定期借地権の場合は譲渡承諾料を取らないケースの方が多いです。
定期借地権マンションが売りにくい3つの理由
ここまで、定期借地権マンションと一般的なマンションの違いと注意点について説明してきました。
では、そもそも「定期借地権マンションが売りにくい」と言われている理由はなんでしょうか?
すでに知っている方、購入時に受けた説明を覚えている方は次の「定期借地権マンションを売却するための対策1」まで読み飛ばしていただいても大丈夫です。心配な方、再度確認しておきたい方はそのまま読み進めましょう。
定期借地権マンションが売りにくいといわれる理由は以下3つです。
- 永住することができないから
- 融資が付きにくいから
- ランニングコストが高いから
①永住することができないから
最も大きな理由は、一般的な所有権マンションと違い定期借地権マンションは永住できないからです。
残存期間が50年の定期借地権マンションであれば、50年後は必ず地主に土地を返還します。
仮に30歳でマンションを買えば80歳でマンションに住めなくなるので、存命していればその時点で住む場所を探す必要があるのです。
老後にもう一度新しい家を探す可能性があるという点に対し、漠然とした不安を持つ人は一定数います。
残存期間が50年ならまだ良い方ですが、これが20年、10年となると買主は購入してもすぐに次の家を探す必要が出てきます。
そのため、「永住することができない」という点は、定期借地権マンションが売りにくい最も大きな理由になります。
②融資がつきにくいから
2つ目の理由は、定期借地権マンションは融資がつきにくいからです。
一般的な住宅ローン審査は、以下の項目によって融資の可否を判断します。
- 借入者の年収や自己資金、会社規模
- 借入者の信用情報
- 不動産の担保価値
上記のうち「不動産の担保価値」という項目において、定期借地権マンションは価値が低いと判断されます。
土地を所有していないという点もありますし、また、定期借地権マンションは残存期間が決まっているので、どうしても買い手が付きにくいです。
仮に、50年の定期借地権マンションが築15年であれば、後35年しか住めません。
これらの点から、金融機関は定期借地権マンションの担保価値を低く評価するので、金融機関からの融資がつきにくいのです。
ということは、購入者の住宅ローン審査が通らずに、買いたくても買えないという状況になり得ます。
③ランニングコストが高いから
地代も解体準備金も一括で支払っていない限り、定期借地権マンションはランニングコストが通常のマンションよりも高くなります。
マンション価格は市況によって左右されるので、購入者からすれば「マンション価格が安い時期」があります。
しかし、ランニングコストは市況に左右されず基本的には一定です。
つまり、ランニングコストが高いということは、購入者からすると「買い時」のタイミングでも、総合的に見れば「高い物件」になるということです。
定期借地権マンションは所有権マンションよりも価格は安いですが、結局ランニングコストが高いと「総支払額はあまり変わらない」というケースにもなり得ます。
対策1:残存期間の節目を意識して早く売る
それでは、定期借地権マンションを売却するにはどのような対策をすればよいでしょうか?
まず、定期借地権マンションが売れにくい最大の原因である残存期間の節目に注意して売却するという対策が重要です。
一般的には、築3年・5年・7年・10年・15年・20年など、築年数の節目によって不動産価格は下落していきます。
定期借地権マンションは、築年数に加えて残存期間も重要です。
たとえば、残存期間40年と39年では、たった1年の差ですが検討者の印象は異なります。
そのため、残存期間が節目のタイミングの方が、定期借地権マンションは売りやすいといえるでしょう。
競合環境が良いときを狙う
残存期間の節目を意識するうえでも、競合環境が良いときを狙うのが定期借地権マンションを売却するコツです。
マンションの価格は、建築費・土地代・販売促進費の3つの要素で構成されています。
定期借地権マンションは、所有権マンションよりも「土地代」が安いのでマンション価格も安くなります。現在所有している定期借地権マンションは通常よりも安く購入しているはずです。
中古マンションとして売却するときに周辺のマンションより安く売り出せるのは、定期借地権マンションのメリットといえます。
言い換えると、安く売れる競合環境でないと定期借地権マンションのメリットはなくなります。
つまり、定期借地権マンションの売却価格と売却スピードは、競合物件に大きく左右されます。競合物件に、残存期間が長いマンションや価格が低い一般のマンションがある場合はなかなか売れない状況が続くので、競合環境はしっかり確認しましょう。
競合環境は需給バランスで決まる
では、競合環境はどうやって決まるのでしょうか?
