減価償却って何?マンション売却時の減価償却を簡単解説!

2019.02.07投稿 不動産売却のことなら【すまいうる】
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不動産ライター兼不動産経営者

中村裕介

減価償却という言葉は、特定の職種の人でないとあまり身近ではないと思います。聞いたことはあっても、詳しくは分からないという人が多いのではないでしょうか。

マンション売却の税金について調べていく中で、初めて聞いたというかたもいるかもしれませんね。

減価償却は、その文字の並びからして難しく感じると思います。でも、減価償却の計算は、当てはめていくだけでカンタンに計算できるものだったりします。

この記事ではこんな悩みを解決します!

  • マンション売却の減価償却がイマイチよくわからない
  • マンションの場合の減価償却はどうする?
  • 減価償却にはどんな資料が必要なの?

この記事では、減価償却の概要から計算方法など、マンションを売却する際に必要な減価償却の基礎知識と実際の計算について、具体例を通じて解説します。

この記事を読めば、マンション売却の際の減価償却で迷うことはなくなります。

マンション売却における減価償却は「マンションの価値」を修正するもの

マンションを売却する際になぜ減価償却が必要なのでしょうか。

減価償却は、マンションなどの建物の価値を修正するためにおこなう手続きで、具体的には減価償却費という費用をマンションの価値から差し引くことで修正します。

減価償却費とは、簡単にいえばモノの劣化を表すための費用です。土地は劣化しないので、土地については減価償却の概念はありません。

いつ行う必要がある?

減価償却は、マンションを売却したあとから、翌年の確定申告で譲渡所得を計算するまでにおこなう必要があります。

マンション売却後の譲渡所得がゼロであれば確定申告の必要はありませんが、正確な譲渡所得の金額を出すために減価償却は必須となります。

誰が減価償却の計算を行うのか?

減価償却の計算は、確定申告をするために行います。

基本的にはマンションを売却した本人が資料を参考に減価償却の計算をしますが、税理士に依頼することも可能です。

自分でやると聞くととても難しいように感じますよね。でも、一つ一つの項目をどのように処理するかはあらかじめ決まっているので、自分のケースに置き換えていけばそれほど難しいものではありません

次からは、具体的な減価償却の計算方法について確認していきましょう。

マンションの減価償却費を計算する方法

ここからは、マンションの減価償却費を計算する方法について解説していきます。

マンションの減価償却費の計算式

減価償却費の計算方法には定額法と定率法の2種類があり、特に届出をしない場合は定額法での計算となります。

定額法と定率法のどちらを選んでも、最終的な計算結果は同じです。そのため、基本的には、届出の必要のない「定額法」で計算します

減価償却費は以下の計算式(定額法)で計算します。

減価償却費=建物購入代金 × 0.9 × 償却率 × 経過年数

建物購入代金、償却率、経過年数それぞれの項目について詳細に確認していきましょう。

建物購入代金を調べる

マンションの減価償却費の計算には、建物の購入価額を知る必要があります。

注意点は、売買契約書に記載された売買価格を「建物購入代金」として使わないようにすることです。

契約書の売買価格は、あくまでも土地と建物を合計した金額です。土地と建物それぞれの内訳を確認して、建物価格のみを使いましょう。

しかし、売買契約書によっては土地価格と建物価格の内訳が明記されておらず、合算した売買価格のみが記載されている場合があります。その場合は以下4つのいずれかの方法で、建物購入価格を調べることができます。

なお、①の消費税から計算する方法がもっとも一般的です。

購入当時の売買契約書があれば①の方法で充分です。②~④は読み飛ばしても大丈夫です。

①消費税から計算する方法

消費税額から、建物・土地それぞれの購入価額を計算する方法は以下のとおりです。

建物価格 =消費税 ÷ 購入時の消費税率+消費税
土地価格 = 土地・建物の合計金額 - 建物価格

消費税は、売買契約書などに記載されています。

消費税率は、建物購入時の税率で計算しましょう。

対象期間 消費税率
平成元年4月1日~平成9年3月31日 3%
平成9年4月1日~平成26年3月31日 5%
平成26年4月1日~ 8%

なぜ上記の式で建物の価格を求めることができるのか…?

