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コンサルタント 監修 中村昌弘
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マンションを売却するときには、不動産会社に見積もりを依頼します。そうすると、不動産会社から査定金額と初期費用に関する見積もりが提示されます。
一般的には知られていませんが、その査定額と初期費用の見積もりについては不動産会社の事情が含まれているので注意が必要です。
そこで今回は、元営業マンがマンション売却の見積もりに関する以下の点を解説していきます。
この記事ではこんな悩みを解決します!
- そもそもマンション売却の見積もりとは?
- 査定額が高いとき、低いときの対処法
- 仲介手数料に関する注意点
筆者は、元々マンションディベロッパーの営業マンであり、過去に何件もマンション売却の見積もりを提示してきました。
そのため、あまり大きな声ではいえない不動産会社の事情を注意点として解説していきますので、ぜひ参考にしてください。
この記事の目次
マンション売却の「見積もり」とは
冒頭の通り、マンション売却の見積もりとは一般的に以下のことを指します。
- 不動産会社が提示する査定額
- マンション売却に伴う諸費用の概算
不動産会社が提示する査定額とは、「そのマンションがどのくらいの金額で売れるか?」という値段のことです。
マンション売却に伴う諸費用の見積もりは「仲介手数料」「登記関係費用」の2つです。
仲介手数料は、仲介が成立したときに不動産会社に支払う報酬です。登記関係費用は、住宅ローンが残っている場合に必要です。住宅ローンが残っていると抵当権を抹消する必要があり、そのためには登録免許税と司法書士へ支払う報酬を用意しなければなりません。
マンション売却時の見積もりの取り方
マンション売却の見積もりの取り方は以下の通りです。
- 査定額:不動産会社に査定依頼する
- 諸費用の概算:訪問査定時に不動産会社が提示
査定には机上査定と訪問査定の2種類あります。机上査定とは、不動産会社が物件を実際に見学する前に、周辺の成約事例をもとに算出する査定です。
机上査定は、不動産会社に直接依頼する方法もありますが、最近では「一括査定サイト」などネット経由で査定依頼するケースが多いでしょう。
一方、諸費用の概算は机上査定後に物件を実際に見てから算出する「訪問査定」の際に提示されることが多いです。
マンションの見積もり金額と3つの注意点
見積もりを取った後は、以下のことに注意しなければなりません。
- マンションの査定金額が相場より高いことがある
- マンションの査定金額が相場より低いことがある
- マンション売却の仲介手数料は法定上限額で請求される
一般的に、見積もり依頼は複数の不動産会社に対して行います。なぜなら、不動産会社によって査定金額が異なるので、複数の不動産会社を比較する必要があるからです。
その際、相場よりかなり高い査定金額、もしくは、かなり低い査定金額を提示する不動産会社には注意が必要です。
また、諸費用の「仲介手数料」に関しても注意点があるので、それらの「不動産会社の見積もりに関して知っておく3つのこと」について、次項より詳しく解説していきます。
マンションの査定金額が高いケースと対処法
マンション売却の見積もりで注意するべき1つ目は、査定金額が高く提示されたときです。どのようなケースで査定額を高く提示するか、および、その対処法に関して解説します。
- ケース1.何としても媒介契約が欲しい
- ケース2.得意エリアなので自信がある
- 対処法:適正な査定額か検証する
査定額が高い場合、マンションが高く売れる可能性はあります。しかし、落とし穴もあるので気を付けましょう。
ケース1.何としても媒介契約が欲しい
不動産会社から査定額を高く提示されるケースの1つ目は、不動産会社が何としても媒介契約が欲しいときです。
つまり、査定額を高く提示することで売主に「高く売れるかも」と思わせ、媒介契約を結ぶというわけです。しかし、このケースの場合は実際にその査定額で売れる可能性は高くはないでしょう。