マンション価格は需給バランスで決まるので、需給バランスが競合環境を決めると言っていいでしょう。当たり前ですが、供給が少ない時期か、需要が高まった時期が売り時です。
供給が少ない時期とは、周辺で条件が似たような物件が売り出されていない時期です。
また、需要が高まる時期とは、たとえば再開発などでそのマンションのエリアの注目度が高まったときです。
競合環境が良い時期はこの2つのパターンのどちらかになるので、「価格が安いこと」がメリットの定期借地権マンションは、その時期を狙って売り出す必要があります。
売り出すタイミングを探っておく
上述した「供給が少ない時期」「需要が高まった時期」は自分でコントロールできません。そのため、定期借地権マンションを売却する場合は、売り出すタイミングを探っておきましょう。
具体的には、査定依頼をして競合環境をヒアリングしておき、競合環境が悪ければ中期的スパンで売却を考えなければいけません。
一方、競合環境が良いのであれば、すぐにでも売り出すのをおすすめします。
いずれにしろ、残存期間が短くなるにつれ、マンションの価値はどんどん下がってしまうため、定期借地権マンションの場合は売却意向があれば、すぐに査定依頼することをおすすめします。
対策2:定期借地権マンションの売却実績がある不動産会社を選ぶ
ここまで、競合環境を見つつも、売却意向があれば定期借地権マンションはすぐに売却へ進んだ方が良いことを説明してきました。
では、売却に進むにあたって気を付けたい点を押さえておきましょう。
定期借地権マンションでは注意するべきことが多いため、特に定期借地権マンションの売却実績がある不動産会社を選ぶことが大切です。
斡旋できる金融機関が多い不動産会社が理想
定期借地権マンションの売却実績がある不動産会社のなかでも、斡旋できる金融機関が多い不動産会社がおすすめです。
これは前の章「定期借地権マンションが売りにくい3つの理由」で説明した通り、定期借地権マンションは融資(住宅ローン)が付きにくいからです。
定期借地権マンションに限らず中古マンション購入時の融資は、仲介している不動産会社が斡旋します。買主が自ら金融機関を引っ張ってくることもありますが、不動産会社が斡旋するケースの方が多いです。
そして、斡旋できる金融機関数は不動産会社によって異なるので、より多くの金融機関を斡旋できる不動産会社を選ぶ必要があります。
買主が住宅ローンを使えるようにするため
こえまでに説明してきた通り、定期借地権マンションを売却するためには、購入者の住宅ローンをつきやすくする点が重要です。
購入者の住宅ローンがつきにくい状態だと、「マンションを買いたくても買えない」という状況になりかねません。
そうなると、せっかく検討してくれたのに「住宅ローンの審査が通らない」という理由で買えなくなってしまう可能性があります。
定期借地権マンションを売却するときには融資がつきにくいですが、融資してくれないことには検討者が現れても審査にかけられる金融機関が限られてしまいます。
そうなると、購入意思はあるものの融資が付かずに購入できない……というパターンもあり得るのです。
定期借地権マンションの売却・成約実績がある不動産会社だと、住宅ローンがつきやすい金融機関をあっせんできる可能性が高いので、この「定期借地権マンションの売却実績があるか」は不動産会社選びの重要なポイントになります。
一括査定を利用して定期借地権マンション売却につよい業者を選ぶのがコツ!
提携している金融機関が多いかどうかは、その不動産会社にヒアリングするしかありません。また、不動産会社の信頼性によって斡旋できる金融機関の数は異なります。
一般的に言われているように、大手不動産会社の方が斡旋できる金融機関は多い傾向にあります。しかし、地元密着型の不動産会社は、大手不動産会社よりも地銀などに強い傾向があります。また、地銀などの方が定期借地権マンションなど、特殊な物件を取り扱っている事例は多いです。
そのため、大手不動産会社か地元密着型の不動産会社、どちらかが良いと言い切ることはできないのです。
通常のマンション売却よりも多くの不動産会社に査定依頼をして、その上で斡旋できる金融機関をヒアリングしましょう。
これが、定期借地権マンション売却のための近道です。
過去に定期借地権マンションを仲介したことがあれば、少なくとも一社は斡旋している金融機関を知っているということなので、その点も加味した不動産会社選びが必要です。
対策3:定期借地権マンションをきちんと買主が説明する
定期借地権マンションを売却するための3つ目の対策は、定期借地権をきちんと検討者に説明するということです。
この点に関しては以下を理解しておきましょう。
- 定期借地権を知っている人は少ない
- 定期借地権の仕組みをきちんと説明する
定期借地権を知っている人は少ない!
