【マンション売却の体験記】失敗談から学ぶ「売れる物件」にするコツ
2018.12.28投稿\!初めてをサポート!/
マンション売却のすべてを公開中
マンション売却は、残念ながら失敗してしまうこともあります。たとえば、「予想より売却価格が安かった」、「予想より売却に時間がかかってしまった」といった状況に陥ることです。
ただ、そんな失敗談から学ぶことはたくさんあります。先人たちの体験記を聞くことで、失敗しないための対策を立てることができるからです。
そこで今回の記事では、以下の失敗談から学ぶ「売れる物件のコツ」を解説していきます。
マンション売却での失敗
- 媒介契約の選択ミス
- 不動産会社選びで失敗
- 不動産会社に任せっぱなしにした
筆者は、元々マンションディベロッパーの営業マンでした。実際に多くのマンションの取引を成約させてきましたし、自身のマンションを売却した経験もあります。
今回紹介する体験記は、営業マン時代に担当したお客様に聞いた話です。
お客様が失敗したことによってマンションが売れず、仲介の不動産会社を変えた際、わたしが担当させてもらいました。
マンション売却を体験した人のリアルな声は貴重なので、ぜひ参考にしてください。
失敗談①媒介契約の選択ミス
1つ目の体験記は、媒介契約の選択にミスしたという失敗例です。
媒介契約は以下3種類あり、このケースは一般媒介契約を選択して売却に失敗しました。
- 一般媒介契約
- 専属専任媒介契約
- 専任媒介契約
一般媒介契約を選択して、2ヵ月以上経っても検討者すらいない状況だったので、このままで本当に大丈夫か?ということで相談に来られました。
結論からいうと、一般媒介契約は全て解除してもらい、わたしと専属専任媒介契約を結んだことで2ヵ月後には成約にまでこぎつけました。
検討者すら現れない原因は、一般媒介契約を結んだことによって、不動産会社が本気で売る気がなかったからです。対策は、専任系媒介契約を結ぶことになります。
媒介契約の違い
一般媒介契約を結ばない方が良い理由を理解するためには、以下のような媒介契約の違いを知る必要があります。
一般媒介 | 専属専任媒介 | 専任媒介 | |
---|---|---|---|
依頼できる不動産会社 | 複数社可能 | 1社のみで複数社NG | |
レインズ登録 | 任意 | 必須(契約後5日以内) | 必須(契約後7日以内) |
売却報告義務 | 義務なし | 義務(1週間に1回以上) | 義務(2週間に1回以上) |
自己発見取引 | 可能 | 不可能 | 可能 |
一般媒介契約はリスクが高い
前項で比較した中で、もっとも大きな違いは、依頼できる不動産会社の数です。
一般媒介契約は複数社に依頼できますが、専任媒介契約は1社のみです。
営業マンの立場からすると、一般媒介契約の物件は広告費も投下しにくいですし、時間も割きにくいです。なぜなら、他社が先に成約すれば仲介手数料はもらえないので、投下した広告費と時間が無駄になってしまうからです。
そのため、一般媒介契約は「自分の物件を後回しにされ、結局売却できない」という失敗例につながってしまうことがあるのです。
媒介契約の選択で失敗しないためには(対策)
このように、一見、複数社が売却活動してくれるので一般媒介契約の方が良く見えますが、上記のような落とし穴があります。
一方、専任系媒介契約は一社しか売却活動をしないので、広告費も時間も増加します。
この理由から、基本的には専任系媒介契約を結ぶことが対策といえるでしょう。
失敗談②不動産会社選びに失敗
2つ目の体験記は不動産会社選びに失敗した例です。このお客様は売却から3ヵ月経過しても売れず、営業マンの対応にも不満があるということで、わたしの会社に来訪してきました。
色々と話を聞いていると、売れなかった原因は典型的な「不動産会社選びのミス」をしていたという点です。
具体的には査定額の「高さ」だけに注目してしまい、その根拠に目を向けなったことにより、質の悪い不動産会社と媒介契約を結んでしまいました。
対策は、査定額の根拠に目を向け、査定額だけでなく営業マンも一緒に見極めることです。そうすることで、優良な不動産会社を見極めることができます。
売主が査定額の高さにつられた
これは本当に良くあるケースなのですが、査定額の「高さ」だけにつられて媒介契約を結んでしまうというミスです。
査定額の高さだけにつられてしまうと、以下のようなリスクがあります。
- 不動産会社は媒介契約を結ぶことだけを目的にしている
- 不動産会社に囲い込みをされる
- 結局価格を下げることになる
媒介契約を結ぶことだけを目的にしている
まず、相場よりも高い査定金額を提示する不動産会社は、媒介契約を取得するだけの目的の悪徳不動産会社であることが多いです。
不動産会社は媒介契約を取得しないことには売却活動ができません。そのため、とにかく媒介契約を取得するという目的で、売主の興味を惹くために高い価格を提示するというわけです。
後ほど詳しく解説しますが、その価格に根拠がなければ、提示された査定価格で売れることはほぼありません。
囲い込みをされる
囲い込みとは、他社から検討客を紹介されても断る行為です。なぜ、囲い込みをするかというと、他社から紹介された人が契約すると、買主から仲介手数料をもらえないからです。
つまり、買主からも仲介手数料をもらうためだけに囲い込みをするので、売主にはデメリットしかありません。
上述したように、媒介契約を取得するためが目的の不動産会社は悪徳不動産会社ともいえ、そのような会社は囲い込みをするリスクもあるのです。
結局価格を下げることになる
根拠のない査定額では結局売れず、価格を下げることになるケースが多いです。途中で価格を下げると、最初から価格を下げて売り出すよりも、以下の点がデメリットになります。
- 売れ残り物件に見られる
- 序盤に集客できない
まず、途中で価格を下げると売れ残り物件に見られるので、値交渉が激しくなります。また、売り出し価格も高くなるので、序盤の集客が落ちてしまうのです。
マンションは売り出しはじめがもっとも集客できる時期なので、その時期を逃すのは大きなデメリットといえます。
営業担当者の本気度が低い
また、残念ながら売却活動の本気度が低い営業マンもいます。営業マンにも優秀な営業マンとそうでもない営業マンがいて、後者が担当になると売却には苦労します。
というのも、以下のようなマンションの売却活動は、ほぼ全て営業マンの一存で行うからです。
- どのような広告をつくるか?
