マンション売却の告知義務は知らないと危険!どこまで伝えるのがベスト?

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マンション売却コンサルタント

中村昌弘

「告知義務」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?耳慣れない言葉かもしれませんが、マンション売却において告知義務を知らずに売却すると非常に危険です。

告知義務に該当する物件は多くはありませんが、もし該当するなら「知りませんでした」では済まされない問題です。

そこで、この記事では「告知義務」に関して以下の点を解説していきます。

この記事ではこんな悩みを解決します!

  • そもそも告知義務とは何か?
  • 具体的にどのような状況で告知義務が発生するか?
  • 判例による告知義務の事例は?
  • 告知義務がある物件を上手に売る方法は?

筆者は、元々マンションディベロッパーの営業マンであり、今までに数多くのマンション売却を担当してきました。

そのため、今回解説することは今までの実体験を踏まえて解説します。

告知義務とは

マンションに限らず、不動産を売却するときに物件に瑕疵(かし)がある場合には、買主に告知する義務があります。その瑕疵には、大きく分けて以下3種類あります。

物理的な瑕疵

物理的な瑕疵とは、雨漏りやシロアリ被害など、物質的に欠陥があることです。ほかにも、生活に支障が出るほどの穴や大きな傷なども物理的な瑕疵に該当します。

環境的な瑕疵

環境的な瑕疵とは、たとえば近くに工場があり、その工場から振動や騒音などがする場合です。

要は、周辺環境に生活に支障が出るほどの問題がある場合には、それは環境的な瑕疵ということができます。言い換えると、「日常生活」を送る意味で欠陥があるということです。

心理的な瑕疵

心理的な瑕疵は、過去に死亡事故や殺人事件などが起こった物件のことです。

つまり、その物件に起きた過去の事件や事故によって、購入者が心理的に嫌な思いをするのが「心理的瑕疵」に該当します。

告知するタイミングと方法

告知するタイミングは売買契約を締結する前で、告知する方法は重要事項説明書に文章化することです。

売買契約を締結するときには、宅建士の資格を持つ営業マンから重要事項説明を行います。

そのとき、重要事項説明書に告知事項を盛り込み説明しますが、できればその前に口頭で伝えておいた方が良いでしょう。

というのも、重要事項説明書は「最終確認」の意味合いが強いので、重要なことは事前に伝えておくべきだからです。そうしないと、売買契約直前に検討取り止めになるリスクがあります。

売主が事前に告知すべきもの

売主が事前に告知すべきものに明確な定義はなく、告知すべきかどうかの判断はケースバイケースといえます。というのも、「瑕疵」と捉えるかどうかは人によって異なり、瑕疵の種類もケースバイケースだからです。

たとえば、周辺に工場があり、多少の音や振動がするとします。仮に、平日の日中だけということもあり、現居住者は大して気にならないレベルだったとします。

ただ、神経質な人はその音や振動を気にする人もいるので、トラブルになるリスクはゼロではありません。この場合、告知義務があるかないかを明確に判断できるでしょうか?

恐らく、売主や仲介する営業マンによって判断は分かれるところです。このように、告知義務の判断は曖昧であり、明確ではありません。

だからこそ、後述する判例などで、告知義務に該当するケース・該当しないケースを知っておくべきなのです。

売主が告知しなくても問題ないもの

また、「売主が告知しなくても問題ない物件」も前項と同じです。

要は、売主が告知義務を負うものがケースバイケースなので、告知義務を負わないものもケースバイケースであり、一概に定義付けするのは難しいです。

常識的な範囲で、買主が引渡し後に「なんで言ってくれなかったんだ!」と訴えても売主の非が問われないようなことであれば、告知義務はありません。

たとえば、「間取りの動線が悪い」や「目立たない浴槽の隅にカビが生えている」などは告知義務がないといえるでしょう。

なぜなら、間取りは事前に確認していますし、目立たない浴槽のカビまでチェックして告知するのは現実的でないからです。

告知義務に該当するかどうかは不動産会社に相談すると安心

ここまでで、告知義務とはどのようなものを指すか?告知義務の有無はケースバイケースであるということが分かったと思います。

しかし、このままではいざマンション売却をするときに、告知義務をどう判断すべきか分かりません。

結論からいうと、基本的に売主だけで告知義務の有無を判断するとリスクが伴うので、不動産会社に相談しましょう。

売主が、「告知した方が良いのでは?」と思うものの中には、告知する必要がなく、告知することで下手に購入検討者を不安にさせてしまうものもあります。

そのため、上述した告知義務に当たりそうなことがあれば、まずは経験豊富な不動産会社に相談しましょう。告知するかどうかや、告知するタイミングは不動産会社と一緒に決めます。