それは、消費税は建物のみにかかる税だからです。土地に対しては課税されません。つまり、売買契約書などに記載されている消費税は、建物価格にかかっている消費税ということです。

例えば平成8年に5000万円で購入したマンションのケースで、売買契約書等に5000万円(うち消費税90万円)と記載されていた場合、建物の価格は以下の式で求められます。

建物価額:90万円 ÷3% +90万円=3,090万円
土地価額:5,000万円−3090万円=1,910万円

②標準建築単価から計算する方法

標準建築単価から計算する場合、「建物の標準的な建築価額表」という建築年と構造で定められた基準をもとに、建物の購入代金を計算します。

建物の標準的な建築価額表は、国税庁のホームページで公開されています。

国税庁ホームページの平成29年分譲渡所得の申告のしかた(記載例)にある表のうち、「【参考2】 建物の標準的な建築価額表及び給与所得金額の計算表など」というPDFファイルで確認できます。

③固定資産税評価額の比率から按分する

固定資産税評価額の比率から、土地と建物のそれぞれの価額を求める方法です。

例えば、

とします。

その場合、以下の計算式になります。

建物購入価格:
3,000万円 ×{1,500万円÷(500万円+1,500万円)}=2,250万円

土地購入価格:
3,000万円 ×{500万円÷(500万円+1,500万円)}=750万円

この金額は消費税込みなので、消費税率で建物の2,250万円を割り戻します。

建物の取得費=2,250万円÷1.08=2,083万円

よって、建物の取得費は2,083万円となります。

④土地の時価から建物価額を求める

土地の時価から建物価額を求める方法は、あまり使われない手段です。しかし、当該の不動産の付近に取引事例が多く、時価評価に客観性が認められる場合に採用できます。

土地の時価には、主に公示地価が採用されるケースが多いです。

国土交通省は毎年3月に公表する、その年の1月1日時点の全国の標準地の土地価格を公表していてこれを地価公示といい、地価公示で示される土地の価格のことを公示価格といいます。

公示価格は、国土交通省の標準地・基準地検索システムから確認できます。

償却率は法律で決められている

建物の材質・構造によって減価償却を行うことができる法定耐用年数は決まっていて、事業用と非事業用で異なります。

自己居住用といった非事業用の不動産の場合、事業用の耐用年数の1.5倍で計算されます。
(例:木造の場合、事業用の耐用年数は22年、非事業用は22年×1.5倍=33年)

非事業用の各構造についての法定耐用年数と償却率は以下のとおりです。

材質・構造 法定耐用年数 償却率
木造 33年 0.031
軽量鉄骨 40年 0.025
鉄筋コンクリート造(RC造)・鉄骨鉄筋コンクリート(SRC造) 70年 0.015

通常のマンションは、鉄筋コンクリート造(RC造)か鉄骨鉄筋コンクリート(SRC造)なので、償却率は0.015が適用されます。

参考:
法定耐用年数表(事業用)(国税庁)
償却率(【参考1】 土地や建物の譲渡所得のあらまし)(国税庁)

経過年数は購入から売却までの期間

減価償却の計算の際の経過年数は、マンションを購入してからそれを売却するまでの期間です。

経過期間は、6ヶ月以上の端数は1年と計算し、6ヶ月未満は切り捨てます。

例えば平成19年2月から平成30年6月の場合、所有期間は11年4ヶ月となります。この場合の経過年数は11年になります。

減価償却を具体的に計算してみよう

それでは、具体的に計算してみましょう。

例題1:建物の購入価格が分かっている場合

【問題】
購入時期:平成10年
購入代金:3,500万円(土地1,000万円・建物2,500万円)
材質・構造:鉄筋コンクリート造のマンション
売却時期:平成30年