- 広告媒体は何をメインにするか?
- 内覧者とのスケジュール調整と案内
- 検討者との交渉
- 契約や引渡しなど
このように、営業マンが行う範囲は非常に広いため、営業マンの本気度が低い場合には中々売れないでしょう。
不動産会社・営業マン選びで失敗しないための対策
さて、前項までのように不動産会社選び・営業マン選びに失敗しないための対策は以下です。
- 相場を調べる
- 売り出し事例を調べる
- 査定時は営業マンも見極める
不動産会社選びは査定金額の高さではなく、その根拠を見極めることが重要です。根拠を見極めるときには、直近の売却実績を確認しましょう。
直近の売却実績があれば、既に検討顧客を抱えている可能性もあり、売却のノウハウもあるからです。
そのような実績があれば、多少高い査定額でも信用できます。
相場を調べる
以下のサイトを利用して相場価格を調べましょう。
- REINS Market Information(全国指定流通機構連絡協議会)
- 土地総合情報システム(国土交通省)
相場価格を調べる理由は、査定額の根拠を見極めるためには、そもそも相場価格よりも高いか安いかを判断する必要があるからです。
不動産会社によって査定額はマチマチなので、相場価格は意外と分かりにくいです。そのため、自ら調べて自分のマンションの相場を頭に入れておきましょう。
売り出し事例を調べる
次に売り出し事例を調べましょう。
売り出し事例は不動産ポータルサイトなど何でも良いです。「エリア名(○○区など) マンション」と検索すれば売り物件が出てくるはずです。
前項の相場価格はあくまで「成約するであろう価格」でしたが、売り出し事例は実際に広告に記載している価格です。そのため、競合物件の売り出し事例を調べることで、適切な売り出し価格が分かってきます。
不動産会社は査定額と一緒に売り出し価格も提案するので、売り出し価格の根拠も見極めることで、精度の高い不動産会社選びができます。
査定時は営業マンも見極める
実際にマンションを見学して査定する「訪問査定」のときに来訪した営業マンは、そのまま売却担当になるケースが大半です。
そのため、机上査定から訪問査定までのやり取り、そして訪問査定時のやり取りが迅速・丁寧・正確かはきちんと見極めましょう。
その対応はそのまま検討者への対応になるので、その場で営業マンを見極める必要があります。
失敗談③不動産会社に任せっぱなしにした
3つ目の体験記は不動産会社に売却活動を任せっぱなしにして失敗したケースです。このケースは、売主が完全に売却活動を不動産会社に任せてしまいました。
これには実にたくさんのケースがあるのですが、たとえば売却報告もロクに受けなかったケースや、「中古だから汚くて良いだろう」とタカをくくったケースが挙げられます。
確かに、マンション売却において売却活動の大半は不動産会社が行います。しかし、売主も最大限売却協力しないと、マンション売却は上手くいきません。
以下より、具体的に事例を解説し、あわせて対策を紹介していきます。
任せきりにした結果、3ヵ月経過して集客が大幅減…!
