マンション売却のときに知っておきたい固定資産税の精算とは?

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マンション売却コンサルタント

中村昌弘

マンション売却に伴い、仲介手数料や登記関係費用などの諸費用がかかってきます。

マンション自体が1,000万円単位の高額商品なので、諸費用額も100万円を超えるケースも多く、売主にとっては負担となりますよね?

そんな中、実は支払うお金以外に返還されるお金もあり、それが「固定資産税の精算金」なのです。

しかし、ただでさえ固定資産税という税金の仕組みを良く理解していないのに、「精算金とは何だ?」と思う人も多いはずです。

そこでこの記事では、そのような疑問を持つ人に向けて、以下の点を解説していきます。

この記事ではこんな悩みを解決します!

  • 固定資産税とはどのような税金なのか?
  • 固定資産税の精算とは何か?
  • 具体的に固定資産税の精算金の計算方法は?
  • 売買契約時に注意点はある?

固定資産税の精算金は売主の立場なら知っておいた方が良いでしょう。なぜなら、不動産会社によっては固定資産税の精算をしない会社もあるからです。

そうなると、「精算すれば●●万円返還されたのに……」という事態になりかねません。

しかし、引き渡し後に精算金を請求するのは難しいので、契約時にきちんと取り決めておく必要があります。

筆者は、元々マンションディベロッパーの営業マンでした。実際にマンションの仲介を成約させたことは何件もあります。また、自身のマンションを売却した経験もあります。

その経験を活かして、「固定資産税の精算」に関して、分かりやすく、かつ、具体的に解説していきます。

固定資産税とは

そもそも、固定資産とは「現金などと違って流通を目的とせず、また消耗品でもないような資産」のことです。

マンション売却においては建物と土地が固定資産です。

固定資産税は、その固定資産の評価額に税率をかけて求めます。

マンションは共同住宅ですが、自分の持ち分割合に応じて固定資産税を負担します。

たとえば、総専有面積が7,000㎡のマンションで70㎡の部屋を所有していれば、自分の持ち分割合は1/100(70㎡÷7,000㎡)です。

つまり、そのマンション全体の建物・土地にかかる固定資産税の1/100は自分の負担金となるということです。

なお、固定資産の評価額は、原則として3年に1度評価替えを行います。そのため、固定資産税額も3年に1回のペースで変わる可能性があります。

固定資産税の納税義務者は「1月1日時点の所有者」

固定資産税の納税者は、その不動産の1月1日時点の所有者です。

所有者とは、「土地登記簿又は土地補充課税台帳に所有者として登記又は登録されている人」のことで、平たく言えばそのマンションの名義人に支払い義務が生じます。

今回の固定資産税の精算は、この「1月1日時点の所有者に課せられる税金」という部分が肝となるのでよく覚えておきましょう。

固定資産税の支払い方法

固定資産税は、行政から4~6月ころに届く「固定資産税 納税通知書」で支払います。固定資産税は4/1~翌年3/31までの課税になるので、その計算が終わったころに届くのです。

固定資産税は一括で支払うこともできますし、6月末、9月末、12月末、翌年2月末と4回に分けて支払うことも可能です。

一括と分割の納付書が送られてくるので、都合に応じて支払う流れになります。

売却時は買主との間で日割り調整が可能(固定資産税の精算)

さて、固定資産税は前項のように、その年の1月1日時点の所有者に支払い義務が発生します。

登記をする法務局が1月1日は閉まっていることもあり、1月1日にマンションを引き渡すことはありません。つまり、マンション売却の際には固定資産税は必ず売主に請求されるということです。

ただ、マンション売却時は固定資産税の精算をおこなうケースが多いです。固定資産税は売主に請求され、売主に支払う義務がありますが、その税額の一部を買主にも負担してもらうことができます。

固定資産税の精算をする理由

固定資産税は、前項の通り「その不動産の所有者に課せられる税金」です。

マンション売却において、所有者が変わるのは所有権移転登記をした日であり、それは引き渡し日と同日になります。つまり、引き渡し日以降は、買主がそのマンションの所有権を持つということです。