この場合、減価償却費はいくらでしょうか。

この場合も、

減価償却費=建物購入代金 × 0.9 × 償却率 × 経過年数

の数式にひとつずつ数字を当てはめていくことで、カンタンに減価償却費を計算できます。

【答え】
減価償却費=2,500万円× 0.9 × 0.015 × 20年=675万円

例題2:建物の購入価格が分からない場合

【問題】
購入時期:平成15年
購入代金:2,500万円
材質・構造:鉄筋コンクリート造のマンション
売却時期:平成30年

購入当時の売買契約書には、2,500万円(うち消費税75万円)と記載されていました。
この場合、減価償却費はいくらでしょうか。

この場合、まずは消費税から建物の購入価額を計算します。

建物価格=消費税 ÷ 購入時の消費税率+消費税

このマンションは平成15年に購入しているので、当時の消費税率5%を当てはめます。

建物の価格=75万円÷5%+75万円=1,575万円

よって、建物価格は1,575万円となります。

全体の購入価格からこの建物価格を差し引くことで、土地の価格も計算できます。

土地の価格:2,500万円−1,575万円=925万円

土地の価格の計算は、今回の減価償却の計算には直接関わりがありませんが、この後の譲渡所得の計算に関わりがあるので覚えておきましょう。

さて、建物購入代金が分かったので、あとは例題1と同様に

減価償却費=建物購入代金 × 0.9 × 償却率 × 経過年数

の数式にひとつずつ数字を当てはめていくだけです。

【答え】
減価償却費=1,575万円 × 0.9 × 0.015 × 15年=318万9,375円

ここまではマンションの減価償却について解説してきました。減価償却費の出し方については、これでマスターできたのではないでしょうか。

減価償却がわかった人は、次のステップに進んでみましょう。

減価償却費は求めたらそれで終わりではありません。そもそも減価償却費を求めるのは、譲渡所得の計算に必要だからです。

譲渡所得がいくらなのかは、確定申告をする or しなくてよいという判断をする場合にも必要な情報です。つまり、マンションを売却したすべての人にかかわるものです。

その譲渡所得の計算方法について解説していきます。

確定申告に必要な「課税譲渡所得」の計算方法

確定申告のための課税譲渡所得の計算方法について、この章でわかりやすく解説していきます。

課税譲渡所得とは

譲渡所得とは、不動産を売却して得た利益のことです。

不動産売却による納税額を算出するために、譲渡所得を正確に把握することが必要となります。

譲渡という言葉には無料で譲り渡すイメージがありますが、ここでは有償無償にかかわらず「譲渡」という言葉で表現されています。

不動産を売却しても利益がなかった場合は、譲渡所得がゼロということで課税はされません。しかし譲渡所得がゼロかどうかを確認するためにも、まずは譲渡所得の計算をする必要があります

課税譲渡所得にかかる税率

譲渡所得があった場合、所有期間で税率が異なります。

譲渡した年の1月1日において、所有期間が5年を超える場合は「長期譲渡所得」、所有期間が5年以下の場合は「短期譲渡所得」となります。

居住用の不動産の場合、それぞれの税率は以下のとおりです。

所有期間 税率(内訳)
5年以下(短期) 39.630%(所得税30.630% 住民税 9%)
5年超え(長期) 20.315%(所得税15.315% 住民税 5%)

