確定申告は必ず必要?不動産売却で確定申告しないケースについて解説!

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不動産ライター兼不動産経営者

中村裕介

不動産売却をした場合に確定申告しないとどうなるのでしょうか。また確定しなくて良いケースはあるのでしょうか。

この記事では以下のような質問や疑問にお答えします。

この記事ではこんな悩みを解決します!

  • 不動産売却した後確定申告しなかったらどんな罰がある?
  • 不動産の確定申告の流れがいまいちよく分からない…
  • 確定申告の期限が過ぎた場合はどうなるの?

この記事では、不動産売却した際の確定申告に関するさまざまなケースについて解説します。

確定申告の流れや必要書類といった基礎知識はもちろん、確定申告しなかった場合どうなるのか、確定申告しなくて良いケースはあるのかなど、具体的な事例についても詳しく解説していきます。

この記事を読めば、もう不動産売却時の確定申告で迷うことはなくなります。

確定申告が必要なのに申告しないと罰則の対象となる

確定申告は、

  • 前年の所得がこれだけありましたという証明の書類の提出
  • その所得によって決まった税金を支払う

という2つの手続きがあります。いずれも、定められた期間内におこなう必要があります。

不動産を売却したあと、確定申告が必要な3月15日の納付期限を過ぎて申告しなかった場合、通常の納税額に加えて、無申告加算税や延滞税といった税金を支払うペナルティが課せられます。

無申告課税:法定申告期限までに申告しなかったことに対するペナルティ
延滞税:法定納付期限までに納付しなかった場合のペナルティ

無申告加算税は原則として、支払う必要がある納税額の50万円までは15%、50万円を超える部分には20%の率で課税されるという仕組みです。

ただし、税務署からの指摘を受ける前に、自主的に納付した場合は5%に軽減されます。

さらに無申告課税が課せられる場合は、延滞税も支払わなければいけません。

延滞税の計算は非常に複雑です。

まず日数について、

  1. 納付期限の翌日から完納した日、もしくは2ヶ月まで
  2. 2ヶ月が経過した日の翌日から完納した日の日数

に分けて計算します。

さらに延滞税は年によって異なり、2014年1月1日以降については

納付期限の翌日から2ヵ月まで:年「7.3%」もしくは「特例基準割合+1%」のうち低いほう
2ヵ月を経過する日の翌日以降:年「14.6%」もしくは「特例基準割合+7.3%」のうち低いほう

が適用されます。

延滞税についての計算は煩雑であるため、国税庁のサイトに用意されている計算シミュレーターを利用すると確実な計算ができます。

不動産売却で確定申告が必要なケース

ここからは、不動産売却で確定申告が必要なケースについて確認していきます。

不動産売却によって利益が出た場合

不動産売却によって利益が出た場合、その利益が譲渡所得となり、所得税と住民税がかかります。

譲渡所得は以下の式で計算します。

譲渡所得=売却金額(譲渡益)−(取得費-減価償却費)−譲渡費用−特別控除

取得費とは、不動産を取得した時(買った時)の費用です。

取得費の求め方には「実額法」と「概算法」があり、いずれか大きい方の金額を使います。

実額法

取得費=土地建物の購入代金+取得に要した費用-建物の減価償却費

概算法

概算取得費=譲渡収入金額×5%

多くの場合、概算法より実額法で求めたほうが取得費は高くなります。取得費が高いと、譲渡所得が小さくなり、納税額も少なく済みます。

そのため、実額法の計算に必要となる売買契約や領収書などの書類をなくさないように保管しておきましょう。特別控除については後ほど解説します。

要するに、不動産を買った時の価格より売った時の価格が高ければ税金の対象になるというわけです。

特別控除によって利益がなくなる場合

不動産売却によって利益が出た場合でも、特別控除によって譲渡所得がなくなるケースがあります。

例えば不動産を売却して譲渡所得が2000万円であった場合でも、不動産がマイホームであった場合に適用できる3000万円の特別控除を利用して、譲渡所得をゼロにすることができます。

