不動産の買取とは?買取で後悔しないためのポイントと流れをご紹介
2019.01.17投稿不動産の買取は、不動産を手放したい人にとっての一つの売却方法です。
しかし、一般的な不動産の売却と「買取」って何が違うのか今一つよくわかりませんよね。
この記事では下記のような疑問や質問が解決します。
この記事ではこんな悩みを解決します!
- 不動産の買取とはなに?
- 不動産の買取って普通の売却と何が違うの?
- 不動産の買取はどこに依頼すればいい?
この記事では不動産の買取と他の売却方法との違い、買取のメリット・デメリット、不動産買取の流れなどをわかりやすく解説します。
不動産会社の選び方など、不動産買取に関連する情報についてもお伝えしていきます。
この記事を読むだけで、不動産買取についてばっちり理解できます。
この記事の目次
不動産の買取とは
不動産の買取とは、不動産会社に不動産を買い取ってもらうことです。
例えば、ある人がマンションを持っていて売りたいと思った時に、不動産会社に直接売却することを「買取」といいます。
マンションを売る人の立場からすると「売却」ですが、不動産会社の立場ではマンションを買い取ることになるので、「買取」という言葉が使われています。
不動産の「買取」と「一般売却」の大きな違いは、「価格」と「取引成立までの早さ」の2点です。
買取 | 一般売却 | |
---|---|---|
売却価格 | 一般売却の6~7割 | 買取より高値で売れる |
取引成立までの早さ | 早くて1~2週間、長くても1ヵ月 | 平均で3ヵ月以上 |
不動産売却について時間的に余裕がある人は、より高値で売れる一般市場での売却がおすすめです。
「買取保証」という仲介と買取を合わせたタイプの売却手段もある
不動産会社には、仲介と買取を合わせたタイプの「買取保証」サービスをしている会社もあります。買取保証ではなく、売却保証とも呼ばれています。
これはまず3ヵ月間など、一定の期間は通常の仲介として一般市場にて販売して、一定期間が経過しても売却に至らなかった場合は、不動産会社が最初に提示した買取価格で買い取る保証をする、というサービスです。
買取保証があれば、仲介に出しても売れ残る心配がなく、売却される時期も決まっているので、引越しなどの計画も立てやすくなります。
注意点としては、各社で買取条件が異なりますが、基本的には売れやすい不動産であることが買取保証の条件になっています。
売却までに少し時間の余裕はあるが、売却したい期日が決まっている人は、買取保証サービスが利用可能か不動産会社に打診してみましょう。
不動産買取のメリット
不動産買取には下記のような5つのメリットがあります。
- 取引成立までの早さ
- 仲介手数料を支払わなくてよい
- リフォームなしで現状のままで売却することが可能
- 売買取引の確実性が高い
- 瑕疵担保責任を負わなくてよい
それぞれのメリットについて確認していきましょう。
①取引成立までの早さ
上述のとおり、一般市場での売却と異なり、不動産会社による買取は、売却成立までにかかる時間が短いのが特徴です。
早い場合は1〜2週間、遅くても1ヵ月以内には取引成立します。
一般市場で売却する場合、平均して3ヵ月程度ですが、購入者が見つからなければそれ以上の期間がかかります。
転勤などで引越しの期日が迫っている人や、相続後10ヵ月以内に支払う必要がある相続税を払う必要がある人には、期日までに確実に売却できる不動産買取が適しているといえます。
②仲介手数料を支払わなくてよい
一般市場で売買契約が成立した場合、仲介する不動産会社に対して仲介手数料を支払う必要があります。
不動産買取は不動産会社に対して不動産を直接売却します。売主と買主の取引を仲介する不動産会社が存在しないので、仲介手数料はかかりません。
一般市場での売却を行う場合には、仲介手数料は、(売却価格×3%+6万)×消費税で計算できます。
例えば、消費税が10%のときは、
- 売却価格1,000万円の場合:396,000円
- 売却価格2,000万円の場合:726,000円
の仲介手数料を支払う必要があります。
不動産買取の場合は仲介手数料がかからない点は大きなメリットといえます。
③現状のまま売却することが可能
不動産買取であれば、現状そのままの状態(現状有姿)で売却が可能です。
一般市場での売却の場合、売却前に壊れている箇所などがあれば修理や整備が必要になる場合があります。
また売却時に買主側から、部屋の壁紙の張り替えや給湯器の取り替え、土地であれば整地を要求されたりするケースなどがあります。
買取なら、現状での買取が基本であるため、修理や整備に手間と費用をかけることなく売却できます。
④売買取引の確実性が高い
一般売却の場合、不動産の売買契約が成立後、買主のローンが金融機関から降りないケースがあります。この場合、ローン特約によって契約は不成立となります。
【用語解説】ローン特約とは
ローンが降りなかった場合に契約が解消されるという不動産売買契約の特約事項のこと。買主がローンを利用して購入する際には必ず盛り込まれるため、ローンが降りなかった場合、もう一度買い手を探す必要が出てきます。