告知義務違反になるとどんなリスクがあるか

告知義務があるのに告知しない場合には、以下のようなリスクがあります。

告知義務違反で買主に訴えを起こされた場合で、裁判所が告知義務違反を認めた場合は、遡って売買契約が解約になることがあります。

また、その場合は買主にとっては意味のない時間を浪費し、引越しや登記関係などの費用も支払っています。そのため、それらの金額を損害賠償金として請求される場合もあるのです。

仮に、売買契約が解約にならない場合でも告知義務違反が認められれば、その瑕疵を補填する必要があります。たとえば、物理的瑕疵であれば補修したり、心理的瑕疵であれば慰謝料を支払ったりです。

仮に、告知義務違反を認められなかったとしても、買主が訴えを起こした時点でトラブルが発生しているということです。

裁判にかかる労力も無駄ですし、気持ちの良い取引ができていない時点でマイナスといえるでしょう。そのため、告知義務が少しでも発生しそうであれば、その点は無視せずに告知義務の有無を確認しましょう。

告知義務に関するトラブル事例(判例)

では次に、告知義務で訴訟になった事例を見ていきましょう。事例を見ることで、「どんなときに告知義務が発生するのか?」という参考になり、告知の有無があるかどうかの判断材料の1つになります。

特殊な営業に使われていた

売買されたマンションが、前入居者によって性風俗特殊営業に使用されていた事実が判明しました。これを「瑕疵」として買主は訴えを起こします。

判決では、売主には瑕疵担保責任に基づく損害賠償責任があること、仲介業者には説明義務等違反による損害賠償責任があることを認められました。

かなり特殊な事例ではありますが、心理的瑕疵は「事件や事故」でない場合も該当するという分かりやすい例です。

要は、購入者がその物件に住みストレスを感じる過去があれば、それは心理的な瑕疵になり得るということです。

※参考:風俗営業利用の瑕疵(RETIO 不動産適正取引推進機構)(PDFファイル)

近隣ビルが暴力団関係者と近しい物件だった

ある土地を売買したとき、近隣のビルに暴力団事務所があるとして、買主は契約解除又は損害賠償を請求しました。

この事務所は、厳密には暴力団事務所ではなかったものの、暴力団と関連の深い興行事務所だったことが分かりました。

判決は、周辺の平穏を脅かす事象ではないので、契約解除は認められなかったものの、売主(宅建業者)の告知義務違反は認めたという判例です。暴力団関係でない場合も、深い関わりがあればこのような判決が出るのです。

※参考:反射勢力に関する説明義務(RETIO 不動産適正取引推進機構)(PDFファイル)

すでに建物は取り壊していた

約7年前、蔵で絞首自殺があった物件の売買に関して、売買契約後にこの事件を知った買主は、告知義務違反として訴えを起こしました。

しかし、売買時にすでに蔵は取り壊されていたという点、本件事件より約7年が経過している点から、瑕疵とは認められませんでした。

ただ、この判例だけを見て「取り壊せばOK」と思ってはいけません。経過期間や事件内容によって変わってきますが、この判例のように心理的瑕疵が和らいでいるという判断もあるという点は認識しておきましょう。

※参考:心理的瑕疵に関する裁判例について(RETIO 不動産適正取引推進機構)(PDFファイル)