マンション売却による納税額は

税額 = 課税譲渡所得 × 税率

で求めることができます。

譲渡所得を求める計算式

譲渡所得は、以下の計算式から求めることができます。

譲渡所得=収入金額−取得費−譲渡費用

収入金額

収入金額は不動産を売却して得た金額です。主に不動産の売却価格を指しますが、売却の際に精算した固定資産税・都市計画税についても含めます。

取得費

取得費は、売却した不動産を取得した当時の購入代金に減価償却費を加味したものと、購入のためにかかった仲介手数料、リフォーム代金などを含む費用です。

取得費=購入代金+購入にかかった費用-減価償却費

本記事のテーマである「減価償却費」は、この取得費を求める際に使います。

マンションなどの建物は、土地と異なり年々劣化します。購入当時と比べて、現在の建物の価値は落ちているはずです。そこで、譲渡所得を求めるときは、現在の価値に正しく修正した「取得費」を用います。(購入代金から減価償却費を差し引く)

記事冒頭でお伝えしたとおり、減価償却はマンションなどの建物の価値を修正するためにおこなう手続きなのです。

譲渡所得

譲渡費用は、不動産を譲渡するために支払った仲介手数料などの各種費用のことです。

課税譲渡所得の計算に必要な書類

譲渡所得の計算に必要となる資料・書類は下記のとおりです。

収入金額がわかるもの

売却したマンションの売買契約書など、譲渡収入金額がわかるもの。

譲渡したマンションの取得費がわかるもの

売却したマンションを購入した際の売買契約書、登記費用、リフォーム費用の領収書など、マンションを取得したときにかかった費用を証明できるもの。

譲渡費用がわかるもの

不動産会社への仲介手数料の領収書や司法書士への手数料の領収書など、マンションを譲渡するときにかかった費用の金額を証明できるもの。

譲渡所得を具体的に計算してみよう

ここからは、減価償却の項目で挙げた事例をもとに、具体的な譲渡所得の計算例を上げていきます。

簡略化のため、購入にかかった各費用はゼロとして計算します。

例題1:建物の購入価格が分かっている場合

【問題】
購入時期:平成10年
購入代金:3,500万円(土地1,000万円・建物2,500万円)
材質・構造:鉄筋コンクリート造のマンション
売却時期:平成30年
売却価格:3,000万円
譲渡費用:100万円
減価償却費:675万円

この場合、譲渡所得はいくらでしょうか。

この場合、譲渡所得は以下の式で計算できます。

譲渡所得=収入金額−取得費−譲渡費用

計算式にひとつずつ数字を当てはめていくことで、譲渡所得を求めることができます。

【答え】
譲渡所得=3,000万円−(1,000万円+2,500万円−675万円)−100万円=75万円

このケースでは譲渡所得は75万円で、所得税・住民税の対象となります。

3,000万円の特別控除が利用できる場合は、譲渡所得はゼロになり税金はかかりません。

しかし、特別控除は確定申告しなければ適用されないので注意しましょう。

例題2:建物の購入価格が分からない場合

【問題】
購入時期:平成15年
購入代金:2,500万円
材質・構造:鉄筋コンクリート造のマンション
売却時期:平成30年
売却価格:2,000万円
譲渡費用:150万円