一方、不動産会社による買取の場合は、買主が不動産会社であるため、買取が決まれば確実に売却することができます。
⑤瑕疵担保責任を負わなくてよい
不動産における瑕疵(かし)とは、本来期待される性能や状態に不具合があることです。
一般市場では売却後に、屋根から雨漏りがする、水道管に穴が空いていた、土地が汚染されていた、地中に埋没物があった、などといった瑕疵が発見された場合、瑕疵担保責任を追及される可能性があります。
不動産買取の場合は売却先が個人ではなく不動産会社であるため、瑕疵担保責任が免除されます。売却後のトラブルの心配がない点は大きなメリットといえます。
ここまで買取のメリットを紹介してきました。では、買取によるデメリットはどのようなものがあるのでしょうか。
それは一般的な市場売却による売却価格に比べて買取価格が低い点です。
不動産買取の最大のデメリットは価格が低い点
買取による売却価格は、一般市場での売却価格の6〜7割程度しかなく、これが買取の最大のデメリットです。
不動産買取会社は不当に利益を得ているのでしょうか、と心配になるかもしれませんが理由があります。
不動産会社が買取を行う理由は、不動産を仕入れて、一般市場で販売することです。
不動産販売のためには広告を打ったり、リフォームしたり、土地の整備をしたりといった売るための経費がかかります。不動産会社は経費をかけて売れる状態にした上で、市場価格で売却します。
このため、仕入れ値である買取価格を市場価格並みになった場合は、不動産会社に利益が出ません。このような理由により、買取価格は一般市場価格の6〜7割程度となっています。
手放したいと思っている不動産がより高く売れると嬉しいですよね。売却まで時間的な余裕がある人は一般市場での売却をおすすめします。
買取に向いているのはこんな人
不動産会社による不動産の買取に向いている人は下記のとおりです。
- 不動産をすぐに売却して現金化する必要がある場合
- 売却予定の不動産が人口の少ない地域や築年数が古い不動産などで一般市場での売却が見込めない場合
- 大規模リフォームが必要なマンション、築年数が古い一戸建て、整備が必要な土地など売る前に費用をかけて整備する必要がある不動産である場合
不動産の売却でもっともよい結果は、もちろん高値で売却できることです。
しかし、売却のためにはある程度のまとまった時間が必要です。不動産の状態によっては買い手が付かないという状況もありえます。
不動産会社による買取ならば、スピーディな売却が可能であり、様々な状況の不動産についても対応が可能です。
買取価格を上げるには不動産一括査定サイトを利用しよう
少しでも不動産の買取価格を上げたい場合は、不動産一括査定サイトの利用がおすすめです。
不動産一括査定サイトとは、売却する不動産の地域や面積、駅からの距離、階層などの基本的なデータを入力するだけで、複数の不動産会社からの査定を受けられる便利なサイトのことです。
一般売却と買取のどちらも扱っている一括査定サイトの他、買取専門の一括査定サイトもあります。どちらの一括査定サイトも利用して、高値で買い取ってくれる不動産会社を見つけましょう。
一括査定サイトを活用するメリットは、複数の不動産会社に依頼する時間と手間を省けるだけではありません。買取価格を上げるためにも有利に働きます。
元々、不動産の買取取引は不動産会社と売主の一対一で行われるものでした。
そのため不動産知識の少ない人は、買取価格が高いのか安いのかわかりにくく、不動産会社は市場価格よりもかなり安い買取価格で買取を行うケースもありました。
不動産一括サイトの場合、複数社からの買取価格が提示されるため、不当に低い価格での買取は不可能になっています。健全な会社間の競争原理が働くため、不当に安い買取価格にはならない点も一括査定サイトの大きなメリットです。
買取で不動産会社を選ぶ際の注意点
不動産の買取の場合、基本的には、もっとも査定価格が高い会社を選びます。
ただし、不動産会社によっては、査定価格と最終的な買取価格が変わってくる場合もあります。買取の場合、会社によって買い取った後の売却方法が異なるため、買取価格にバラつきが出てきます。
なるべく多くの不動産会社に対して買取査定価格を申し込み、より高値で買取してくれる会社を選びましょう。
不動産の買取の流れ
一括査定サイトを利用した買取の流れについて、5つのステップに分けて解説していきます。
一つ一つの段階において行うことを確認して実行していけば、確実に不動産の買取を成功させることができます。
①〜⑤までにかかる期間は早くて1〜2週間、長くて1ヵ月程度で完了します。
①一般市場での価格相場を把握する
不動産買取を選ぶ場合も、まずは一般市場の相場を知る必要があります。なぜなら一般市場の価格を判断基準として、買取価格が適切かを把握することが可能だからです。
たとえば買取価格が一般市場価格の30%なら安すぎるとすぐ分かるし、一般市場価格の60%であれば、もう少し高めでも買取してくれる会社があるのではないか、という判断ができます。
一般市場価格はどこで見ればいいのかな?