この場合、譲渡所得がゼロなので税金はかかりません。

しかし特別控除は、申告要件といって確定申告を行ってはじめて適用される控除ですので、確定申告を行う必要があります。

このケースで確定申告を行わない場合も通常と同じ無申告とみなされ、無申告加算税や延滞税の対象となります。

不動産売却で確定申告しなくてもよいケース

不動産売却において確定申告しなくても良いケースとはどのようなケースでしょうか。

それは不動産売却で譲渡損が出た場合です。別の言い方をすれば譲渡所得の計算を行った結果、譲渡所得がマイナスになった場合です。

具体的な計算事例として、以下のケースであれば確定申告をする必要はありません。

10年前に3000万円で買ったマイホームが2000万円で売却できて、減価償却費が200万円、譲渡費用に100万円かかった場合の計算は以下のとおりです。

2000万円−(3000万円−200万円)-100万円=▲900万円

ただし、確定申告しなかった場合、税務署から「譲渡内容についてのお尋ね」という書類が来る場合があります。

これは不動産取引で譲渡益が出ていて、所得税の支払いが必要であるのに申告していないのではないかという確認の書類です。

対応としては、書類に記載されている内容について、事実に基づいて正確に回答すれば大丈夫です。

必須ではなくても確定申告することで得することがある

確定申告をする必要がない場合でも、様々な税制上の特例を利用することで税金が安くなって得をするケースがあります。

ここからは、不動産売却をして譲渡損失が出た場合に利用できる2つの特例について確認していきましょう。

居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除

「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」は居住用財産を売却して、新しく居住用財産を買換えた際、譲渡損失が出た場合に適用される特例です。

この特例では他の所得と通算する「損益通算」を行い、損益通算で相殺しきれなかった分を翌年以降の3年間の所得から控除することができます。

この特例は簡単に言えば、不動産を売却して損が出た分は、他の所得から引く事ができ、さらにそれでも余った損は翌年から3年間は同じように他の所得から引いて良いということで、結果的に税金がかなり安くなります。

例えば400万円の給与所得がある人が、マイホームの買い替えを行なって500万円の譲渡損失が出たとします。この場合、損益通算によって課税対象となる給与所得はゼロとなります。

損益通算で相殺しきれなかった赤字分は、「繰越控除」によって翌年の給与所得から控除することができます。この場合、翌年の給与所得が同じ400万円とすると、400万円から残りの赤字分である100万円を繰越控除して給与所得は300万円となります。

特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除

まだ住宅ローン残債が残っているマイホームを譲渡(売却)して、譲渡損失が出た場合に適用される特例です。この特例は新しくマイホームを買い替えなくても利用できます。

マイホームを売却した際の譲渡損失と、売却後の住宅ローンの残債(元の住宅ローン残高から売却金額を差し引いた額)のいずれか金額が低い方が、譲渡損失として控除できる金額となります。

この特例は簡単にいえば、マイホームを売って損失が出て、さらに住宅ローンが返しきれていないという状況なので、マイホームを売って出た損の分は、他の所得から引いて良いというものです。こちらも節税効果が期待できます。

例えば1,500万円のローンが残っている、3,000万円のマンションを1,200万円で売却したとします。
この場合、譲渡損失は1,200万円-3,000万円=▲1,800万円です。

マイホーム売却後の住宅ローンの残債は、1,500万円-1,200万円=300万円です。

譲渡ローンとマイホーム売却後の住宅ローンの残債金額を比べて、1,800万円>300万円となるため、損益通算の限度額は500万円となります。

損益通算して、控除しきれなかった場合は繰越控除として、その赤字分を翌年以降の3年間の所得から控除することができます。

このように、不動産売却で損失を出した場合でも確定申告をした方が得をするケースがあります。

不動産売却してから確定申告するまでの基本的な流れ

ここからは、不動産を売却してから確定申告するまでの基本的な流れについて解説していきます。

①不動産売却の結果生じた譲渡所得を計算する

上述の通り、不動産売却で得た利益は譲渡損失として課税対象になります。不動産を売却した後は、この譲渡所得を計算しないと、確定申告が必要かどうか分かりません。

それでは具体的な数字を当てはめて計算してみましょう。

譲渡所得の式は下記のとおりです。

譲渡所得=売却金額(譲渡益)−(取得費-減価償却費)−譲渡費用−特別控除

2000万円で取得した居住用住宅を3000万円で売却できて、減価償却費が200万円、譲渡費用に100万円かかった場合は

3000万円−(2000万円−200万円)-100万円=1100万円

となります。

この時点で、譲渡所得はプラスであることから、このままだと所得税、住民税を支払う必要があります。

しかし、3000万円の特別控除が利用できる場合、譲渡所得はゼロになり、所得税を支払う必要は無くなります。この特別控除を受けるためには確定申告をする必要があります。

②確定申告の必要となる書類と道具の準備

確定申告の前に、確定申告に必要な書類を準備します。確定申告に必要となる書類は記事後半にまとめています。

また、インターネットで確定申告を行うe-Taxを利用する場合は、マイナンバーカードや住民基本台帳カードに組み込まれている「公的個人認証サービスに基づく電子証明書」などの電子証明書を用意する必要があります。

