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宅地建物取引士 監修 逆瀬川勇造
明治学院大学を卒業後、地方銀行にてリテール業務に従事し顧客の住宅ローンやカードローンなど担当。その後、住宅会社の営業部長として新築住宅の販売や土地開発等の業務に7年間従事しました。 Webを通して住宅や不動産の問題を解決することを志向し2018年10月に独立。 最近の趣味は子育てです。
土地を売りに出しているのにも関わらず、なかなか売れないと悩んでおられる方も多いです。
土地はそのほとんどが立地で価値が決まりますが、必ずしも立地がよいから売れているわけでもありません。
もちろん、立地がよいほど売れやすいことに間違いはありませんが、大切なことは適正な価格設定ができているかです。
立地のよい土地であっても、相場より2割も3割も高い土地はなかなか売れないでしょう。
また、住宅街にあるのに、住宅用地としては面積が大きく結果として売却価格が相場より高くなってしまっている場合もあります。
こうしたケースでは、値下げすることですぐに売れるようになることがあります。
本記事では、こうした売れない土地に関して、売れない土地を売れる土地にする方法をお伝えしていきます。
この記事の目次
売れない土地は期限を決めることが大切
まず、売れない土地を売るための方法として「期限を決めること」が大切です。
現段階で「今年の年末までには売る」などと期限を決めてしまうのです。
これは、すでに土地を売却に出していて、なかなか売れないと悩まれている方にも有効です。
なぜ期限を決めると良いのか、それは以下2点が理由です。
- 土地の所有にはお金や手間がかかる
- 売れないことが原因でさらに売れにくくなる
それぞれについて詳しく説明しましょう。
土地を所有し続けるとお金や手間がかかる
まず、土地は所有しているだけで固定資産税を支払う必要があります。
また、これまで建物が建っていたものを、建物を解体して更地で売るような場合には、建物が建っていた時には固定資産税の軽減措置が受けられていたものが受けられなくなり、納税額が大きくなってしまいます。
土地を○○までに売却すると決めることで、このような余計な税金を納める必要がなくなります。
固定資産税以外にも草を刈るなど整備に手間や費用がかかる可能性もあります。
売れない状態が続くとさらに土地が売れにくくなる
また、売れない土地は、売れないことが原因でさらに売れなくなっていくことがよくあります。
人のいないラーメン屋より繁盛しているラーメン屋さんに入りたいのと似たようなもので、土地は売れていない期間が長引けば長引くほど、買い手からは敬遠されやすくなります。
買い手としても「なんで売れていないのか分からないけど、何か理由があるのだろう」と考えてしまうのです。
実際、数区画ある分譲地などで、ずっと売れていなかったのが、ふとしたきっかけで1区画売れるとばたばたと他の区画も売れていくといったことはよく起こります。
売却する期限を決めることで「売れていないことが原因でさらに売れなくなる」ことを避けることができます。
売れない土地はなぜ売れない?主な3つの原因
そもそも、売れない土地にはどのような原因が考えられるのでしょうか?
原因1.土地の広さが大きすぎるor小さすぎる
土地は、エリアごとに適した土地の広さといったものがあります。一方で、土地の価格を決める時は坪単価で決めるのが一般的です。
このエリアの坪単価の相場は10万円/坪で、そのエリアでもっとも売れている広さが60坪程度だった場合、600万円程度の価格が設定されやすくなります。
しかし、例えば売却したい土地の広さが80坪だった場合には同じ坪単価10万円だったとしても、売却価格は800万円となり、買い手としてはやや高めと感じてしまいます。
一方、同エリアで40坪程度の土地を売却すると、価格は相場通りに設定しても400万円とお手軽ではあるものの、駐車場や庭を十分に取れないなどして売れない理由になってしまいます。
原因2.法規制により売りづらい
次が法規制により売りづらいパターンです。
例えば、崖規制の対象となる土地は売りづらいです。
売却したい土地の隣地が2m以上高いもしくは低いと、隣地から一定以上離したり地盤を補強したりしないと建物を建てられません。
場合によっては、擁壁(崖の側面が崩れるのを防止するための壁)を作らなければ建物を建てられないケースもあります。
こうしたケースでは、規制分を加味した値引きを行わないと売りづらいでしょう。
原因3.立地が悪い
最後は単純に立地が悪いパターンです。
土地は立地がほぼ全て、といってもよいくらいで立地が悪いとどうしようもないこともあります。
