不動産を売却するベストな時期とは?6つのタイミングと注意点を徹底解説
2018.08.24投稿編集 すまいうる編集部
家や土地を売ろうと思ったとき、よほど急ぎでない限り「どうにかして高く売りたい!」と思いますよね。
高く売る方法を考えるなかで「売る時期も関係あるのでは?」という推測をしたあなた、正解です。
正直なところ、不動産のプロでも「いつ不動産の価値が高くなるのか」を明言することはできません。バブル崩壊などで価値が急落することもあるためです。
とはいえ、比較的高く売れる時期の特徴はあります。物件ごとに魅力も需要も異なるため「必ず高く売れる」という約束はできませんが、「高く売れる可能性」を高めることはできるでしょう。
本記事では、6つのタイミングに分けて、不動産売却におすすめの時期を紹介していきます。
この記事の目次
不動産売却のベスト時期をケース別に判断
ほとんどの人は、不動産を売るなら高く売りたいと思っています。
その延長線で「時期を選べば高く売れるかも…」と考えますが、実際には売却時期を選べるほど時間的余裕のないケースがあります。
一般的な売り方では、売り出してから買主が見つかるまでに2~3ヶ月かかるためです。不動産会社選びから物件の引き渡しまでを考えると実に5~6ヶ月!
売却にかかる期間を考えて行動しなければ「引っ越しに間に合わない!」という事態になってしまいます。
そのため、まずはあなたの状況にあった行動を取ることをオススメします。
あなたの状況 | おすすめの行動と時期 |
---|---|
1~2か月以内に売却しなければならない | 今すぐ不動産会社へ買取の査定依頼を! ※買取とは?(別記事へ移動) |
半年以内に売却しなければならない | 今すぐ不動産会社へ査定依頼を! |
新築マンションへ住み替える予定 | 新居の完成時期の5~6ヶ月前に不動産会社へ査定依頼しましょう |
時期は未定で売却タイミングを検討中 | このまま本記事を読み進めてください。 |
なお、基本的に、不動産の価値は年月とともに落ちていくものです。土地の価値は上昇することはあっても、建物自体は劣化によってどんどん価値が下がります。
売却タイミングを待ちすぎて不動産価値が大きく下がってしまうという、本末転倒な結果にならないように注意しましょう。
2020年東京オリンピック前の「今」は売りどき!
2020年2月現在において、今は不動産の売りどきです。
次章以降で紹介する「売却におすすめの時期」となる要素が重なっているタイミングだからです。
- 地価が上昇している
- 新築マンション価格が上昇している
- 住宅ローン環境はおおむね良好
好景気では、不動産などの物価が上昇します。2020年の東京オリンピックまで好景気は続くとの見方が強く、好景気である今は売るには良い条件が整っていると言えます。
ちなみに、「2020年東京オリンピック後に不動産価格が下落する」と言われていますが、それは一概には言えません。地価が下がったことはありますが、下がり方やその地域が異なるためです。
過去のオリンピック閉会後の地価変動
- 1964年の東京五輪後:東京都内は地価が下落
- 1972年の札幌五輪後:札幌市を含め、全国的に地価が大幅上昇
- 1998年の長野五輪後:長野市は地価が大幅下落、全国的にはほぼ横ばい
ただ、市場はいつどうなるか分かりません。
かつて、「バブル時代に売っていたら我が家は1億円だったのに…」という嘆きを何度も聞いたことがあります。
売却の良い時期というのは、そう何度も訪れるものではありません。今回を逃せば、10年以上オアズケの可能性が出てきます。
いまは絶好のチャンスですので、売りどきを逃さないようにして下さい。
おすすめ時期①新生活スタート前の引越しシーズン(毎年2~3月)
不動産売買の繁忙期は、進学や転勤などで転居する人が増えるシーズンです(主に2~3月)。この時期はまさに「不動産が高く売れる」「売りやすい」とダブルメリットを享受できる時期であり、売却におすすめの時期と言えるのです。
下記グラフを見てください。
オレンジ色の折れ線は「中古物件の平均売却価格」、みどり色の棒グラフは成約件数を表しています。
※参考:2019不動産統計集(公益財団法人 不動産流通推進センター)
ここから分かることは「2~3月は不動産の成約件数が多い」「2~3月は比較的高めの価格で不動産を売却できる」ということです。
続いて、下記グラフは中古物件の月別成約率の動向をあわらしたグラフです。
※参考:月例マーケットウォッチ2019年11月度(公益財団法人 東日本不動産流通機構)
このグラフからは「2月から3月にかけて成約率が高くなっている」ということが分かりますね。
新生活スタート前の2~3月は、いちばん高く売れる時期とまでは言えないものの、「比較的高い価格で売却できる時期であり、高い成約率で買主が見つかりやすい時期」と言えます。
おすすめ時期②土地の価格が上昇しているとき
不動産は、土地価格が上昇しているときなら高く売ることができます。
まず前提として、次の2つのことを知っておきましょう。
- 建物価格は、築年数に応じて年々下落していくもの。
- 土地価格は、株と同じように景気によって変動する。
つまり、不動産を高く売ろうと考えるなら「土地価格が上昇しているとき」を狙うのが正攻法です。
ただ、マンションや一戸建てにおいては「建物価格」が下落する以上に「土地価格」が上がらない限り、購入時よりも高く売れるとことはないとも言えます。
近年は土地価格が上昇しているため「思いのほか高く売れた」「購入時よりほとんど価格が下がらず売却できた」というケースが増えていますが、購入価格よりも高い価格で売れたというのは稀なケースです。
とはいえ、このようなケースでは売却によって住宅ローン残債を余裕で完済できます。お釣りが十分できるため、次の物件の購入のための頭金にもすることができます。
売却により大きな頭金を作れるチャンスですので、土地価格上昇時は売りどきです。
周辺が再開発されているときは土地価格が上昇!