告知義務が必要な物件を上手に売る方法

では、最後に告知義務が必要な物件と判明したとき、それを上手に売る以下の方法を解説していきます。

告知義務があるということは、買主にとってはネガティブな情報といえます。

そのため、必ずではありませんが、大半のケースで値引き交渉が入り、相場価格よりも下回る可能性が高いです。

そんなときに、上記の対策を認識して実行することで、少しでも高く売却することができます。

値引き交渉に使う

上述のように、告知をしたときに買主はネガティブな印象を受け、値引き交渉になる可能性が高いです。

そのため、逆に「○○(告知)という事情なので、△△万円値引きをする」という交渉を、売主側から持ち掛けるという方法があります。

といのも、売主から値引きを提示するのは意外と難しいのですが、告知義務があることで逆に値引きが自然になるからです。

そのため、売り出し価格を少し高めに設定して値引き額を大きくすれば、買主からするとお買い得物件に見えるかもしれません。

事実関係をしっかりと確認

また、告知するときには事実関係を確認しましょう。

たとえば、工場の騒音がうるさいのであれば、時間帯や原因を探ります。そうすることで、買主に対して詳細な説明ができ、もしかしたら大したネックにならないかもしれません。

そのため、告知するような出来事があれば、詳細な内容をしっかりと確認しておく必要があります。

売却実績のある不動産会社を選ぶ

これは告知義務がなくても重要なことですが、売却実績のある不動産会社に仲介を依頼しましょう。というのも、告知義務の内容によりますが、基本的に告知義務がある物件は成約率が落ちます。

当然ながら、告知の内容によって検討度合いが下がるからです。つまり、告知義務がある物件は、より一層集客が重要になってきます。

その「集客」において、売却実績がある不動産会社であれば、すでにそのエリアを検討している顧客を抱えているかもしれません。

そうすれば、売り出しはじめから集客を期待できるので、告知義務がある物件はより売却実績を重視して不動産会社を選ぶべきです。

更地にしてから売る

こちらは、物理的な瑕疵や心理的な瑕疵がある場合です。

物理的な瑕疵がある場合は、その建物自体を取り壊せば瑕疵はなくなります。そのため、更地にして売却する時点で瑕疵はなくなるので、告知義務もなくなるということです。

また、心理的瑕疵がなくなるかは内容によりますが、上述した「蔵の取り壊し」の例のように告知義務なしと判断されるかもしれません。

ただし、取り壊すときは基本的に築古で建物価格が低いときにした方が良いでしょう。

リフォームしてから売る

こちらも、物理的な瑕疵と心理的瑕疵への対策です。物理的な瑕疵をリフォームすることで補修できるのであれば、前項と同じく告知義務自体なくなります。

また、たとえば室内で自殺が起きたとき、その部屋のフローリングとクロスを全面張替えれば、買主の心理的負担は多少和らぐかもしれません。

ただしリフォーム費用はかかってくるので、その見積額とリフォーム後の効果を検討しつつ判断しましょう。自分だけで判断できなければ不動産会社に相談することをおすすめします。

買取を検討する

最終手段としては、一般個人に売却するのではなく、不動産会社に買い取ってもらうという方法もあります。

しかし、買取の場合は、通常の物件でも相場価格の7~9割程度まで価格は下がります。告知する事項があれば、買取価格はさらに下がるでしょう。

そのため、どうしても売却できずに、即現金化する必要があるときのみ検討しましょう。

まとめ

それでは、今回解説した「マンション売却の告知義務」について、覚えておくべきことをおさらいしましょう。

記事のおさらい

  • 告知義務の定義は曖昧
  • 告知しないで売るリスクは高い
  • 気になる点があれば必ず不動産会社に相談
  • 告知義務があれば売り方に工夫をする

決して告知義務の有無の判断を自分一人でしないようにしましょう。上述のように、判例を見ても意外と思う告知義務もあります。

まずは、告知義務がある物件かどうかを確認し、少しでも心配事があれば不動産会社に相談することです。

執筆者の中村昌弘さんの写真

マンション売却のコンサルタント

中村昌弘

保有資格:宅地建物取引士

新卒で不動産ディベロッパーに勤務し、用地仕入れ・営業・仲介など、不動産事業全般を経験。入居用不動産にも投資用不動産にも知見は明るい。独立後は、不動産事業としては主にマンション売却のコンサルタントに従事している。趣味は読書。好きな作家は村上春樹、石原慎太郎。

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