購入当時の売買契約書には、2,500万円(うち消費税75万円)と記載されている。
この場合、譲渡所得はいくらでしょうか。

「減価償却を具体的に計算してみよう」の章で学んだとおり、売買契約書に記載されている消費税から

建物購入価格:1,575万円
土地購入価格:925万円
減価償却費:318万9,375円

と分かります。

ここまで分かれば、今回も譲渡所得は以下の式でカンタンに計算できます。

譲渡所得=収入金額−取得費−譲渡費用

【答え】
譲渡所得=2,000万円−(925万円+1,575万円−318万9,375円)−150万円=−331万625円

このケースでは譲渡所得はなく、確定申告の必要はありません。

しかし各種特例によって確定申告することにより税制面で特になるケースもあります。

譲渡所得の計算で使う「取得費」がわからない場合の対応策

取得費を出す方法は

の2種類があります。通常は、実額法が採用されます。

実額法

土地と建物の購入代金と取得にかかった費用の合計金額から、建物の減価償却費を差し引いた金額。実額法による取得費を実額取得費という。

概算法

譲渡収入金額×5%で計算。概算法による取得費を概算取得費という。

先祖代々の家や、売買契約書が見つからないなど、正確な取得費がわからない場合は「概算法」を使って計算されます。

例えば3,000万円で売れた場合、概算法では3,000万円の5%である150万円が取得費となります。

ただし、概算法の場合、取得費が少なく計算されるために譲渡所得が高額になり、本来支払わなくて良い税金を支払う可能性があります。

対策としては、以下の手段が考えられます。

正確な取得費が分からない場合の対策

  • 登記事項証明書を確認して、取得費に近いと思われる借入金額が記載されていないか確認する
  • 前の所有者に連絡をとって売買契約書の金額を確認させてもらう
  • 以前の不動産取引に関わった不動産会社に問い合わせる
  • 住宅ローンで購入したものであれば、借入先の金融機関に何か資料がないか問い合わせする

3,000万円の特別控除を利用しよう

マイホームを売却した場合に利用できる、3000万円の特別控除について確認していきましょう。

3,000万円の特別控除とは

3,000万円の特別控除とは、居住用住宅を売って利益が出た場合(譲渡益が出た場合)、所有期間に関わらず譲渡所得から3,000万円を控除することができる特例です。

かんたんに言うと、マイホームを売却して利益が出た際に「課税対象となる金額(譲渡所得)を3,000万円減らしてもらえる=払う税金が少なくなる、もしくはなくなる」という特例です。

3年に1度の適用制限があります。

具体的な計算方法と計算例

3,000万円の特別控除を利用した場合、課税譲渡所得の計算は以下のとおりです。

課税譲渡所得=譲渡所得-3,000万円

譲渡所得が3,000万円以下である場合、譲渡所得はゼロになり、課税されません。

しかし、例えば譲渡所得が3500万円であった場合、3500万円−3,000万円=500万円(課税譲渡所得)となり、課税譲渡所得500万円に対して課税されます。

税率については先述したとおり、所有期間が

のいずれであるかで異なります。

今回の例において所有期間が8年であった場合、5年超えであるため長期譲渡所得の税率(20.315%)が適用されます。

税額は以下の計算式で求めることができます。

税額 = 課税譲渡所得 × 税率

それぞれに数字を当てはめると、税率は以下のように計算できます。

税額=500万円×20.315%=101万5750円

マンション売却で利用できるその他の特例

3,000万円の特別控除のほかに、利用可能な特例としては4つあります。

譲渡益が出た場合と譲渡損が出た場合の2パターンに分けて紹介します。

譲渡所得=収入金額−取得費−譲渡費用の計算でプラスとなれば「譲渡益が出た」、マイナスとなれば「譲渡損が出た」となります。

譲渡益が出た場合に利用できる特例

10年超所有軽減税率の特例

10年超所有軽減税率の特例は、譲渡益が出た場合に利用できる特例のひとつです。

ようするに居住用住居を売却して利益が出た時に、もしも10年以上そのマイホームに住んでいたら、売却して得た利益にかかる税金が安くなる特例です。 3年に1度の適用制限があります。

10年超所有軽減税率の特徴

  • 3,000万円の特別控除との併用が可能
  • 不動産を譲渡した年の1月1日時点で所有期間が10年以上の場合に適用可能
  • 3年に1度の適用制限がある

この特例によって、下記のように譲渡所得の税率が軽減されます。

課税譲渡所得 課税税率
軽減前(所有5年超え) 全額 20.315%(所得税15.315% 住民税5%)
軽減後(所有10年超え) 6,000万円以下の部分 14.210%(所得税10.210% 住民税4%)
6,000万円超えの部分 20.315%(所得税15.315% 住民税5%)