営業マンはとにかく媒介契約を結びたい
ケース1の営業マンの本音としては、見積もり依頼をもらったら、とにかく媒介契約を結びたいという気持ちがあります。なぜなら、媒介契約を結ばないとマンションの売却活動はできないので、仲介手数料をもらうことができないからです。
そのため、「マンションを売る」という目的ではなく「媒介契約を結ぶ」という目的で、査定額を高く提示して売主の印象を良くする場合があります。
しかし、根拠のない査定額であれば、結局、その査定額では売れない可能性があります。そうなるとズルズルと売却活動が長引き、結果的に価格改定をして低い金額での成約になる可能性もあるのです。
特に節目は「媒介契約を結ぶ」ことが目的になりがち
営業マンが媒介契約を獲得したいときは、月末やクォーター(四半期)、または年度末などの節目です。
これは、単純に営業マンの目標がその節目で設定されている場合が多いからです。
そのため、査定金額が高く提示されたのが月末や年度末のような節目の場合は、「媒介契約を結びたい」という目的の可能性は高くなるので特に気を付けるべきでしょう。
ケース2.得意エリアなので自信がある
一方、その不動産会社が得意なエリアであり、自信があるので高い査定額を提示している場合があります。
たとえば、その不動産会社が特に東京の練馬区を地盤とした不動産会社であり、広告活動も練馬区に注力しているとします。その場合、自然と練馬区の物件が集まってくるので、練馬区でマンションを探している人も集客しやすいです。既に検討客を抱えている可能性もあるので、練馬区のマンションの査定には自信をもって高い金額を提示する場合があります。
このようなケースでは高い査定額を提示しても、その査定額に近い金額で売れる可能性はあるでしょう。
対処法:適正な査定額か検証する
上述のように、同じ「高い査定額の提示」でも、ケース1とケース2では全然違います。
ただ「媒介契約を結ぶ」ことを目的にしているケース1であればその不動産会社と媒介契約を結ぶべきではありませんし、逆にその不動産会社が得意とするエリアだったケース2では媒介契約を結ぶべきでしょう。
信頼できる不動産会社かどうかを判断するためにも、下記の点に注意して適切な査定額か検証しましょう。
自分で成約価格を調べておく
適切な査定額かを判断するためには、以下のサイトを利用して自分のマンション周辺の成約事例を調べておきましょう。
というのも、査定額は直近の成約事例を元にしているので、売主も成約事例を調べておくことで、その査定額の確からしさが分かるからです。
具体的な比較方法
まずは、提示された査定額の根拠となる物件をヒアリングしましょう。「媒介契約を結ぶ」ことが目的になっているケース1の場合には、直近で成約した事例の中で「安く売却された物件」を除いている場合が多いです。
安い成約事例を除くことで、そのエリアで高く売れるように見せるというわけです。そのため、自分で調べた成約事例と比較して抜け漏れがないかを確認するのは効果的といえます。
また、きちんと根拠を聞くことで、ケース2のようにそのエリアで強い会社を見極められます。たとえば「1か月前に周辺で成約した事例があり、検討客が何組かいる」などであれば、高く売却できる可能性は高いです。
マンションの査定金額が低いケースと対処法
マンション売却の見積もりで注意するべき2つ目は、査定金額が低く提示されたときです。どのようなケースで査定額を低く提示するか?およびその対処法に関して以下を解説します。
- ケース1.仲介手数料が安くて受けたくない
- ケース2.競合が多くて長引きそう
- ケース3.本当に売りにくい物件であることを知っている
- 対処法:根拠を入念にヒアリングする
ケース1.仲介手数料が安くて受けたくない
ケース1は、仲介手数料が安くて受けたくないときです。不動産会社がもらえる仲介手数料の上限は、物件価格が400万円超であれば「物件価格3%+6万円」に消費税を加味した金額です。
仮に、500万円の物件であれば、買主を自社で見つけてきても約45万円の手数料にしかなりません。もし、ほかに3,000万円で売れる物件を3物件、売却中であれば、営業マンはどう思うでしょうか?