まず、そもそも定期借地権の住宅は少ないという点を認識しておきましょう。
「公益財団法人 日本住宅総合センター」の調べによると、1993年2月の定期借地権付住宅第1号の発売~2019年3月31日までの間で建築された定期借地権の住宅数は、戸建てとマンションの合計で5万6,004戸(戸建て住宅3万2,065戸、マンション2万3,939戸)です。
「国土交通省 平成30年度 住宅経済関連データ」によると、日本のマンション供給戸数は約654.7万戸になります。つまり、定期借地権マンションは約0.36%しかないということです。
定期借地権マンションについて知らない人がいるのは珍しくありません。むしろ知らない人の方が多いでしょう。
なかには定期借地権マンションの残存期間でも大丈夫だから安く購入したい、という人もいるかもしれません。
定期借地権の仕組みを説明すためには資料の用意が重要!
このように、定期借地権マンションは世の中に少ないため、購入検討者はもちろん、不動産会社の営業マンですら定期借地権マンションを完璧に理解している人は少ないでしょう。
そのため、定期借地権マンションの仕組みを検討者にきちんと説明するためには、以下の点が重要になります。
- あらゆる資料を用意する
- 定期借地権の売却実績がある不動産会社が理想
「定期借地権マンションの売却実績がある不動産会社」を選ぶについては、対策2、で説明してきました。
再度になりますが、定期借地権マンションの説明をしっかり検討者に伝えるためにも、不動産会社選びは重要になってくるというわけです。
そして上述してきたように、定期借地権マンションといっても地代や解体準備金など、物件ごとに相違点はたくさんあります。
そのため、重要事項説明書や管理規約などはもちろん、購入時に取得したパンフレットや定期借地権の資料など、全ての資料を営業マンに渡しましょう。
プロだから分かっているだろう……というのは残念ながら間違いです。定期借地権マンションの仲介経験がないと、ベテランでも仕組みをあまり理解していない営業マンはいます。
定期借地権マンションならではのメリットを説明する
定期借地権マンションにはメリットがない……と思っていませんか?
定期借地権マンションを売却するためには、定期借地権マンションならではのメリットである以下の点を検討者にアピールすることも大切です。
- 価格が安くなる
- 税金も安くなる
価格が安くなる
定期借地権マンションのメリットは、何といっても通常のマンションよりも物件価格が安くなることです。言い換えると、定期借地権マンションは安くなければ売れません。
もちろん、不動産会社の営業マンが広告に上手く盛り込めることが重要ですが、売り出し価格を決めるのは売主です。
そのため、きちんと競合物件を不動産会社に提示してもらい自分でもポータルサイトなどで調べ、その上で売り出し価格を判断しましょう。
残存期間もありますので、売り出し価格を高くしすぎるとズルズル売却が長引き、結果的に値引き交渉が激しくなります。
税金も安くなる
また、土地と建物には固定資産税がかかっていますが、定期借地権マンションの土地は第三者が所有しているので固定資産税はかかりません。
この点は、固定資産税決定通知書を不動産会社に見せて、周辺物件の固定資産税と比較してもらいましょう。
そうすることで、検討者に「定期借地権だから○○万円ほど固定資産税が安いです」というトークにつながります。
ただ、そのためには周辺で同じような規模のマンションを成約した事例が必要なので、定期借地権マンションの売却実績と一緒に訪問査定時に聞いてみると良いでしょう。
まとめ
それでは、今回解説した「定期借地権マンションの売却」について、覚えておくべきことをおさらいします。
記事のおさらい
- 定期借地権マンションと、一般マンションの違いを振り返っておく
- 定期借地権マンションの地代や解体準備金を確認しておく
- 定期借地権マンションが売りにくい理由を理解する
- 定期借地権マンションの残存期間は重要! 早めに売却活動を始めるのがコツ
- 不動産会社の選別には要注意
- 定期借地権マンションの成約実績などをチェック
定期借地権マンションを売却するためには、残存期間をしっかり確認して早めに行動を始めること、特に不動産会社の選定が重要になります。
そのためには、定期借地権マンションの売却実績などをヒアリングし、きちんと説明できるか、提携している金融機関は多いかを確認しましょう。
コンサルタント 監修 中村昌弘 宅地建物取引士
新卒で不動産ディベロッパーに勤務し、用地仕入れ・営業・仲介など、不動産事業全般を経験。入居用不動産にも投資用不動産にも知見は明るい。独立後は、不動産事業としては主にマンション売却のコンサルタントに従事している。趣味は読書。好きな作家は村上春樹、石原慎太郎。