日本経済全体の変化とは関係なく、「このエリアだけ売りどき」という場合があります。
それは、街が再開発された後です。
再開発とは、今まで工場跡地だったところに大きなマンションや商業施設が建つことで、街がガラッと変わる街づくりのことを指します。
再開発は成功すると、その周辺の土地価格が一気に上昇します。
再開発前にそのエリアに不動産を持っていた人は、再開発後に売却すると高値で売却することが可能です。
川崎市の武蔵小杉の再開発などは、街が大きく変わり、土地価格が急上昇した良い例になります。
武蔵小杉のように大成功した例は稀ですが、周辺環境が良くなると局所的にそのエリアの不動産価格が上昇します。
- 大型商業施設ができる
- 駅が開通する
- タワーマンションができる
など、街に大きな変化が生じると街自体の人気が上がり、そのエリアだけに不動産の売りどきが訪れます。
最近は、再開発情報もインターネットでわかりやすく公表されています。
再開発情報サイトの一例
ネットで住みかえノムコム未来予想図
都市レポ
自分が住んでいる街に再開発計画がないか、確認してみましょう。
また、買い替えをするなら、再開発計画があるエリアの物件を今のうち購入しておくのも1つです。再開発前であれば、物件は安く購入でき、再開発後は上がります。
おすすめ時期③不動産の価値が落ちきる前
次に考えたいのは、「築年数」です。土地の場合は関係ありませんが、マンションや一戸建ての場合は考慮したい要素です。
基本的に、不動産の価値は月日が経つにれて下がっていきますが、下がり方に傾向があります。ある時を境にガクッと落ち始めるタイミングがあるので、その前に売却するのが賢い選択肢と言えます。
※参考:築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2018)(公益財団法人 東日本不動産流通機構)
マンションと一戸建てともに、築16~20年を境に成約価格の下がり方が急になっているのが分かるでしょうか。
できる限り高い価格水準で売りたいのであれば、築15年以内に売却することをおすすめします。
おすすめ時期④新築マンションが値上がっているとき
新築マンションの価格が上昇している時期は、不動産を高く売却できます。
新築マンションの価格が高いと、中古マンションも中古戸建も需要が高まるためです。中古住宅は、高すぎる新築を諦めて購入する人も多いのです。
中古マンション・中古戸建てが高く売れる理由
まず、マンションに住みたいと思っている人は「新築マンションが高すぎる」と感じると、中古マンションに流れていきます。
新築マンション価格が上がれば上がるほど、“新築に手が届かない人”が増え、結果的に中古マンションを購入する人が増えるのです。
また、新築マンションが高いと、中古戸建にも需要者が流れます。
マンションは、購入後に管理費と修繕積立金が発生します。新築マンションの重い住宅ローンに、管理費と修繕積立金も加わると、経済的な負担が大きくなります。
この負担を軽くするために、管理費と修繕積立金の発生しない戸建住宅へ買い替える人が結構いるのです。
このように、新築マンション価格が高いことで「新築マンションの諦め組」と「戸建への買い替え組」の人たちが発生し、中古住宅市場が活性化します。
マンションを持っている人と戸建を持っている人の両方に、売却のチャンスが訪れるのです。
新築マンション価格の動向(2019年12月現在)
ここ数年、新築マンション価格は上昇傾向にあり、不動産売却にはとても適した時期が続いています。
2019不動産業統計集(発行:公益財団法人不動産流通推進センター)によると、特に首都圏での新築マンション価格の高騰が続いています。
新築マンション価格の高騰は、ニュースで取り上げられることが多く、情報もキャッチしやすいです。「新築マンション価格が過去最高を更新!」というニュースが出ている時期は、絶好の売りどきだと思っておいて良いでしょう。
5つ目のタイミングとして、「住宅ローン環境が良い時期」があります。売りどきを考える際、購入者の気持ちを考えることもポイントのひとつです。
おすすめ時期⑤住宅ローン環境が良いとき
住宅ローン関連の環境が良いときは住宅購入の好チャンス。人々の住宅取得意欲が高まるため、低金利のときは売却に適した状況だと言えます。
住宅ローン環境が良い時期とは、具体的に「低金利」と「税制優遇」の2点があります。