この特例によって6,000万円以下の部分については、税率が6.105%も軽減されます。

先ほどの課税譲渡所得500万円の例で、この特例が適用できた場合、税額は以下のとおりになります。

税額 = 課税譲渡所得 × 税率(所得税・住民税)=500万円×14.21%=71万500円

通常の税率だと101万5750円だったので、このケースでは約30万円も税額が安くなりました。

特定居住用財産の買換え特例

特定居住用財産の買換え特例は、買い換え先の物件の購入金額が譲渡益を上回る場合、譲渡益に対する課税を将来に繰り延べることができます。

マイホームを売って利益が出たら、通常その利益に税金がかかります。しかしその利益より、次の家の購入価格が高い場合、新居に住むのにお金が足りない状況と言えます。

この状況で、出た利益に対して税金がかかったら、次の家を買う資金が少なくなります。だから今回の利益分に対する税金は、次の家を売るまで保留にしていいですよ、という特例です。

新しく購入した物件を将来売却する時まで課税を延ばす特例であり、譲渡益が非課税になるわけではありません

譲渡した年の1月1日時点で、居住期間が10年以上であることが主な適用条件となります。

譲渡損が出た場合に利用できる特例

居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除

この特例では、損益通算を行い、損益通算で相殺しきれなかった分を翌年以降の3年間の所得から控除することができます。

ようするに家を買換える場合、家を売却して出た損の分、給料所得などと通算することで所得が安くなり、結果的に支払う税金が安くなる特例です。

しかも控除しきれなかった分は翌年以降の3年間の所得から控除することができます。

譲渡した年の1月1日の時点で所有期間が5年を超えていることが主な要件となります。

特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除

住宅ローン残高が残っているマイホームを譲渡して、譲渡損失が出た場合に適用される特例です。買換えではなくても利用できます。

のいずれか金額が低い方が、譲渡損失として控除できる金額となります。

譲渡した年の1月1日の時点で所有期間が5年を超えていることが主な要件となります。

確定申告の手続きを専門家(税理士)に依頼する場合

確定申告の手続きは、税理士や税理士法人に代行を依頼することもできます。

税理士に依頼すれば自分でおこなう時間と手間が省けるメリットがありますが、費用がかかるデメリットがあります。

費用相場は税抜きでおよそ5〜10万円程度です。特に、忙しい人や確定申告が面倒な人は、税理士に依頼するのも良いでしょう。

まとめ

それではマンション売却の際の減価償却についてまとめていきましょう。

記事のおさらい

  • 減価償却はマンションの実際の価値を修正するためにおこなう
  • 減価償却費はモノの劣化を表すための費用。土地は劣化しないので減価償却しない
  • 減価償却費=建物購入代金 × 0.9 × 償却率 × 経過年数
  • 減価償却費の計算方法には定額法と定率法の2種類があり、通常は定額法で計算する
  • 譲渡所得=収入金額−取得費−譲渡費用
  • 取得費を出す方法は実額法と概算法の2種類。通常は実額法が採用される。
  • 概算法だと取得費が少なく譲渡所得が高くなるので損をする
  • 条件が合えば3,000万円の特別控除を利用して譲渡所得をゼロにできる

今回ご紹介した記事内容は、すべて覚える必要はありません。

売買契約書や費用の領収書などをもとに、減価償却を計算して正確な取得費を把握してから、自分が売却した不動産の譲渡所得を出す。この流れの中で、一つ一つの数字を正確に当てはめていけば、自分の譲渡所得を把握することができます。

今回の記事内容が、減価償却と譲渡所得の計算をする上でのご参考になれば幸いです。

執筆者の中村裕介さんの写真

不動産ライター兼不動産経営者

中村裕介

保有資格:宅地建物取引士、保育士

1983年福岡生まれ。上海復旦大学卒。 商社、保育園、福祉施設での勤務を経て、現在は不動産の記事を中心に手がけるライター兼不動産経営者。実際に店舗・住宅を提供している立場から、不動産に関する記事を執筆中。 趣味はフットサル、旅行、読書。美容と健康のために毎日リンゴ人参ジュース飲んでます。

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