ひなペンギン
ペンギン先生
地域ごとの地価や価格推移をまとめたページがあるから、該当の県をクリックして調べよう!
北海道・東北 | 北海道 青森県 岩手県 宮城県 秋田県 山形県 福島県 |
---|---|
関東 | 茨城県 栃木県 群馬県 埼玉県 千葉県 東京都 神奈川県 |
甲信越・北陸 | 新潟県 富山県 石川県 福井県 山梨県 長野県 |
東海 | 岐阜県 静岡県 愛知県 三重県 |
関西 | 滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 奈良県 和歌山県 |
中国 | 鳥取県 島根県 岡山県 広島県 山口県 |
四国 | 徳島県 香川県 愛媛県 高知県 |
九州・沖縄 | 福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 大分県 宮崎県 鹿児島県 沖縄県 |
そのほか、国土交通大臣が指定した不動産流通機構が運営する「REINS Market Information(レインズ マーケットインフォメーション)」というサイトから、自分の売却予定の不動産と似た物件の過去の成約情報を確認することができます。
②不動産一括査定サイトで複数の会社に査定を依頼する
一般市場での不動産の相場を把握したら、不動産一括査定サイトを使って複数の不動産会社に査定を依頼します。通常の一括査定サイトと買取専門の一括サイト両方を活用しましょう。
査定には地域、面積などをサイト上に入力すると、早めに結果がわかる「机上査定」と、不動産業者が直接現地を訪問確認して査定する「訪問査定」があります。
机上査定は査定依頼が終わった後、早ければ当日中にはメール等で連絡が来ます。訪問査定の査定自体は1時間程度で終わり、1週間以内には訪問査定価格の連絡がきます。
査定を依頼する場合は1社だけでなく、複数の業者に査定を依頼しましょう。
なぜなら、1社だけでは、買取査定価格が妥当であるかわからないためです。買取の場合は、まずは机上査定を5〜6社に依頼して、高値であった3社程度に訪問査定を依頼しましょう。
③買取を依頼する不動産会社の選定
基本的には、もっとも買取査定価格が高い会社を選びます。
しかし、会社によっては査定価格と買取価格が変わってくる場合もあります。訪問査定を買取価格が高い一社だけにしない理由は、買取価格が変わった場合に対応するためです。
買取の場合、会社によって買い取った後の売却方法が異なるため、買取価格にバラつきが出てきます。なるべく多くの不動産会社に対して買取査定価格を申し込み、より高値で買取してくれる会社を選びましょう。
④買取価格を参考に買取不動産会社と売買契約を締結
買取価格に納得して、不動産の引き渡しの日時といった条件などにも同意したら、不動産会社と売買契約を結びます。
売買契約時に不動産会社から売主に対して5~10%程度の手付金が支払われます。
⑤残代金の決済・不動産の引き渡し
土地の引き渡し日に、売却価格から手付金を引いた残代金が決済されます。
不動産登記などの各種手続きについては、すべて買主側の不動産会社が手配します。
売主は不動産登記に必要な記識別情報もしくは権利証、印鑑証明書、実印などの書類を準備しましょう。
まとめ
それでは不動産の買取手続きについておさらいしていきましょう。
記事のおさらい
- 不動産の買取とは、不動産会社による不動産の買取のこと
- 不動産を売却する場合、不動産会社による買取よりも不動産会社に仲介を依頼し、一般市場での売却が一般的
- 買取保証付きサービスのある不動産会社もある
- 買取のメリットはスピーディな売却が可能であり、様々な状況の不動産でも対応が可能な点
- 買取のデメリットは売却価格が安い点。平均的な買取価格は一般市場価格の6〜7割程度
- 買取価格の判断基準を持つために売却前に自分で一般市場価格を調べて相場を把握する
- 一般売却と同様に買取の場合も不動産一括サイトが便利
- 通常の一括査定サイトと買取専門の一括サイト両方を活用
不動産取引は、基本的な知識があるかどうかで損益が大きく変わってきます。
買取を選択する状況は、時間的にも精神的にも余裕がない場合が多いです。そのため、慌てて最初の査定会社に決めてしまったら数十万円、数百万円の損失が出る可能性もあります。
買取で損を出さないためには事前に価格相場を調べる、一括査定サイトから複数の不動産会社査定を依頼など基本的なポイントを一つ一つ確実に実行しましょう。
今回の記事が不動産の買取を行う上で参考になれば幸いです。
不動産ライター兼不動産経営者
宅地建物取引士、保育士
1983年福岡生まれ。上海復旦大学卒。 商社、保育園、福祉施設での勤務を経て、現在は不動産の記事を中心に手がけるライター兼不動産経営者。実際に店舗・住宅を提供している立場から、不動産に関する記事を執筆中。 趣味はフットサル、旅行、読書。美容と健康のために毎日リンゴ人参ジュース飲んでます。