住宅ローンが低金利のとき
金利が低ければ、住宅ローンの返済総額を抑えることができるため、購入時期としては適切です。購入のチャンスとなれば不動産の需要が高まり、売却時期としても好機となります。
少し矛盾しているように見えますが、住宅ローンの低金利によって、ここ数年は買いどきもあり、売りどきでもあるのです。
2019年12月現在においては、まだまだ低金利と呼べる状態が続いています。
※参考:【フラット35】借入金利の推移
※返済期間が21年以上35年以下の場合で、毎年10月の最低金利を表しています。
上のグラフは毎年10月時点のフラット35の金利推移を表したものです。
2007年10月の金利が2.96%だったのに対し、2019年10月の金利はなんと1.11%。ここ10年ちょっとで半分以下まで下がっています。
住宅ローン控除を受けられるとき(税制優遇)
また、国も住宅取得を促すために、住宅ローン利用者には税制優遇の措置を取っています。その税制優遇とは、いわゆる「住宅ローン控除」です。
住宅ローン控除を適用できる物件は、購入者にとって税金を抑えるメリットがあります。売主側としては、住宅ローン控除を適用できる家だと「売りやすい状況」になります。
ただし、この住宅ローン控除は、制度としていつまで続くか分かりません。2019年12月現在においては、適用要件は2021年12月31日までに入居することが条件となっています。
今のところ、期限がギリギリに迫ると延長されている制度ですが、一応「時限立法」であるということに注意が必要です。
おすすめ時期⑥売却で生じる税金が安くなるとき
じつは、不動産の所有期間によって所得税の税率が異なります。納める税金を抑えられるという意味で、所有期間は不動産売却の時期を決める要素になります。
売却タイミングが1ヶ月違うだけで税率が20%も違ってくる可能性があります。不動産売却で損をしないためにも、把握しておきましょう。
下記のように、5年の所有期間を境に譲渡所得(※1)にかかる税率は変わります。
所有期間 | 所得税(※2) | 住民税 | 税率合計 |
---|---|---|---|
5年以下 | 30.63% | 9% | 39.63% |
5年超え | 15.315% | 5% | 20.315% |
※1 本章における譲渡所得とは「不動産を売却して得た所得」のことです。
※2 上表の所得税は復興特別所得税を加味した税率です。
このように、不動産の所有期間が5年超えになると税率が半分ほど低くなります。
もし、売却したいと思っている不動産が5年以下の場合、5年経つのを待ってから売却した方が良いこともあります。
なお、適用税率は売却する年の1月1日時点で所有期間が5年を超えているかどうかで判断されます。
不動産の売却時期を考えるときの注意点
さて、ここまで不動産のおすすめ売却時期について紹介しましたが、あまり時期にこだわりすぎないで欲しいというのが本音です。
というのも、不動産を売却する人の背景はさまざまです。高額の住宅ローンが残っている状態かもしれませんし、そもそも「おすすめ時期」を待たずに今すぐ行動すべきケースもあります。
本章の注意点を読んで、冷静に売却時期を判断していただけたらと思います。
住宅ローン残債と売却価格のバランスを考える
「不動産の価値が落ちきる前を狙う」の章でお話したように、マンションや一戸建ては築年数が浅いほど高く売れます。
しかし、売却する時期が早すぎるのも問題です。
なぜなら、多額の住宅ローンが残っている状態では、売却金額で完済できないことがあるためです。
売却金額と貯金で住宅ローンを完済でき、かつ、貯金を返済に充てたあとの生活に支障が出ないのであれば、ローン残債は気にしなくて大丈夫です。
しかし、そうでないなら、売却価格がローン残債を下回る状態での売却はおすすめできません。
築年数が浅いときは、不動産会社に査定を依頼しておよその価値を把握してから売却の判断しましょう。
転居したいタイミングの6ヶ月前に動き出す
不動産は売り始めてすぐに売れるものではないので、注意が必要です。売ると決めてから買主を見つけて売却完了するまで、平均で3〜6ヶ月ほどかかります。
そのため、『転居したいタイミングから半年ほど前』を目安に動き始めることをおすすめします。