3,000万円で売却が成立して買主も自社で見つけてきた場合には、仲介手数料は約207万円です。そのため、500万円の物件に労力を割くのはもったいないと考える営業マンが多いのです。
そのため、そのような物件は査定金額を低く提示して、売主側から断るように仕向けることがあります。
ケース2.競合が多くて長引きそう
ケース1のように、そこまで安い成約価格にならないものの、競合物件が多く売却が長引きそうであれば査定額を低く提示することがあります。
マンションをはじめとした不動産の売却は、競合環境によって売却状況が左右されます。いくら良い物件だとしても、周辺に競合物件が多ければ苦戦するでしょう。
そのため、ほかに物件をたくさん抱えているときは、そのような物件を受けない、もしくは、受けたとしても早く売れるように査定額を低く提示することがあります。
ケース3.本当に売りにくい物件であることを知っている
ケース3としては、そのエリアのことを熟知していて、以下のようにその物件が本当に売りにくい物件であることを知っているときです。
- 同じマンション内で売り出しが多い
- 元々集客がしにくいエリアである
- 周辺エリアで事件があり検討客が離れてしまっている
上記のように、そのエリアを熟知していないと分からない情報を元に、「売りにくい物件」であることを知っているのであれば、見積もりで提示された査定額でも納得できるでしょう。
むしろ、上記のような状況であることを知らずに高く売り出してしまうと売却が長引くので、リスクの高いマンション売却になってしまいます。
対処法:根拠を入念にヒアリングする
見積もりで査定額を低く提示されたときの対処法は、シンプルに査定額の根拠を入念にヒアリングすることです。
査定額が低いということに根拠があるなら、根拠をヒアリングしたときに即答できるはずです。その根拠を聞かないまま「査定額が安いから」という理由で、その不動産会社を除外してしまってはいけません。
根拠を聞くことで、その不動産会社がしっかり査定を行っているか判断できます。
また、根拠が不明瞭であればケース1・2の可能性が高いので、そのような不動産会社とは媒介契約を結ばないようにしましょう。
マンション売却の仲介手数料は法定上限額で請求されるのが基本
マンション売却の見積もりで注意するべき3つ目は、見積もりの中でも「諸費用の概算」の項目である仲介手数料についてです。
仲介手数料については以下の点を覚えておきましょう。
- 仲介手数料率とは
- 媒介契約書には上限で記載する
- 仲介手数料は値引き可能
仲介手数料率とは
まず、不動産会社が売主・買主に請求して良い仲介手数料の上限は以下の通りです。
売買価格 | 仲介手数料率 |
---|---|
200万円以下 | 売買金額5% |
200万円超~400万円以下 | 売買金額4%+2万円 |
400万円超 | 売買金額3%+6万円 |
媒介契約書には上限で記載する
仲介手数料は、訪問査定後に締結する媒介契約書に記載します。その際、大半の不動産会社は前項で紹介した仲介手数料の上限を記載します。
「仲介手数料半額」などと謳っていない限りは、ほぼ間違いなく上限での請求になると思って良いでしょう。
仲介手数料は値引き可能だがデメリットもある
このように、基本的には見積もりに記載してある仲介手数料は上限で請求されますが、仲介手数料は100万円を超えるケースも少なくありません。
そのため、その仲介手数料を値引きたいと思う人もいると思いますが、その際には以下の点を理解しておく必要があります。
- 仲介手数料を値引くタイミング
- 仲介手数料を値引くデメリット
仲介手数料を値引くタイミング
仮に仲介手数料を値引くのであれば、媒介契約を締結する前に値引かなければいけません。
上述したように、媒介契約には仲介手数料を記載するので、媒介契約締結後に仲介手数料を値引くということは、契約を反故にすることと同意だからです。
仲介手数料を値引くデメリット
ただ、仲介手数料は不動産会社の大事な収益源です。その仲介手数料で、マンション売却に必要な広告費用や人件費を賄っています。
そのため、仲介手数料を値引くということは、不動産会社は広告費や人件費を削る可能性があるということです。そうなるとマンション売却のスピードは落ちる可能性があります。
仮に、見積もりをもらったときに仲介手数料を値引くのであれば、その点を踏まえて交渉するようにしましょう。営業マンの立場からすると、内見案内などの優先順位も落ちるので、あまりおすすめしません。
どうしても仲介手数料を節約したいのであれば、元から仲介手数料を安くしている不動産会社を選ぶと良いです。
まとめ
それでは、今回解説した「マンション売却の見積もり」について、覚えておくべきことをおさらいしましょう。
記事のおさらい
- マンション売却の見積もりは査定と諸費用概算の2つ
- 査定額が高い、もしくは安いときは根拠をヒアリングする
- 仲介手数料の値引きには注意
マンション売却の見積もりは不動産会社を見極める要素になります。そして、不動産会社の見極めはマンションが高く・早く売れるかの重要なポイントです。
そのため、マンションの見積もり依頼をするときは相場価格の調査などを必ず行い、優良な不動産会社の見極めにつなげましょう。
コンサルタント 監修 中村昌弘 宅地建物取引士
新卒で不動産ディベロッパーに勤務し、用地仕入れ・営業・仲介など、不動産事業全般を経験。入居用不動産にも投資用不動産にも知見は明るい。独立後は、不動産事業としては主にマンション売却のコンサルタントに従事している。趣味は読書。好きな作家は村上春樹、石原慎太郎。