ということは、引き渡しまでは売主側に固定資産税を支払う義務が生じますが、引き渡し後は買主が固定資産税を支払うのが通常の考え方というわけです。

そのため、売主・買主との間で話し合い、負担割合に応じて固定資産税を精算するという流れになります。

固定資産税の負担割合は売主・買主で決める

固定資産税の精算は、売主・買主との間で負担割合を決めます。

というのも、固定資産税は不動産を所有している人へ1年に1回課せられる税金なので、言い換えると売主が支払う固定資産税は1年分の固定資産税だからです。

つまり、引き渡し日によって負担割合が異なるということです。ちょうど年度の真ん中である9月末日に引き渡したとのであれば、売主と買主の固定資産税の負担割合はお互い50%ずつです。

このように、引き渡し日……言い換えると買主がマンションを所有した期間によって、固定資産税の負担割合が変わってくるのです。

調整をしても支払うのは売主

仮に、固定資産税の精算をして、買主が固定資産税の一部を売主に精算(支払う)するとします。

しかし、あくまで固定資産税の納税義務者は、1月1日時点でマンションを所有していた売主です。

税金を請求する行政は、マンションを売却したことを知りません。もちろん、売主と買主との間で「固定資産税の精算」が取り交わされたことも知りません。

そのため、固定資産税の精算をしたとしても、行政からの納税通知書は売主に請求されます。

では、どのように買主が精算金を支払うかというと、一般的には売買金額に精算金を上乗せするという方法です。

別途「売買代金」「固定資産税の精算分」という風に項目自体は分けますが、引き渡し日に売買代金と一緒に買主が売主の口座に振り込むのが一般的です。

固定資産税の精算の具体例

次に、前項までで解説した固定資産税の精算金を計算する具体例を解説していきます。

今回は、固定資産税が年間20万円のマンションを、2018/4/15に引き渡した場合を想定しています。

固定資産税の精算は以下の流れです。

  1. 負担割合を計算する
  2. 負担割合に応じて固定資産税を分割する

注意点は、起算日を4/1にするか1/1にするかによって精算金額は変わってくるという点です。

結論からいうと、固定資産税は先述したように4/1~翌年3/31までの税金なので、起算日も4/1にするケースが多いです。

どちらを起算日にするかは仲介会社が売主・買主に提示して、両者が何も言わなければその提示日を起算日にします。

ただ、4/1が多いとはいえ1/1を起算日にするケースもあるので、この2つのケースで金額の違いを見ていきましょう。


4/1が起算日の場合

まず、4/15に引き渡したときの負担割合を計算します。

売主は4/1~4/14までマンションを所有しているので、14日分の固定資産税を支払います。一方、買主は残りの351日分の支払いです。

負担割合を計算する

(所有日数÷365)で負担割合を求めることができます。

今回の例だと、売主・買主の負担割合は以下のようになります。%で表すため最後に100をかけています。

  • 売主の負担割合=14日÷365日×100=3.8%
  • 買主の負担割合=351÷365日×100=96.2%

負担割合に応じて固定資産税を分割する

その次に、前項で算出した負担割合に応じて、以下のように年間20万円の固定資産税を分割します。

  • 売主が支払う固定資産税=20万円×3.8%=7,600円
  • 買主が支払う固定資産税=20万円×71.5%=192,400円

上記が、売主・買主が支払うべき固定資産税になります。

つまり、マンションの引き渡し日に、買主は固定資産税の精算金として192,400円を売主に支払う必要があるということです。

1/1が起算日の場合

次に、1/1が起算日の場合です。

まず、4/15に引き渡したときの負担割合を計算します。1月、2月、3月は合計90日で、そこに4/14までの14日を足します。

つまり、104日が売主の負担日数であり、残りの261日が買主の負担日数です。

負担割合を計算する

先ほどと同様に、負担日数(所有日数)を365日で割った負担割合は以下のとおりです。

  • 売主の負担割合:28.5%
  • 買主の負担割合:71.5%

負担割合に応じて固定資産税を分割する

その次に、前項で算出した負担割合に応じて、以下のように年間20万円の固定資産税を分割します。

  • 売主が支払う固定資産税:20万円×28.5%=57,000円
  • 買主が支払う固定資産税:20万円×71.5%=143,000円

上記が、売主・買主が支払うべき固定資産税になります。

つまり、マンションの引き渡し日に、買主は固定資産税の精算金として143,000円を売主に支払う必要があるということです。

固定資産税の精算における注意点

固定資産税の精算をする際の注意点は「契約日は関係ない」という点です。マンション売却の際は、売買契約を結び、売買契約から1~2か月後に引き渡しをします。

固定資産税の精算は、契約日は関係なく「引き渡し日」から起算する点は再認識しておきましょう。あくまで「所有権が移転した日」から、買主は固定資産税を支払うべき理由が生まれます。