とはいえ、中には工夫すれば売れるのにその立地とは不相応な価格設定のために売れていない土地もあります。
例えば、30~40年前に購入した土地を売却するケースで、バブルの頃今よりずっと高い価格で購入している影響もあるのか、相場よりやや高めの価格設定をされる方がいらっしゃいます。
価格を決める時は、自分の感覚よりも現在周辺の土地はいくらくらいで売却されているのか、実際に売れている価格はいくらくらいなのか、をリサーチした上で、相場よりやや安めの価格設定にすると売れやすくなります。
売れない土地を売る7つの方法
売れない土地を売る方法には、値下げを含めていろいろな方法があります。ここでは、その方法として7つをご紹介します。
- 隣人と交渉する
- 不動産会社と交渉する
- 媒介契約を見直す
- 土地を分割する
- 知人を当たる
- 土地の専門家に相談する
- 値下げする
それぞれ詳しく見ていきましょう。
①隣人と交渉する
法規制に引っ掛かることが原因でなかなか売れない土地であっても、隣地の所有者であれば有効活用できる可能性が高いです。
具体例として、「接道義務」という法規制にひっかかる土地で考えてみます。
建物を新しく建てるためには、幅4m以上の道路に2m以上接道していないといけないという接道義務があります。
接道義務を満たさなければ、その土地に建物を新築することができません。
売却したい土地が接道義務を満たさない場合、建物付きであればその建物をそのまま使うか、もしくは家庭菜園や物置として使うかしかないのです。このように使い道の限られる土地では、相場の3割~4割程度まで価格を落とさなければならないケースもあるでしょう。
しかし、隣地の所有者が購入してくれれば、合併して増築したり、庭にしたりすることで活用できるでしょう。
場合によっては、合筆した上で割合を変えて分筆することで接道義務を満たす土地にできる可能性もあります。(新築できる土地になる)
以上のような、法規制の問題だけでなく、立地や狭すぎる面積のために売れないでいるような土地も、隣地の所有者であれば欲しがる可能性があります。
とりあえず相談するくらいの気持ちで打診してみるとよいでしょう。
②不動産会社に買取を交渉する
次に、仲介に出しても売れない土地は不動産会社に買い取ってもらえないか交渉してみる方法もあります。
不動産会社は土地を仕入れて整備し、建売住宅を建てて売却したり、周辺の土地をいくつか買い集めて分譲地を造ったりすることもあります。
ただし、基本的に不動産会社に買い取ってもらう方法では、相場の3割~7割程度など安い価格での買い取りになるのが普通です。
とはいえ、売れない期間中ずっと固定資産税を払い続け、整備にも手間がかかることを考えると安くでも売却したいという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
③媒介契約を見直す
媒介契約には一般媒介契約と専任媒介契約、専属専任媒介契約の3つがあります。一般媒介契約より、他の2つの専任系媒介契約の方が一生懸命売却に取り組んでもらいやすい傾向があります。
もし一般媒介契約で契約している場合は、専任媒介契約もしくは専属専任媒介契約に変えてみるのもよいでしょう。
ただし、専任媒介契約と専属専任媒介契約は1社にしか仲介を依頼できません。複数の不動産会社と一般媒介契約を結んでいた場合は、一度それらの不動産会社との媒介契約を解約する必要があります。
④土地を分割する
一般的な土地の広さが60坪程度のエリアで80坪程度の土地を売りに出している場合、売れないでいる原因は価格が高すぎると判断されているからかもしれません。
その場合、土地を40坪ずつ2つに分割することで割安感を覚えてもらい、売れやすくなる可能性があります。
ただし、一般的な土地の広さが60坪程度のエリアで40坪程度の土地を売りに出すと手狭に感じられる可能性があるなどのリスクもあります。
分割する時は、不動産会社の担当者などとよく相談の上、決定するとよいでしょう。
⑤知人を当たる
一般的な仲介による売却で売れない時は、知人を当たってみるのも一つの方法です。
特に、そのエリアに何らかの縁のある知人であれば、購入に意欲を示す可能性があります。
ただし、一般的に売れない土地を知人に売却する時は、相場より安い価格で売却することになるでしょう。
また、不動産会社との媒介契約で専属専任媒介契約を選んでいた場合には、自分で買主を見つける自己発見取引は禁止されているので注意が必要です。
⑥土地の専門家に相談する
土地の専門家というと不動産会社を思い浮かべる人が多いでしょう。