マイナンバーカードには電子証明書が標準で入っているので、マイナンバーカードがない場合は用意しておきましょう。

また、マイナンバーカードなどのICカードを読み込むためのICカードリーダライタという機器が必要です。

③確定申告を行う

確定申告の方法は、確定申告の書類を税務署に直接提出するか、郵送するか、インターネットからの手続き(e-Tax)となります。

確定申告の申告期限は、毎年度、翌年の2月16日から3月15日(土・日曜および祝日の場合は翌日)までの1か月間です。税務署は3月15日に近づけば近づくほど混み合うので、税務署で提出する場合は早めにすませましょう。

税の納付方法は以下の3つです。

  1. 金融機関、税務署、コンビニエンスストアなどで納付書と現金で支払う
  2. 金融機関からの口座引き落とし
  3. インターネットバンキング(電子納税)

②③については税務署か金融機関での事前手続きが必要です。

確定申告に必要となる書類

確定申告に必要な基本書類は下記の通りです。

書類名 入手先 内容
確定申告書B様式 税務署 不動産売却の場合はB様式を使う
分離課税用の申告書 税務署 給与所得などに対する課税と、土地や建物の譲渡の分離課税を申告する書類
譲渡所得の内訳書 税務署 売却した不動産の住所、面積、売却した金額を記入する書類
購入時・売却時の売買契約書のコピー 自分 不動産を購入した時の売買契約書と、売却した時の売買契約の両方
仲介手数料などの領収書のコピー 自分 仲介手数料や印紙税など、譲渡費用にかかったもの
登記事項証明書の全部事項証明書 自分 法務局の登記記録に記録されている不動産情報が記載された書類

確定申告の期限が過ぎてしまった場合の対応方法

確定申告の期限が過ぎてしまった場合、どうすれば良いのでしょうか。

確定申告の期限を過ぎてしまった場合でも、なるべく速やかに申告を行いましょう。確定申告の期限を過ぎた後の申告は「期限後申告」という扱いになり、無申告課税の対象になります。

期限後申告であっても、次の要件を全て満たす場合には無申告加算税は課されません。

  1. その期限後申告が、法定申告期限から1月以内に自主的に行われていること。
  2. 期限内申告をする意思があったと認められる一定の場合に該当すること。
    なお、一定の場合とは、次の(1)及び(2)のいずれにも該当する場合をいいます。
    (1) その期限後申告に係る納付すべき税額の全額を法定納期限(口座振替納付の手続をした場合は期限後申告書を提出した日)までに納付していること。
    (2) その期限後申告書を提出した日の前日から起算して5年前までの間に、無申告加算税又は重加算税を課されたことがなく、かつ、期限内申告をする意思があったと認められる場合の無申告加算税の不適用を受けていないこと。
引用元:No.2024 確定申告を忘れたとき(国税庁)より

期限後申告によって納める税金は、申告書を提出した日が納期限となっています。

いずれにしても、申告を忘れた場合は速やかに申告することが重要です。

まとめ

それでは、不動産売却時の確定申告についてまとめていきましょう。

記事のおさらい

  • 確定申告が必要なのに申告しないと無申告加算税、延滞税が課せられる
  • 不動産売却で確定申告が必要なケースは、不動産売却によって利益が出た場合
  • 確定申告をした方が、不動産売却によって損失が出た場合でも税金がお得になる場合もある
  • 不動産売却から確定申告の流れは、譲渡所得の計算→確定申告の準備→確定申告
  • 確定申告の期限が過ぎてしまった場合は速やかに申告する

確定申告というと非常に複雑な作業のイメージがあり、できればやりたくないというのが多くの人の本音だと思います。

しかし本記事で解説した通り、確定申告を行わない場合は無申告加算税の対象になるほか、放置しておけばどんどん延滞税が増えていきます。

確定申告は必ず法定申告期限内におこない、万が一申告が遅れてしまった場合は速やかに申告するようにしましょう。

執筆者の中村裕介さんの写真

不動産ライター兼不動産経営者

中村裕介

保有資格:宅地建物取引士、保育士

1983年福岡生まれ。上海復旦大学卒。 商社、保育園、福祉施設での勤務を経て、現在は不動産の記事を中心に手がけるライター兼不動産経営者。実際に店舗・住宅を提供している立場から、不動産に関する記事を執筆中。 趣味はフットサル、旅行、読書。美容と健康のために毎日リンゴ人参ジュース飲んでます。

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