売買契約を結んでも所有権は変わらず、売買契約は「〇月〇日までに引き渡します」という約束をしただけに過ぎません。仮に、引き渡し日が当初の予定より遅れた場合、もう一度精算金を計算するかどうかはケースバイケースです。

売買契約書に盛り込んでいた場合は「変更契約」が必要になり手間がかかるので、そのままの金額で据え置くケースも多いです。

注意!固定資産税の精算は“義務”ではない

前章の最後に「固定資産税の精算は引き渡し日から起算する」という注意点をお話しました。固定資産税の精算ではほかにも注意点があります。

それは、固定資産税の精算は義務ではないということです。

法律で決められているものではないため、精算したい場合は売買契約書または重要事項説明書に明記しておく必要があります。

法律で定められているわけではない

まず、大前提として固定資産税の精算は法律で定められているわけではありません。

繰り返しますが、固定資産税は「1月1日時点の不動産所有者に課せられる税金」なので、むしろ精算しなくても何ら問題ないといえます。

ちなみに、起算日が4/1でも1/1でも良いという点からも、固定資産税の精算というものが法律に定められていない曖昧なことであると伺えます。

法律に定められてはいないので、売主の立場から当然のように精算金を求めるというスタンスは避けるべきです。

この点に関しては、仲介会社によっても固定資産税を精算するかどうかは変わります。わたしの感覚では、十中八九の不動産会社では精算しますが、不動産会社の中には精算を提案しない会社もあります。

不動産会社が売主・買主に提示する諸費用表を見れば、固定資産税の精算を加味しているかどうかは分かります。

仲介手数料や登記関係費用などが記載されている諸費用表に「固定資産税の精算分」などの記載があれば、固定資産税を精算するということです。

このような文言がない場合には、不動産会社に「固定資産税の精算はしないのか?」と聞いても問題はありません。

精算する場合は売買契約書に明記する

固定資産税を精算する場合、買主にも同じように諸費用表で明示します。

しかし、あまり良く理解していない買主がいるのも事実なので、固定資産税の精算に関しては売買契約書、もしくは重要事項説明書に明記しておきましょう。

その際、起算日をきっちり明記するのがポイントです。起算日を明記することで金額が明確になり、買主も納得感を持って支払いに応じます。

まとめ

それでは、今回解説した「マンション売却における固定資産税の精算」について、覚えておくべきことをおさらいしましょう。

記事のおさらい

  • 固定資産税はその土地の1月1日の所有者に課せられる
  • 固定資産税の精算とは起算日以降の固定資産税を買主が支払うこと
  • 起算日の設定によって金額が異なるので売買契約書に明記する
  • 固定資産税の精算を行わない不動産会社もいるので注意

上記の点について、特に固定資産税の精算金が起算日によって異なるという点をよく覚えておきましょう。

起算日の取り決めなども含め不動産会社に相談しなければいけませんが、トラブルを回避するため早めに相談しておきましょう。

そうすれば、不動産会社から買主に諸費用表を提示するとき、固定資産税の精算金額を盛り込めます。

最初から盛り込んでおけば問題ないので、トラブルに発展しにくくなります。

執筆者の中村昌弘さんの写真

マンション売却のコンサルタント

中村昌弘

保有資格:宅地建物取引士

新卒で不動産ディベロッパーに勤務し、用地仕入れ・営業・仲介など、不動産事業全般を経験。入居用不動産にも投資用不動産にも知見は明るい。独立後は、不動産事業としては主にマンション売却のコンサルタントに従事している。趣味は読書。好きな作家は村上春樹、石原慎太郎。

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