もちろん、不動産会社に相談することで解決することもあります。しかし、それでも解決しないような場合には、個人で仲介を行っているブローカーや税理士、司法書士、土地家屋調査士といったそれぞれの分野の専門家に相談してみるのもよいでしょう。
これらの人達は、普段から土地の取引に携わっており、いろいろな情報を得ている可能性があります。
その場で何らかの対策を示してくれることもあれば、話だけ通しておけば後で縁につながるようなこともあるでしょう。
⑦値下げする
土地が売れない問題のほとんどは、値下げすることで解決できます。
もちろん、できるだけ高く売りたいという気持ちは分かります。しかし、先にお伝えしたように売れない期間が長いと、それだけ無駄な固定資産税がかかるばかりか、さらに売れない悪循環を招くことになります。
3カ月や1年間など、売却する期間を設けて、期間の最後が近づいても売れないでいるようであれば思い切った値下げを検討してみましょう。
それでも売れないなら…個人への寄付か不動産会社への低額売却
最終的な大幅値引きを実施しても売れないでいる場合には、個人への寄付や不動産会社への定額売却を検討してみるとよいでしょう。
持ち続けるより手放した方がよい
個人への寄付や不動産会社への低額売却となると、売却することによって得られる金銭的な利益はほぼありません。
しかし、売れない土地を持ち続けていると固定資産税がかかり、整備に手間とコストがかかります。
また、建物がある場合には空き家として犯罪の温床となったり、火事や建物の崩壊で近隣の方に迷惑をかけてしまったりする可能性もあります。
売ろうにも売れず、また将来に渡って利用する気持ちがないのであれば、寄付や低額売却を検討してみるのは悪くない選択だと言えるでしょう。
個人への寄付
自治体なども寄付を受け付けているケースがありますが、実際に受け取ってくれるのは稀です。寄付を行うのであれば、知人や親族など個人を探す必要があります。
なお、寄付をするとその相手に土地を贈与したことになるため、受け取った相手が贈与税を支払わなければなりません。このことは事前にお伝えしておいた方がよいでしょう。
また、登記費用に関してはどちらが負担するかを決めておく必要があります。
一般的には、寄付する側が負担することが多いようです。
不動産会社への低額売却
不動産会社に寄付するような形で、ほぼ利益のない価格で低額売却する方法もあります。
不動産会社に交渉しても買い取ってもらえないような場合には、こちらの方法を検討してみてもよいでしょう。
なお、個人への寄付と異なり、あくまでも売却となるため、売却側にも譲渡所得税が課されます。
相続前の土地なら相続放棄という手段もある
すでに所有している土地については、国や自治体に寄付しようとしても、公園などに活用できるのであれば引き取ってもらえることもあるものの、その可能性は非常に低いです。
また、要らない土地だからといって所有権を放棄することもできません。
しかし、ご両親の持っていた土地を相続することになった時に、売ることも難しそうで、また将来使う見込みもない土地であれば相続を放棄することができます。
なお、相続の放棄は相続があったことを知ってから3カ月以内に行う必要があります。
また、相続の放棄は、亡くなった方の全ての相続財産について放棄する形でしか放棄できないことに注意が必要です。
まとめ
記事のおさらい
- 売る土地の適正な価格設定ができているか?を確認しよう
- 売れない土地を売るための方法として「期限を決めること」が大切
- 土地は所有しているだけで固定資産税を支払う必要がある
- 相続前の土地なら相続放棄という手段もある
売れない土地の取り扱いについてお伝えしてきました。
売れない土地の原因のほとんどは価格の設定間違いで、相場より安い価格に設定すればほとんどの土地は売ることができます。
とはいえ、値下げは最終的な手段として、取り得る方法はどんなことでも試し、できるだけ高い価格で売却できるよう進めることは大切なことです。
一方、値下げを含め、取り得る方法を試し切っても売れないような場合には、ずっと土地を持ち続けているよりも寄付や低額売却といった方法をとることがお得となることもあります。
売れない土地で悩まれている方は、本記事でご紹介している手法を参考にしていただけたらと思います。
また、土地売却の流れの詳細については、下記の記事で確認しましょう。
宅地建物取引士 監修 逆瀬川勇造
明治学院大学を卒業後、地方銀行にてリテール業務に従事し顧客の住宅ローンやカードローンなど担当。その後、住宅会社の営業部長として新築住宅の販売や土地開発等の業務に7年間従事しました。 Webを通して住宅や不動産の問題を解決することを志向し2018年10月に独立。 最近の趣味は子育てです。