たとえば4月に転勤する場合、半年前である10月くらいから不動産会社と媒介契約を結んで売却活動を始めるのがベストです。
時間に余裕がないと不利な状況になる
不動産売却において、売却期限がさし迫ったなかで売却活動をするのはもっとも避けたい状況です。
なぜなら、とにかく期限までに家を売ることが優先されて、自分にとって不利な値下げ要求も受け入れざるを得ない状況になるからです。
不動産の売買では、昔から「売り急ぎ」「買い進み」という現象があります。
- 売り急ぎ:焦って安く売ってしまうこと
- 買い進み:焦って高く買ってしまうこと
いずれも、焦ってしまうと損をするということです。
たとえば無理やり3月に売ろうとして、3月の1ヶ月で売買しようとするのは、売り急ぎにつながるため得策ではありません。
時間的余裕がないことは、不動産売却で失敗する一番の原因になります。できる限り余裕をもって、焦らず売るようにしましょう。
急な人事異動などで時間がないときは「買取」を検討
もし、転勤の日程が近づいており、とにかく時間がない場合は「不動産会社による買取」も視野に入れましょう。
買取では、不動産会社が購入者です。広告を出して買主を探す手間がないぶん、スピーディーに売買が成立します。早ければ1週間、遅くても1ヶ月ほどで契約が成立します。
ふつうに売るよりも安い価格(約70~80%)での売却にはなってしまいますが、期限が迫っている場合には有効な手段です。
境界があいまいな場合はさらに時間的余裕を持つこと
土地の境界が確定していない物件(戸建や土地など)をお持ちの人は、売却期間にさらにゆとりを持たせる必要があります。
売却と境界確定にかかる時間から、どんなに遅くても6ヶ月前には売却のために動き出す必要があります。
- 不動産売却にかかる時間:3〜6ヶ月
- 土地の測量にかかる時間:3~4ヶ月
不動産の売主には、土地の境界の明示義務があります。隣地との境界が分からない場合は、事前に測量をおこない境界を確定する必要があります。
測量は土地家屋調査士に依頼します。測量を依頼してから境界が確定するまで、およそ3~4ヶ月かかると見込んでおきましょう。
ただし、官民境界(※)が確定していない場合は、最悪半年以上の時間がかかってしまうケースがあります。
※官民境界とは、公道など公共用地と民有地との境界のことです。
将来的に住宅供給は過剰になるため、不動産は早めに手放す
さいごに注意したいのは、今後の日本の住宅供給の事情です。時期にこだわりすぎないでと言いつつも、不動産をずっと持ちづづけるのも良くない、というお話です。
2019年度の株式会社野村総合研究所による調査では、2033年には日本全国の空き家率は25.2%に達する見込みです。つまり4戸に1戸は空き家となります。
※出典:<2019年度版>2030年の住宅市場と課題(野村総合研究所)
空き家の短期的な急増は回避できたものの、長期的な空き家の増加リスクはまだあります。さらに新築住宅は作り続けられるため、住宅余りの状態がどんどん悪化していきます。
都心部はまだ影響は少ないですが、都心から離れた地方では将来的に中古物件に買い手がつくのが難しい状況になると確実視されています。
不動産の資産価値は年々下がっていくという事実も含め、早いうちに手放しておいた方が良いでしょう。
まとめ
それでは不動産を売却する時期についておさらいしましょう。
記事のおさらい:不動産を売却するベストな時期とは?
- 2~3月の引っ越しシーズン
- 土地の価格が上昇しているとき
- 不動産の価値が落ちきる前
- 新築マンションの価格が高騰しているとき
- 住宅ローンが低金利なとき
- 所有期間が5年超になってから
- 2020年東京オリンピック前の「今」は売りどき!
住宅ローン環境が良い時期も売却には適していますので、これからの金利や減税政策等も注視しておくと良いでしょう。
また、2019年12月現在は、良い売却時期が続いています。新築マンションの高騰や土地価格の上昇、良い住宅ローンの環境等々の好条件がすべて揃っています。
不動産を売りたいと思っている人は、ぜひこのタイミングでの売却を検討しましょう。
編集 すまいうる編集部
不動産売却にまつわるお客様の悩みや疑問に寄り添い、正しい情報をわかりやすく伝えることをモットーに執筆・編集をおこなっています。 不動産は大切な資産。お客様が納得できる形で売却できるように、心を込めてサポートいたします。