まず、売却報告もロクに聞かずに、売却活動の全てを不動産会社に任せたケースです。
基本的に、マンションの売却は売り出しはじめに広告ボリュームを増やし、とにかく売却中であることを認知させます。
特に、周辺の賃貸マンションへの投函などは、販売初期に集中して行うことが多いです。
そして、1週間、2週間、1ヵ月と経ち、3ヵ月が経過したころは、売り出しはじめよりも集客が大幅に減っているのです。
しかし、不動産会社の売却報告もロクに聞かず任せっぱなしにすると、そもそも価格を変えるべきなのか不動産会社を変えるべきなのか、それともほかに対策があるのか……、と売れてない原因が分からないので対策が立てられません。
そのため、どんどん集客が落ちて、ついに3ヵ月が経過してもズルズルと売却活動が長引くケースが多くなります。
中古だからとタカをくくってしまうことも要因
また、意外と多い事例は、「中古物件を検討している人達が見るのだから、多少の汚れ等あっても大丈夫だろう」と侮ったケースです。
中古物件だから汚れていても良いだろう、ある程度の傷は仕方ないだろうと思って、掃除や補修などを積極的に行わなかった事例です。
しかし、いくら立地やマンションの外観が良くても、実際に長い時間を過ごす室内が汚れていたり、傷だらけだったりする場合は当然ながら検討度合いは落ちます。
そのため、どうせ中古物件だから……と安易に考えていると、「内覧者は多いけど中々売れない」という状況になりかねません。
(対策)不動産会社に任せきりにせず売主も協力すること
上述した点への対策は以下のとおりです。
- 売却報告をきちんと受ける
- 売却期間はスケジュール調整
- 内覧前に必ず掃除
売却報告をきちんと受ける
まず、売却報告はきちんと受けましょう。
今後の広告予定や問い合わせ状況、そして検討者がいれば交渉の進捗状況も逐一ヒアリングしましょう。
それらの情報が、価格改定や不動産会社の変更を決断する判断材料になります。
売却期間はスケジュール調整
マンションの売却は数か月で完了します。
早ければ1ヵ月で売却できることもあるので、マンションの売却期間中はなるべく予定を入れないようにしましょう。
そうすることで、内覧予約にいつでも対応することができ、集客は大きく上昇します。
内覧前に必ず掃除する
内覧者が来るたびには必ず掃除をしましょう。特に、水回りは衛生面を気にする人が多いので、一度カビ取りや水垢取りなど大掃除した方が良いです。
内覧は毎週予約が入るケースもあるため、毎回掃除するのは大変です。しかし、部屋が汚いと検討度合いはグッと落ちるので、手間を惜しまず掃除しましょう。
また、クロスやフローリングに大きな傷がある場合、市販の補修材で補修することをおすすめします。大きな傷ではない限り、市販の補修材でも十分自力で補修できます。
マンション売却でやって良かった体験談
最後に、マンション売却でやって良かった以下について紹介していきます。
- 営業マンと戦略を話し合えた
- 独自の情報を積極的に伝えた
- オープンルームを積極的に行った
これは、わたしが営業マン時代に、実際に体験したことに基づいています。
営業マンと戦略を話し合えた
売却報告を受けるときや、内覧が終わった後には営業マンと話をする機会があります。その際、現在の物件の状況以外にも、競合物件の状況や集客状況などを話し合いましょう。
マンション売却は営業マンと二人三脚で行う活動です。そのため、営業マンとの密なコミュニケーションは非常に重要なのです。
これは、今後の戦略を共有できるというメリットもありますが、営業マンが本気でマンション売却のために頑張ってくれるという側面もあります。
営業マンも人間ですので、「この人のために一生懸命頑張ろう」と思うのは、売主との関係性次第というのが本音です。
独自の情報を積極的に伝えた
以下のような独自の情報を伝えておくのもおすすめです。
- 季節や時間帯ごとの陽当たり具合
- 駅までのアプローチの歩きやすさ
- 近隣商業施設のおすすめ
要は、入居者にしか分からない情報を営業マンに伝えるということです。そのエリアの営業経験が長かったとしても、特に室内の情報は住んでいる人にしか分かりません。
そのため、上記のような情報を営業マンに伝えることで、接客トークに活かすことができます。
オープンルームを積極的に行った
オープンルームとは、時間帯を決めて室内を開放することです。「オープンルーム実施中!」などのチラシを投函したり看板を設置したりして集客します。
予約なしで見学できる分、集客が多くなることが期待でき、オープンルームを実施することで成約につながる例は少なくありません。
ただ、オープンルーム実施中、基本的に売主は外出しておいてもらう必要があるため、毎週実施するのは大変です。
とはいえオープンルームの効果は非常に大きいので、営業マンと話し合って、時間が許す限り積極的に実施しましょう。
まとめ
今回解説した「マンション売却の体験記」について、覚えておくべきことをおさらいしましょう。
記事のおさらい
- 媒介契約は専任系媒介契約が良い
- 不動産会社選びは査定価格の根拠と営業マンを見極める
- 不動産会社に売却を任せっぱなしにせず積極的に協力する
マンション売却において、営業マンを信用しすぎてはいけません。信用しすぎると営業マンに任せっぱなしになるので、結局自分が売主であるという意識が希薄になるからです。
上述した点に気を付けながら、売却活動には最大限協力しましょう。
多少手間がかかる部分もありますが、売却スピードと売却金額には大きな違いが生まれます。
コンサルタント
宅地建物取引士
新卒で不動産ディベロッパーに勤務し、用地仕入れ・営業・仲介など、不動産事業全般を経験。入居用不動産にも投資用不動産にも知見は明るい。独立後は、不動産事業としては主にマンション売却のコンサルタントに従事している。趣味は読書。好きな作家は村上春樹、石原慎太郎。